この記事では大吟醸と吟醸の違いについてみていきます。どちらも日本酒の種類を指す言葉です。日本酒が好きな人なら2つの違いを知っていると思うが、普段お酒を飲まない人にとっては、この言葉にすら馴染みがないかもしれない。お酒を飲む人でも違いを詳しく説明できる人は少ないでしょう。今回はそんな日本酒の種類を指す大吟醸と吟醸の違いや、ほかの日本酒との違いについて、夏はビール・冬は日本酒派のお酒好きライターaoと一緒に解説していきます。

ライター/ao

日本酒、ワイン、ビール…なんでも辛口派のライター。好きな日本酒は久保田 千寿。

大吟醸・吟醸とは?

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大吟醸と吟醸。この2つの違いを知るために、まず日本酒についての基礎知識について触れていきます。日本酒とは日本に稲作が伝わった縄文時代~弥生時代から造られているとされる日本特有の製法で醸造されたお酒ですが、種類が非常に多く、初めて購入する人はどれを選んだら良いのか迷ってしまうかもしれません。どのように分類されているのかみていきましょう。

「特定名称酒」と「普通酒」

まず日本酒は「特定名称酒」と「普通酒」に大きく分類されます。「特定名称酒」は国税庁が告示した「清酒の製法品質表示基準」の要件を満たすものを言い、それ以外は全て「普通酒」となるのです。「普通酒」は「一般酒」とも呼ばれます。

「特定名称酒」は8つに分類される

さらに「特定名称酒」は、米の精米歩合(せいまいぶあい)や原料、製造方法などによって以下の8つに分類されます。

吟醸酒系…吟醸酒、大吟醸酒
純米酒系…純米酒、特別純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒
本醸造酒系…本醸造酒、特別本醸造酒

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精米歩合(せいまいぶあい)とは?

精米歩合とは、玄米を精米して残った米の割合を%で表したものです。精米することを「磨く」といいます。精米歩合が低いほどお米が磨かれているということです。お米の表層部分には栄養素がありますが、日本酒造りの際はこの栄養素が雑味の原因になってしまうので、精米して削る必要があります。

普段食用として食べられているお米の精米歩合は90%といわれていますが、日本酒の原料になるお米は、より多く磨かれているのです。特定名称酒の精米歩合はラベルに表示されているので、購入の際に確認してみてください。

大吟醸と吟醸は「吟醸酒」

やっとここで大吟醸と吟醸にたどり着きました。大吟醸と吟醸は、「吟醸酒系」の日本酒ということがわかりましたね、「吟醸酒系」とは、原料がお米、米麹、醸造アルコール、水の4つで、「吟醸造り」という製法で造られた日本酒のことを指します。

吟醸造りとは、精米歩合60%以下に磨いたお米を、10度前後の低温で長期発酵させる製法です。低温で発酵することで、「吟醸香」(ぎんじょうか)と呼ばれるフルーティな香りを持つ日本酒になります。

大吟醸と吟醸の違いは精米歩合にあり

大吟醸と吟醸は、同じ「吟醸酒系」の日本酒で、原料も製法も同じ。それでは違いは何なのかというと、ずばり精米歩合にあります。吟醸造りは精米歩合60%以下と前述しましたが、大吟醸は精米歩合50%以下、吟醸は60%以下と定められているのです。

つまり吟醸より大吟醸の方が、お米を磨いているということになりますね。そして雑味の原因となる表層部分をより磨いている大吟醸の方が雑味が少ない日本酒になります。

大吟醸と吟醸の違いをもっと詳しく!

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大吟醸と吟醸の違いは精米歩合によるものだということがわかりましたね。精米歩合が違うことによって、私たち消費者はどのような違いを感じることができるのでしょうか。2つの違いについてさらに詳しくみていきましょう。

違いその1.香り

吟醸酒はフルーティで華やかな香りが特徴の日本酒。大吟醸は精米歩合が50%以下で表層部分がより磨かれており、香り成分を抑制する脂質がほぼ取り除かれているため、より華やかな吟醸香を楽しめるといわれています。

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違いその2.味わい

吟醸よりも精米歩合が低い大吟醸は、雑味が少なく口あたりが軽やかで、よりすっきりとした味わいの日本酒になるといわれています。ただ精米歩合の低い大吟醸の方が美味しいというわけではなく、精米歩合の高い吟醸は、素朴で米本来の旨味を味わうことができるのです。どちらが良いかは個人の好みによって分かれるでしょう。

違いその3.価格

吟醸よりも大吟醸の方が価格が高いです。大吟醸は精米歩合が50%以下、吟醸よりも多く磨きます。50%以下ということは、原料のお米の半分以上を削りとらなければならず、吟醸よりもたくさんのお米が必要になるのです。また精米歩合が低いほど、精米に時間がかかります。大吟醸は吟醸よりもコストと手間がかかるので、そのぶん価格が高くなります。

日本酒についてもっと詳しく!

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大吟醸と吟醸…吟醸酒についてはよくわかりましたが、日本酒の「特定名称酒」は8種類。残りの6種類は何が違うのでしょうか。日本酒についてさらに理解を深めていきましょう。

1.純米大吟醸酒・純米吟醸酒・特別純米酒・純米酒とは

純米酒系の純米酒、特別純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒は、4つともお米と米麹と水だけで造られている日本酒です。吟醸酒系との違いは、原料に醸造アルコールがはいっているかどうか、という点になります。

4つの違いは精米歩合です。純米大吟醸酒は50%以下、純米吟醸酒は60%以下、特別純米酒は60%以下で「有機米のみ使用」などの特別製法がされているもの、純米酒は精米歩合に関わらず、原料がお米と米麹だけで造られた香味及び色沢が良好なものとなっています。純米酒系は醸造アルコールが入っていないので、お米本来の甘みや旨味が感じられる日本酒です。

2.本醸造酒、特別本醸造酒とは

本醸造酒系の本醸造酒、特別本醸造酒は、吟醸酒系と同じくお米と米麹、醸造アルコール、水で造られた日本酒です。違いは精米歩合。本醸造酒は70%以下、特別本醸造酒は60%以下または特別製法のものとなります。吟醸酒系より精米歩合が高い日本酒ということですね。純米酒に近い香りと風味をもち、純米よりも辛口ですっきりとした味わいのものが多いです。

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3.温度帯に呼び名がある!

日本酒を飲まない人でも「熱燗・ぬる燗」という言葉は聞いたことがあると思います。日本酒は、幅広い温度帯で楽しめるお酒。なんと温度帯によって呼び名があるのです。燗と冷を合わせると1つの日本酒で9種類の楽しみ方ができるという、世界でも珍しいお酒。各温度帯の呼び名をご紹介します。

5℃:雪冷え
10℃:花冷え
15℃:涼冷え
30℃:日向燗
35℃:人肌燗
40℃:ぬる燗
45℃:上燗
50℃:熱燗
55℃:飛び切り燗

さまざまな日本酒を味わってみよう

ここまで大吟醸と吟醸の違いについて解説してきました。日本酒はさまざまな種類があり、奥が深いお酒だということがわかりましたね。大吟醸・吟醸でなくても美味しい日本酒はたくさんあります。そして銘柄によって風味や味わいがまったく異なるので、一度日本酒の美味しさを知ると、もっと深く知りたくなることでしょう。温度帯を変えて一年中楽しめる日本酒。ぜひ味わってみてください。

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雑学

簡単でわかりやすい!大吟醸と吟醸の違いとは?日本酒の種類もお酒好きライターが詳しく解説

この記事では大吟醸と吟醸の違いについてみていきます。どちらも日本酒の種類を指す言葉です。日本酒が好きな人なら2つの違いを知っていると思うが、普段お酒を飲まない人にとっては、この言葉にすら馴染みがないかもしれない。お酒を飲む人でも違いを詳しく説明できる人は少ないでしょう。今回はそんな日本酒の種類を指す大吟醸と吟醸の違いや、ほかの日本酒との違いについて、夏はビール・冬は日本酒派のお酒好きライターaoと一緒に解説していきます。

ライター/ao

日本酒、ワイン、ビール…なんでも辛口派のライター。好きな日本酒は久保田 千寿。

大吟醸・吟醸とは?

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大吟醸と吟醸。この2つの違いを知るために、まず日本酒についての基礎知識について触れていきます。日本酒とは日本に稲作が伝わった縄文時代~弥生時代から造られているとされる日本特有の製法で醸造されたお酒ですが、種類が非常に多く、初めて購入する人はどれを選んだら良いのか迷ってしまうかもしれません。どのように分類されているのかみていきましょう。

「特定名称酒」と「普通酒」

まず日本酒は「特定名称酒」と「普通酒」に大きく分類されます。「特定名称酒」は国税庁が告示した「清酒の製法品質表示基準」の要件を満たすものを言い、それ以外は全て「普通酒」となるのです。「普通酒」は「一般酒」とも呼ばれます。

「特定名称酒」は8つに分類される

さらに「特定名称酒」は、米の精米歩合(せいまいぶあい)や原料、製造方法などによって以下の8つに分類されます。

吟醸酒系…吟醸酒、大吟醸酒
純米酒系…純米酒、特別純米酒、純米吟醸酒、純米大吟醸酒
本醸造酒系…本醸造酒、特別本醸造酒

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