グレープフルーツは我々の食生活でも身近な果物です。酸味とほろ苦さのあるジューシーな果肉は、健康にも良さそうです。実際、ダイエット効果など、嬉しい効能がたくさん詰まっているんです。ところで、グレープフルーツは柑橘類なのに、なぜ「グレープ」というのでしょう?名前の由来や歴史については意外に知っているようで知らないもんです。今回の記事では、グレープフルーツの栄養や効能、歴史などを果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。グレープフルーツのお気に入りのアレンジは、果汁を混ぜ込んで作るグレープフルーツシフォンケーキ!

グレープフルーツはどんな果物?

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グレープフルーツは、ミカン科ミカン属グレープフルーツ種の果物で、柑橘類のひとつです。主な産地はアメリカのフロリダ南アフリカで、特にアメリカでは人気が高く、世界中で親しまれています。

国内では栽培が難しいため、国産のものはごくわずか。そのため、国内で出回っているグレープフルーツはほとんどが輸入品になります。産地によって旬はあるものの、一年中出回っていますね。

果実の特徴

形は球形で、1個のサイズは直径が約10~15cm重さが300~500gと柑橘類の中では大きめ。皮は薄く、手で剥きづらいですが、ジューシーで柔らかな果肉は、爽やかな酸味とほのかな甘みと苦味の独特の清涼感があります。

果皮の色は主に黄色ですが、果肉の色は大きく分けて「ホワイト・ルビー・ピンク」と3種類です。果肉が赤っぽい品種の方が、ホワイトに比べて酸味が少なく甘みが強い傾向があると言われています。

発見から、身近な果物になるまで

グレープフルーツの歴史は意外に浅く、1750年代に西インド諸島のバルバドスで発見されました。文旦(ブンタン)とオレンジが自然に交配したものと考えられています。1823年フロリダに伝わり、アメリカでの大規模な栽培が始まりました。その後、世界各地に広がっていったそうです。

日本には大正時代にやってきました。しかし、日本の気候では栽培が難しく、一部のグレープフルーツだけが高級品として食べられていました。転機は1971年輸入自由化。海外からのグレープフルーツの輸入が緩和され、大量に出回るようになると、一般家庭でも身近なフルーツになりました。

なぜ「グレープ」フルーツ、なの?

「グレープフルーツ」という名前、グレープ(=ブドウ)とは見た目も味も全然似ていないのに、なぜ「グレープ」と付くのか不思議に思ったことはありませんか?実は、名前の由来は「実のなり方」から来ているのです。1本の枝にたくさんの果実が房状に実る様子ががブドウ(グレープ)に似ていることから。発見当初は「forbidden fruit(禁断の木の実)」と呼ばれていたそうですよ。「グレープフルーツ」という呼び名は1800年代から使われ始めました。

ちなみに和名はというと...そのまま「グレープフルーツ」です。グレープフルーツには特別な和名がありません。漢字では「葡萄柚」と書きますが、これは中国で使われる表記であり、和名ではありませんよ。

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グレープフルーツの栄養と効能

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グレープフルーツには、ビタミンCカリウムクエン酸食物繊維などが豊富に含まれています。その栄養効果は、アメリカで生活習慣病やがん予防の健康的なフルーツとして認定されているのです!これらは体内の健康を維持してくれるだけでなく、美容効果やリラックス効果も発揮してくれますよ。では、グレープフルーツの主な栄養素と効能について詳しく解説していきましょう。

1.ビタミンC:美肌効果・生活習慣病予防・免疫力向上

グレープフルーツにはビタミンCが豊富に含まれており、1個食べると、1日に必要なビタミンCの約8割が摂取できると言われているのです。

ビタミンCは「美容ビタミン」と呼ばれており、肌の潤いとハリを与えるコラーゲンの生成を助け、メラニンの沈着を防ぎ、シミを予防してくれます。また、強い抗酸化作用があり、老化の原因となる活性酸素を取り除いてくれるので、アンチエイジング生活習慣病予防に効果が期待できますよ。さらに、ストレスや風邪から体を守り、免疫力を高める効果もあります。ビタミンCは水溶性なので、そのまま食べられるグレープフルーツは効果的に摂取できますね。

2.カリウム:高血圧予防・むくみ改善

カリウムは、体内でナトリウムとバランスを取りながら、細胞の浸透圧を調整する栄養素です。塩分が多すぎると体外に排出する働きがあるため、高血圧予防に効果が期待できますよ。また、利尿作用により、塩分と共に水分も排出されるため、むくみの改善にも役立ちます。

3.クエン酸:疲労回復・食欲増進

「夏バテ防止」などで良く耳にする「クエン酸」。他の柑橘類やお酢にも含まれている酸味成分ですね。クエン酸は、「クエン酸回路」という、食べ物から摂取した栄養をエネルギーに変える細胞の仕組みに不可欠な栄養素です。クエン酸は体内でも作られますが、食物からも取り入れることによって、クエン酸回路が活性化されエネルギー代謝が高まります。すると、疲れの原因である乳酸の分解が促進され、疲労回復筋肉痛予防の効果が期待できますよ。

また、カルシウムや鉄分などのミネラルの吸収を助けたり、食欲増進の効果もあります。

4.ナリンギン:生活習慣病予防・血行促進

ナリンギンはポリフェノールの一種で、グレープフルーツの苦味を感じる色素成分です。ビタミンCのように強い抗酸化作用があるため、老化防止生活習慣病の予防に効果が期待できます。また、食欲を抑える効果血行促進アレルギー抑制などの効果も。

なお、グレープフルーツを食べて舌がヒリヒリするのはナリンギンが原因。ナリンギンの結晶は針のような形をしているため、刺激を感じる場合があります。

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5.ペクチン(食物繊維):生活習慣病予防・便秘解消

グレープフルーツの特に薄皮の部分には水溶性食物繊維であるペクチンが豊富に含まれています。ペクチンは体内でコレステロールが吸収されるのを防いだり、食後の血糖値の上昇を抑える働きがありますよ。そのため、動脈硬化や糖尿病などの生活習慣病予防の効果が期待できますね。また、腸内の善玉菌を増やし、腸内環境を整えますので、便秘の改善にも役立ちます。

6.リモネン:リラックス効果・血行促進

リモネンは、グレープフルーツなど柑橘類の皮に含まれている香りの成分です。爽やかな香りにはリラックス効果があると言われています。さらに、交感神経を刺激し、眠気を覚まして、頭がスッキリする効果も。

様々な効能を発揮するフィトケミカルであるリモネンには、他にも血行促進免疫力向上育毛促進などにも働きかけてくれるそうですよ。また、リモネンには洗浄成分が含まれており、ハンドソープや食器洗剤など、アロマや食品以外にも使われています。

リモネンは果肉よりも皮部分に多く含まれているので、皮の香りを嗅ぐだけでも効果がありますよ。思いっきり香りたい時は、果皮に傷をつけると芳香がアップします。

気になるメリットとデメリット

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様々な効能があるグレープフルーツ。前の項目ではそれぞれの栄養素の働きを見てきましたが、具体的にどのように生かしたり、注意していけばよいでしょうか?続いてグレープフルーツを食べる時のメリットやデメリットをご紹介します。

カロリーは高いの?

果汁が多く、甘みもあるグレープフルーツ。カロリーが多いかどうか気になりますね。分かりやすく、グレープフルーツと他の果物のカロリーと糖質を比較して考えてみましょう。

果物名:100gあたりのカロリー/糖質
グレープフルーツ :38kcal/7.5g
リンゴ:57kcal /12.4g
バナナ:86kcal /19.4g
ミカン:49kcal/9.2g

以上を見てみると、グレープフルーツのカロリーや糖質は低めであることが分かります。1個分(可食部約210g)にするとカロリーは約84kcalです。推奨される1日当たりの間食の適量は200kcalですので、グレープフルーツは丸ごと1個食べても半分以下

実はグレープフルーツの約90%は水分なのです。そのため、大きくても意外にカロリーは低め。しかし、ジューシーで食べ応えがあるので、満足感は高いですよ。

\次のページで「ダイエットにピッタリ!」を解説!/

ダイエットにピッタリ!

カロリー控えめで、様々な栄養素が豊富なグレープフルーツは、ダイエット向きの食品と言えるでしょう。ダイエット中の間食にすれば、不足しがちなビタミンCの良い補給源になりますよ!

また、食物繊維カリウムの働きで、体内の老廃物を排出するデトックス効果や、クエン酸ビタミン類体の調子を整え食欲抑制効果で食べ過ぎを防いでくれるナリンギン代謝を高めてくれるリモネンなどが、ダイエットを後押ししてくれます。さらに、グレープフルーツには「ヌートカトン」という香り成分も含まれており、これに脂肪燃焼効果があるとか。

栄養面では食べたいグレープフルーツですが、香りを嗅ぐだけでも、ダイエットの近道となりそうです。

薬との相互作用に要注意

健康に良い栄養がたっぷりのグレープフルーツですが、薬を服用している時は注意が必要です。薬の種類によっては、薬の効果が強く出たり、副作用が現れやすくなりますよ。

良く知られているのが、「カルシウム拮抗剤」というグループの高血圧の治療薬です。グレープフルーツと一緒に摂取すると、血圧が下がりすぎたり、心拍数が早くなりすぎるなどの副作用が起こる可能性が。

これらの影響は、グレープフルーツの果肉と同様に、グレープフルーツジュースでも起こります。また、薬と同時に摂取しなければ良いというわけではなく、数日に及び作用するので、しっかり避けたほうが良いでしょう。グレープフルーツと飲み合わせの悪い医薬品は多いです。薬を服用する場合は医師や薬剤師に確認してくださいね。

果肉にも皮にも嬉しい効果がたっぷり!薬の飲み合わせは注意して!

グレープフルーツには、体を作る栄養面だけでなく、ダイエット効果やリラックス効果など様々な効果が期待できる嬉しいフルーツです。カロリーも控えめで、ダイエット中でも頼もしいおやつに。ただし、一部の薬とは飲み合わせが悪く、注意が必要ですよ。グレープフルーツのメリット・デメリットをしっかり理解して、毎日の健康に役立てましょう。

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簡単でわかりやすい!グレープフルーツの栄養と効果は?ダイエット向き?名前の由来や歴史も果物大好きパティシエが詳しく解説

グレープフルーツは我々の食生活でも身近な果物です。酸味とほろ苦さのあるジューシーな果肉は、健康にも良さそうです。実際、ダイエット効果など、嬉しい効能がたくさん詰まっているんです。ところで、グレープフルーツは柑橘類なのに、なぜ「グレープ」というのでしょう?名前の由来や歴史については意外に知っているようで知らないもんです。今回の記事では、グレープフルーツの栄養や効能、歴史などを果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。グレープフルーツのお気に入りのアレンジは、果汁を混ぜ込んで作るグレープフルーツシフォンケーキ!

グレープフルーツはどんな果物?

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グレープフルーツは、ミカン科ミカン属グレープフルーツ種の果物で、柑橘類のひとつです。主な産地はアメリカのフロリダ南アフリカで、特にアメリカでは人気が高く、世界中で親しまれています。

国内では栽培が難しいため、国産のものはごくわずか。そのため、国内で出回っているグレープフルーツはほとんどが輸入品になります。産地によって旬はあるものの、一年中出回っていますね。

果実の特徴

形は球形で、1個のサイズは直径が約10~15cm重さが300~500gと柑橘類の中では大きめ。皮は薄く、手で剥きづらいですが、ジューシーで柔らかな果肉は、爽やかな酸味とほのかな甘みと苦味の独特の清涼感があります。

果皮の色は主に黄色ですが、果肉の色は大きく分けて「ホワイト・ルビー・ピンク」と3種類です。果肉が赤っぽい品種の方が、ホワイトに比べて酸味が少なく甘みが強い傾向があると言われています。

発見から、身近な果物になるまで

グレープフルーツの歴史は意外に浅く、1750年代に西インド諸島のバルバドスで発見されました。文旦(ブンタン)とオレンジが自然に交配したものと考えられています。1823年フロリダに伝わり、アメリカでの大規模な栽培が始まりました。その後、世界各地に広がっていったそうです。

日本には大正時代にやってきました。しかし、日本の気候では栽培が難しく、一部のグレープフルーツだけが高級品として食べられていました。転機は1971年輸入自由化。海外からのグレープフルーツの輸入が緩和され、大量に出回るようになると、一般家庭でも身近なフルーツになりました。

なぜ「グレープ」フルーツ、なの?

「グレープフルーツ」という名前、グレープ(=ブドウ)とは見た目も味も全然似ていないのに、なぜ「グレープ」と付くのか不思議に思ったことはありませんか?実は、名前の由来は「実のなり方」から来ているのです。1本の枝にたくさんの果実が房状に実る様子ががブドウ(グレープ)に似ていることから。発見当初は「forbidden fruit(禁断の木の実)」と呼ばれていたそうですよ。「グレープフルーツ」という呼び名は1800年代から使われ始めました。

ちなみに和名はというと…そのまま「グレープフルーツ」です。グレープフルーツには特別な和名がありません。漢字では「葡萄柚」と書きますが、これは中国で使われる表記であり、和名ではありませんよ。

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