LinuxなどではWindowsとアプリのインストール方法が違うそうです。そのために使うのがyumやrpmです。ですが、なぜ2つもあるのでしょうか。そもそもこれらは何をしてくれるんでしょう。その肝がパッケージらしいのです。パッケージとは何かやyumとrpmの違いをUNIX系OSの経験も長いプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。LinuxなどのUNIX系OSの経験も長い。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

アプリのオンラインストア?パッケージ管理システムとは

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Windowsやスマホでアプリをインストールしたことはありますよね。ストアでアプリを探して購入ボタンを押すインストールできます。Windowsの場合はWebサイトからダウンロードしてインストールすることも可能です。では、Linuxなどではどうでしょう。

LinuxなどのUNIX系OSでも、そのアプリのWebサイトからダウンロードしてインストールすることも可能です。でも、多くの場合はパッケージ管理システムを使います。そのパッケージ管理システムがyumやrpmです。ざっくり言えばrpmを使いやすく便利にしたのがyum。それではパッケージ管理システムとyumやrpmについて解説していきます。

rpm:基本的なパッケージ管理システム

パッケージ管理システムについては後で説明するので、まずはアプリのインストールを簡単にしてくれるものと思ってください。

UNIX系OSのひとつであるLinuxの中でもRedHat Enterprise LinuxやCentOSなどをRedHat系Linuxと呼びます。このRedHat系で使うパッケージ管理システムがrpmです。「RPM Package Manager」の略でRPMですが、以前は「Red Hat Package Manager」の略。RedHat系以外でも使われるようになったので、名前が変わったのです。

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rpmを便利にするメタパッケージ管理システム

rpmはパッケージ管理システムですが、その登場は1997年。かなり古いものなので機能も最低限のものしかありません。そこで、rpmを使いやすくしたのがyumです。パッケージ管理システムのさらに上位のものということでメタパッケージ管理システムと呼ぶこともあります。

「メタ」とは「高次の」という意味。上位存在のような意味付けでも使います。例えばアニメやマンガの登場人物が、本来は知らないであろう設定に関する話をすることを指すのがメタ発言。パッケージ管理システムであるrpmのさらに上位にあって便利な機能を提供するので、メタパッケージ管理システムと呼ぶわけです。

WindowsとLinuxのインストール事情の違い

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Windowsでアプリをインストールする場合を考えて見ましょう。多くの場合はWebサイトからダウンロードしたり、CDやDVDなどに入っているインストーラーを使います。エクスプローラーなどからインストーラーをダブルクリックしてインストールしますよね。スマホの場合もアプリストアなどでアプリを探してインストールボタンを押します。

Linuxの場合は呪文のようなコマンドを使ってアプリのインストールをすることが多いです。そのインストールするものをパッケージ、パッケージを管理するものがパッケージ管理システムになります。

パッケージって何?LinuxなどUNIX系で主流

さてパッケージとはなんでしょう。Windowsで言えばインストーラーにあたるものです。ただ、インストーラーとの違いが一点。インストーラーはエクスプローラーでダブルクリックすればそのまま動きますよね。しかし、パッケージは単体では動きません

パッケージの中にはインストールするアプリ本体の他にも色々入っています。例えば、そのアプリを動かすための設定をするもの、インストールに必要なものなどです。ただ、そのパッケージの中身を読んで理解して必要なことをしてくれるものは別物。それがパッケージ管理システムです。つまり、インストーラーは単独で動きますが、パッケージはパッケージ管理システムとセットで動きます。

使うと便利!パッケージ管理システム

Windowsでアプリをインストールする場合に別のアプリやDLLなどをインストールするように、と言われたことがありませんか。Linuxのパッケージ管理システムでも同様。何を使うかにもよりますが、中には自動で必要なものをインストールしてくれるものもあります

Windowsならマウス操作だけで、スマホでもタッチ操作だけでインストールできますよね。それに比べるとLinuxは呪文のようなコマンドを入力しなければいけないので面倒な部分も。ただし、コマンドを打てばあとは勝手にやってくれるという便利な機能もあります。

何が違う?rpmとyumの相違点

最初に説明した通り、rpmに便利な機能を追加したのがyumです。細かい違いは次で詳しく説明します。どちらにしてもパッケージとして使うのはrpmです。yumの中にrpmが含まれています。そのためrpmでできることはyumでも可能です。yumは使いやすい便利な機能が用意されているので、ほとんどのことはyumを使うようにしましょう

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何が便利?yumを使う理由

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rpmよりもyumを使ったほうがよいと説明しましたが、その理由を説明していきます。元々、rpmを使いやすくするためのメタパッケージ管理システムがyumですので、yumが便利なのは当たり前。では、具体的にどんなところが便利なのでしょう。

その1:必要なものは全て揃えてくれる

一番便利なのはインストールしたいアプリに必要なものをすべて揃えてくれるところ。アプリによっては、他のアプリや便利な部品が必要なこともあります。それが「依存性」です。rpmも依存性を確認して、必要なものが不足していると警告してくれます。

しかし、yumは一歩進んで、不足しているものを自動的にインストールしてくれるのです。欲しいアプリのインストールするためのコマンドを打てば、あとは自動で全部やってくれます。これは便利ですよね。

その2:自動的に最新版にアップデート

インストールしたアプリがいつの間にかアップデートしていることもあります。そのような場合は「yum update」。このコマンドを打てば、今インストールされているアプリの情報を確認して、自動的にアップデートしてくれます。

また「yum upgrade」というコマンドでは、アップデートした上で不要になったものがあれば自動で削除。常に必要なものだけが揃っているようにします。不要なものが残っているとそれが影響してしまうことも。常に整理整頓しておきたいですよね。

その3:どんなものがあるかを探すリポジトリ

rpmではパッケージは自分でダウンロードしてくる必要があります。新しいものがあるかも自分で確認必要ならば取ってくるという使い方です。

yumではさまざまなアプリの情報をネット上でまとめて管理しています。それが「リポジトリ」です。英語で保管庫を意味します。アプリを保管しておく場所ですね。リポジトリにパッケージの情報が集められているため、インストールしたいアプリ名を指定するだけで、ダウンロードからインストールまでを自動実行します。また、検索コマンドを使えば目的のアプリがあるかどうかや、最新バージョンなどを確認可能です。スマホで言えばアプリストアですね。

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基本的にはyumだけでOK、どうしてもという場合にrpmも

rpmもyumのパッケージ管理システムと呼ばれています。Linuxでアプリをインストールするときに使うものです。単純にアプリをインストールするだけでなく、そのアプリに必要な他のアプリや部品があれば、それを教えてくれます。rpmは古いもので低機能ですが、それを補うのがyumです。yumを使えばダウンロードやアップデートもコマンドだけで自動。とても便利です。rpmを便利に使うものがyumなので、基本はyumだけでOK

そんなyumも実は世代交代が始まっています。それはyumはPython2を使っているため。今、Python3への置き換わりが進んでいます。最近のLinuxではPython3で動くパッケージ管理システムが必要なのです。それがDNF(Dandified YUM)。yumの欠点も解消されているので、これから使い始める場合はDNFを使いましょう。

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IT・プログラミング雑学

簡単でわかりやすい!yumとrpmの違いとは?パッケージって何?仕組みからプログラマーがわかりやすく解説

LinuxなどではWindowsとアプリのインストール方法が違うそうです。そのために使うのがyumやrpmです。ですが、なぜ2つもあるのでしょうか。そもそもこれらは何をしてくれるんでしょう。その肝がパッケージらしいのです。パッケージとは何かやyumとrpmの違いをUNIX系OSの経験も長いプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。LinuxなどのUNIX系OSの経験も長い。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

アプリのオンラインストア?パッケージ管理システムとは

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Windowsやスマホでアプリをインストールしたことはありますよね。ストアでアプリを探して購入ボタンを押すインストールできます。Windowsの場合はWebサイトからダウンロードしてインストールすることも可能です。では、Linuxなどではどうでしょう。

LinuxなどのUNIX系OSでも、そのアプリのWebサイトからダウンロードしてインストールすることも可能です。でも、多くの場合はパッケージ管理システムを使います。そのパッケージ管理システムがyumやrpmです。ざっくり言えばrpmを使いやすく便利にしたのがyum。それではパッケージ管理システムとyumやrpmについて解説していきます。

rpm:基本的なパッケージ管理システム

パッケージ管理システムについては後で説明するので、まずはアプリのインストールを簡単にしてくれるものと思ってください。

UNIX系OSのひとつであるLinuxの中でもRedHat Enterprise LinuxやCentOSなどをRedHat系Linuxと呼びます。このRedHat系で使うパッケージ管理システムがrpmです。「RPM Package Manager」の略でRPMですが、以前は「Red Hat Package Manager」の略。RedHat系以外でも使われるようになったので、名前が変わったのです。

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