似ているようでここまで違う!空手と合気道
合気道は試合をしないという特徴を踏まえると空手との違いを理解しやすくなります。まずは合気道と空手の起源を整理して背景をつかんだ上で、技や昇級・昇段審査についても違いをみていきましょう。
違いその1.起源
空手の起源には諸説ありますが有力なのは沖縄空手が発祥だという説。琉球王国の士族が学んだ護身術と中国武術が融合して現在の空手の基本ができたそう。沖縄で一般的に広まったのは1900年代初頭で沖縄県で空手が学校体育に取り入れられたころだといわれています。
合気道は明治から昭和初期にかけて創始した現代武術で、1931年に植芝盛平(うえしばもりへい)が合気道の前身となる武術専門の道場「皇武館」を建立し、1942年から合気道と呼称するようになりました。植芝盛平は柔術の修行をはじめ精神的修行も行っていたそうで、彼の武道理論をもとに創始されたのが合気道です。空手と比較すると合気道は歴史の浅い武術といえますね。
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違いその2.技の特徴
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「空手に先手なし」という言葉がありますが、空手の型は基本的に受けの動作から始まります。つまり相手から攻撃を受けなければこちらも攻撃はしないという精神が盛り込まれていて、この点は合気道の受けの武術にも通ずるかもしれません。実際に技を比較してみると、空手は突きや蹴りといった攻めの姿勢が見受けられますが、オリンピックのルールにもなった伝統空手4大流派(剛柔流、糸東流、松濤館流、和道流)では組手に関しても技をコントロールして直接打撃は与えない寸止めが基本。ちなみに空手に投げ技はありません。
合気道は試合をしないという特徴があり「受け」という攻撃を仕掛けて技を受ける役と、「取り」という攻撃を捌いて技をかける役を交互に入れ替えながら対面で繰り返し稽古をします。捌いて投げる、捌いて抑えるという動作には大きな力は必要なく力学的な要素が強いです。軽やかに円を描いて投げられる様子が見事ですね。
違いその3.昇級・昇段試験
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空手と合気道、両者とも昇級・昇段試験があり級が上がるにつれて帯の色が変わっていき、有段者となれば黒帯を締めることができます。また、合気道と聞くと黒い袴のイメージがあるかもしれません。袴は基本的には有段者になると着ること許されるそう。また空手は試合があるため良くも悪くも自分の実力や成長を実感する機会がありますが、試合のない合気道は昇級や昇段といった機会に自分の成長を感じることができるので大きな指針になるでしょう。
空手は多くの流派が存在していることもあり最下級がまちまち。12級から取得を目指す流派もあれば8級からはじまる流派も。審査は型、組手、基本をベースに審査員の前で演武し昇級昇段の判断をしてもらいます。
合気道は5級から昇級を目指し、受験資格日数が明確に定められているのが特徴。例えば5級受験資格を得るためには入会後30日以上稽古をする必要があるそうです。
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