この記事では「規程」と「規定」の違いについてみていきます。2つとも国の公文書や会社・学校など組織のルールが明示された文書で見ることがあるよな。どちらも意味は似ているが、それぞれ持つ意味や使う場面が違うみたいです。
今回は公文書やルールが明示された文書などに欠かせないこの2つを「規則」との違いも含めて、ビジネス文書作成の熟練ライター西風と一緒に解説していきます。

ライター/西風

企業にて10年以上にわたりビジネスパーソンとの交流や企画書・論文作成を経験。現在は後進育成にも注力。文章のわかりやすさはもちろん、言葉の意味や使い方にもこだわり、わかりやすく正確な情報をお届けします。

「規程」と「規定」の違いとは?

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「規程」と「規定」のように、違う漢字で表現されていても同じ読み方がされるものを同訓異字と呼びます。この2つは「決まり」や「定め」といった、法令やルールを定めるときに使われるという意味においては同様です。しかし、正確な違いが分からない、明確に使いわけられないという人も多いのではないでしょうか。その違いについて、詳しくみていきましょう。

「規程」は全体

「規程」と「規定」を対比して考えた場合、「規程」が表すものは複数の条文がまとまったもの、つまりルール全体です。「規程」に含まれる”程”という漢字の意味を調べてみると「ある範囲を一定の長さ・分量で一区切りずつにしたもの」や「道のり」「道筋」と記載されているため、そこからもひとつひとつの条文ではなく全体を表しているとわかります。

「規定」は部分

一方、「規定」が表すものは個々の条文であり、ルールの部分的なものです。「規定」に含まれる”定”という漢字の意味を調べてみると「決まり」や「さだめ」と記載されているため、ひとつひとつの決まったことを表しているとわかります。

「規程」の意味と使い方

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ここからは「規程」と「規定」の違いに着目しながら、その意味や使い方について詳しくみていきましょう。

「規程」の意味

「規程」を辞書で詳しく調べると、以下のような意味だとわかります。

\次のページで「「規程」の使い方」を解説!/

1.決まり。さだめ。規定。
2.一定の目的のために定められた一連の条項の称。特に、官公庁などで、内部組織や事務取扱を定めたもの。

出典:デジタル大辞泉

1に「規定」と記載されていますが、先程の違いで説明した通り「規定」の集合体が「規程」と考えるとよいでしょう。

「規程」の使い方

規程は各種条文がまとまったルール全体を表すことから、以下のように用いられます。

1.公文書の書き方は「公用文に関する規程」に定められている
2.服務規程に則り業務をする
3.育児休業期間は育児介護休業規程に明記されている

「規定」の意味と使い方

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「規程」との違いに着目しながら、その意味や使い方について詳しくみていきましょう。

「規定」の意味

「規定」を辞書で詳しく調べると、以下のような意味だとわかります。

\次のページで「「規定」の使い方」を解説!/

1.物事を一定の形に定めること。また、その定めた内容。きまり。規程。
2.法令の条文として定めること。また、法令の個々の条文。
3.化学で、溶液の濃度の単位。1規定は溶液1リットル中に溶質1グラム当量を含むときの濃度で、1モル毎立方メートル。記号N
4.「規定種目」の略。

出典:デジタル大辞泉

今回は1と2が該当します。1には「規程」と記載されていますが、こちらも先程の違いで説明した通り「規定」の集合体が「規程」であると考えるとよいでしょう。

「規定」の使い方

「規定」は「規定」内に定められたひとつひとつの条文などを表すことから、以下のように用いられます。

1.法令第◯条に規定する
2.就業時間は服務規程第◯条に規定されている
3.育児介護休業規定第◯条に規定された通り育児休業を取得する

「規則」との使いわけ

「規程」や「規定」の似たような言葉として「規則」も見ることが多いのではないでしょうか。「規則」の意味を辞書で詳しく調べると、以下のような意味だとわかります。

\次のページで「何を伝えるかに応じて使いわけよう」を解説!/

1.行為や事務手続きなどが、それに基づいて行われるように定めた事柄。決まり。
2.物事の秩序。
3.㋐最高裁判所、国会の両議院、会計検査院、人事院などが、憲法や法律に基づき、内部規律・事務処理などに関して制定する法。
3.㋑都道府県知事・市町村長が、その権限に属する事務に関して制定する細則。→条例

出典:デジタル大辞泉

「規則」も「規程」や「規定」同様、決まりやルールであることがわかります。しかし、「物事の秩序」や「法」「条例」と表現されるように、より大きな概念です。つまり、「規則」を部分的に詳しく説明するものが「規程」であり、そのひとつひとつの条文が「規定」であるといえます

会社組織に定められて従業員のためのルールである就業規則を例に説明しましょう。就業規則の中には従業員が守らなければならない最低限のルールについて定めた服務規程や育児介護休業について定めた育児介護休業規程など各種「規程」が存在します。その各種「規程」に条文として詳しく記載されているのが「規定」です。

何を伝えるかに応じて使いわけよう

「規程」と「規定」の違いについて詳しく見てきました。2つとも持つ意味は似ていますが、調べてみると表している範囲によって使いわけされていることがわかります。また「規則」のように、同じような意味でもさらに上位の概念を意味していることもわかりました。同じ読み方でも表記の違いにより使い方が異なる…このように意味を調べてみると、日本語の楽しさ・奥深さを感じずにはいられませんね。

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3分でわかる「規程」と「規定」の違い!意味や使い方・「規則」との使いわけもビジネス文書熟練者がわかりやすく解説!

この記事では「規程」と「規定」の違いについてみていきます。2つとも国の公文書や会社・学校など組織のルールが明示された文書で見ることがあるよな。どちらも意味は似ているが、それぞれ持つ意味や使う場面が違うみたいです。
今回は公文書やルールが明示された文書などに欠かせないこの2つを「規則」との違いも含めて、ビジネス文書作成の熟練ライター西風と一緒に解説していきます。

ライター/西風

企業にて10年以上にわたりビジネスパーソンとの交流や企画書・論文作成を経験。現在は後進育成にも注力。文章のわかりやすさはもちろん、言葉の意味や使い方にもこだわり、わかりやすく正確な情報をお届けします。

「規程」と「規定」の違いとは?

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「規程」と「規定」のように、違う漢字で表現されていても同じ読み方がされるものを同訓異字と呼びます。この2つは「決まり」や「定め」といった、法令やルールを定めるときに使われるという意味においては同様です。しかし、正確な違いが分からない、明確に使いわけられないという人も多いのではないでしょうか。その違いについて、詳しくみていきましょう。

「規程」は全体

「規程」と「規定」を対比して考えた場合、「規程」が表すものは複数の条文がまとまったもの、つまりルール全体です。「規程」に含まれる”程”という漢字の意味を調べてみると「ある範囲を一定の長さ・分量で一区切りずつにしたもの」や「道のり」「道筋」と記載されているため、そこからもひとつひとつの条文ではなく全体を表しているとわかります。

「規定」は部分

一方、「規定」が表すものは個々の条文であり、ルールの部分的なものです。「規定」に含まれる”定”という漢字の意味を調べてみると「決まり」や「さだめ」と記載されているため、ひとつひとつの決まったことを表しているとわかります。

「規程」の意味と使い方

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ここからは「規程」と「規定」の違いに着目しながら、その意味や使い方について詳しくみていきましょう。

「規程」の意味

「規程」を辞書で詳しく調べると、以下のような意味だとわかります。

\次のページで「「規程」の使い方」を解説!/

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