油は料理をするのに欠かせないよな。その油ですが、ふだんからどんなものを使っているかによって、将来の健康リスクが大きく変わってくるんです。ですが、どんな油を使えば良いかわからない人も多いんじゃないか?今回は健康に良いとされている米油がどんな油なのか、栄養や効能、使い方についてもフードアナリストのコナパパと一緒にみていきます。

ライター/コナパパ

フードアナリスト。元コックで、さまざまな食材に対する知識がある。今回はお米から作られる油、米油について解説していく。

米油はどんな油?

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「米油」はなんて読むのか知っていますか?実は、こめあぶら、べいゆ、こめゆと読み方は色々とあるんですよ。日本農林規格(JAS)は「こめ油」を使用しており、商品名の多くはこめ油と表記されているのです。ここでは、米油にはどんな特徴があるのか、サラダ油との違いについても解説します。なお、ここからは「米油」の表記で解説していきますね。

米油はお米から作られるの?

米油は、名前の通りお米から作られていますが、正確には玄米を精米する際にできる米ぬかから作られます。米ぬかから作られている油なので栄養素も米ぬかと同じものを多く含んでいるんですよ。

以前は、国産の原料がほとんどでしたが、近年人気が出てきたことでタイ米などの外国産の原料も使われるようになりました。国産にこだわる人は、原材料を確認してから購入しましょう。特に安価なものは注意して下さいね。

米油の歴史

米油がはじめて作られたのは、江戸時代までさかのぼります。現在の三重県にあたる桑名で、米ぬかに落としてしまった和紙を見て油が染みていることに気づき、米ぬかにも油分が含まれていることがわかったとされているんですよ。しかし、当時の技術では米油の摂れる量が少なく、あまり広まることはありませんでした。

その後、圧搾技術が進歩したことで石鹸などが作られるようになり、1938年に食用の米油がはじめて作られました。

米油とサラダ油の違いは?

米油は、米ぬかから抽出される油のことです。脂肪として体につきにくく、くせのない油なので揚げ物などの料理以外に、お菓子にも使うことができます。

いっぽうのサラダ油は、サラダが原料なわけではなく、サラダにそのまま使える油の総称なんですよ。一般的なサラダ油の原料は、アブラ菜、綿実、大豆、ごま、サフラワー、ひまわり、とうもろこし、米、ぶどうの9種類と定められています。サラダ油は、油を精製する工程で高温処理を行う場合があり、この時にトランス脂肪酸が発生するので、サラダ油などの精製された植物油には体に悪影響を及ぼすトランス脂肪酸が微量ながら含まれているんですよ。

気づいた人もいると思いますが、米もサラダ油の原料として定められているので、米油も実はサラダ油の一種なのです。しかし、他のサラダ油の原料よりもトランス脂肪酸が少なく、熱にも強い特徴があるんですよ。

価格はどうなの?

米油の価格は高い傾向があります。その理由は大量生産が難しく、玄米100kgに対して米油は約1kgほどしか取ることが出来ないため、サラダ油の2倍ほどの価格がするのも珍しくないのです。しかし、価格に見合った健康に対する効果が大きいので、健康を気にされる人にはおすすめの油の一つなんですよ。

\次のページで「米油の栄養と効能3選」を解説!/

米油の栄養と効能3選

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米油は体に良いとよくいわれますが、何に良いのか知らない人も多いのではないでしょうか。ここでは、米油は実際にどんな栄養と効果があるのか詳しく解説します。

1.スーパービタミンEのトコトリエノールで若返り

米油に含まれるビタミンEの一つ、トコフェロールの含有量は、体に良いとされるオリーブオイルの約3倍にもなるんですよ。ビタミンEはビタミンの中でも特に抗酸化作用が強いことで知られています。脂溶性のビタミンで体内の脂質を酸化させない働きがあり、動脈硬化や血栓の予防、コレステロールを抑えるなどの効果が期待できるので「若返りのビタミン」といわれているんですよ。

米油には、トコフェロールだけでなく「スーパービタミンE」と呼ばれているトコトリエノールというビタミンEも含んでいます。その効果はもう一つのビタミンEであるトコフェロールの50倍ともいわれているんですよ。

2.植物ステロールで生活習慣病予防

植物ステロールは、植物胚芽に多く含まれている天然の植物成分です。コレステロールの体内への吸収を抑える働きがあり、血中コレステロールを下げてくれます。コレステロールが気になる方の食生活の改善に効果があり、生活習慣予防の効果が期待できるんですよ。

3.γオリザノールで自律神経を整える

γ(ガンマ)オリザノールは、米ぬかに含まれるポリフェノールの一種で、植物性油のなかでも米油にしか含まれない栄養素です。米油栄養素のなかでも最も有名で、自律神経の働きをよくし、過労やストレス、不眠など自律神経失調症に効果があります。

また、トコトリエノールと同様に抗酸化作用があり、老人性認知症、生活習慣病、更年期障害など様々な効果が期待できるんですよ。

\次のページで「米油の有効な使い方3選」を解説!/

米油の有効な使い方3選

米油が、他の油と比べても体に良いことは知っていても使い方を知らなければ使えませんよね。ここでは、米油の有効な使い方について解説していきます。

1.加熱せずに使う

米油は、サラダ油の一種で味や香りなどにくせがなく、さらさらしているのでドレッシングなどに使うことが出来ます。野菜に含まれるビタミンは、油と一緒に摂ると吸収がよくなるので相乗効果が期待できるんですよ。また米油は、他の食材とも混ざりやすいといった特徴もあります。

2.揚げ油として使う

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米油は熱に強く酸化しにくいのが特徴なので、他のサラダ油などと比べても揚げ油に向いているんですよ。米油を使って揚げ物をするとからっとあがり、油特有の嫌な香りも抑えられ胃もたれも起こりにくくなります。また、他の油よりもさらっとしているので、洗うのも楽になるんですよ。

3.お菓子に使う

焼き菓子に米油を使うのもおすすめです。米油は抗酸化作用が強いので油の嫌な匂いが出るのを抑え、お菓子が酸化しにくく日持ちしやすくなるんですよ。ショートニングやマーガリンに多く含まれるトランス脂肪酸も少ないので、健康面も気にされる人は、家庭で焼菓子を作る際にぜひ米油を使ってみてください。

\次のページで「米油の特徴や有効な使い方知ろう」を解説!/

米油の特徴や有効な使い方知ろう

米油は米ぬかから出来ているので、健康面においても体に良いことがわかりましたね。老人性認知症、生活習慣病、更年期障害など様々な効果が期待できるので、有効な使い方を理解して料理やお菓子にもに使ってみて下さい。ただ、体に良いといっても油なので過剰摂取には気をつけましょう。

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家庭科

米油はどんな油なの?栄養や効能・有効な使い方についてもフードアナリストが簡単にわかりやすく解説

油は料理をするのに欠かせないよな。その油ですが、ふだんからどんなものを使っているかによって、将来の健康リスクが大きく変わってくるんです。ですが、どんな油を使えば良いかわからない人も多いんじゃないか?今回は健康に良いとされている米油がどんな油なのか、栄養や効能、使い方についてもフードアナリストのコナパパと一緒にみていきます。

ライター/コナパパ

フードアナリスト。元コックで、さまざまな食材に対する知識がある。今回はお米から作られる油、米油について解説していく。

米油はどんな油?

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「米油」はなんて読むのか知っていますか?実は、こめあぶら、べいゆ、こめゆと読み方は色々とあるんですよ。日本農林規格(JAS)は「こめ油」を使用しており、商品名の多くはこめ油と表記されているのです。ここでは、米油にはどんな特徴があるのか、サラダ油との違いについても解説します。なお、ここからは「米油」の表記で解説していきますね。

米油はお米から作られるの?

米油は、名前の通りお米から作られていますが、正確には玄米を精米する際にできる米ぬかから作られます。米ぬかから作られている油なので栄養素も米ぬかと同じものを多く含んでいるんですよ。

以前は、国産の原料がほとんどでしたが、近年人気が出てきたことでタイ米などの外国産の原料も使われるようになりました。国産にこだわる人は、原材料を確認してから購入しましょう。特に安価なものは注意して下さいね。

米油の歴史

米油がはじめて作られたのは、江戸時代までさかのぼります。現在の三重県にあたる桑名で、米ぬかに落としてしまった和紙を見て油が染みていることに気づき、米ぬかにも油分が含まれていることがわかったとされているんですよ。しかし、当時の技術では米油の摂れる量が少なく、あまり広まることはありませんでした。

その後、圧搾技術が進歩したことで石鹸などが作られるようになり、1938年に食用の米油がはじめて作られました。

米油とサラダ油の違いは?

米油は、米ぬかから抽出される油のことです。脂肪として体につきにくく、くせのない油なので揚げ物などの料理以外に、お菓子にも使うことができます。

いっぽうのサラダ油は、サラダが原料なわけではなく、サラダにそのまま使える油の総称なんですよ。一般的なサラダ油の原料は、アブラ菜、綿実、大豆、ごま、サフラワー、ひまわり、とうもろこし、米、ぶどうの9種類と定められています。サラダ油は、油を精製する工程で高温処理を行う場合があり、この時にトランス脂肪酸が発生するので、サラダ油などの精製された植物油には体に悪影響を及ぼすトランス脂肪酸が微量ながら含まれているんですよ。

気づいた人もいると思いますが、米もサラダ油の原料として定められているので、米油も実はサラダ油の一種なのです。しかし、他のサラダ油の原料よりもトランス脂肪酸が少なく、熱にも強い特徴があるんですよ。

価格はどうなの?

米油の価格は高い傾向があります。その理由は大量生産が難しく、玄米100kgに対して米油は約1kgほどしか取ることが出来ないため、サラダ油の2倍ほどの価格がするのも珍しくないのです。しかし、価格に見合った健康に対する効果が大きいので、健康を気にされる人にはおすすめの油の一つなんですよ。

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