その中でよく聞くのが「情報科学」と「情報工学」ですが、両者はとても似た響きを持つ言葉です。
今回は「情報科学」と「情報工学」の違いについて、現役システムエンジニアのおおつけと一緒に解説していきます。
ライター/おおつけ
現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。
情報科学と情報工学の違い
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IT社会の到来とともに、ITに素養のある人材はますます求められています。そのようなIT人材が学習する課程としてよく挙げられるのが「情報科学」と「情報工学」です。この2つの違いを明確に答えられる人は少ないのではないでしょうか。ここではまず「情報科学」と「情報工学」の違いについて解説していきます。
厳密な違いはない
結論から言えば「情報科学」と「情報工学」に厳密な違いはありません。いずれもコンピューターによる情報処理を関する科学技術の一分野を指しています。両者を統合した意味合いで、「情報科学科」と「情報工学科」のいずれかしか課程のない教育機関もあるんですよ。
「私が卒業した学校では学科が異なっており、両者の間にはカリキュラムに大きな違いがあった」という人もいるかもしれません。しかし辞書的な意味で「情報科学」と「情報工学」を明確に定義しているものはありません。まだ歴史が浅い学問ということもあり、線引きは各教育機関に委ねられているというのが現状です。
学科を分けている教育機関もある
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「情報科学」と「情報工学」に厳密な違いはないと言いましたが、両者の学科を分けて設置している教育機関も存在するんです。ここではそれらの教育機関でだいたい共通している、おおまかな「情報科学科」と「情報工学科」の分け方を解説していきます。あくまで以下の解説はすべての教育機関に当てはまるものではないことを念頭に置いて読み進めてくださいね。
情報科学:技術の使い方を考える
「情報科学」はすでにある技術を使って、社会をより良くする手法を考えていくというニュアンスが強いです。もちろん「理学」と呼ばれる数学や物理学と言った学問や、「工学」と呼ばれる技術研究の学問も踏襲します。プログラミングについても、どの教育機関であってもほぼ必修と言えるでしょう。
しかし最終的には、それをもってどのようなシステムを作り社会に貢献していくかを考えていきます。社会学的な視点も持っている分野と言えるでしょう。
情報工学:新しい技術を生み出す
「情報工学」は既存の技術のメカニズムを研究し、新しい技術を生み出すためというニュアンスが強いです。凄腕プログラマーなどはこちらの出身が多く、簡単に言えば職人を養成する場所といったところでしょうか。「情報科学」が今ある技術をどう応用するかという立場なのに対して、「情報工学」は基礎研究、つまり「できることを増やす」ことに重きを置いています。
進路の選び方
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前節では「情報科学」と「情報工学」について、現代の日本でおおよそ用いられている分け方を紹介しました。ではそれらを踏まえて、大学や専門学校の進路はどのように選べばいいのでしょうか。ここでは「情報科学」と「情報工学」に関する進路の選び方を解説していきます。
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