この記事では空手と合気道の違いについてみていきます。空手も合気道も日本発祥の武道ってイメージがあるよな。違いはずばり試合の有無にあるようです。武道をする目的と手段としての稽古について、混同されやすい少林寺拳法や柔道とも比較しながら空手歴14年武道派ライターyukoと一緒に解説していきます。

ライター/yuko

空手歴14年。小学校3年生から大学4年生まで稽古に励み、幼児~社会人の指導も経験。挑戦心や諦めない気持ち、ちょっと強めな責任感、そして妙に強い体幹と身体の柔軟性は空手経験の賜物です。就活の自己PRも空手経験を全面に押して乗り切った現役OLライター。

空手と合気道の違いは試合の有無

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空手も合気道も日本発祥の武道。白い道着に色付きの帯を締めて稽古をするなど共通点もみられます。空手と合気道の違いは試合の有無にあり、試合があるのが空手、試合がないのが合気道です。ここでは混同されやすい少林寺拳法や柔道とも比較しつつ武道を行う目的を明らかにしてから、両者の違いについて詳しくみていきましょう。

空手:攻撃をする攻めの武道

空手は突きや蹴りなど攻撃を用いた攻めの武道。空手には決まった技を決まった順番で演武する型と、実際に1対1で向かい合い技を仕掛け合う組手の2種目があり、たくさんの流派が存在し各々ルールが異なるのが特徴です。

同じ組手でも技をコントロールし相手に打撃を与えず寸止めで決める流派や、実際に打撃を与えて試合をする流派などの違いがみられます。空手の本来の目的は護身であるとともに自己鍛錬の手段でもありました。

合気道:攻撃を流す受けの武道

合気道は相手の攻めの力を受け流して投げるまたは抑える受けの武道。稽古は心身の強化を目的としていて競わない優劣をつけないことが大前提、試合というものはありません。動きに関しても実際の力の大小ではなく力学的な要素が強いため、老若男女問わず稽古に参加しやすいのも特徴です。空手以上に護身術として親しみがあるかもしれません。

少林寺拳法や柔道との違いは?

武道というくくりでみると経験者でないと違いが分からないという方が多いでしょう。混同されやすいのは少林寺拳法と柔道ですね。大きな違いは技の種類や技の重さにあります。

少林寺拳法は第二次世界大戦後に宗道臣(そうとういん)の中国在住時の経験をもとに創始された武術で、拳技を中心に蹴りや投げ技、関節技などがありますが強い力は必要ないです。宗道臣の教えから稽古を通して己の身を護り成長していくことを目的にしているそう。

柔道は明治時代に加納治五郎(かのうじごろう)が様々な柔術を研究し創意工夫を加えて創始。投げ技、固め技、関節技を用いての試合には、ケガ防止のために受け身をとることが必須です。柔道は攻撃と防御の練習によって身体を鍛錬し精神も鍛え成長をしていくということを目的にしています。

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似ているようでここまで違う!空手と合気道

合気道は試合をしないという特徴を踏まえると空手との違いを理解しやすくなります。まずは合気道と空手の起源を整理して背景をつかんだ上で、技や昇級・昇段審査についても違いをみていきましょう。

違いその1.起源

空手の起源には諸説ありますが有力なのは沖縄空手が発祥だという説。琉球王国の士族が学んだ護身術と中国武術が融合して現在の空手の基本ができたそう。沖縄で一般的に広まったのは1900年代初頭で沖縄県で空手が学校体育に取り入れられたころだといわれています。

合気道は明治から昭和初期にかけて創始した現代武術で、1931年に植芝盛平(うえしばもりへい)が合気道の前身となる武術専門の道場「皇武館」を建立し、1942年から合気道と呼称するようになりました。植芝盛平は柔術の修行をはじめ精神的修行も行っていたそうで、彼の武道理論をもとに創始されたのが合気道です。空手と比較すると合気道は歴史の浅い武術といえますね。

違いその2.技の特徴

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「空手に先手なし」という言葉がありますが、空手の型は基本的に受けの動作から始まります。つまり相手から攻撃を受けなければこちらも攻撃はしないという精神が盛り込まれていて、この点は合気道の受けの武術にも通ずるかもしれません。実際に技を比較してみると、空手は突きや蹴りといった攻めの姿勢が見受けられますが、オリンピックのルールにもなった伝統空手4大流派(剛柔流、糸東流、松濤館流、和道流)では組手に関しても技をコントロールして直接打撃は与えない寸止めが基本。ちなみに空手に投げ技はありません。

合気道は試合をしないという特徴があり「受け」という攻撃を仕掛けて技を受ける役と、「取り」という攻撃を捌いて技をかける役を交互に入れ替えながら対面で繰り返し稽古をします。捌いて投げる、捌いて抑えるという動作には大きな力は必要なく力学的な要素が強いです。軽やかに円を描いて投げられる様子が見事ですね。

違いその3.昇級・昇段試験

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空手と合気道、両者とも昇級・昇段試験があり級が上がるにつれて帯の色が変わっていき、有段者となれば黒帯を締めることができます。また、合気道と聞くと黒い袴のイメージがあるかもしれません。袴は基本的には有段者になると着ること許されるそう。また空手は試合があるため良くも悪くも自分の実力や成長を実感する機会がありますが、試合のない合気道は昇級や昇段といった機会に自分の成長を感じることができるので大きな指針になるでしょう。

空手は多くの流派が存在していることもあり最下級がまちまち。12級から取得を目指す流派もあれば8級からはじまる流派も。審査は型、組手、基本をベースに審査員の前で演武し昇級昇段の判断をしてもらいます。

合気道は5級から昇級を目指し、受験資格日数が明確に定められているのが特徴。例えば5級受験資格を得るためには入会後30日以上稽古をする必要があるそうです。

\次のページで「武道は稽古を通して礼儀作法の習得や肉体精神の強化につながる」を解説!/

武道は稽古を通して礼儀作法の習得や肉体精神の強化につながる

武道をする目的の多くは精神面での成長や鍛錬。気持ちを強くするための手段として稽古に励むのです。また、武道をやっているとよく耳にする「礼に始まり礼に終わる」という言葉。どんな時でも敬意をもって相手に礼をするところから始まり、何があっても敬意をもって礼をすることで終わるいうことを表していて、武道においては試合の勝ち負け以上に礼節や礼儀を重んじようとする考え方を指しています。合気道には試合はありませんが、対峙する相手に対しての「礼」を大切にすることは、武道の共通認識です。

「礼に始まり礼に終わる」武道全般に言えるこの言葉の意味を今1度よく考えて、私生活にも取り入れていきたいですね。

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3分で簡単にわかる!空手と合気道の違いとは?同じ武道でもここまで違う!少林寺拳法や柔道との違いも空手歴14年武道派ライターがわかりやすく解説!

似ているようでここまで違う!空手と合気道

合気道は試合をしないという特徴を踏まえると空手との違いを理解しやすくなります。まずは合気道と空手の起源を整理して背景をつかんだ上で、技や昇級・昇段審査についても違いをみていきましょう。

違いその1.起源

空手の起源には諸説ありますが有力なのは沖縄空手が発祥だという説。琉球王国の士族が学んだ護身術と中国武術が融合して現在の空手の基本ができたそう。沖縄で一般的に広まったのは1900年代初頭で沖縄県で空手が学校体育に取り入れられたころだといわれています。

合気道は明治から昭和初期にかけて創始した現代武術で、1931年に植芝盛平(うえしばもりへい)が合気道の前身となる武術専門の道場「皇武館」を建立し、1942年から合気道と呼称するようになりました。植芝盛平は柔術の修行をはじめ精神的修行も行っていたそうで、彼の武道理論をもとに創始されたのが合気道です。空手と比較すると合気道は歴史の浅い武術といえますね。

違いその2.技の特徴

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「空手に先手なし」という言葉がありますが、空手の型は基本的に受けの動作から始まります。つまり相手から攻撃を受けなければこちらも攻撃はしないという精神が盛り込まれていて、この点は合気道の受けの武術にも通ずるかもしれません。実際に技を比較してみると、空手は突きや蹴りといった攻めの姿勢が見受けられますが、オリンピックのルールにもなった伝統空手4大流派(剛柔流、糸東流、松濤館流、和道流)では組手に関しても技をコントロールして直接打撃は与えない寸止めが基本。ちなみに空手に投げ技はありません。

合気道は試合をしないという特徴があり「受け」という攻撃を仕掛けて技を受ける役と、「取り」という攻撃を捌いて技をかける役を交互に入れ替えながら対面で繰り返し稽古をします。捌いて投げる、捌いて抑えるという動作には大きな力は必要なく力学的な要素が強いです。軽やかに円を描いて投げられる様子が見事ですね。

違いその3.昇級・昇段試験

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空手と合気道、両者とも昇級・昇段試験があり級が上がるにつれて帯の色が変わっていき、有段者となれば黒帯を締めることができます。また、合気道と聞くと黒い袴のイメージがあるかもしれません。袴は基本的には有段者になると着ること許されるそう。また空手は試合があるため良くも悪くも自分の実力や成長を実感する機会がありますが、試合のない合気道は昇級や昇段といった機会に自分の成長を感じることができるので大きな指針になるでしょう。

空手は多くの流派が存在していることもあり最下級がまちまち。12級から取得を目指す流派もあれば8級からはじまる流派も。審査は型、組手、基本をベースに審査員の前で演武し昇級昇段の判断をしてもらいます。

合気道は5級から昇級を目指し、受験資格日数が明確に定められているのが特徴。例えば5級受験資格を得るためには入会後30日以上稽古をする必要があるそうです。

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