この記事では「真ホッケ(マホッケ)」と「縞ホッケ(シマホッケ)」の違いについてみていきます。ホッケといえば、酒のつまみや夕飯のおかずとして広く親しまれている人気の魚です。違いはずばり産地のようですが、調べてみると見た目や味にも違いがあるみたいです。今回はそんな「真ホッケ」と「縞ホッケ」の違いを、居酒屋では必ずホッケを注文するという、北海道在住ライターのaoと一緒に解説していきます。

ライター/ao

食事の時間が何より至福。料理も大好き。肉より魚派で、美味しい魚を求めて北海道に移住したライターが、わかりやすく解説する。

そもそもホッケってどんな魚?

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katorisi - 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

居酒屋や定食屋で目にすることの多い「ホッケ」。干物の「ホッケの開き」はスーパーでも一年中購入できる身近な魚の一つですが、一体どんな魚なのかご存じでしょうか?まずは「ホッケ」について詳しく見ていきましょう。

ホッケの生態

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コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、Haplochromisだと推定されます(著作権の主張に基づく) - コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、投稿者自身による著作物だと推定されます(著作権の主張に基づく), CC 表示-継承 2.5, リンクによる

学名は、Pleurogrammus azonus Jordan & Metz, 1913。日本付近では、茨城県、対馬海峡以北、黄海、ロシア沿海地方、オホーツク海、南樺太沿岸に分布し、特に北海道の積丹、礼文、羅臼は「ホッケ」の産地として知られています。水深100mほどの大陸棚に生息していますが、産卵期には水深 6〜30 m 前後の岩礁域の窪みなどに移動して卵を産むようです。

体形は紡錘形(ぼうすいけい)で、背側に茶褐色から黄褐色のまだら模様が見られ、腹側は黄白色。産卵期には、雄はコバルト色に鮮黄色の唐草模様、雌は暗褐色の地色に黄色い模様が現れます。寿命は8~9年といわれており、体長は50㎝ほどですが、開き干しの原料は体長30㎝前後のものが多いようです。

ホッケは出世魚だった!

「ホッケ」は成長に応じて名前が変わる出世魚です。

青ボッケ(アオボッケ)…4~16cmの幼魚期
ろうそくボッケ…18~22cmの若魚期
春ボッケ(ハルボッケ)…23~28cmで、3月から5月にかけて沿岸に寄るもの春に沿岸に集まるもの
根ボッケ(ネボッケ)、タラバボッケ…成長しても群れをつくらず回遊もせず、根魚のように一定の場所に定着した成魚

\次のページで「ホッケの刺身はないの?」を解説!/

ホッケの刺身はないの?

「ホッケ」といえば干物。そんなイメージをお持ちの方が多いかと思います。なぜスーパーで生のホッケを見かけないのでしょう。実は「ホッケ」には、かなりの確率でアニサキスとシュードテラノーバという寄生虫が寄生しているといわれています。

「ホッケ」は鮮度落ちが早い魚なので、アニサキスが内臓から身にすぐ移動してしまうのです。そしてこれらの寄生虫が生きたままヒトの体に入ってしまうと、食中毒を引き起こします。刺身やお寿司としては、非常に鮮度の良い「ホッケ」でしか、食べられないのです。

以前は築地にも干物しか入ってきませんでしたが、現在は冷凍技術・輸送技術の進歩により、生のホッケも入って来るようになり、北海道以外の地域でも食べられるようになってきました。

真ホッケと縞ホッケの違いは産地にあり

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本州のスーパーで売られている「ホッケ」の干物。「真ホッケ」と「縞ホッケ」がありますが、一体何が違うのでしょうか?この2つの違いを詳しく見ていきましょう。

真ホッケは北海道育ち

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まず「真ホッケ」についてですが、こちらは、北海道の「道北からオホーツク海方面」「羅臼を中心にした太平洋方面」「道南方本州に向いた方面」の3つに地域で獲れます。鮮度落ちが早い魚なので、干物以外が出回るのは主に北海道。北海道では「ホッケ」のフライやムニエル、煮付けが食卓に上るのも珍しくありません。

縞ホッケは基本的に輸入品

一方「縞ホッケ」は、より寒冷な水域を好む為、ロシアのオホーツク海やアラスカのベーリング海で多く漁獲されています。「縞ホッケ」と呼ばれていますが、標準和名は「キタノホッケ」です。日本でも水揚げされることがあるようですが、基本的には輸入品になります。

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見た目や味の違いは?

スーパーで売られている干物の表面を見ただけでは違いがよく分かりませんが、ひっくり返してみれば一目瞭然です。2つの魚が別の種類であることを確認していきましょう。

真ホッケは上品な味わい

「真ホッケ」は背の部分に灰色がかった茶褐色のまだら模様が入っており、「縞ホッケ」と比べると小ぶりです。そして淡白で上品な脂と、身が引き締まっていることによる味の濃さが特徴。「真ホッケ」のほとんどが、北海道内で消費されます。

縞ホッケはジューシーな味わい

一方で「縞ホッケ」は、体に黒の縞模様が入っており、大ぶりなものが多いです。油のノリが良く、ジューシーな味わいが魅力になります。

ホッケの栄養成分

干物なら一年中いつでも手にいれることができる「ホッケ」ですが、どのような栄養が含まれるかも知っておきたいですよね。次は「ホッケ」の栄養成分やその効能について解説していきます。

1.豊富なカルシウム

「ホッケ」には骨や歯を丈夫にするために必要な成分、カルシウムが豊富に含まれています。魚の中でもトップクラスで、サンマの2倍、アジの4倍にも相当するのです。カルシウムが不足すると骨や歯が弱くなり、骨粗しょう症になる恐れがあるほか、動脈硬化や高血圧の原因にもなります。

またカルシウムは便や尿と一緒に排泄されるため、コツコツ摂取したい成分ですから、美味しいホッケを食べることでカルシウム不足を補えるのは嬉しいですね。

2.ナイアシンで二日酔い対策

「ホッケ」にはナイアシンも多く含まれています。ナイアシンには三大栄養素をエネルギーに変える代謝を助ける補酵素の働きの他に、お酒を飲んだ時に発生し、二日酔いを引き起こす有害物質、アセトアルデビドを分解する補酵素として働いてくれるのです。美味しいつまみとして楽しめるだけでなく、二日酔いを防止できるとなると、居酒屋で注文せずにはいられませんね。

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3.血液サラサラ!DHA・EPA

「ホッケ」には、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(イコサペンタエン酸)も、多く含まれています。DHAは、健康維持や思考力、記憶力の維持など大切な役割を持っており、EPAには血液を健康に保ち、血栓をできにくくしたり、動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞を予防したりする効果があるとされている栄養素です。

美味しいホッケを選ぼう!

これまで「真ホッケ」「縞ホッケ」の違いを解説してきました。どちらにしても美味しいものを選びたいですよね。干物を購入する際は、身が厚くふっくらしていて、透明感があり、光りすぎない程度につやが乗っているものを選びましょう。ぱさぱさ感があるものや、水っぽくダレているものは避けましょう。「真ホッケ」と「縞ホッケ」それぞれの魅力があるので、ぜひ食べ比べてみてくださいね

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簡単でわかりやすい!真ホッケと縞ホッケの違いとは?産地や味・栄養価も北海道在住ライターが詳しく解説

この記事では「真ホッケ(マホッケ)」と「縞ホッケ(シマホッケ)」の違いについてみていきます。ホッケといえば、酒のつまみや夕飯のおかずとして広く親しまれている人気の魚です。違いはずばり産地のようですが、調べてみると見た目や味にも違いがあるみたいです。今回はそんな「真ホッケ」と「縞ホッケ」の違いを、居酒屋では必ずホッケを注文するという、北海道在住ライターのaoと一緒に解説していきます。

ライター/ao

食事の時間が何より至福。料理も大好き。肉より魚派で、美味しい魚を求めて北海道に移住したライターが、わかりやすく解説する。

そもそもホッケってどんな魚?

Okhostk atka mackerel,hokke-yakizakana-teisyoku,syari-town,japan.JPG
katorisi – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 3.0, リンクによる

居酒屋や定食屋で目にすることの多い「ホッケ」。干物の「ホッケの開き」はスーパーでも一年中購入できる身近な魚の一つですが、一体どんな魚なのかご存じでしょうか?まずは「ホッケ」について詳しく見ていきましょう。

ホッケの生態

Pleurogrammus azonus 2.jpg
コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、Haplochromisだと推定されます(著作権の主張に基づく) – コンピュータが読み取れる情報は提供されていませんが、投稿者自身による著作物だと推定されます(著作権の主張に基づく), CC 表示-継承 2.5, リンクによる

学名は、Pleurogrammus azonus Jordan & Metz, 1913。日本付近では、茨城県、対馬海峡以北、黄海、ロシア沿海地方、オホーツク海、南樺太沿岸に分布し、特に北海道の積丹、礼文、羅臼は「ホッケ」の産地として知られています。水深100mほどの大陸棚に生息していますが、産卵期には水深 6〜30 m 前後の岩礁域の窪みなどに移動して卵を産むようです。

体形は紡錘形(ぼうすいけい)で、背側に茶褐色から黄褐色のまだら模様が見られ、腹側は黄白色。産卵期には、雄はコバルト色に鮮黄色の唐草模様、雌は暗褐色の地色に黄色い模様が現れます。寿命は8~9年といわれており、体長は50㎝ほどですが、開き干しの原料は体長30㎝前後のものが多いようです。

ホッケは出世魚だった!

「ホッケ」は成長に応じて名前が変わる出世魚です。

青ボッケ(アオボッケ)…4~16cmの幼魚期
ろうそくボッケ…18~22cmの若魚期
春ボッケ(ハルボッケ)…23~28cmで、3月から5月にかけて沿岸に寄るもの春に沿岸に集まるもの
根ボッケ(ネボッケ)、タラバボッケ…成長しても群れをつくらず回遊もせず、根魚のように一定の場所に定着した成魚

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