この記事では豆板醤(トウバンジャン)と甜麺醤(テンメンジャン)の違いについてみていきます。2つとも中華料理に使う調味料で、日本の食品メーカーからも販売されており、どちらもスーパーで気軽に購入できるものです。漢字三文字で見た目も似ているこの2つの違いをきちんと把握して使っている人は少ないでしょう。今回はそんな2つの調味料の違いや、同じような名前と見た目のコチュジャンとの違い、使い方についても、元中国在住ライターaoと一緒に解説していきます。

ライター/ao

手の込んだ料理は作らないが、豆板醤も甜麺醤も日常的に使用しているライター。好きな中華料理は四川料理

豆板醤と甜麺醤の違いとは?

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豆板醤と甜麺醤は、中国料理には欠かせない調味料。私たち日本人にもすっかりおなじみで、口にしたことのある人も多いと思います。まずはこれら2つの違いについてみていきましょう。

違いその1.原材料

豆板醤の原材料は、そら豆、大豆、米、大豆油、ごま油、塩、麹、唐辛子など。麹で発酵させた発酵調味料です。本来の豆板醤は、そら豆に麹、塩を加えて発酵させたもので、唐辛子は入っておらず、唐辛子などが入って辛く味つけされたものを「豆板辣醤」といいます。日本では唐辛子が入った辛いものを「豆板醤」としているようです。

一方、甜麺醤の原材料は、小麦と塩と麹。こちらも麹で発酵させた発酵調味料になります。甜麺醤の「甜」という漢字は、中国語で「甘い」という意味。日本で作られているものは大豆からできた味噌を使用しているようです。「醤」という漢字は味噌を意味しています。

違いその2.味

唐辛子が入っている豆板醤は唐辛子の辛さとともに、そら豆によるコクと風味、酸味もあります。一方の甜麺醤は文字のとおり甘味のある味噌です。独特の風味をもち、辛みや塩辛さはありません。

コチュジャンとの違い

豆板醤のように辛みのある味噌で、コチュジャンがあります。ビビンパには欠かせないピリ辛の調味料ですね。コチュジャンは朝鮮半島が発祥の味噌で、もち米に麹、唐辛子を加えた発酵調味料です。豆板醤のように辛さがありますが、糖が含まれているため甘みもあります

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豆板醤と甜麺醤についてもっと詳しく!

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豆板醤と甜麺醤はどちらも発酵食品であることがわかりましたが、日本の味噌のように作られるのでしょうか?またどのような栄養が含まれるのでしょうか。さらに詳しくみていきましょう。

1.どうやって作られるの?

豆板醤は、発芽させて皮をむいた状態のそら豆を麹に漬けて、塩を加えて半年ほど発酵させます。さらに唐辛子を加えて熟成させるのです。熟成期間が長くなるほどまろやかな味になります。

一方の甜麺醤は、本来は小麦粉を麺状にしたものに麹を加えて発酵させて作るものですが、現在日本で売られている甜麺醤は、大豆から作られた味噌を使用しているものが多く、日本人の口に合う味になっているようです。

2.豆板醤と甜麺醤の栄養

豆板醤の原料のひとつである唐辛子にはカプサイシンが含まれており、脂肪の燃焼を助けてくれる効果食欲増進効果があります。カプサイシン同様唐辛子に含まれているカプサンチン。こちらは抗酸化作用があり、がんを予防する効果が期待されています。

一方の甜麺醤は小麦粉が原材料でしたね。小麦粉が麹によってオリゴ糖やブドウ糖に分解されているのですが、オリゴ糖には腸内環境を整える効果や、ミネラルの吸収を促進する効果があります。

3.そのほかの似ている調味料

中国料理で使う調味料で、日本人にも馴染みのあるものはほかにもあります。いくつかご紹介しましょう。

XO醤… 1980年代に香港のペニンシュラ・ホテルのシェフが開発した味噌風味の高級調味料。原料はメーカーによって異なる。XOは、ブランデーの最高の等級を示すエクストラオールド(extra old)からきている。
芝麻醤…すりごまに油を加えてペースト状にしたもの。白ごまで作る白芝麻醤と黒ごまで作る黒芝麻醤がある。白芝麻醤は火鍋に欠かせない調味料で、黒芝麻醤は薬膳に使われることが多い。
オイスターソース…牡蠣を主原料とする調味料。独特の風味と濃厚なコクが特徴。
豆鼓醤…黒豆を発酵させたものに、砂糖や醤油、油などを加えたもの。

豆板醤と甜麺醤を使ってみよう

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豆板醤は唐辛子による辛みが特徴で、甜麺醤は甘みのある味噌。味も風味も異なる2つの調味料ですが、どのように使い分けるのが良いのでしょうか。おもな使い方をみていきましょう。

どんな料理に使うの?

豆板醤は、中国の四川省が発祥で、四川料理には欠かせない調味料です。日本人におなじみの四川料理といえば麻婆豆腐や回鍋肉、棒棒鶏、担々麺 …。炒め物や煮込み料理に使われることが多いですが、たれとして使うこともできます。

甜麺醤も炒め物や煮込み料理に使うほか、北京ダックにつけて食べるたりジャージャー麺に使用するように、たれとして使ってもおいしいですよ。まろやかな甘みとコクが料理を引き立ててくれることでしょう。

代用は可能?

豆板醤の代用としては、豆板醤と同様に唐辛子が入った味噌のコチュジャンが思い浮かぶかと思いますが、コチュジャンを使用すると豆板醤にはない「甘み」がプラスされてしまいますよね。味噌にごま油と醤油、唐辛子を混ぜ合わせると、甘みのない代用品ができます。

甜麺醤は、味噌にごま油と醤油、砂糖を混ぜることで、似た風味を出すことが可能です。砂糖のかわりにハチミツやみりんを入れてみても良いかもしれません。味噌は赤味噌や八丁味噌を使用すると、より甜麺醤に近づけることができます。ぜひお試しください。

本場の味を楽しみたい

日本人の口に合うように作られた豆板醤や甜麺醤は美味しいですが、一度くらい本場の味を家庭で食べてみたいですよね。わざわざ中国に行かなくても、オンライン通販で輸入品を購入することができます。価格もそこまで高くないですし、中国人が一般的に使用している調味料を試してみてはいかがでしょうか。日本で売られている商品との違いも含めて、さまざまな発見ができることでしょう。

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豆板醤と甜麺醤を気軽に使ってみよう!

ここまで豆板醤と甜麺醤の違いについて解説してきました。2つとも中国の調味料ではありますが、中華料理にしか使ってはいけないという決まりはありません。いつもの野菜炒めやチャーハンにいれてみたり、サラダのドレッシングに混ぜてみたり…。白いごはんと一緒に食べるだけでも美味しいです。醤油や味噌と同じ感覚で使ってみると、料理のレパートリーも広がると思います。豆板醤と甜麺醤、ぜひ日々のお料理に取り入れてみてくださいね。

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簡単でわかりやすい!豆板醤と甜麺醤の違いとは?コチュジャンとの違いや使い方についても元中国在住ライターが詳しく解説

この記事では豆板醤(トウバンジャン)と甜麺醤(テンメンジャン)の違いについてみていきます。2つとも中華料理に使う調味料で、日本の食品メーカーからも販売されており、どちらもスーパーで気軽に購入できるものです。漢字三文字で見た目も似ているこの2つの違いをきちんと把握して使っている人は少ないでしょう。今回はそんな2つの調味料の違いや、同じような名前と見た目のコチュジャンとの違い、使い方についても、元中国在住ライターaoと一緒に解説していきます。

ライター/ao

手の込んだ料理は作らないが、豆板醤も甜麺醤も日常的に使用しているライター。好きな中華料理は四川料理

豆板醤と甜麺醤の違いとは?

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豆板醤と甜麺醤は、中国料理には欠かせない調味料。私たち日本人にもすっかりおなじみで、口にしたことのある人も多いと思います。まずはこれら2つの違いについてみていきましょう。

違いその1.原材料

豆板醤の原材料は、そら豆、大豆、米、大豆油、ごま油、塩、麹、唐辛子など。麹で発酵させた発酵調味料です。本来の豆板醤は、そら豆に麹、塩を加えて発酵させたもので、唐辛子は入っておらず、唐辛子などが入って辛く味つけされたものを「豆板辣醤」といいます。日本では唐辛子が入った辛いものを「豆板醤」としているようです。

一方、甜麺醤の原材料は、小麦と塩と麹。こちらも麹で発酵させた発酵調味料になります。甜麺醤の「甜」という漢字は、中国語で「甘い」という意味。日本で作られているものは大豆からできた味噌を使用しているようです。「醤」という漢字は味噌を意味しています。

違いその2.味

唐辛子が入っている豆板醤は唐辛子の辛さとともに、そら豆によるコクと風味、酸味もあります。一方の甜麺醤は文字のとおり甘味のある味噌です。独特の風味をもち、辛みや塩辛さはありません。

コチュジャンとの違い

豆板醤のように辛みのある味噌で、コチュジャンがあります。ビビンパには欠かせないピリ辛の調味料ですね。コチュジャンは朝鮮半島が発祥の味噌で、もち米に麹、唐辛子を加えた発酵調味料です。豆板醤のように辛さがありますが、糖が含まれているため甘みもあります

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