VGAというのを聞いたことがあるか。今では画面サイズを指す言葉ですが、元々はパソコンとディスプレイ・モニターを繋ぐ端子やケーブルのことをVGAと呼んでいた。その接続端子のことをD-subとも呼ぶそうですが、何が違うのでしょう。そもそもVGAが何を指していたのかを35年以上のパソコン経験を持つプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。パソコンも35年以上の経験をもつ。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

昔のパソコンの3大端子とは?かつて主流だったD-sub端子

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今のパソコンにディスプレイやプリンタなどを接続する際には、USBやHDMIというコネクタと専用のケーブルを使います。しかし、昔はディスプレイとプリンタ、ネットワークを繋ぐために別のコネクタを使っていました。それがD-sub端子という名前のコネクタです。

今ではあまり見ることがないかもしれませんが、写真の右にある逆台形にいくつか穴が空いているものがD-sub端子。その中でも3列で穴が15個あるものはVGA端子やRGB端子と呼ばれます。これはディスプレイをつなぐものです。他にもシリアル端子、パラレル(プリンタ)端子という、形は同じですが大きさや穴の数が違うコネクタがあり、それを使ってプリンタやネットワークに繋いでいました。これが昔のパソコンの3大端子です。

D-sub:昔のパソコンと機器をつなぐ端子

昔のパソコンはUSBがなく、写真のような逆台形に穴が空いたコネクタにケーブルを挿して様々な機器をつないでいました。特にディスプレイをつなぐものがRGB端子やVGA端子と呼ばれる3列15穴のもの。他にプリンタをつなぐ2列25穴のセントロニクス(パラレル)ポート、今でいうネットワークに繋ぐための2列9穴のシリアルポートが多くのパソコンについていました。

これらをつなぐためのコネクタはD-sub端子と呼ばれています。D-subとは「D-サブミニチュア」の略で、アメリカの会社がつくったコネクタの名前。USBになる前はパソコンには大小いくつかのD-sub端子が付いているのが普通だったのです。

VGA:今では画面サイズの基礎

ディスプレイをつなぐコネクタをRGB端子またはVGA端子と呼ぶ、と説明しました。しかし、今では640×480画素の画面サイズを指すVGAや、1024×768画素を指すXGAの方が有名かもしれませんね。他にもFullHDやUXGAなどのさまざまな画面サイズがありますが、その基準となったのがVGA。そのサイズが640×480画素です。

このVGAが何かは後で説明しますが、画面に関わるものなので、画面の大きさやディスプレイをつなぐためのコネクタやケーブルの名前にVGAという言葉が今でも使われることがあります。

VGAはあちこちで使われる?その意味とは

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画面サイズやコネクタやケーブルの名前に使われるVGA。そもそもVGAとは何でしょうか。実は「Video Graphics Array」の略。今風に言えばビデオカードやグラフィックカードと呼ばれるもののことです。これがなぜ、さまざまな名前に使われるようになったのかを解説していきます。

\次のページで「その1:映像表示の規格とビデオカードの名前」を解説!/

その1:映像表示の規格とビデオカードの名前

VGAとは最初は映像表示の規格の名前でした。横640画素、縦480画素、16色を表示できる規格をVGAと呼びます。そのVGA規格に対応したビデオカードのことをVGAカードと呼んだことが始まりです。そのVGA規格をつくり、製品を販売したのがIBM。今でもコンピューター業界で有名な会社です。IBMがVGAカードをつくった時にディスプレイをつなぐために使ったため、3列15穴のD-sub端子はVGA端子と呼ばれることになりました。

正確にはVGAは640×480画素で16色を表示する規格ですが、あまりにVGAカードが有名になりすぎました。また、IBM以外にもさまざまな会社がより優れた製品を販売します。そのため、その後、画面サイズや表示色数が増えても、しばらくはVGAカードと呼ばれていました。今はビデオカードやグラフィックカードと呼びますね。

その2:端子やケーブルの名前

VGAというのは規格名ですが、ディスプレイカードの代名詞としてVGAという言葉が使われるようになります。その結果、ディスプレイをつなぐコネクタをVGA端子、そのために使うケーブルをVGAケーブルと呼ぶように。ただし、日本国内ではIBMのパソコンが普及する以前に多くの日本製パソコンがあったため、アナログRGBケーブルや単にRGBケーブルと呼ぶこともあります。

その3:画面のサイズ

最初に説明した通り、横640、縦480画素、16色表示がVGAの本来の意味です。しかし、今のパソコンに比べるとかなり狭いですよね。そのため、IBMはVGAを拡張した横1024、縦768にサイズを広げたXGAというものを販売。今でもこの画面サイズのことをXGAと呼びます。

しかし、IBM以外の会社がもっと広い画面サイズのものを次々と発売。IBMのパソコン利用者もそれらのVGA互換カードを使うようになります。それらはもっと広い画面サイズを持っていました。しかし640×480を基準にしていたため、WVGAやSVGAなどVGAを基準にした画面サイズの名称がたくさん生まれます。そのため、VGAは画面サイズの代名詞になったのです。その画面サイズの名称の一部を参考までに上げておきます。いくつか聞いたことあるものもあるかもしれませんね。

QVGA 320×240 ※VGAの1/4(クォーター)だから
HVGA 480×320 ※VGAの半分(ハーフ)だから
VGA 640×480
WVGA 800×480 ※ワイド(幅が広い)VGA
SVGA 800×600 ※スーパーVGA
XGA 1024×768
WXGA 1280x768 ※ワイドXGA(1280×800を指す場合も)
FWXGA 1366×768 ※フルワイドXGA(ノートPCで一般的)
SXGA 1280×1024 ※スーパーXGA
UXGA 1600×1200 ※ウルトラXGA
FHD 1920×1080 ※フルHD、2K
WQHD 2560×1440 ※ワイド・クアッドHD(クアッドは4倍の意味)
WQXGA 2560×1600 ※ワイド・クアッドXGA

※他にもたくさんの名称があります

D-subはどこに行った?パソコンと周辺機器の歴史

Bundesarchiv B 145 Bild-F077948-0006, Jugend-Computerschule mit IBM-PC.jpg
Bundesarchiv, B 145 Bild-F077948-0006 / Engelbert Reineke / CC-BY-SA 3.0, CC BY-SA 3.0 de, リンクによる

昔のパソコンでは主流だったD-sub端子やVGA端子。なぜ、今では無くなってしまったのでしょうか。パソコンと周辺機器の歴史も併せて解説していきます。

\次のページで「現在のWindowsパソコンはIBMから始まった」を解説!/

現在のWindowsパソコンはIBMから始まった

今では世界中で多くの人が使っているWindowsパソコン。ある調査では世界シェアは8割程度とも言われています。その現在のWindowsパソコンの元祖が先ほどVGAの説明で登場したIBMのパソコンです。

1981年、IBMがIBM PC(IBM 5150)を発売します。それ以前にも日本やアメリカでも多くの個人用コンピュータはありました。また、パーソナルコンピュータ、略してPCという名称もIBMが初めて使ったわけではありません。しかし、このIBMのPCとその後継機が今のパソコンの直接的な祖先になります。IBM PCとその後継機は多くの企業が互換性のあるパソコン、IBM PC互換機を発売することでパソコンの標準となったのです。そのため、本来はIBMの決めた規格の名前がパソコン全体に今でも名残を残しています。

ディスプレイはDVIやHDMIへ

VGA端子は別名「アナログRGB端子」と呼ぶくらいですのでアナログになります。元々は横640、縦480画素で16色というものだったのでアナログで十分だったのです。しかし、その後、画面サイズの名称で説明したように画素数は大きく、画面は広くなり続けました。その結果、デジタル化が必要になります。

そのために生まれたのがDVI端子です。一時期のパソコンにはVGA端子とDVI端子の両方がついていました。その後、2002年にHDMIがテレビとゲーム機、各種ビデオ機器をつなぐために使われるようになると、その使い勝手の良さからパソコンでも使われます。今ではHDMIがパソコンとディスプレイをつなぐ時の代表になっています。

プリンタはUSBへ、ネットワークは無線へ

ディスプレイ以外の機器との接続はどうなったでしょう。今のパソコンを見れば分かる通り、USB端子が標準になりました。USB 1.0が登場したのが1996年。それまでシリアルポートやパラレルポートという2列9穴か15穴の大きなD-sub端子でプリンタや通信機器、場合によってはマウスを繋いでいたのがUSBが主流になりました。

シリアルポートやパラレルポートに比べてUSBは以下の特徴があったので、瞬く間に普及したのです。今ではUSBが当たり前のようにパソコンやスマホに搭載されていますね。

・シリアル、パラレルポートは機器1台ごとにコネクタが必要(1対1接続)
→USBは数珠繋ぎにしたり、ハブを使って分配することが可能(1対多接続)
・USBはデータ転送スピードが速い
・USBは長いケーブルや、継ぎ足して延長した時のノイズに強く安定して利用可能
・USBは機器に合わせて複数のコネクタを用意しなくて良い
・USBは接続する機器に電源を供給できる(シリアル、パラレルは別途電源が必要)

すべてはIBM PCから始まった、昔の名残が残るVGA

今のWindowsパソコンの元になったのがIBM PCというパソコン。その頃のパソコンはディスプレイやプリンタなどをつなぐためにD-subという台形を逆さにして穴を開けたようなコネクタを使っていました。しかし使い勝手やスピードの問題から今はUSBやHDMIが主流になっています。

D-subにはいくつかの種類があり、特にディスプレイをつなぐ3列15穴のものはVGAカードで使われたことからVGA端子と呼ばれました。また、VGAカードの画面サイズである横640、縦480画素のサイズをVGAと呼ぶようになります。今ではVGA端子やVGAカードは使わなくなりました。画面やイメージの大きさとしてのVGAが名残で残っています。

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IT・プログラミング雑学

簡単でわかりやすい!D-subとVGAの違いとは?端子?ケーブル?画面サイズ?プログラマーが詳しく解説

VGAというのを聞いたことがあるか。今では画面サイズを指す言葉ですが、元々はパソコンとディスプレイ・モニターを繋ぐ端子やケーブルのことをVGAと呼んでいた。その接続端子のことをD-subとも呼ぶそうですが、何が違うのでしょう。そもそもVGAが何を指していたのかを35年以上のパソコン経験を持つプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。パソコンも35年以上の経験をもつ。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

昔のパソコンの3大端子とは?かつて主流だったD-sub端子

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今のパソコンにディスプレイやプリンタなどを接続する際には、USBやHDMIというコネクタと専用のケーブルを使います。しかし、昔はディスプレイとプリンタ、ネットワークを繋ぐために別のコネクタを使っていました。それがD-sub端子という名前のコネクタです。

今ではあまり見ることがないかもしれませんが、写真の右にある逆台形にいくつか穴が空いているものがD-sub端子。その中でも3列で穴が15個あるものはVGA端子やRGB端子と呼ばれます。これはディスプレイをつなぐものです。他にもシリアル端子、パラレル(プリンタ)端子という、形は同じですが大きさや穴の数が違うコネクタがあり、それを使ってプリンタやネットワークに繋いでいました。これが昔のパソコンの3大端子です。

D-sub:昔のパソコンと機器をつなぐ端子

昔のパソコンはUSBがなく、写真のような逆台形に穴が空いたコネクタにケーブルを挿して様々な機器をつないでいました。特にディスプレイをつなぐものがRGB端子やVGA端子と呼ばれる3列15穴のもの。他にプリンタをつなぐ2列25穴のセントロニクス(パラレル)ポート、今でいうネットワークに繋ぐための2列9穴のシリアルポートが多くのパソコンについていました。

これらをつなぐためのコネクタはD-sub端子と呼ばれています。D-subとは「D-サブミニチュア」の略で、アメリカの会社がつくったコネクタの名前。USBになる前はパソコンには大小いくつかのD-sub端子が付いているのが普通だったのです。

VGA:今では画面サイズの基礎

ディスプレイをつなぐコネクタをRGB端子またはVGA端子と呼ぶ、と説明しました。しかし、今では640×480画素の画面サイズを指すVGAや、1024×768画素を指すXGAの方が有名かもしれませんね。他にもFullHDやUXGAなどのさまざまな画面サイズがありますが、その基準となったのがVGA。そのサイズが640×480画素です。

このVGAが何かは後で説明しますが、画面に関わるものなので、画面の大きさやディスプレイをつなぐためのコネクタやケーブルの名前にVGAという言葉が今でも使われることがあります。

VGAはあちこちで使われる?その意味とは

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画面サイズやコネクタやケーブルの名前に使われるVGA。そもそもVGAとは何でしょうか。実は「Video Graphics Array」の略。今風に言えばビデオカードやグラフィックカードと呼ばれるもののことです。これがなぜ、さまざまな名前に使われるようになったのかを解説していきます。

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