一昔前まで、体に良いオイルの中で身近に手に入るものといえばオリーブオイルくらいだったが、近年はアマニオイル、ココナッツオイル、アボカドオイルなど、様々なオイルを見かけるようになったな。必須脂肪酸のリノール酸やオレイン酸を豊富に含んだり、独特の味や香りがあるなど、それぞれに違いがあるんです。今回はその中でも日本伝統の油といわれる米油についてみていこう。米油を使ったおいしい食べ物、作り方や保存方法についてもフードアナリストのコナパパと一緒に解説していきます。

ライター/コナパパ

フードアナリスト。元コックで、さまざまな食材に対する知識がある。今回はお米から作られる油、米油について解説していく。

米油を使った美味しい食べ物は?

近年、色々な種類の油を見かけますが、米油は使うだけで美味しくなる食べ物があるんですよ。ここでは米油を使うことで美味しくなる食べ物を3つご紹介します。

1.お弁当

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ひと言でお弁当といっても中身は色々ありますよね。米油で美味しくなる料理は揚げ物と炒めものです。お弁当は作ってから食べるまでに時間がかかるので、米油を使うことで時間が経っても美味しく食べられるんですよ。その理由は、米油は抗酸化作用が強く劣化しにくいので、時間が経っても美味しく感じるのです。また、冷めてもからっとした食感をキープするので、お弁当におすすめなんですよ。

2.焼き菓子

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米油をクッキーなどの焼き菓子に、バターやショートニングの代わりに使うのもおすすめです。米油は、体に悪影響を与えるトランス脂肪酸が少なく、酸化もしにくいので美味しさを持続できるんですよ。揚げ物と似た表現にはなりますが、焼き菓子がさくっとした食感になるのも米油の特徴です。

3.ご飯を炊く際に加える

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ご飯を炊くときに、米油を少量加えるとふっくらとつやが出て、冷めても美味しく食べられるご飯になるんですよ。米の一粒ひと粒の回りに油の膜ができ、お米がしっかりと水分を吸い、逃さないことで炊きあがったご飯の量も多くなります。また、釜を洗うのもご飯がこびりつきにくくなるメリットもあるんですよ。

米ぬかには白米よりも栄養素が含まれているので、ご飯を炊くときに米油を少量加えることは、米油の栄養も米に戻すことになるので理にかなっているのです。

米油の製造方法と危険性

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米油の製造方法は大きく分けて2種類あります。製造方法で、原料である米ぬかの栄養素を残すことが出来たり、危険といわれる要因も生まれるので、ここで詳しく解説してきますね。

\次のページで「1.溶剤抽出法」を解説!/

1.溶剤抽出法

溶剤抽出法は、ノルマルヘキサンという溶剤を使用し、高温加熱をして抽出する製法です。この製法は菜種油、大豆油を抽出する際にも使われる製法で、圧搾抽出法と比べると無駄なく米油を抽出することができるので溶剤抽出法で作られた米油は比較的、安価で売られています。しかし、米油特有の栄養素は高温加熱をする際に失われてしまいやすい製法なんですよ。

2.圧搾抽出法

圧搾抽出法は、圧搾機などを使い米ぬかに圧力をかけ、米油を抽出する方法です。圧搾抽出法で油を抽出すると、ビタミンなどの栄養素が残りやすいので健康を意識する人は、圧搾抽出法によって精製された米油を選ぶのをおすすめします。いっぽうで、栄養素は残りやすい製法ですが、米ぬかの油分をしっかりと絞り切ることが出来ないため、価格が高くなってしまう傾向です。

米油と化学物質

メディアでは米油が危険だと取り上げられたこともありますが、これは間違いとも正しいともいえます。危険とされる理由は、米油を製造する工程でノルマルヘキサンという溶剤を使って抽出されているからです。ノルマルヘキサンとは、石油系の溶剤でガソリンに多く含まれています。米油に限らず、安価な油の抽出時に使われていますが、多くのメーカーでノルマルヘキサンは高温加熱するときに蒸発するので、米油には残らないと説明しているのです

ノルマルヘキサンは、すべての米油の製造工程で使われているわけではないので、気にされる人は「圧搾」と表示されている米油の購入をおすすめします。

米油が危険と思われている理由は、抽出する際にノルマルヘキサンを使っている以外にもう一つ理由があります。それは「カネミ油症事件」というものが起きたからです。この事件は昭和43年に、カネミ倉庫が製造する「カネミライスオイル」という米油にダイオキシンが混入したことにより、摂取した人や胎児に障害が発生した食中毒事件で、社会に大きな衝撃を与えました。

事件が起きたのは、ノルマルヘキサンを使用していたことが理由ではなく、製造工程でダイオキシンが混入してしまったことが理由とされています。米油の通常の製造工程ではダイオキシンが混入することはないのです。しかし、カネミ油症事件は米油を摂取して起きた食中毒のイメージが強く残っているので、近年でも米油が危険といわれているんですよ。

どうやって保存するの?

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油は腐ることがありません。しかし、酸素と結びつくと酸化し劣化してしまいます。そのため、保存方法によって米油の特性を損なわずに使える期限が変わってくるのです。ここでは開封前と開封後に分けて保存方法を解説します。

\次のページで「開封前の保存方法は?」を解説!/

開封前の保存方法は?

米油は油の中でも、酸化に強く劣化しにくい特徴があります。開封前は、他の食用油と同様に直射日光を避け常温で保存が基本です。夏の暑い時期などは常温でも、米油が熱くなってしまうのでなるべく涼しい場所に保管するのが良いでしょう。

開封後の保存方法は?

開封後は、風味が飛んでしまったり酸化が早まるので、1、2か月以内に使い切るのがおすすめです。内容量が多くお得な商品もありますが、短期間で消費することが出来なければおすすめできません。また、油は光に当たると劣化が進んでしまうので冷暗所で保存をし、賞味期限に関わらずなるべく早く消費するようにしましょう。

米油を使うことのメリット、デメリット

米油を使うことのデメリットは、ほかの油と比べても高価なことと、危険性があるということです。しかし、危険性はこれまで説明してきたとおり、勘違いをされている部分が大きいので、現在製造されている米油は安全といっても問題はありません。

メリットは、米ぬかの栄養素であるビタミンEやγオリザノールといった栄養素が摂れること、料理やお菓子自体が油っぽさを感じずに、酸化しにくく美味しさを保てることがあげられます。

米油の正しい知識を理解して美味しく使おう

米油は製造工程で、ノルマルヘキサンという溶剤を使っていますが、蒸発して米油自体には残らないこともわかりました。また、健康面でもたくさんの栄養素を含んでおり優れているのです。米油に限らず、日頃から使っている油は体に影響を与える食材なので、今一度ふだん使っている油に目を向けてみましょう。

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家庭科

米油を使った美味しい食べ物は?作り方による違いや保存方法もフードアナリストが簡単にわかりやすく解説

一昔前まで、体に良いオイルの中で身近に手に入るものといえばオリーブオイルくらいだったが、近年はアマニオイル、ココナッツオイル、アボカドオイルなど、様々なオイルを見かけるようになったな。必須脂肪酸のリノール酸やオレイン酸を豊富に含んだり、独特の味や香りがあるなど、それぞれに違いがあるんです。今回はその中でも日本伝統の油といわれる米油についてみていこう。米油を使ったおいしい食べ物、作り方や保存方法についてもフードアナリストのコナパパと一緒に解説していきます。

ライター/コナパパ

フードアナリスト。元コックで、さまざまな食材に対する知識がある。今回はお米から作られる油、米油について解説していく。

米油を使った美味しい食べ物は?

近年、色々な種類の油を見かけますが、米油は使うだけで美味しくなる食べ物があるんですよ。ここでは米油を使うことで美味しくなる食べ物を3つご紹介します。

1.お弁当

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ひと言でお弁当といっても中身は色々ありますよね。米油で美味しくなる料理は揚げ物と炒めものです。お弁当は作ってから食べるまでに時間がかかるので、米油を使うことで時間が経っても美味しく食べられるんですよ。その理由は、米油は抗酸化作用が強く劣化しにくいので、時間が経っても美味しく感じるのです。また、冷めてもからっとした食感をキープするので、お弁当におすすめなんですよ。

2.焼き菓子

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米油をクッキーなどの焼き菓子に、バターやショートニングの代わりに使うのもおすすめです。米油は、体に悪影響を与えるトランス脂肪酸が少なく、酸化もしにくいので美味しさを持続できるんですよ。揚げ物と似た表現にはなりますが、焼き菓子がさくっとした食感になるのも米油の特徴です。

3.ご飯を炊く際に加える

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ご飯を炊くときに、米油を少量加えるとふっくらとつやが出て、冷めても美味しく食べられるご飯になるんですよ。米の一粒ひと粒の回りに油の膜ができ、お米がしっかりと水分を吸い、逃さないことで炊きあがったご飯の量も多くなります。また、釜を洗うのもご飯がこびりつきにくくなるメリットもあるんですよ。

米ぬかには白米よりも栄養素が含まれているので、ご飯を炊くときに米油を少量加えることは、米油の栄養も米に戻すことになるので理にかなっているのです。

米油の製造方法と危険性

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米油の製造方法は大きく分けて2種類あります。製造方法で、原料である米ぬかの栄養素を残すことが出来たり、危険といわれる要因も生まれるので、ここで詳しく解説してきますね。

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