パソコンにはメモリが必要ですね。足りなくなった場合に増設したり差し替えたりすることもある。そんな時に注意が必要なのがメモリの規格です。使っているパソコンによって使えるメモリも違うわけです。ですがそのメモリも低電圧と標準電圧があるそうです。電圧が違うのでしょうがどう違うのか、混在できるのかが気になるよな。そんなメモリの違いや豆知識を35年以上のパソコン経験を持つプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。パソコンも35年以上の経験をもつ。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

メモリの低電圧と標準電圧、何が違うの?

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パソコンもメモリが無ければただの箱。多くの場合は最初からついているので意識することはありませんね。でもメモリが足りないなと思うことも。パソコンによってメモリを増やすことや交換することができるものもあります。その時注意が必要なのはパソコンによって使えるメモリが決まっているということ。

そのいくつかある規格の中でもDDR3というものには低電圧と標準電圧の2種類あります。この違いはざっくり言えば動作する電圧の違い。その電圧はパソコンによって決まるので、同じDDR3メモリを使うものでもどちらを使うか注意する必要があります。

標準版(DDR3):1.5Vで動く

DDR3メモリの中でも最初に登場したのが標準電圧のもの。標準電圧は1.5Vになっています。元々は標準電圧しかありませんでした。後から低電圧が出てきたわけですね。

低電圧版(DDR3L):1.35Vで動く

後から出たのが低電圧のものです。DDR3と区別するため「DDR3L」と呼ばれています。その電圧は1.35V。DDR3の1.5Vよりも低い電圧だから低電圧というわけです。この両者は見た目の違いはありません。とても紛らわしいですね。しかし、どちらも同じように使うことができます。それが「互換性がある」ということです。

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原則として互換性はある、混在も可能だが注意も必要

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低電圧と標準の2種類がありますが混在はできるのでしょうか。標準電圧のDDR3と低電圧のDDR3Lは互換性があるので、どちらでも問題なく使うことは可能です。ただし、注意点も。パソコンではどちらを使うべきか、注意点は何かを説明していきます。

使っているパソコンにも標準電圧と低電圧がある

メモリに2種類あると説明しましたが、それを使うパソコンにも種類があります。そのため、組み合わせに注意が必要です。原則はDDR3とDDR3Lには互換性があるので、どちらでも使うことは可能。ただ、実際には問題が起きることもあるようです。安心して使いたい場合は組み合わせに気をつけましょう。また、片方だけでなくどちらも使えるパソコンもあります。それが一番安心ですよね。

パソコンの中でもノートパソコンで低電圧メモリを使うことが多いです。デスクトップパソコンでは標準電圧のメモリを使っています。ただし、一部の小型のデスクトップパソコンは中身がノートパソコンと同じ場合があるなど例外も。必ず使えるメモリがどちらなのかを確認しましょう。

低電圧対応のパソコンなら低電圧用メモリを使おう

使っているパソコンが低電圧メモリに対応している場合は低電圧用のメモリがおすすめです。規格上は互換性がありますし、使える場合もあります。しかしパソコンがちゃんと動かないと困りますよね。問題を避けるためにも、特別な理由がなければ低電圧用のメモリを使いましょう。

大は小を兼ねるではないですが、高い電圧で動くメモリなら低い電圧でも動くように考えてしまうかもしれません。でも、メモリの場合は逆になります。低電圧で動くものの方が優秀なものと考えてください。そのため、低電圧にしか対応していないパソコンでは、低電圧用のメモリを使います。

低電圧非対応のパソコンはどちらでも

主にデスクトップパソコンなどの低電圧のメモリに非対応のパソコンでは、標準電圧のメモリを使いましょう。ただ、低電圧のメモリでも問題なく動きます。

低い電圧用のメモリに高い電圧をかけたら壊れてしまうと思うかもしれません。でも、大丈夫。低電圧用のメモリは低電圧でも問題なく動くメモリであって、標準電圧でも普通に動くものだからです。低電圧用と言っていますが、実際には低電圧・標準電圧の両対応のメモリになります。

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混在は可能?問題ないことになっているがおすすめしません

では、同じパソコンで標準電圧のメモリと低電圧のメモリを混在するのはどうでしょう。これも規格上は互換性があるので問題ないとされています。ただ、同じ電圧のメモリでも異なるメーカーのメモリを使うと問題が起きることも。可能であればあまり混在しないことをおすすめします。

なぜ違う?メモリと電圧

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パソコンとメモリが標準電圧と低電圧のどちらを使うべきか説明してきましたが、そもそもなぜ2種類あるのでしょう。その理由も含めて、メモリの豆知識を最後に紹介します。

1.35Vだけではない?他の低電圧

低電圧のメモリは1.35Vで動くと説明しましたが、実は正確ではありません。低電圧のメモリはDDR3Lだけではないのです。DDR3Uはさらに低電圧の1.25Vで動きます。低電圧より低電圧なので超低電圧と呼ばれることも。ただ、あまり一般的ではありません。

さらにスマホ用にはLPDDR3というものがあり、これは1.2Vで動きます。細かい違いですよね。でも、スマホではこれも大きな違いになるのです。

どんどん下がるメモリの電圧

DDR3というメモリの規格は2007年に登場しました。その後、2014年にはDDR4という後継規格が登場し、2016年頃からは置き換わりが進んでいます。さらにDDR5という次の規格も登場。このそれぞれの電圧を見てみると、DDR3が1.5V、DDR3Lが1.35V、DDR4が1.2V、DDR5が1.1Vとなっています。どんどん電圧が下がっているのがわかりますよね。逆にDDR3の前のDDR2では1.8Vでした。

なぜ新しいものほど下がっているのでしょうか。そして、どんなメリットがあるのでしょう。

メリットは?エコな低電圧メモリ

なぜメモリの電圧は下がっているのでしょう。理由の一つは消費電力です。消費電力は電流×電圧ですよね。同じ電流でも電圧が下がれば消費電力が下がります。でも0.15Vの違いなんて大した差がないように思いますよね。ただ1.5Vが1.35Vになると消費電力が約20%減るのです。バッテリーで動くノートパソコンやスマホにとっては大きな違いになります。メモリはパソコンを使っているときは常に電力を消費し続けるので使える時間が変わってくるのです。

また、消費電力が小さいということは、それだけ発熱が少なくなります。今のパソコンやスマホは温度が上がると冷却のために性能を落とすことが多いです。そのため、温度は低いほうがよりパソコンやスマホの性能を活かすことができます。電圧が下がれば消費電力も減り、性能も活かせ、何よりエコなわけです。

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原則として互換性はあるが、対応品を使うのが安心

パソコンのメモリの低電圧と標準電圧は動作電圧の違いです。この電圧などを決めているのがDDR3というメモリの規格標準電圧がDDR3、低電圧がDDR3Lになります。両者は規格の上では互換性があり、混在も可能です。

ただ、実際には標準電圧のものは1.5Vでの確認しかしていないので、低電圧の1.35Vで動かない可能性もあります。そのため、標準電圧のパソコンには標準電圧のメモリ、低電圧のパソコンは低電圧のメモリを使うのがおすすめです。

" /> 簡単でわかりやすい!メモリの低電圧と標準電圧の違いとは?互換性や混在についてもプログラマーが詳しく解説 – Study-Z
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簡単でわかりやすい!メモリの低電圧と標準電圧の違いとは?互換性や混在についてもプログラマーが詳しく解説

パソコンにはメモリが必要ですね。足りなくなった場合に増設したり差し替えたりすることもある。そんな時に注意が必要なのがメモリの規格です。使っているパソコンによって使えるメモリも違うわけです。ですがそのメモリも低電圧と標準電圧があるそうです。電圧が違うのでしょうがどう違うのか、混在できるのかが気になるよな。そんなメモリの違いや豆知識を35年以上のパソコン経験を持つプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。パソコンも35年以上の経験をもつ。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

メモリの低電圧と標準電圧、何が違うの?

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パソコンもメモリが無ければただの箱。多くの場合は最初からついているので意識することはありませんね。でもメモリが足りないなと思うことも。パソコンによってメモリを増やすことや交換することができるものもあります。その時注意が必要なのはパソコンによって使えるメモリが決まっているということ。

そのいくつかある規格の中でもDDR3というものには低電圧と標準電圧の2種類あります。この違いはざっくり言えば動作する電圧の違い。その電圧はパソコンによって決まるので、同じDDR3メモリを使うものでもどちらを使うか注意する必要があります。

標準版(DDR3):1.5Vで動く

DDR3メモリの中でも最初に登場したのが標準電圧のもの。標準電圧は1.5Vになっています。元々は標準電圧しかありませんでした。後から低電圧が出てきたわけですね。

低電圧版(DDR3L):1.35Vで動く

後から出たのが低電圧のものです。DDR3と区別するため「DDR3L」と呼ばれています。その電圧は1.35V。DDR3の1.5Vよりも低い電圧だから低電圧というわけです。この両者は見た目の違いはありません。とても紛らわしいですね。しかし、どちらも同じように使うことができます。それが「互換性がある」ということです。

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