カレーとは何か、知らない日本人はいないほど有名な食べ物です。しかし、本場といわれるインドやネパールのカレーについて説明できるでしょうか?今回はネパールカレーとインドカレーの違いについて、さらにスリランカやタイカレーの特徴もあわせて、各国を食べ歩いてきた元添乗員のライター如月(きさらぎ)と紹介していきます。

ライター/如月(きさらぎ)

「見たい」「知りたい」「食べたい」の好奇心を胸に世界中を旅してきた元添乗員の食いしん坊ライター。

ネパールカレーとインドカレーのざっくりとした違い

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ネパールカレーは、あっさりとした辛さの定食スタイル、インドカレーはスパイスをふんだんに使用した複雑で濃厚なカレーです。どちらも小麦粉を使用しないので、日本のカレーよりもとろみが少なく、サラサラしているのが特徴。

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ネパールカレーとインドカレーの違いを詳しく解説

日本のカレーライスは一品料理ですが、ネパールやインドのスパイスカレーは、おかずの一種。では、それぞれのカレーの特徴や違いについて詳しく解説していきましょう。

違いその1.主食

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ネパールでは、「ダルバート」というワンプレート定食が基本。「ダル」とは豆のスープ、「バート」とは炊いたお米の事。このスープはあっさりした豆カレーや塩味の事が多いです。

おかずにあたるのが「タルカリ」で、野菜(と時々肉)のスパイス煮込み。肉じゃが風や、スープ状のものなどいろいろ。本来はこれがカレーにあたり、これと「アチャール」(野菜の酢の物のようなもの)の4点が基本で、さらに「サーグ」(青菜)、野菜、「マス」(肉、魚)などの副菜がついたりします。

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インドでは、北と南で主食が違います。北は「チャパティ」などの丸くて平たいパン、南は米が多め。「チャパティ」とは、全粒粉に塩と水を加えて混ぜ、フライパンで焼いたもの。米は細くてパラパラしたバスマティライス(インディカ米)で、白米や「ビリヤニ」(スパイスと肉の炊き込みご飯)にします。

カレーには「ナン」のイメージがありますが、実はあまり食べません。「ナン」は小麦粉を使用し、大きな窯も必要な高級品なのです。日本では小麦粉の方が安く、なじみもあり、日本人好みだったので「ナン」を採用。大きな「ナン」は見た目のインパクトもあり、人気になりました。

違いその2.味つけ・食材

ネパールは、インドと中国の食文化をミックスしており、スパイス控えめで素材の持ち味を生かしたシンプルなものが多いです。インドカレーと比べると油も少なくさっぱりしており、マイルド。

寒い地方なので、体を温める効果のあるニンニクや生姜を多用します。ネパールっぽい味の決め手はネパール山椒(ティンブール)、フェネグリーク(メティ)、ジンブール(乾燥させたネギ科の植物)。豆カレーのように、サラサラしたスープ状のものが多く、野菜も一緒にとるのでヘルシー。基本の豆カレーはトマト、ニンニク、玉ねぎと少量のスパイスなどで味をととのえます。

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ホールスパイスを油で炒めて香りを出す作業を「テンパリング」と呼びます。(粉状のスパイスには行いません。)ネパールでは、スパイスは焦げる寸前まで焦がすのがポイント。インドでは、焦がさないようにしっかり火をいれます。

インドカレーは、何十種類ものスパイスを使用。ターメリック、コリアンダー、クミンの基本3種にガラムマサラ(カルダモン、シナモン、クローブなどを調合したミックススパイス)がポイント。その他ベイリーフ、チリなどもよく使います。素材の水分が飛ぶまでしっかり炒め、バターや油などもたくさん使用するため、濃厚で複雑な風味。

北の方は肉類が多く、しっかりした濃い味付けの激辛系。バターやヨーグルトなどの乳製品もよく使います。日本人がイメージするスパイスカレーは、この北インド風のものに近いかもしれません。南の方は魚介類や野菜をよく使用し、ややマイルド。米と混ぜやすいようにサラッとしたものが多いです。

違いその3.食べ方とマナー

ネパールは「必ず右手で食べる事!左手は使わない」「人が手をつけたものは食べない」あとは、基本自由に食べてOK。

まずは、ひとつひとつの味を確認したら、ご飯の上に全てかけて、豪快によく混ぜましょう。手のひら全部利用しても大丈夫。一口大にまとめたら指ですくって、親指で口の中に押し出すようにして食べます。手が汚れるので、食事の途中は肘をついて休憩。手のひらを軽くすぼめて上に向けておきましょう。お皿は最後まできれいに拭って食べている人が多い印象です。

なんと、ダルバートは肉以外すべておかわり自由!わんこそばスタイルでどんどん追加できます。レストランなど、スプーンがあればもちろん使っても大丈夫。でも、手の方がしっかり混ざって美味しいのだとか。

一方、インドでは食べるときは必ず右手、ただし、取り分けは左手を使います。使うのは指の第二関節くらいまで。親指、人差し指、中指を使ってなるべく手を汚さずにひと口大にして口に運びます。食事中は肘から上をテーブルの上に全て出しておくこと。

ナンは細い方からひと口分ずつちぎって食べます。この時もできるだけ右手で。右手の薬指と小指でナンを押さえて、親指、人差し指、中指でつかんで引きちぎるようにするのがコツ。ちぎったナンを二つ折にしてカレーをすくって食べます。

ヨーグルトがついてくる場合は、これもカレーに混ぜるもの。デザートではないのです。

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その他のカレーとの違いは?

ここでは、その他のスパイスカレー代表としてスリランカカレーとタイカレーについて紹介します。

1.スリランカカレー:シンプルで素材感を活かした辛いカレー

「辛さ」=「旨さ」の価値観があり、とにかく辛め。他のスパイスカレーと違い、軽く炒めたら素材感を残したまま煮込みます。「トゥナパパ」というミックススパイス(コリアンダー、クミン、フェンネルの3つに他数種のスパイスをアレンジして調合)を使用。小麦粉や油を使わないあっさり系で、カレーリーフやココナッツを多用し、汁気は少なめ

パリップ(レンズ豆カレー)や、チキン、イワシなどのカレー数種をバスマティライスにかけて手で混ぜて食べます。その他、「ココナッツロティ」(無発酵の平たいココナッツパン)や、「インディアッパ」(米の麺を円盤状にして蒸したもの)にカレーをつけて食べるのも定番。

2.タイカレー:カラフルで具たくさんなスープカレー

正式名称は「ゲーン」。肉や魚介類、野菜、キノコなど具たくさんで、サラッとしたスープ状のカレーグリーン、レッド、イエローなど美しい色合いで有名です。(一番辛いグリーンカレーは青唐辛子、レッドは熟した赤唐辛子、イエローはターメリックの色)

唐辛子で辛味、ココナツミルクで甘味、タマリンドで酸味を出します。辛さと酸味、濃厚かつマイルドな甘さが特徴。別皿のカレーをスプーンですくって、ご飯にかけて食べます。麵と合わせることもあり。(ちなみに、トムヤンクンなどのスープもこの食べ方です)

さまざまな国のカレーを楽しもう!

同じカレーといっても、国や地域によって実にさまざま。日本のカレーライスと、ネパール、インド、スリランカ、タイのようなスパイスカレーは、全く別の食べ物と言えます。カレーは知れば知るほどとても奥の深いもの。いろいろ試して自分好みのカレーを探してみてくださいね!

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3分で簡単にわかる!ネパールカレーとインドカレーの違いとは? スリランカ、タイカレーとの違いも元添乗員がわかりやすく解説

カレーとは何か、知らない日本人はいないほど有名な食べ物です。しかし、本場といわれるインドやネパールのカレーについて説明できるでしょうか?今回はネパールカレーとインドカレーの違いについて、さらにスリランカやタイカレーの特徴もあわせて、各国を食べ歩いてきた元添乗員のライター如月(きさらぎ)と紹介していきます。

ライター/如月(きさらぎ)

「見たい」「知りたい」「食べたい」の好奇心を胸に世界中を旅してきた元添乗員の食いしん坊ライター。

ネパールカレーとインドカレーのざっくりとした違い

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ネパールカレーは、あっさりとした辛さの定食スタイル、インドカレーはスパイスをふんだんに使用した複雑で濃厚なカレーです。どちらも小麦粉を使用しないので、日本のカレーよりもとろみが少なく、サラサラしているのが特徴。

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