衣類や家具などに用いられる生地で有名なものに、「木綿」と「綿」があるな。両者の違いを説明できる人は少ないんじゃないか。
今回は「木綿」と「綿」の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

木綿と綿の違い

image by iStockphoto

みなさんの着ている洋服にも「木綿」や「綿」と表記されているものがあるのではないでしょうか。「木綿」と「綿」はメジャーな素材ですが、意外とその違いを理解している人は多くありません。ここでは「木綿」と「綿」の違いについて解説していきます。

木綿と綿は同じ素材

結論から言えば「木綿」と「綿」は同じ素材です。「木綿」とはワタと呼ばれる植物の種子についている白くやわらかな繊維質の毛で、「わた」とも呼ばれます。「綿」とはシンプルに「わた」や「木綿わた」という意味。要するに同じ素材のことを指しているんですね。

コットン・生綿も同じ素材

「木綿」や「綿」と関連して使われる言葉にコットンというものがありますが、こちらも同じ素材。コットン(cotton)とは英語で「わた」のことです。また「生綿(きわた)」という言葉に関しても同じ素材。そのため「木綿」=「綿」=「コットン」=「生綿」と言うことができます。

真綿って何?

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「真綿で首をしめる」とは、「遠まわしにじわじわと責めたり痛めつけたりすること」の例えとして有名です。ですがこの「真綿」という言葉の意味はご存じでしょうか。「綿」という漢字が含まれているので、前述のように「木綿(綿)」のことを指しているのでしょうか。ここでは「真綿」という言葉の意味について迫っていきます。

真綿:蚕の繭から作られる

「真綿」とは「木綿(綿)」とはまったく別の素材です。「真綿」は蚕(かいこ)という昆虫の繭(まゆ)から作られる繊維のこと。

繭とは幼虫が成虫になる過程で、蛹(さなぎ)の状態で無防備になる自分を守るための防御壁のようなものです。蚕は糸を吐くことで繭を作りますが、この糸をほどいたものが「真綿」となります。「木綿(綿)」が植物繊維なのに対して、「真綿」は羽毛や羊毛と同じ植物繊維と言えるのです。

絹:真綿と同じ

「絹」という素材もよく耳にしますが、こちらは「真綿」と同じ素材のことを言います。「繊維の女王」と呼ばれる「絹」は光沢や風合いに優れ、古来より世界中で重宝されてきました。「絹」は英語で「シルク(silk)」です。「シルクロード」と呼ばれる「絹」の交易経路は、ユーラシア大陸の交易を支えてきました。

生地の特徴

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「木綿(綿)」という素材の定義を知ると、より興味が湧いてきたのではないでしょうか。日本において「木綿(綿)」の栽培が開始されたのは室町時代と言われており、朝鮮半島からワタの種子がもたらされたのがきっかけと言われています。ではここで「木綿(綿)」の特徴について解説していきましょう。

「木綿(綿)」ができるまで

ワタはアオイ科の植物で、黄色いきれいな花を咲かせます。その花が枯れると朔(さく)と呼ばれる白く弾力のある繊維のかたまりが発生。朔はコットンボールとも呼ばれており、もこもことしたかわいらしい見た目をしています。この朔をほぐし、紡いで糸にすることで「木綿(綿)」ができあがるのです。

\次のページで「「木綿(綿)」の性質」を解説!/

「木綿(綿)」の性質

「木綿(綿)」の性質として、繊維がきわめて微細なため吸水性が高いことが挙げられます。吸水性が高いということは汗を吸いやすいということ。そのため生地の内側(肌側)と外側(外気)に温度差ができると、内側から汗を吸い取って外側に発散する性質があります。水分は蒸発する際に熱を奪う性質があるため、「木綿(綿)」の生地は涼しいのです。

木綿と綿は同じ素材

ここまで「木綿」と「綿」の違い、「真綿」との関係性、そして生地の特徴について解説してきました。記事を読む前に比べて、かなり素材や生地についての理解が深まったのではないでしょうか。

「木綿」と言えば「木綿豆腐」も有名ですが、これも「木綿(綿)」の吸水性の高さを利用した生活の知恵から生まれた食材です。軽くて丈夫で汎用性に優れる「木綿(綿)」は、これからも日本人ひいては人類にとって大切な素材であり続けるでしょう。

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3分で簡単にわかる木綿と綿の違い!コットン・真綿・絹との違いも雑学好きライターがわかりやすく解説

衣類や家具などに用いられる生地で有名なものに、「木綿」と「綿」があるな。両者の違いを説明できる人は少ないんじゃないか。
今回は「木綿」と「綿」の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

木綿と綿の違い

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みなさんの着ている洋服にも「木綿」や「綿」と表記されているものがあるのではないでしょうか。「木綿」と「綿」はメジャーな素材ですが、意外とその違いを理解している人は多くありません。ここでは「木綿」と「綿」の違いについて解説していきます。

木綿と綿は同じ素材

結論から言えば「木綿」と「綿」は同じ素材です。「木綿」とはワタと呼ばれる植物の種子についている白くやわらかな繊維質の毛で、「わた」とも呼ばれます。「綿」とはシンプルに「わた」や「木綿わた」という意味。要するに同じ素材のことを指しているんですね。

コットン・生綿も同じ素材

「木綿」や「綿」と関連して使われる言葉にコットンというものがありますが、こちらも同じ素材。コットン(cotton)とは英語で「わた」のことです。また「生綿(きわた)」という言葉に関しても同じ素材。そのため「木綿」=「綿」=「コットン」=「生綿」と言うことができます。

真綿って何?

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「真綿で首をしめる」とは、「遠まわしにじわじわと責めたり痛めつけたりすること」の例えとして有名です。ですがこの「真綿」という言葉の意味はご存じでしょうか。「綿」という漢字が含まれているので、前述のように「木綿(綿)」のことを指しているのでしょうか。ここでは「真綿」という言葉の意味について迫っていきます。

真綿:蚕の繭から作られる

「真綿」とは「木綿(綿)」とはまったく別の素材です。「真綿」は蚕(かいこ)という昆虫の繭(まゆ)から作られる繊維のこと。

繭とは幼虫が成虫になる過程で、蛹(さなぎ)の状態で無防備になる自分を守るための防御壁のようなものです。蚕は糸を吐くことで繭を作りますが、この糸をほどいたものが「真綿」となります。「木綿(綿)」が植物繊維なのに対して、「真綿」は羽毛や羊毛と同じ植物繊維と言えるのです。

絹:真綿と同じ

「絹」という素材もよく耳にしますが、こちらは「真綿」と同じ素材のことを言います。「繊維の女王」と呼ばれる「絹」は光沢や風合いに優れ、古来より世界中で重宝されてきました。「絹」は英語で「シルク(silk)」です。「シルクロード」と呼ばれる「絹」の交易経路は、ユーラシア大陸の交易を支えてきました。

生地の特徴

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「木綿(綿)」という素材の定義を知ると、より興味が湧いてきたのではないでしょうか。日本において「木綿(綿)」の栽培が開始されたのは室町時代と言われており、朝鮮半島からワタの種子がもたらされたのがきっかけと言われています。ではここで「木綿(綿)」の特徴について解説していきましょう。

「木綿(綿)」ができるまで

ワタはアオイ科の植物で、黄色いきれいな花を咲かせます。その花が枯れると朔(さく)と呼ばれる白く弾力のある繊維のかたまりが発生。朔はコットンボールとも呼ばれており、もこもことしたかわいらしい見た目をしています。この朔をほぐし、紡いで糸にすることで「木綿(綿)」ができあがるのです。

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