VPNやプロキシって聞いたことあるか。学生やサラリーマンは学校や会社で使用しているかもしれませんね。どちらもセキュリティ対策に使うらしいが、どう違うのか分かるか。ひとまとめにセキュリティと言ってもVPNとプロキシでは守るものが違う。何が違い、目的が何かをVPNやプロキシを日常的に利用していたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。在職中は日々プロ棋士のお世話になり、出張時やリモートワークではVPNを利用していた。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

どちらも秘密を守るが、対象が違う

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会社や学校でプロキシを使っているという方も多いかと思います。一方、リモートワークが普及してVPNを使い始めたという人も。どちらもセキュリティに関係するものというのは分かるけれど、具体的にはどう違うのかわからないという方も多いのでは?

ざっくり言えばVPNはネットでやり取りしている内容を守るもの、プロキシは通信相手から自分のパソコンやスマホを守るもの、です。ここではVPNとプロキシの違いや、どういう場面で使うのかを解説していきます。

VPN:通信経路を守るもの

主に会社などで外部から会社のコンピューターに接続して作業する際に使うのがVPNです。例えば、ホテルやカフェのWifiなどは流れている内容を盗み見られてしまうことも。会社の業務内容は秘密にしなければならないものも多いので、盗み見られては困りますよね。そのため、自分のパソコンと会社のコンピューターの間の通信内容を外から分からないようにするのがVPNの役割です。

以前は出張する場合や外回りする営業マン、休日にも自宅から緊急対応しなければならない人などの一部の人のものというイメージでした。最近はリモートワークの普及でVPN利用も広がっています。パソコンで使うのが普通ですが、最近はスマホでも利用可能です。

プロキシ:ネットに繋いでいるパソコンやスマホを守るもの

プロキシは会社や学校などで外部のWebサイトをアクセスする際に設定が必要な場合があります。また、インターネットプロバイダーがサービスとして提供していることも。ただ、一般的にはあまり使われていないかもしれません。

元々は学校や会社の中のネットワークと外のインターネットを中継するものでした。しかし、様々な便利な機能が提供されています。その中にはコンピュータウィルスから守ってくれるものも。すべてのプロキシにその機能があるわけではないですが、会社や学校のプロキシでは使えるものも多いです。

点と線?プロキシとVPNの違い

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VPNとプロキシの違いをざっくり説明しましたが、その違いは点と線です。VPNは線を守り、プロキシは点を守ります。これだけではさっぱりかと思うので、もう少し詳しく解説しますね。

\次のページで「境い目で働くプロキシ」を解説!/

境い目で働くプロキシ

プロキシというのは多くはネットワークの境い目にあります。ネットワークの境い目とは、例えば会社や学校のネットワークと外のインターネットの境い目です。この境い目にあって様々な役割をこなしています

プロキシとは英語のproxyのことで、代理という意味。日本語表記するときは「プロキシ」、「プロクシ」とも。またネットスラングでは「串(くし)」と省略することもあります。ネットワークの中と外の中継がプロキシの役目です。会社や学校内から見れば外のWebサイトの代理でプロキシが情報を送ってきます。また外のWebサイトから見れば中のパソコンの代理です。そのためプロキシ(代理)と呼ばれています。

プロキシの便利機能

ざっくり説明でプロキシの役割を説明しましたが、それはほんの一部。他にも様々な役割があります。一番多いのはWebサイト表示の高速化です。会社や学校からWebサイトにアクセスする時、もしかすると他の人がもう見ているかもしれませんよね。その場合はその時にとってあった内容を表示することで目的のWebサイトがすぐに表示されます。プロキシと目的のWebサイトの間の往復分、早くなるわけです。

その他、中と外のやり取りを中継しているので、様々な役割を果たしています。具体的な例を挙げておくので確認してください。このすべての機能がどのプロキシでも使えるわけではありませんが、多くの役割があるのがわかりますよね。

・やり取りしている内容にコンピューターウィルスが紛れていないかチェック
・会社や勉強に関係ないWebサイトや、違法なWebサイトを見られなくする
・外国語を日本語に翻訳する
・通信回線が混雑している場合に規制や制限する

VPNは音声通話アプリ?

VPNは「Virtual Private Netowark」の略です。日本語にすると「仮想的な専用線」となります。専用線というのは通常の電話や通信の回線とは別に、利用会社が電話・通信会社や自分の会社の別の拠点との間に引く専用の電話・通信回線のこと。これは物理的に光ケーブルなどで繋ぐのですが、VPNは仮想的に専用線と同じことをするものです。

イメージとしてはスマホのチャットアプリの音声通話機能に似ています。スマホの料金は通話と通信では別ですよね。しかし、スマホのチャットアプリでは通常の通話とは別に音声通話ができるようになっています。これは電話の機能を仮想的に実現しているから。通話アプリを使えば電話代がかかりませんが、同じことができるわけです。

途中経路もガードするVPN

VPNはトンネルみたいなものです。入り口があれば出口も必要になります。入り口はパソコンやスマホにインストールしたVPNアプリです。そして、VPNサービス会社には出口があります。その出口から目的のWebサイトとやりとりするわけです。遠回りしているようですが理由があります。

自宅やカフェのWifiからWebにアクセスするとWifiルーターなどからインターネットプロバイダーを経由して、目的のWebサイトと通信しますよね。この途中で中身を盗み見ることも不可能ではありません。しかし、VPNはトンネルを利用することで中身を隠すことが可能。VPNを使うとやり取りしている内容は暗号化されるので、盗み見られても中身がわからないわけです。

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どう使い分ける?プロキシかVPNか

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VPNとプロキシの特徴や違いを見てきました。実際にはどういう場面で使うのでしょうか。ここではプロキシとVPNを実際にどう使うかを解説します。

併用も可能!プロキシとVPN

そもそもVPNとプロキシは目的が違うので、併用することも可能です。例えば、会社でリモートワークする場合、VPNで会社のネットワークにアクセスします。さらに会社のプロキシから外のWebサイトを見ることも。そのため併用も可能なわけです。

しかし、注意点もあります。例えば、会社や学校の中からVPNで外のWebサイトにアクセスすると、会社や学校のプロキシを使うことはできません。そこをすり抜けてしまうためです。プロキシの様々な役割の一つにコンピュータウィルスから守ったりすると説明しましたよね。しかし、VPNを使うとプロキシを経由しないので、チェックも素通りしてしまいます。それではチェックしている意味がありませんよね。そのため、VPNが使えないようになっている場合もあります。

リモートワークでも活躍するVPN

以前はVPNを使うのはカフェや自宅などで仕事をするフリーランスや、営業などで外出する機会が多いサラリーマンが一般的でした。しかし、最近はリモートワークやワーケーションも広がり、VPNも一般的になってきました。今までVPNを見たことも触ったこともない人でも、今後は必要になってくるかもしれませんね。

ただ、VPNはトンネルと説明した通り、入り口と出口が必要。会社にVPNの出入り口がなければ、使いたくても使えません。最近スマホのセキュリティソフトでVPNサービスを提供するものもあるので、スマホをカフェなどの公衆Wifiに繋ぐときに使うというのも一般的になるかもしれません。

最近はあまり利用しないプロキシ

ではプロキシはどういう場合に使うでしょうか。会社や学校によってはWebを使うために必須の場合があります。しかし、そうでない場合はなかなか使う機会がないかもしれません。その理由がWeb世界の進化です。

プロキシの便利な機能の最初に高速化をあげました。プロキシに他の人がアクセスした時の内容を残しておけば、同じWebサイトをアクセスした人にすぐに送ることができるため、高速化できるのですよね。しかし、昔のWebと違って今のWebは動きがあるものや、個人ごとに内容が変化するものが多いです。つまり、保存しておいた他の人の情報が流用できないことも。そのため、高速化のためにプロキシを使うことが減ってしまったのです。

セキュリティのために使うVPNとプロキシ

プロキシは元々は会社や学校などのネットワークと外部のインターネットとの境い目で外と中を中継するためのものです。様々な役割がありますが、コンピュータウィルスのチェックや閲覧サイトの制限といったセキュリティのためにも使われるようになりました。

一方、VPNは手元のパソコンやスマホとインターネットの間の通信経路を暗号化します。暗号化するため内容を盗み見ることがは不可能です。カフェや自宅のネットから会社などに接続する際に情報漏洩しないように使います。目的はセキュリティ対策と同じですが、守る内容や守り方が違うわけです。

" /> VPNとプロキシの違いとは?秘密を守る対象が違う?特徴や使い分けもプログラマーがわかりやすく解説 – Study-Z
IT・プログラミング雑学

VPNとプロキシの違いとは?秘密を守る対象が違う?特徴や使い分けもプログラマーがわかりやすく解説

VPNやプロキシって聞いたことあるか。学生やサラリーマンは学校や会社で使用しているかもしれませんね。どちらもセキュリティ対策に使うらしいが、どう違うのか分かるか。ひとまとめにセキュリティと言ってもVPNとプロキシでは守るものが違う。何が違い、目的が何かをVPNやプロキシを日常的に利用していたプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。在職中は日々プロ棋士のお世話になり、出張時やリモートワークではVPNを利用していた。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

どちらも秘密を守るが、対象が違う

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会社や学校でプロキシを使っているという方も多いかと思います。一方、リモートワークが普及してVPNを使い始めたという人も。どちらもセキュリティに関係するものというのは分かるけれど、具体的にはどう違うのかわからないという方も多いのでは?

ざっくり言えばVPNはネットでやり取りしている内容を守るもの、プロキシは通信相手から自分のパソコンやスマホを守るもの、です。ここではVPNとプロキシの違いや、どういう場面で使うのかを解説していきます。

VPN:通信経路を守るもの

主に会社などで外部から会社のコンピューターに接続して作業する際に使うのがVPNです。例えば、ホテルやカフェのWifiなどは流れている内容を盗み見られてしまうことも。会社の業務内容は秘密にしなければならないものも多いので、盗み見られては困りますよね。そのため、自分のパソコンと会社のコンピューターの間の通信内容を外から分からないようにするのがVPNの役割です。

以前は出張する場合や外回りする営業マン、休日にも自宅から緊急対応しなければならない人などの一部の人のものというイメージでした。最近はリモートワークの普及でVPN利用も広がっています。パソコンで使うのが普通ですが、最近はスマホでも利用可能です。

プロキシ:ネットに繋いでいるパソコンやスマホを守るもの

プロキシは会社や学校などで外部のWebサイトをアクセスする際に設定が必要な場合があります。また、インターネットプロバイダーがサービスとして提供していることも。ただ、一般的にはあまり使われていないかもしれません。

元々は学校や会社の中のネットワークと外のインターネットを中継するものでした。しかし、様々な便利な機能が提供されています。その中にはコンピュータウィルスから守ってくれるものも。すべてのプロキシにその機能があるわけではないですが、会社や学校のプロキシでは使えるものも多いです。

点と線?プロキシとVPNの違い

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VPNとプロキシの違いをざっくり説明しましたが、その違いは点と線です。VPNは線を守り、プロキシは点を守ります。これだけではさっぱりかと思うので、もう少し詳しく解説しますね。

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