なぜ日系人はブラジルとハワイに多い?これまでの日系人の歩みや各地での待遇などを歴史好きライターがわかりやすく解説
1990年代から日系人の来日が進む
1990(平成2)年に出入国管理法(入管法)が改正され、日系3世までが日本で就労可能となる「定住者」という地位が創設されます。その頃の南米はインフレで雇用が減った国が多く、逆に日本は労働者不足となっていました。そのため、ブラジル・ペルー・ボリビア・アルゼンチンといった国々から日系人が続々と来日したのです。
南米から「デカセギ」のため日本に来た日系人は、自動車工場などに務めるようになります。デカセギの日系人が日本に家族を作ると、安定した収入を得られる日本での生活を望んでそのまま日本に定住しました。全国各地には、デカセギで来日した日系人によるコミュニティが形成されています。
日系人コミュニティが抱える諸問題
現在は日本の各地に日系人のコミュニティが形成され、日系人が地域社会と共生できているように見えます。しかし、日系人のコミュニティではいろいろな問題を抱えているのです。まず挙げられるのは、日本語の習得に苦労していることでしょう。日本語指導の充実や、的確な情報提供などが求められます。
さらに、日系人の地位が高くないという状況も見逃せません。日系人の就職先がいわゆる3K(きつい・汚い・危険)の職場であることが多く、機会が均等に与えられているとはいえない状況が続いています。職業訓練などのような専門的知識を修得する機会を設けたり、行政の手厚いサポートが必要となるでしょう。
世界各地に数百万人の日系人が暮らしている
日系人は、現在は数百万人が世界各地に住んでいます。その多くは、ブラジルやアメリカへの移民となって農場などで働いた日本人の子孫です。戦時中に差別的な扱いを受けた日系人もいましたが、今では世界各地に日系人のコミュニティを形成しています。さらには、海外から日系人を日本に受け入れるようにまでなりました。






