この記事では生麹と乾燥麹の違いについてみていきます。2つとも麹ではありますが、そもそも麹がどのようなものか、よく分からないという人も多いかもしれない。どちらもスーパーで購入できる身近な食材ですが、普段使わない人は目にもとまらないでしょう。今回はそんな麹について、生麹と乾燥麹の違いから使い方も、発酵食品大好きライターaoと一緒に解説していきます。

ライター/ao

健康を意識して発酵食品を積極的に食べているライター。使いたいときに使いたい分だけ使える乾燥麹を愛用している。

そもそも麹って何?

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麹(こうじ)という言葉は知っているけれど、具体的にどういうものなのかはよく分からない…という人も多いのではないでしょうか?麹は私たち日本人の食生活には欠かすことのできない存在です。まずは麹について解説していきます。

1.麹とは

麹とは、米、麦、大豆などの穀物に、コウジカビを繁殖させたものです。コウジカビは「麹菌(こうじきん)」ともいいます。コウジカビは、湿度の高い東アジアや東南アジアにしか生息しておらず、2006年に国菌(こっきん)に認定されているカビ。

増殖する時に穀物のでんぷんやタンパク質などを分解して、なんと100種類以上の酵素を作り出し、発酵食品の旨味や甘味を引き出すはたらきをしています。

2.麹はどうやって作られるの?

麹づくりに必要なものは、米、麦、大豆など培地となる穀物と、コウジカビ(麹菌)だけですが、手間と時間をかけて作られます。米麹の作り方をみていきましょう。

1.蒸かし
洗って一晩水に浸けたお米を蒸す。
2.種切り
蒸しあがったお米の熱と水分を飛ばし、温度を調節したら、コウジカビを撒いて混ぜ合わせていく。
3.培養
お米を布にくるんで保温する。
4.切り返し
お米を布から取り出し、お米のかたまりをほぐす。ほぐしたら再び布で包んで保温する。
5.盛り
3時間から8時間経ったら、お米を布から取り出す。お米のかたまりを手でほぐしながらトレイに移して板状にした後、布をかぶせて乾燥させる。
6.中仕事
5時間ほど経ったら、再びお米を布から取り出し、手でほぐす。
7.仕舞仕事
2時間ほど経ったら、再びお米を布から取り出し、手でほぐす。
8.完成
仕舞仕事から3時間ほどで完成。

3.麹は何に使うの?

麹が使われている食べ物としてまず浮かぶのは、醤油と味噌ではないでしょうか。醤油は蒸した大豆と炒った小麦に麹を付けて醤油麹を作り、塩水を加えて発酵、熟成させて作られています。味噌は大豆を蒸したり煮たりした後に麹と食塩を加えて発酵、熟成させて作られたものです。そのほか麹が使われているおもな食品に、味噌、みりん、かつお節、日本酒、焼酎、甘酒などがあります

生麹と乾燥麹の違いとは?

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麹とは、穀物にカビを繁殖させたものだということが分かりましたね。ここでは生麹と乾燥麹の違いについて解説していきます。違いによってどのようなメリット、デメリットがあるのかもみていきましょう。

違いは乾燥しているかどうか

「生麹」は乾燥していない麹、「乾燥麹」は乾燥させてある麹。「生麹」は麹の酵素活性(力価)が強く、「乾燥麹」は長期間の常温保存が可能という大きな特徴があります。

また乾燥させているかどうかによって水分量にも違いが出るのです。完成した麹は水分を飛ばしてコウジカビ(麹菌)を不活性化させてあるのですが、生麹の水分量は25~30%、乾燥麹は10%以下まで飛ばしています。栄養面での大きな差はありません。

生麹のメリットとデメリット

生麹は麹の酵素活性(力価)が高いので、乾燥麹よりも甘味がでるといわれています。戻す手間がなく、そのまま使用することができるのが嬉しいですね。

デメリットとして、まず保存期間が短いことがあげられます。生麹は麹菌が生きている状態。雑菌に弱く品質の劣化も早いので、冷蔵保存が必須です。冷蔵で1~2週間、冷凍で1ヶ月とされています。また乾燥麹に比べるとスーパーで手に入りにくいかもしれません。

\次のページで「乾燥麹のメリットとデメリット」を解説!/

乾燥麹のメリットとデメリット

乾燥麹の最大のメリットは、未開封であれば長期間常温保存が可能という点です。半年ほどは持ちます。また比較的スーパーで手に入りやすいです。デメリットとしては、芯が残る場合がある、水で戻して使う必要がある、生麹よりも発酵活性が弱い点などが挙げられます。

麹と糀の違い

「麹」は中国から伝わった漢字で、穀物で作られる「こうじ」全般を指しています。一方「糀」は明治時代に日本で作られた和製漢字で、米にコウジカビが繁殖する際、白い菌糸が花のようである様子を漢字に表したものです。米からできる「米こうじ」のみを指しています。

麹についてもっと詳しく!

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生麹と乾燥麹の違いがわかり、これまで麹を使用したことのない人も興味が出てきたのではないでしょうか。日本で長い歴史を持つ麹について、さらに理解を深めていきましょう。

麹の種類

私たちがスーパーでよく見かけるのは米麹かと思いますが、麹は米以外の穀物からも作られ、原料となる穀物によって種類が異なります。

米麹…米を原料として作られたもの。米味噌、日本酒、みりん、米酢、甘酒など
麦麹…大麦などの麦を原料として作られたもの。麦味噌、焼酎など
豆麹…大豆を原料として作られたもの。豆味噌、八丁味噌、醤油など

麹菌の種類

麹に種類があるだけでなく、なんと麹菌(コウジカビ)にも種類があるのです。麹菌の種類によって5つに分類され、用途も異なります。

\次のページで「麹の健康効果」を解説!/

黄麹菌(きこうじきん):緑がかった黄色の菌。味噌、醤油、日本酒などの原料
白麹菌(しろこうじきん):褐色の菌。焼酎などの原料
黒麹菌(くろこうじきん):黒褐色の菌。泡盛などの原料
紅麹菌(べにこうじきん):紅色の菌。豆腐よう・紅酒・老酒などの原料
カツオブシ菌:かつお節の原料

麹の健康効果

麹にはアミラーゼやリパーゼ、プロテアーゼなどの消化酵素が豊富に含まれており、代謝を促進したり、善玉菌を増やして腸内環境を整える作用があります。ダイエット中の人や便秘に悩んでいる方には嬉しい作用ですね。またビタミンB1やB2、B6、ビタミンCなどビタミン群も豊富に含まれているので抗酸化作用があり、疲労回復効果や美肌効果、精神安定作用なども期待できます。

麹を使ってみよう

麹の素晴らしい健康効果を知って、実際に取り入れてみたくなった人もいるかと思います。乾燥麹なら比較的手軽に購入できますので、さっそく使っていきましょう!

乾燥麹の戻し方

乾燥麹は使用する前に、水で戻す必要があります。バラバラになっているものと、板状になっているものがありますが、板状のものを使用する際はあらかじめ手でもみほぐしておきましょう。戻した麹はその日のうちに使います。

1.乾燥麹をボウルに入れる。
2.50~60℃のぬるま湯を加える。乾燥麹200gに対して100~250ml。
3.よく混ぜる。
4.ラップをして1~2時間放置。10~20分おきによく混ぜる。
5.指でつぶして簡単につぶれるくらいのやわらかさになったら完成。

健康と美肌のために麹パワー!

ここまで生麹と乾燥麹の違いについて解説してきました。麹は私たち日本人に馴染みの深い食品に多く含まれていることがわかりましたね。乾燥麹なら気軽に手に入れることができますので、ご自宅で甘酒や塩麹、醤油麹を作ってみてはいかがでしょうか。

調味料として使うことで料理のレパートリーも一気に広がります。塩麹や醤油麹は一度作ってしまえば3~6ヶ月ほど持ちますので、毎日麹を摂って、健康と美肌を手に入れましょう。

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雑学

簡単でわかりやすい!生麹と乾燥麹の違いとは?麹の種類や使い方も発酵食品大好きライターが詳しく解説

この記事では生麹と乾燥麹の違いについてみていきます。2つとも麹ではありますが、そもそも麹がどのようなものか、よく分からないという人も多いかもしれない。どちらもスーパーで購入できる身近な食材ですが、普段使わない人は目にもとまらないでしょう。今回はそんな麹について、生麹と乾燥麹の違いから使い方も、発酵食品大好きライターaoと一緒に解説していきます。

ライター/ao

健康を意識して発酵食品を積極的に食べているライター。使いたいときに使いたい分だけ使える乾燥麹を愛用している。

そもそも麹って何?

image by iStockphoto

麹(こうじ)という言葉は知っているけれど、具体的にどういうものなのかはよく分からない…という人も多いのではないでしょうか?麹は私たち日本人の食生活には欠かすことのできない存在です。まずは麹について解説していきます。

1.麹とは

麹とは、米、麦、大豆などの穀物に、コウジカビを繁殖させたものです。コウジカビは「麹菌(こうじきん)」ともいいます。コウジカビは、湿度の高い東アジアや東南アジアにしか生息しておらず、2006年に国菌(こっきん)に認定されているカビ。

増殖する時に穀物のでんぷんやタンパク質などを分解して、なんと100種類以上の酵素を作り出し、発酵食品の旨味や甘味を引き出すはたらきをしています。

2.麹はどうやって作られるの?

麹づくりに必要なものは、米、麦、大豆など培地となる穀物と、コウジカビ(麹菌)だけですが、手間と時間をかけて作られます。米麹の作り方をみていきましょう。

1.蒸かし
洗って一晩水に浸けたお米を蒸す。
2.種切り
蒸しあがったお米の熱と水分を飛ばし、温度を調節したら、コウジカビを撒いて混ぜ合わせていく。
3.培養
お米を布にくるんで保温する。
4.切り返し
お米を布から取り出し、お米のかたまりをほぐす。ほぐしたら再び布で包んで保温する。
5.盛り
3時間から8時間経ったら、お米を布から取り出す。お米のかたまりを手でほぐしながらトレイに移して板状にした後、布をかぶせて乾燥させる。
6.中仕事
5時間ほど経ったら、再びお米を布から取り出し、手でほぐす。
7.仕舞仕事
2時間ほど経ったら、再びお米を布から取り出し、手でほぐす。
8.完成
仕舞仕事から3時間ほどで完成。

3.麹は何に使うの?

麹が使われている食べ物としてまず浮かぶのは、醤油と味噌ではないでしょうか。醤油は蒸した大豆と炒った小麦に麹を付けて醤油麹を作り、塩水を加えて発酵、熟成させて作られています。味噌は大豆を蒸したり煮たりした後に麹と食塩を加えて発酵、熟成させて作られたものです。そのほか麹が使われているおもな食品に、味噌、みりん、かつお節、日本酒、焼酎、甘酒などがあります

生麹と乾燥麹の違いとは?

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麹とは、穀物にカビを繁殖させたものだということが分かりましたね。ここでは生麹と乾燥麹の違いについて解説していきます。違いによってどのようなメリット、デメリットがあるのかもみていきましょう。

違いは乾燥しているかどうか

「生麹」は乾燥していない麹、「乾燥麹」は乾燥させてある麹。「生麹」は麹の酵素活性(力価)が強く、「乾燥麹」は長期間の常温保存が可能という大きな特徴があります。

また乾燥させているかどうかによって水分量にも違いが出るのです。完成した麹は水分を飛ばしてコウジカビ(麹菌)を不活性化させてあるのですが、生麹の水分量は25~30%、乾燥麹は10%以下まで飛ばしています。栄養面での大きな差はありません。

生麹のメリットとデメリット

生麹は麹の酵素活性(力価)が高いので、乾燥麹よりも甘味がでるといわれています。戻す手間がなく、そのまま使用することができるのが嬉しいですね。

デメリットとして、まず保存期間が短いことがあげられます。生麹は麹菌が生きている状態。雑菌に弱く品質の劣化も早いので、冷蔵保存が必須です。冷蔵で1~2週間、冷凍で1ヶ月とされています。また乾燥麹に比べるとスーパーで手に入りにくいかもしれません。

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