独特な香りのするナンプラーは、魚醤であることは知っている人もいるんじゃないか。ですが、世界にはナンプラー以外の魚醤もたくさんあるんです。そんなナンプラーには、どんな特徴があるのか、ナンプラー以外の魚醤は何があるのか、栄養や効能についてもフードアナリストのコナパパと一緒に簡単にわかりやすく紹介していきます。

ライター/コナパパ

フードアナリスト兼、現役のコックで、さまざまな食材に対する知識がある。今回はタイ料理には欠かすことの出来ない調味料ナンプラーについて解説していく。

ナンプラーの特徴は?

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ナンプラーとは、エスニック料理には欠かすことの出来ないのタイの魚醤です。数あるタイ料理のメニューなかで、半分以上のレシピにナンプラーは使われているんですよ。ここでは、ナンプラーが何から出来ているのか、臭いや味について解説します。

ナンプラーは何から出来てる?

ナンプラーの主な原料はカタクチイワシです。原料の魚に対して30%〜50%の塩を合わせ、甕(かめ)と呼ばれるつぼや、タンクで発酵させ、1年から1年半ほどかけて熟成をさせ作られています。2年以上の期間をかけて作られるのは稀ですが、長い時間をかけると、コクや旨みが増し味が良くなるとされているんですよ。

ナンプラーは、タイで最も使われる調味料で、塩よりもナンプラー使って味付けをするのがタイでは一般的なんですよ。魚が原料なので、魚の栄養成分も豊富に含まれていて世界で最も有名な魚醤です。

ナンプラーはどんな匂い?

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ナンプラーは臭いとよくいわれますが、魚を発酵させて作られているので腐った魚やドッグフードの匂いと表現されます。独特の匂いなので、好きな人と苦手な人に大きく分かれる調味料です。タイに行くと、街中でもナンプラーをはじめとするタイ料理の調味料やパクチーなどの独特な臭いがするので、苦手な人は大変な思いをするかもしれませんね。

しかし、ナンプラーの生臭さは加熱することで多少抑えることができます。チャーハンの仕上げの香り付けに醤油の代わりに使うと、食欲をそそる香りが立つので個人的におすすめです。ほかにも、ハーブやスパイス、ニンニクをナンプラーに漬け込むと生臭さは軽減されます。

ナンプラーはどんな味?

ナンプラーの味は、日本の醤油と比べるとしょっぱく感じます。日本の醤油の塩分濃度が17%ほどに対し、ナンプラーは約23%と塩分濃度が高いのです。ただ、魚が原料であり、旨みも多く含んでいるので醤油ほどの量を使わなくても、料理が美味しくなります。

醤油の代用として味付けに使う場合は、入れすぎてしょっぱくならないように注意しましょう。

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ナンプラーに似た世界の調味料

世界で最も有名な魚醤はナンプラーですが、それ以外にも多くの魚醤があるのです。ここでは、タイ以外のアジアの魚醤、日本の三大魚醤、ナンプラーと原材料が一緒のアンチョビについてご紹介していきます。

1.アジアの魚醤

アジアには、ナンプラー以外に中国の魚露(イールー)などたくさんの魚醤があります。特に東南アジアでは、各国に一つずつと言ってよいほど多くの魚醤があるので名前を一覧にしてご紹介しますね。

東南アジアの国と魚醤の名前
ベトナム:ヌクマム
カンボジア:タクトレイ
インドネシア:ケチャップイカン
マレーシア:ブドゥ
フィリピン:パティス

各国によって言葉が違うので、魚醤の名前も変わりますが、東南アジアの国々にとって魚醤は欠かすことのできない調味料なんですよ。

2.カタクチイワシから作るアンチョビ

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イタリアでピザのトッピングやワインのおつまみに使われるアンチョビも、原料はカタクチイワシを塩漬けしたものです。ナンプラーはアンチョビと醤油を合わせた香りと表現されることもあります。アンチョビ以外にもイタリアでは、ガルムと呼ばれる魚醤もあるんですよ。

日本にも、和製のアンチョビとも呼ばれている新潟の「しょっからいわし」があります。名前のとおりイワシが原料で、イワシを塩漬けにして作られており、有名な料理ですと大根をしょっからいわしに漬けた「なまぐさこうこ」という漬物があるんですよ。

3.日本三大魚醤しょっつる、いしる、いかなごしょうゆ

日本にも魚醤が存在します。中でも、日本三大魚醤と呼ばれるものがあるのでご紹介しますね。

まず1つ目は、秋田の「しょっつる」です。しょっつるは、ハタハタという魚から作られる魚醤で、しょっつる鍋が有名なんですよ。ほかにはラーメンや秋田名物のきりたんぽ鍋の隠し味に使われています。

2つ目は、能登半島の「いしる」です。いしるはイワシやイカから作られる魚醤で、身の部分ではなく骨や内臓、頭など塩漬けして発酵させます。食材を無駄にしない生活の知恵から生まれた魚醤で、いしる鍋や貝焼きなどの郷土料理が有名です。

3つ目は香川の特産品、「いかなごしょうゆ」。いかなごしょうゆは、香川でいかなごという小魚が大量に水揚げされるため、長期保存を目的にいかなごしょうゆが誕生したといわれています。各地に行かれた際には、ぜひ魚醤を使った郷土料理を食べてみてくださいね。

魚醤は、あまり料理に使われていることは知られていませんが、旨味成分のグルタミン酸やイノシン酸が豊富に含まれているので、ラーメン、ガーリックシュリンプ、チャーハン、炒めものなどの隠し味としてもよく使われている調味料なんですよ。

ナンプラーの栄養や効能は?

ナンプラーは魚が原料なので、魚と同じ栄養素が多く含まれています。特によく原料として使われているカタクチイワシは魚の中でも栄養が豊富です。ここでは、ナンプラーにはどんな栄養や効能があるのかご紹介します。

1.中性脂肪を減らすDHAとEPA

青魚に多く含まれるDHAとEPAが、ナンプラーにも含まれています。DHAとはドコサヘキサエン酸、EPAはエイコサペンタエン酸のことで、ともに不飽和脂肪酸で中性脂肪を減らす働きがあるんですよ。2つの栄養素とも体内では作ることが出来ないので、青魚をはじめとした食べものから摂取する必要があるのです。

この他にも、コレステロールを抑える、学習機能の向上、アレルギーを抑える働きもあるんですよ。

\次のページで「2.認知症予防に効くタウリン」を解説!/

2.認知症予防に効くタウリン

タウリンは、有毒物質から脳を守り、アルツハイマー型認知症を予防、改善する効果があるといわれています。また、栄養ドリンクにもよく含まれていて、疲労回復効果があることでも有名です。効果は魚醤を使ったからといって、すぐに実感できるものではありませんが、継続的に魚醤を使うことで効果が期待できます。

3.体を丈夫にするビタミンD

ビタミンDは、脂溶性のビタミンで水に溶けにくく、油脂に溶けやすいといった特徴があります。ビタミンDは、体内で腸からカルシウムやリンの吸収を助ける働きをし、血液中のカルシウムの濃度が高まることで骨を丈夫にしてくれるのです。

また、体内にウイルスや細菌が侵入した際には免疫力を高めてくれます。このため、かぜやインフルエンザの予防にも効果があるんですよ。

ナンプラーを使ってタイ料理にチャレンジしよう

ナンプラーは、魚に含まれる栄養が豊富なんですね。ご家庭に一本あるだけで、人気のタイ料理であるカオマンガイが作れたり、サラダのドレッシングや青菜の炒めもの、オムレツなどに少し加えるだけでもエスニック風にアレンジすることが出できますよ。今までエスニック料理を作ったことがない人も、ぜひナンプラー購入して挑戦してみてくださいね。

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家庭科

ナンプラーはどんな調味料?特徴や栄養・効能についてもフードアナリストが簡単にわかりやすく解説

独特な香りのするナンプラーは、魚醤であることは知っている人もいるんじゃないか。ですが、世界にはナンプラー以外の魚醤もたくさんあるんです。そんなナンプラーには、どんな特徴があるのか、ナンプラー以外の魚醤は何があるのか、栄養や効能についてもフードアナリストのコナパパと一緒に簡単にわかりやすく紹介していきます。

ライター/コナパパ

フードアナリスト兼、現役のコックで、さまざまな食材に対する知識がある。今回はタイ料理には欠かすことの出来ない調味料ナンプラーについて解説していく。

ナンプラーの特徴は?

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ナンプラーとは、エスニック料理には欠かすことの出来ないのタイの魚醤です。数あるタイ料理のメニューなかで、半分以上のレシピにナンプラーは使われているんですよ。ここでは、ナンプラーが何から出来ているのか、臭いや味について解説します。

ナンプラーは何から出来てる?

ナンプラーの主な原料はカタクチイワシです。原料の魚に対して30%〜50%の塩を合わせ、甕(かめ)と呼ばれるつぼや、タンクで発酵させ、1年から1年半ほどかけて熟成をさせ作られています。2年以上の期間をかけて作られるのは稀ですが、長い時間をかけると、コクや旨みが増し味が良くなるとされているんですよ。

ナンプラーは、タイで最も使われる調味料で、塩よりもナンプラー使って味付けをするのがタイでは一般的なんですよ。魚が原料なので、魚の栄養成分も豊富に含まれていて世界で最も有名な魚醤です。

ナンプラーはどんな匂い?

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ナンプラーは臭いとよくいわれますが、魚を発酵させて作られているので腐った魚やドッグフードの匂いと表現されます。独特の匂いなので、好きな人と苦手な人に大きく分かれる調味料です。タイに行くと、街中でもナンプラーをはじめとするタイ料理の調味料やパクチーなどの独特な臭いがするので、苦手な人は大変な思いをするかもしれませんね。

しかし、ナンプラーの生臭さは加熱することで多少抑えることができます。チャーハンの仕上げの香り付けに醤油の代わりに使うと、食欲をそそる香りが立つので個人的におすすめです。ほかにも、ハーブやスパイス、ニンニクをナンプラーに漬け込むと生臭さは軽減されます。

ナンプラーはどんな味?

ナンプラーの味は、日本の醤油と比べるとしょっぱく感じます。日本の醤油の塩分濃度が17%ほどに対し、ナンプラーは約23%と塩分濃度が高いのです。ただ、魚が原料であり、旨みも多く含んでいるので醤油ほどの量を使わなくても、料理が美味しくなります。

醤油の代用として味付けに使う場合は、入れすぎてしょっぱくならないように注意しましょう。

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