

端的に言えば「鴨の水掻き」の意味は「人知れない努力をしていること」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
教師や講師としても教えることに関わってきた「やぎしち」を呼んだ。一緒に「鴨の水掻き」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/やぎしち
雑学からビジネス文章まで手掛ける現役ライター。国語の中学・高校教諭の資格も持ち、予備校講師の経験も。言葉を大切にした文章を心掛けている。
「鴨の水掻き」の意味は?
「鴨の水掻き」には、次のような意味があります。
《気楽そうに浮かんでいる鴨も、水面下では水かきを絶えず動かしているところから》人知れない苦労があることのたとえ。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「鴨の水掻き」
この言葉は、「他人から見たらわからないような苦労がある」ことをたとえて言う慣用表現です。「他人から見たらわからないような」というところがポイントで、その当人にしかわからない悩みや大変さなどを表すのに使われます。
一見余裕に見えても人知れない努力・苦労をしているというニュアンスで褒め言葉としても使えそうなのですが、用法としては「苦労が絶えないこと」を表すことが多いのに注意。誰かに対して使う場合は注意した方がいいかもしれません。
外から見えない部分のことを「水面下(すいめんか)」とも言い、比喩的にも使えます。皆さんにも、他者から簡単には見えない部分があるはず。そういうところでは、どんな苦労や努力をしているのか思いを寄せてみましょう。
「鴨の水掻き」の語源は?
次に「鴨の水掻き」の語源を確認しておきましょう。鴨が水に浮かんでいる姿を想像してみてください。スイスイと泳いでいる姿は外から見れば気楽そうですが、水の下では足をしっかり動かしているはず。この表現はそんな姿をたとえたものと言われています。
似た言い回しで、「鴨」を「白鳥」に換えて「優雅に泳いで見えても水面下で努力している」というものを耳にしたことがある人もいるかもしれません。ですが、これはマンガの中で使われたたとえが定着したものだそうで、「白鳥の水かき」という慣用表現は辞書にはありませんでした。
「鴨」なら苦労、「白鳥」なら努力、と強調される部分に違いがあるのは、その鳥の持つイメージのせいもあるのでしょうか。細かい違いではありますが、「白鳥」のほうが覚えやすいからと良い意味で捉えていると読み違えてしまうかもしれません。注意しましょう。
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