この記事では施工図(せこうず)と竣工図(しゅんこうず)の違いについてみていきます。どちらも建築現場や道路工事などモノづくりの過程で使用されるイメージがあるよな。2つの図面の違いはずばり使用目的にあるようです。今回は実際の工事で施工図と竣工図がどのようなタイミングで必要になってくるのか、設計図との関係性も比較しながら工事会社勤務現役OLライターyukoと一緒に解説していきます。

ライター/yuko

工事会社勤務9年目。入社から現在まで、現場踏査や設計業務など幅広く経験。地下埋設物にはすこし詳しい。専門用語が飛び交う職場で自分の言葉に置き換え、理解しなおす言語化作業に日々奮闘中の現役OLライター。

施工図と竣工図の違いは使用目的

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施工図と竣工図は工事現場では欠かせない資料です。簡単に説明すると施工図と竣工図はともに設計図をもとに作成されますが使用目的が異なり、施工図は実際の施工で必要な情報を記載した図面、竣工図は竣工時の情報を記載した図面になります。ここでは設計図との関係性を比較しながら解説していきましょう。

施工図:施工するために必要な図面

施工図は施工するために必要な図面です。設計図がデザインや目指すべき成果物の姿を示したものであれば、その設計図をさらにかみ砕きどのような施工や過程を追えば目的の成果物を作成できるかを詳細に示したのが施工図。つまり施工図には実際に施工する際の形状や寸法、使用する部品や部材、製品の型式などが細かく記載されます。

1つの工事では専門分野ごとに作業をする人が異なり分業して施工にあたることが多いので、施工図は設計図のみでは指示することが難しい情報や施工方法を作業にあたる人たち1人1人に示すための資料になりますね。

竣工図:竣工後に重要になる図面

竣工図は竣工後に重要になってくる図面です。竣工とは工事が完成すること。つまり実際に完成した工事の成果物、例えば建築物や配管などの最終的な情報を記載した資料が竣工図です。施工をしていくと現場の状況で設計図とは異なる施工が発生することがしばしばあるため竣工図を残すことは非常に大切。施工後の最終的な成果物の情報がすべて記されているので、修繕や改修工事が発生した場合に参考にされます

設計図との関係性は?

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設計図は一定の技術指針に基づいて作成された図面で、工事を依頼した施主さんや施工にあたる人たちに「こんなものを作りたい」という共通認識を持たせる役割があり、施工過程に必要な情報よりは成果物の仕上がりを図解して示したものになります。

以上のことを踏まえて施工図と竣工図と設計図の関係性を整理してみると、施工図では設計図の目指す完成形のためにはどのような施工過程が必要かということを追記し施工する方たちに周知をする役割を担い、竣工図は設計段階から施工後変更された部分を追記して実際の完成形を示す役割を担っているといえるでしょう。

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工事の一連の流れと必要な図面

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一般的な工事では発注者(依頼者)受注者(施工者)作業者(下請け業者)が仕事の受発注を通して施工にあたり各々の関係は以下のようになります。下記の体制のなかで使用される図面も示してみました。これから詳しくみていきましょう。

発注者
↓  …設計図
受注者     
↓  …施工図  
作業者


工事終了 …竣工図

設計図:発注者から受注者へ

発注者から受注者へ「このような成果物をつくりたい」と示すのが設計図。成果物でなくても、例えば古くなった配管を入れ替える工事でも「こっちの管を取り除いて新しい管に入れ替えてください」というように、この工事で何をしたいかということを伝える資料が設計図になります。

施工図:受注者から作業者へ

受注者から作業者へ「このように施工をしてください」と記すのが施工図。作業をする方に分かりやすく説明するために、寸法や型番など詳細に書き記されています。配管工事の場合には、古くなった管の材料、配管に使われている部材、新しい管の材料や接続する順番、接続方法などが詳しく示されている資料が施工図になりますね。

竣工図:竣工後、次の工事へ

竣工後に「こんなふうに完成させました」ということをまとめた資料が竣工図。建物の竣工図は、修繕や改修工事など将来建物内の配管設備や使われている材料、型番などの情報が必要になった場面で重要になってきますね。配管工事においては先程施工図の例でみたように「こんな材質の管がこんな並びで埋まってます」という情報を記している資料が竣工図になります。

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図面は誰かに何かを伝える資料、使用目的を考えてみよう!

図面の役割は「必要な情報を必要としている人に伝えること」この視点を前提に図面の使用目的を考えると、施工図と竣工図の違いも理解しやすくなります。ものづくりにはたくさんの人の手と思いがのせられるので、設計図のような明確な目標と施工図のような適切な指針、地図のようなものがあると渋滞や迷子にならずに施工を進めることができますね。さらに、竣工後も修繕や改修工事のために竣工図を作成することで次の工事やものづくりへとスムーズにつなげていくことができます。「誰に何も伝えるための図面なのか」この点に意識を向けて、施工図と竣工図の役割をとらえてみましょう。

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施工図と竣工図の違いとは?設計図との関係や使用目的まで工事会社勤務現役OLライターが詳しくわかりやすく解説!

この記事では施工図(せこうず)と竣工図(しゅんこうず)の違いについてみていきます。どちらも建築現場や道路工事などモノづくりの過程で使用されるイメージがあるよな。2つの図面の違いはずばり使用目的にあるようです。今回は実際の工事で施工図と竣工図がどのようなタイミングで必要になってくるのか、設計図との関係性も比較しながら工事会社勤務現役OLライターyukoと一緒に解説していきます。

ライター/yuko

工事会社勤務9年目。入社から現在まで、現場踏査や設計業務など幅広く経験。地下埋設物にはすこし詳しい。専門用語が飛び交う職場で自分の言葉に置き換え、理解しなおす言語化作業に日々奮闘中の現役OLライター。

施工図と竣工図の違いは使用目的

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施工図と竣工図は工事現場では欠かせない資料です。簡単に説明すると施工図と竣工図はともに設計図をもとに作成されますが使用目的が異なり、施工図は実際の施工で必要な情報を記載した図面、竣工図は竣工時の情報を記載した図面になります。ここでは設計図との関係性を比較しながら解説していきましょう。

施工図:施工するために必要な図面

施工図は施工するために必要な図面です。設計図がデザインや目指すべき成果物の姿を示したものであれば、その設計図をさらにかみ砕きどのような施工や過程を追えば目的の成果物を作成できるかを詳細に示したのが施工図。つまり施工図には実際に施工する際の形状や寸法、使用する部品や部材、製品の型式などが細かく記載されます。

1つの工事では専門分野ごとに作業をする人が異なり分業して施工にあたることが多いので、施工図は設計図のみでは指示することが難しい情報や施工方法を作業にあたる人たち1人1人に示すための資料になりますね。

竣工図:竣工後に重要になる図面

竣工図は竣工後に重要になってくる図面です。竣工とは工事が完成すること。つまり実際に完成した工事の成果物、例えば建築物や配管などの最終的な情報を記載した資料が竣工図です。施工をしていくと現場の状況で設計図とは異なる施工が発生することがしばしばあるため竣工図を残すことは非常に大切。施工後の最終的な成果物の情報がすべて記されているので、修繕や改修工事が発生した場合に参考にされます

設計図との関係性は?

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設計図は一定の技術指針に基づいて作成された図面で、工事を依頼した施主さんや施工にあたる人たちに「こんなものを作りたい」という共通認識を持たせる役割があり、施工過程に必要な情報よりは成果物の仕上がりを図解して示したものになります。

以上のことを踏まえて施工図と竣工図と設計図の関係性を整理してみると、施工図では設計図の目指す完成形のためにはどのような施工過程が必要かということを追記し施工する方たちに周知をする役割を担い、竣工図は設計段階から施工後変更された部分を追記して実際の完成形を示す役割を担っているといえるでしょう。

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