この記事では「早い」と「速い」の違いについてみていきます。どちらも同じように「はやい」と読むが、実は意味には違いがあるようなんです。ふたつの違いはずばり、「一定の時間よりも前」か「一定の時間内に完了する動作が多い」かの違いなんです。少しややこしいと思うかもしれないが、今回はそんなふたつの言葉の違いを、使い方や類義語・対義語なども紹介しながら、元教員ライターのことはと一緒に解説していきます。

ライター/ことは

元教員ライター。小・中・高の国語科教員免許をもつ。幼いころから知的好奇心が旺盛でさまざまなことに興味をもっては自ら調べてきた。今回は、幼いころからたくさんの言葉に触れてきた経験を活かし、ふたつの言葉の違いを解説していく。

「早い」と「速い」の違いとは?

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早いと速いはどちらも「はやい」と読み、またどちらも日常的に目にする言葉なので、実際何が違うのか、どちらを使うべきなのか、迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。

端的に言うと、早いは「時期や時間がある一定値よりもはやいこと」、速いは「動作や進み方がはやいこと」を表すときに使います。それでは、このふたつの違いについて、詳しく見ていきましょう。

早いの意味や使い方は?

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早いは、時期や時間がある一定値よりも前の時点で物事が行われることを表します。例えば、「早い電車」と言うと朝早い時刻に出発する電車という意味になるのです。では、「早い」の意味や使い方の例を詳しくみていきましょう。

早いの意味

まず、辞書に載っている早いの意味から確認していきましょう。

1.ある基準より時間があまり過ぎていない。また、ある基準より時期が前である。
2.まだその時期ではない。その時がまだきていない。
3.簡単である。てっとり早い。
4.(「…するがはやいか」「…するよりはやく」の形で)時間をおかないで次の動作や物事が行われるさまを表す。

出典:小学館デジタル大辞泉

早いには細かくみると4つの意味があることがわかりますね。1つ目は、ある一定の基準となる時期や時間があって、それよりも前であるという意味です。2つ目は、ある一定の時期が来ていない、ということを表しています。3つ目は、物事が簡単であることやてっとり早い(基準になる時間よりも早くできる)という意味です。4つ目は、何かが起きてから次の動作まで時間をおかないことを表しています。

4つとも少しずつ意味は違いますが、共通して「ある一定の時間や時期を基準として」それよりも前やそれから時間が経っていないことを表していますね。

早いの使い方

早いの意味は4つに分類されることが分かりました。ここでは「早い」の使い方を、早いの意味で取り上げた4つの意味と対応させて紹介していきます。

\次のページで「早いの類義語・対義語」を解説!/

・待ち合わせの時間よりも早く集合場所に着いた。(1つ目の意味)
・夢をあきらめるにはまだ早い。(2つ目の意味)
・人に頼むよりも自分でやったほうが早い。(3つ目の意味)
・家に帰るが早いか疲れて寝てしまった。(4つ目の意味)

早いの類義語・対義語

早いは基準となる時間や時期よりも前であること、またはその時期・時間からあまり時間が経ってないことを表していることが分かりましたね。ここから、「早い」の類義語は「早期」や「早々に」「尚早」などが挙げられます。

また早いの対義語は「晩い」です。「晩い」はあまりなじみがないかもしれませんが、早婚・晩婚と言うように、早いの対義語としては遅いよりも晩いがより当てはまると考えられています。

速いの意味や使い方は?

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速いは、一定の時間内の動作が多いことを表します。例えば「速い電車」と言うと、一定期間で動く距離が長い電車、つまりスピードがはやい電車という意味になるのです。では、「速い」の意味や使い方の例を詳しくみていきましょう。

\次のページで「速いの意味」を解説!/

速いの意味

まず、辞書に載っている速いの意味から確認していきましょう。

物事の進む度合いが大きい。動作・進行などがすみやかである。

出典:小学館デジタル大辞泉

辞書の意味から、速いは、ある基準よりも動作や進み方がはやいこと、つまり、一定の時間の中でより多くの動作を完了できることを意味していることが分かりますね。またスピードに関連する「速い」は、一定時間の中でより長い距離を移動するという意味であると考えることができます。

速いの使い方は?

ここでは「速い」の使い方の例をいくつか紹介していきます。

・学生時代は足が速い人が人気者になる。
・もっと速く仕事ができるようになりたい。
・理解が速い人のメモの取り方を真似する。
・時間が経つのが速い。

最後の「時間が経つのが速い」は、「早い」と書かれることも多いですが、この場合要した時間が短いということなので「速い」を使うのが一般的です。

速いの類義語・対義語

速いは、一定の時間・期間の中でより多くの動作を完了できること、より長い距離の移動を完了できることを表していることが分かりましたね。ここから、速いの類義語には「高速」や「ハイスピード」「スピーディー」などが挙げられます。また速いの対義語は「遅い」「ゆっくり」です。

\次のページで「「疾い」や「捷い」との違いは?」を解説!/

「疾い」や「捷い」との違いは?

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同じように「はやい」と読む言葉で、「疾い」と「捷い」があります。どちらも「すばやい」という意味があるので、すみやかという意味を持つ「速い」とほぼ同じ意味で使うことが可能です。しかし、すみやかとすばやいを比較するとすばやいの方がよりはやいイメージがあるので、「速い」よりも「疾い」や「捷い」の方がよりスピーディーなニュアンスになります。

ビジネスの場面ではどう使い分ける?

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最後に、ビジネス用語としての「早い」と「速い」の使い分けについてみていきましょう。ビジネスシーンでは早いと速いのどちらも頻繁に使いますが、どちらを使うかによって意味が違い、相手に与える印象も違ってくるのでこの使い分けはとても重要です。

例えば、「仕事がはやい」と伝えたいときには早いと速いどちらも使えますが、どちらを使うかで文章の意味が変わってしまいます。「仕事が早い」とすると、「基準の時間よりも前に仕事が終わった」ことを表し、「仕事が速い」とるすと、「同じ時間でできる仕事量が多い」ことを表しているのです。

つまり、期日よりもはやく仕事を終わらせることを表したい場合は「早い」、仕事の処理がはやいことを表したい場合は「速い」を使うというように使い分ける必要があります。

早いと速いを正しく使い分けよう!

この記事では、早いと速いの違いをみてきました。「早い」は基準となる時間・時期よりも前であることを表し、「速い」は基準となる時間・期間の中でより多くの動作を完了することを表していることが分かりましたね。時間的にはやいことを表すのが早いで、スピード的にはやいことを表すのが早いというイメージです。どちらも日常生活の中でよく使う単語ですが、それぞれがもつ意味は異なるので、間違えると違う印象を与えてしまったり、誤字と認識されてしまったりします。今回紹介したビジネスシーンだけでなく、さまざまな場面で早いと速いの使い分けを意識してみてください!

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簡単で分かりやすい!「早い」と「速い」の違いとは?「疾い」「捷い」との違いやビジネスシーンでの使い分けも元教員ライターが詳しく解説!

この記事では「早い」と「速い」の違いについてみていきます。どちらも同じように「はやい」と読むが、実は意味には違いがあるようなんです。ふたつの違いはずばり、「一定の時間よりも前」か「一定の時間内に完了する動作が多い」かの違いなんです。少しややこしいと思うかもしれないが、今回はそんなふたつの言葉の違いを、使い方や類義語・対義語なども紹介しながら、元教員ライターのことはと一緒に解説していきます。

ライター/ことは

元教員ライター。小・中・高の国語科教員免許をもつ。幼いころから知的好奇心が旺盛でさまざまなことに興味をもっては自ら調べてきた。今回は、幼いころからたくさんの言葉に触れてきた経験を活かし、ふたつの言葉の違いを解説していく。

「早い」と「速い」の違いとは?

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早いと速いはどちらも「はやい」と読み、またどちらも日常的に目にする言葉なので、実際何が違うのか、どちらを使うべきなのか、迷ってしまう人も多いのではないでしょうか。

端的に言うと、早いは「時期や時間がある一定値よりもはやいこと」、速いは「動作や進み方がはやいこと」を表すときに使います。それでは、このふたつの違いについて、詳しく見ていきましょう。

早いの意味や使い方は?

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早いは、時期や時間がある一定値よりも前の時点で物事が行われることを表します。例えば、「早い電車」と言うと朝早い時刻に出発する電車という意味になるのです。では、「早い」の意味や使い方の例を詳しくみていきましょう。

早いの意味

まず、辞書に載っている早いの意味から確認していきましょう。

1.ある基準より時間があまり過ぎていない。また、ある基準より時期が前である。
2.まだその時期ではない。その時がまだきていない。
3.簡単である。てっとり早い。
4.(「…するがはやいか」「…するよりはやく」の形で)時間をおかないで次の動作や物事が行われるさまを表す。

出典:小学館デジタル大辞泉

早いには細かくみると4つの意味があることがわかりますね。1つ目は、ある一定の基準となる時期や時間があって、それよりも前であるという意味です。2つ目は、ある一定の時期が来ていない、ということを表しています。3つ目は、物事が簡単であることやてっとり早い(基準になる時間よりも早くできる)という意味です。4つ目は、何かが起きてから次の動作まで時間をおかないことを表しています。

4つとも少しずつ意味は違いますが、共通して「ある一定の時間や時期を基準として」それよりも前やそれから時間が経っていないことを表していますね。

早いの使い方

早いの意味は4つに分類されることが分かりました。ここでは「早い」の使い方を、早いの意味で取り上げた4つの意味と対応させて紹介していきます。

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