ニュースなどで「〇〇省」や「〇〇庁」という言葉をよく耳にするよな。
しかしこの「省」と「庁」って、いったい何が違っているかわからない人も多いんじゃないか。
今回は「省」と「庁」の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

省と庁の違い

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テレビや新聞、ネットなどのニュースでよく見かける言葉「省」と「庁」。日本の行政機関であることはなんとなくわかりますよね。しかし具体的に両者の違いを答えられる人は少ないのはないでしょうか。ここでは「省」と「庁」の違いについて解説していきます。

省:行政における最大の包括的単位

「省」とは行政における最大の包括的単位です。最大の包括的単位というと難しく聞こえますが、つまりは日本中の行政をまとめて管理するところ、一番偉いところという意味。行政の業務は省ごとに配分されています。例えば農林水産省であれば農業、林業、水産業について、47都道府県を包括した管理をしているんですね。「省」の長官は必ず国務大臣を任命しなければなりません。

庁:府や省の外局

「庁」は「府」や「省」の外局です。「府」は行政の最上位機関で、日本では内閣府のみが該当します。外局とは外部の事務局という意味で、常設の必要はありません。つまり「庁」は内閣府や各省とは個別に設置される行政機関です。「庁」の長官は「省」と異なり、国務大臣以外も任命することができます。「庁」は外局という立場上、「府」や「省」の下位の機関です。

省の外局として庁を設置する理由

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「省」と「庁」の違いについてはおわかりいただけだと思います。ここで気になるのは、なぜ「省」の外局として「庁」を設置するかですよね。「省」の業務範囲であれば、「省」内で処理してもよさそうなものです。ここでは「省」の外局として「庁」を置く理由を解説していきます。

\次のページで「省の内局では処理しきれない業務量だから」を解説!/

省の内局では処理しきれない業務量だから

理由の1つ目は、「省」の内局では処理しきれない業務を「庁」に委任したいからということ。内局とは内部の事務局で、外局の対義語にあたります。

例えば復興業務については業務範囲が広い上に膨大なため、どこか1つの省に一任するには過負荷すぎますし、業務を細分化すると煩雑になってしまうのが現実です。復興業務自体は総務省、厚生労働省、経済産業省、農林水産省、国土交通省、環境省といった、複数の「省」に該当してしまいます。これらを一任して処理する外局として復興庁が設立されました。

省の本体業務とするには特殊で専門的だから

理由の2つ目は、「省」の本体業務とするには特殊で専門的な業務を「庁」に委任したいからということ。例えばデジタル庁であれば職員自身にITに関する素養が求められますし、有識者会議など専門家の意見を聞く場所も必要です。これらを各省内に構えるのは過負荷かつ、体系だった対応ができません。

またこども家庭庁というものも、こどもや家庭の問題を重点的に取り扱う「庁」です。少子化問題や待機児童問題など、こどもや家庭に関わる問題は数多くあります。文部科学省や厚生労働省がこれらの問題を集中して管理するというのが難しいために設置されたのです。

庁の設立の仕方

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前節で「庁」が「省」の外局として設立される理由については解説しました。では「庁」はどのような流れを経て設立されるのでしょうか。ここでは「庁」の設立の仕方について解説していきます。

庁の設立に厳密な定義はない

実は「庁」の設立に厳密な定義はありません。「政策の実施に関する機能を果たすため」という原則に沿っていれば設立することができます。基本的には内閣府より国会に提出後、国会で可決されれば承認となるのが通例です。

内閣府にも設置できる

先述の通り、「庁」を外局として設置できるのは「省」だけでははありません。内閣府が業務を配分する目的でも「庁」は設置されます。具体的には宮内庁、警察庁、金融庁、消費者庁です。ニュースなどで内閣府の閣議決定により、金融庁が金融政策を執り行うことなどが報じられますよね。

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省は行政の最大包括単位、庁は外局

ここまで「省」と「庁」の違い、「省」の外局として「庁」を設置する理由、そして「庁」の設立の仕方についてか解説してきました。国の行政機関の構造について、だいぶイメージが固まったのではないでしょうか。

時の政権によって「省」と「庁」は統廃合されたり新設されたりしています。これらの行政機関再編は私たちのニーズ、より大袈裟に言えば時代の要求に応えるためのものです。今後はニュースなどで「省」や「庁」に関する報道を目にした際は、いったいどのような業務を行っているのか注目して見るとおもしろいですよ。

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社会雑学

3分で簡単にわかる省と庁の違い!どちらが上なの?業務内容も雑学好きライターがわかりやすく解説

ニュースなどで「〇〇省」や「〇〇庁」という言葉をよく耳にするよな。
しかしこの「省」と「庁」って、いったい何が違っているかわからない人も多いんじゃないか。
今回は「省」と「庁」の違いについて、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

省と庁の違い

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テレビや新聞、ネットなどのニュースでよく見かける言葉「省」と「庁」。日本の行政機関であることはなんとなくわかりますよね。しかし具体的に両者の違いを答えられる人は少ないのはないでしょうか。ここでは「省」と「庁」の違いについて解説していきます。

省:行政における最大の包括的単位

「省」とは行政における最大の包括的単位です。最大の包括的単位というと難しく聞こえますが、つまりは日本中の行政をまとめて管理するところ、一番偉いところという意味。行政の業務は省ごとに配分されています。例えば農林水産省であれば農業、林業、水産業について、47都道府県を包括した管理をしているんですね。「省」の長官は必ず国務大臣を任命しなければなりません。

庁:府や省の外局

「庁」は「府」や「省」の外局です。「府」は行政の最上位機関で、日本では内閣府のみが該当します。外局とは外部の事務局という意味で、常設の必要はありません。つまり「庁」は内閣府や各省とは個別に設置される行政機関です。「庁」の長官は「省」と異なり、国務大臣以外も任命することができます。「庁」は外局という立場上、「府」や「省」の下位の機関です。

省の外局として庁を設置する理由

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「省」と「庁」の違いについてはおわかりいただけだと思います。ここで気になるのは、なぜ「省」の外局として「庁」を設置するかですよね。「省」の業務範囲であれば、「省」内で処理してもよさそうなものです。ここでは「省」の外局として「庁」を置く理由を解説していきます。

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