この記事では関西と近畿の違いについてみていきます。関西と近畿は、含まれている都道府県が一部かぶっていることもあって混同しやすい言葉ですね。実際に、その大きな違いは含まれる範囲なのですが、それぞれ使い始められた時期や使われる場面などにも違いがあるみたいです。今回はそんな日本の地域を指すふたつの言葉の違いを、近畿地方出身の元教員ライター、ことはと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/ことは

元教員ライター。小・中・高の国語科教員免許を持つ。幼いころから知的好奇心が旺盛でさまざまなことに興味を持っては調べてきた。今回は自分の出身地でもある近畿と関西について、これまで疑問に思っていたことを活かして解説していく。

関西と近畿の違いとは?

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日本には北陸地方や中国地方などさまざまな地域区分があります。その中でも京都や大阪近辺を関西や近畿と呼ぶことがありますが、ふたつの何が違うのか、明確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。

大まかなイメージで何となく西の方、とあいまいに認識しがちですが、関西と近畿の違いは含まれる都道府県の違いなんです。さらに、どういう場面で使われるのかにも違いがあるので、その点も含めてふたつの違いを見ていきましょう。

関西ってどこのこと?

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関西というと大阪や京都を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。関西弁や関西人という言葉も連想されるかもしれませんね。実はこの関西という概念の歴史は古く、平安時代ごろから認識されていました。まずは関西の定義から見ていきましょう。

関西の定義

「関西」はもともと、関東との対比として使われるようになった言葉で、文字通り「ある関所よりも西側の地域」を指すのが関西、「ある関所よりも東側の地域」を指すのが関東です。ここで基準となる重要な「関所」ですが、統一されているわけではなく3通りの説があります。

・近江逢坂(おおさか)の関:現在の滋賀県
・伊勢鈴鹿の関、美濃不破(ふわ)の関、越前愛発(あちら)の関:現在の三重県、岐阜県、福井県
・箱根の関:現在の神奈川県

以上のように、関西と関東を分ける境界線となる関所の位置が統一されていないため、関西に含まれる地域についても様々な考え方があります。

\次のページで「関西の範囲」を解説!/

関西の範囲

前章で見てきた通り、関西はどの関を境界にするかによって範囲が変わってしまいます。しかし現在では、近江逢坂の関を境界線とし、大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県の2府4県が関西と考えるのが一般的です。

ただし、広域の天気予報や財団などではここに三重県・福井県・鳥取県・島根県を加えて関西と呼ぶこともあり、現代でも境界があいまいなこともあります。

関西が使われる場面

関西は、関東との対比で使われることが多いです。また地域を指す言葉としてだけではなく、その地域の人や文化を指す言葉としても使われます。例えば、「関西人」や「関西弁」「関西風〇〇」などがこの使い方です。民間の企業や会社名、商標などにも「関西」が好んでよく使われます。

近畿ってどこのこと?

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近畿とは、明治時代から使われいてる言葉で、文字通り「畿内に近い」地域という意味を持ちます。現在では畿内があまり一般的に使われることがないため、「西」という漢字が入っている関西よりも、どの地域を指すのかあいまいな人も多いのでしょうか。では、近畿の定義から見ていきましょう。

近畿の定義

近畿は、明治36年に定められた国定教科書で初めて使われた言葉です。この教科書で近畿地方は、天皇直轄の地である畿内と、その近隣の地域を指す言葉として記されました。ここで、畿内とその近隣地域とはどこなのか確認しておきましょう。

畿内
・山城(現在の京都府)
・大和(現在の奈良県)
・河内、和泉(現在の大阪府)
・摂津(現在の大阪府と兵庫県)
その近隣地域
・丹波(現在の京都府と兵庫県)
・播磨(現在の兵庫県)
・近江(現在の滋賀県)
・伊賀、伊勢、紀伊(現在の三重県)

\次のページで「近畿の範囲」を解説!/

近畿の範囲

前章で見てきた通り、近畿とは畿内とその近隣地域を指します。つまり、近畿は現在の大阪府・京都府・滋賀県・兵庫県・奈良県・和歌山県・三重県の2府5県と考えるのが一般的です。現在使われている教科書も、最初に定められたものにならって近畿地方を記しているので、学校教育の影響で多くの人が近畿はこの2府5県だと認識しています。

ただし、1963年に定められた「近畿圏整備法」では福井県を含めた2府6県が近畿と定められていたり、1966年に定められた「中部圏開発整備法」では三重県が中部に含まれていたり、気象庁の気象状況では三重県が東海に含まれていたりと、近畿の範囲についてもさまざまな考え方があるようです。

近畿が使われる場面

「関西」が民間の企業などで好まれて使われている一方で、「近畿」は国の機関など公的な組織が地域分類するときに使われることが多いです。ただし、前章でふれたように各省庁によって近畿に含まれる都道府県が微妙に変わることがあります。また、民間でも私鉄会社や私立大学の名前としても使われていますが、やはり関西の方が一般的なようです。

西日本とは何が違うの?

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関西や近畿と同じように、「西日本」という地域区分を聞くことも多いですよね。この西日本は、「近畿地方(京都府・大阪府・兵庫県・奈良県・滋賀県・和歌山県・三重県)、中国地方(岡山県・広島県・山口県・鳥取県・島根県)、四国地方(徳島県・香川県・愛媛県・高知県)、九州地方(福岡県・大分県・佐賀県・長崎県・熊本県・宮崎県・鹿児島県)」の4つの地域を合わせた範囲を指すのが一般的です。

ただし、他にも東海地方と北陸地方を合わせて西日本としている企業もあります。西日本は関西や近畿と比べてより広い範囲を含んでいることは確かですが、その範囲はさまざまな考え方があるようです。

関西と近畿を正しく使い分けよう!

この記事では、関西と近畿の違いについて見てきました。関西は一般的に大阪府・京都府・兵庫県・滋賀県・奈良県・和歌山県の2府4県、近畿は一般的に大阪府・京都府・滋賀県・兵庫県・奈良県・和歌山県・三重県の2府5県のことであることが分かりましたね。またこのふたつには、関西が民間企業などで多く使われることに対して近畿は公的な機関で多く使われることや、関西が平安時代から認識されており近畿は明治時代に作られたことなど、範囲以外にも違いがあることを見てきました。ふたつの地域の違いを理解して、正しく使い分けていきましょう!

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雑学

簡単でわかりやすい!関西と近畿の違いとは?範囲や使い分けも近畿出身ライターが詳しく解説!

この記事では関西と近畿の違いについてみていきます。関西と近畿は、含まれている都道府県が一部かぶっていることもあって混同しやすい言葉ですね。実際に、その大きな違いは含まれる範囲なのですが、それぞれ使い始められた時期や使われる場面などにも違いがあるみたいです。今回はそんな日本の地域を指すふたつの言葉の違いを、近畿地方出身の元教員ライター、ことはと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/ことは

元教員ライター。小・中・高の国語科教員免許を持つ。幼いころから知的好奇心が旺盛でさまざまなことに興味を持っては調べてきた。今回は自分の出身地でもある近畿と関西について、これまで疑問に思っていたことを活かして解説していく。

関西と近畿の違いとは?

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日本には北陸地方や中国地方などさまざまな地域区分があります。その中でも京都や大阪近辺を関西や近畿と呼ぶことがありますが、ふたつの何が違うのか、明確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。

大まかなイメージで何となく西の方、とあいまいに認識しがちですが、関西と近畿の違いは含まれる都道府県の違いなんです。さらに、どういう場面で使われるのかにも違いがあるので、その点も含めてふたつの違いを見ていきましょう。

関西ってどこのこと?

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関西というと大阪や京都を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。関西弁や関西人という言葉も連想されるかもしれませんね。実はこの関西という概念の歴史は古く、平安時代ごろから認識されていました。まずは関西の定義から見ていきましょう。

関西の定義

「関西」はもともと、関東との対比として使われるようになった言葉で、文字通り「ある関所よりも西側の地域」を指すのが関西、「ある関所よりも東側の地域」を指すのが関東です。ここで基準となる重要な「関所」ですが、統一されているわけではなく3通りの説があります。

・近江逢坂(おおさか)の関:現在の滋賀県
・伊勢鈴鹿の関、美濃不破(ふわ)の関、越前愛発(あちら)の関:現在の三重県、岐阜県、福井県
・箱根の関:現在の神奈川県

以上のように、関西と関東を分ける境界線となる関所の位置が統一されていないため、関西に含まれる地域についても様々な考え方があります。

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