この記事では、てんさい糖とは何なのかみていきます。てんさい糖とは、大根によく似た「てんさい」という植物からとれる砂糖のことなんです。砂糖大根と言われることもあるから聞いたことある人もいるんじゃないか。あまり知られていない砂糖ですが、実はいろいろな食品に使われているらしいのです。
今回はてんさい糖とはどういうものなのか基本をおさえつつ、栄養や特徴・効能についても管理栄養士のミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

給食施設で働く現役管理栄養士。おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。てんさい糖を利用したお菓子をよく食べている。

てんさい糖って何?

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てんさい糖とは砂糖の一種で、大根によく似ている「てんさい」という植物からとれるものです。漢字では「甜菜」と書きます。「てんさい」とはどのような植物なのかみてみましょう。

テンサイは、ヒユ科アカザ科フダンソウ属の二年生の植物。別名サトウダイコン(砂糖大根)ともいうが形が似ているだけで、アブラナ科のダイコンとは縁が遠い。

ビートの砂糖用品種群である。寒さに強く、寒冷地作物として中高緯度地域で栽培されている。サトウキビとならんで砂糖の主要原料であり、根を搾ってその汁を煮詰めると砂糖がとれる。 全世界の砂糖生産量のうち約35%を占める。

日本では、北海道を中心に栽培されている。テンサイから作られた砂糖は甜菜糖と呼ばれ、国内原料による日本の砂糖生産量の約75%、日本における砂糖消費量の25%を占める。

出典:Wikipedia「テンサイ」

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てんさい糖の栄養と効能

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てんさい糖は砂糖の一種ですので、強い甘みが特徴です。食べたことがない!という方も、料理やお菓子に使用されていることもあるので、意識せずとも口にしたことがあるでしょう。お菓子をよく買う私は、裏の成分表示で見かけることがあります。てんさい糖の栄養と効能をみていきましょう。

1.おなかの調子を整える「オリゴ糖」

てんさい糖には、糖質の1つであるオリゴ糖が含まれています。オリゴ糖は腸内環境を整えるビフィズス菌などが働く栄養源となる糖質ですので、腸の健康に欠かせない栄養です。便秘改善にも期待できます。

2.てんさい糖のカロリーは高くない!

砂糖の成分は、ほぼ炭水化物から成り立っています。したがって、他の食品と比べればカロリーは高くなりがちです。砂糖の種類によるカロリーの比較をみてみましょう。

・てんさい糖 357kcal
・黒砂糖 352kcal
・きび砂糖 396kcal

どの砂糖も原料となる植物から糖分を取り出しているので、砂糖の種類による大きなカロリーの差はありませんでした。砂糖類の取りすぎに注意は必要ですが、てんさい糖だから気を付けなければならないということはないので安心して使用してください。

3.「GI値」が低く血糖値の上昇が緩やか

てんさい糖はGI値が低めですので、糖尿病や血糖値を気にされる方におすすめの砂糖です。GIとは食品中の糖質がどの程度血液中に吸収されるのかを表すもので、数字で示されます。55以下は「低GI食品」、56~69は「中GI食品」、70以上は「高GI食品」です。

てんさい糖はGI値65ですので、中GI食品となっています。他の砂糖のGI値は、きび砂糖は100、黒砂糖99となっているので、てんさい糖は砂糖の中ではかなり低いことが分かりますね。血糖値に注意が必要な方で、砂糖を使いたいならてんさい糖がおすすめというわけです。

\次のページで「4.天然のミネラルも含まれる」を解説!/

4.天然のミネラルも含まれる

てんさい糖には、ミネラルやビタミンが含まれています。上白糖にはほとんど含まれていないカリウム・鉄・ナトリウムや、ビタミンA・ビタミンB₆も含んでいるのです。少量でも摂取したいビタミンやミネラルを含んでいるのは嬉しいですよね。

てんさい糖ってどれくらい甘いの?

てんさい糖は、白い砂糖の85%程の甘みをもつようです。上白糖やグラニュー糖に比べて甘さは少し控えめで優しい甘みが特徴となります。しかし、上白糖にはないコクがあるので大きな甘さの違いはないでしょう。

砂糖は、精製の方法や度合いなどよって分類されます。家庭で多く使用される上白糖は、きび砂糖やてんさい糖から作られたものです。つまり、「てんさい」から作られている砂糖には上白糖やグラニュー糖などもあります。しかし、てんさい糖とは茶色い砂糖のことを指すことがほとんどです。

ここでお伝えしている『てんさい糖』もブラウンシュガーの1つでもある、茶色い砂糖のこととなっています。

てんさい糖を食べるときの注意点

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他の砂糖と比べても優秀な特徴の多いてんさい糖ですが、もちろん摂取しすぎは禁物です。注意点をみていきましょう。

1.てんさい糖は1日にどれくらい摂取していいの?

WHO(世界保健機関)は「砂糖の摂取量を1日の総エネルギーの5%未満に抑えるべき」と提唱しています。25gの砂糖と聞くと結構少なく感じますよね。実際、日本人でこの基準をクリアしている人は少ないようです。5%とはだいたい25gで、てんさい糖も同じく25g未満の摂取が望ましいとされています。てんさい糖25gは小さじで8杯程度です。

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2.てんさい糖は赤ちゃんも食べられる

てんさい糖はボツリヌス菌を含んでいないので、赤ちゃんでも安心して食べることができます。ボツリヌス菌は土壌に多く存在して酸素を嫌い、通常の加熱では死滅しない熱に強い菌です。しかし、てんさい糖を作る過程で高温で長時間加熱されており、ボツリヌス菌を含んでいることはありません。

また、厚生労働省HPによると、国内で発症した乳児ボツリヌス症の原因は主にはちみつでまれに井戸水があるようです。黒糖やきび砂糖とボツリヌス菌の問題がネットでもよく取り上げられていますが、てんさい糖以外の砂糖類でも乳児ボツリヌス症の発症例はないので、そこまで神経質にならないで良いでしょう。

「てんさい糖は危険」はデマだった!

てんさい糖は危険な食品ではありません。摂取しすぎにさえ気を付ければ健康に良い食品です。てんさい糖は危険な砂糖、と言われることがありますが、その理由は残留農薬と遺伝子組み換えの問題にあります。

てんさいを害虫から守り商品の質や収穫量の為にも農薬は必要です。しかし、強い農薬や多量に使われていることはないので、あまり気にしなくても良いでしょう。また、虫が付かないように遺伝子組み換えをしたてんさいも存在します。ですが、日本では遺伝子組み換えの作物の栽培が禁止されているので、気になる方は国内産のてんさい糖を使用すれば安心できますよ。

栄養や効能の高いてんさい糖を使って健康に役立てよう!

ほうれんそうの仲間である「てんさい」からできた砂糖のことをてんさい糖といい、他の砂糖に比べても栄養や効能が高いことが分かりました。砂糖なのに血糖値の上昇が穏やかで、おなかにやさしいオリゴ糖や、ビタミンやミネラルも含んでいるのはとてもうれしい効能ですね。普段使用している砂糖をてんさい糖に置き換えるだけでも健康の手助けになります。食べすぎだけには気を付けて、てんさい糖で健康に役立ててみてほしいです。

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家庭科

簡単でわかりやすい!てんさい糖の栄養と効能とは?砂糖なのに血糖値の上昇が緩やか?管理栄養士が詳しく解説

この記事では、てんさい糖とは何なのかみていきます。てんさい糖とは、大根によく似た「てんさい」という植物からとれる砂糖のことなんです。砂糖大根と言われることもあるから聞いたことある人もいるんじゃないか。あまり知られていない砂糖ですが、実はいろいろな食品に使われているらしいのです。
今回はてんさい糖とはどういうものなのか基本をおさえつつ、栄養や特徴・効能についても管理栄養士のミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

給食施設で働く現役管理栄養士。おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。てんさい糖を利用したお菓子をよく食べている。

てんさい糖って何?

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てんさい糖とは砂糖の一種で、大根によく似ている「てんさい」という植物からとれるものです。漢字では「甜菜」と書きます。「てんさい」とはどのような植物なのかみてみましょう。

テンサイは、ヒユ科アカザ科フダンソウ属の二年生の植物。別名サトウダイコン(砂糖大根)ともいうが形が似ているだけで、アブラナ科のダイコンとは縁が遠い。

ビートの砂糖用品種群である。寒さに強く、寒冷地作物として中高緯度地域で栽培されている。サトウキビとならんで砂糖の主要原料であり、根を搾ってその汁を煮詰めると砂糖がとれる。 全世界の砂糖生産量のうち約35%を占める。

日本では、北海道を中心に栽培されている。テンサイから作られた砂糖は甜菜糖と呼ばれ、国内原料による日本の砂糖生産量の約75%、日本における砂糖消費量の25%を占める。

出典:Wikipedia「テンサイ」

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