この記事では生もみじともみじ饅頭の違いについてみていきます。もみじ饅頭は、厳島神社の大鳥居や紅葉の景勝地として有名な安芸の宮島および周辺で作られている銘菓です。近年ではもみじ饅頭だけでなく、生もみじというお菓子も話題になっている。食べた人の感想によると生地や食感について違いがあるようです。今回は両者について、お菓子が大好きな文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

父が広島の本社に出張するたびに、もみじ饅頭のお土産をねだった食いしん坊の文学部卒ライター。

もみじ饅頭:広島(宮島近辺)の銘菓

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もみじ饅頭は、明治時代に宮島のもみじの名所「紅葉谷(もみじだに)」の旅館でお客さんに出されたのが最初。旅館にお菓子を納入していた宮島の菓子職人が作り、当初は「7つの切れ込みのある葉の形・2頭の鹿の絵柄」という非常に凝ったスタイルでした。現在、もみじ饅頭を作った菓子職人のお孫さんが『元祖もみぢ饅頭』として宮島口(本州側)で手焼きのもみじ饅頭を販売をしています。

ただ、開発者はもみじ饅頭を広く作る目的で意匠登録を更新はしないままにして、今に至るまで様々な製菓メーカーから販売中です。

もみじ饅頭は「もみじまんじゅう」とひらがなで表記されている場合も。「もみまん」と略称で呼ばれることもあるようですよ。多くの人気メーカーでは、国内産のあずきや砂糖、地元の食材を選び、素材にこだわっているのが特徴です。

由来:伊藤博文の冗談

もみじ饅頭の名前は、宮島の紅葉谷の名物から取ってもみじの形をしているからという理由だけではありません。明治期の政治家、伊藤博文の軽い冗談が由来しているという説もあります。

宮島で保養するのが好きだった伊藤博文は、旅館で休憩をしていた時にお給仕に上がった女性の手を見ました。「可愛らしいもみじのような手だな。焼いて食べたら美味しかろう。」と。そのことを聞きつけた旅館の女将が、饅頭をもみじの形にしたらどうかと考えたということです。

生地:カステラとこしあん

もみじ饅頭の基本形は当初の通り、外側がカステラ生地で中に柔らかいこしあんが包まれているものです。形は指のように切り込みが入ったもみじの葉が特徴。赤く色づいた葉に合わせて、赤みがかった茶色のようにこんがりと焼かれています。

つぶあんは昭和初期に昭和天皇の弟に当たる高松宮宣仁親王がリクエストされたもの。その他、抹茶あん、白あん、チーズ、クリームなどのあんも人気です。

食感:ふわふわで柔らかい

もみじ饅頭の食感は、カステラ生地とこしあんがふわふわで柔らかいのが特徴。大きさは大人の手のひらサイズ程度であっさりとした甘さでしつこくなく、子供からシニア層まで食べやすいです。ついつい、1回に2~3個平らげてしまう人もいます。

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生もみじ:にしき堂のもみじ型の生菓子

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生もみじは、もみじ饅頭のメーカーで有名な『にしき堂』で開発されたお菓子です。他の製菓メーカーでは作られていません。外見はもみじに似通った赤みがかった茶色の焼き色がつき、通常のもみじ饅頭とほぼ同じ色合いです。

もみじ饅頭のように葉の形ではなく、5角形の星型に近い形で表面に鹿が刻印されています。宮島には鹿が放し飼いにされていてシンボルのような存在で、花札のもみじと鹿の絵柄にあやかったのかもしれませんね。

由来:お客さんの一言

にしき堂で生もみじができたのは、お客さんからの一言があったのがきっかけでした。一説によると「八つ橋には生があるのに、もみじ饅頭には生はないのですか?」と言われたとのこと。ちなみに、生もみじの開発には10年かかったそうですよ。

生地:餅粉と米粉

生もみじの生地には餅粉米粉が使われています。もみじ饅頭の生地は小麦主体のカステラ生地で、外見は似ていても違いが感じられますね。あんはゆずの風味が感じられるこしあんの他、つぶあん抹茶あん(白あんをベースにした抹茶味のあん)があり、素材にこだわった大人向けの品のあるお菓子というイメージです。

食感:もっちりした生菓子

餅粉と米粉がふんだんに使われているためか、1個でも十分満足できるという方も多く、もっちりとした食べごたえのある食感のお菓子です。あんこを使ったしっとりとしたお菓子が好きな方におすすめ。

加熱はされているのになぜ生菓子に当たるのかと疑問に感じる方もいそうですね。実はあんを使ったお菓子の場合、出来上がり直後に水分量が30%以上含まれると生菓子に分類されます。製造日から10日間前後日持ちはするので、お土産にも喜ばれますよ。

\次のページで「にしき堂以外のメーカー:もみじのお菓子や饅頭のバリエーション」を解説!/

にしき堂以外のメーカー:もみじのお菓子や饅頭のバリエーション

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広島県内、宮島周辺ではにしき堂以外の製菓メーカーも多くあります。宮島で店を構えているもみじ饅頭の人気の店舗から、生もみじ以外のもみじをかたどったお菓子やもみじ饅頭のバリエーションについて見てみましょう。

藤い屋:いろはもみじ

『藤い屋』では「いろはもみじ」というお菓子があります。種類は大納言とうぐいす豆の2つ。柔らかく火を入れた豆を寒天で包み込み、もみじの形に仕上げられています。寒天の表面が結晶のようになり外側のパリパリとした食感と柔らかい豆のコントラストが楽しいお菓子です。

紅葉堂:揚げもみじ

『紅葉堂』には「揚げもみじ」というお菓子が話題になっています。もみじ饅頭に衣を付けて揚げ、天ぷらにしたお菓子です。外側のサクサクとした衣と、中のカステラとこしあんがもっちりとしてアメリカンドッグのような面白い食感だという声もあります。

その場で食べ歩きをするときにしか食べられないと残念に思う方もいるかもしれません。オンラインショップでは「揚げもみじキット」が販売されていて、自宅で作ることもできるそうですよ。

やまだ屋:フルーツを使ったもみじ饅頭

『やまだ屋』にはもみじをかたどった他のお菓子はありません。その代わり、もみじ饅頭のあんの種類が豊富で、あんこが苦手、洋菓子が好きという方でも満足できるもみじ饅頭が揃っています。季節限定で地元や周辺地域で取れたフルーツや果皮を利用したものも多いです。瀬戸内レモンみかんピオーネシャインマスカットりんごなどがありカステラの控えめな甘さがフルーツの風味を引き立てています。

もみじ饅頭は宮島由来の銘菓・生もみじはにしき堂生菓子

もみじ饅頭は宮島由来の銘菓で、もみじの形をしてカステラ生地の中にこしあんなどが包まれている焼き饅頭のことです。一方、生もみじはもみじ饅頭も作る製菓メーカーのにしき堂が作ったもみじの格好をした生菓子。顧客の「なぜ生のもみじ饅頭はないのか」と質問されたのがきっかけで開発されたということです。

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3分で分かる生もみじともみじ饅頭の違い!銘菓の由来・生地や食感、各メーカーのバリエーションも文学部卒ライターがわかりやすく解説

この記事では生もみじともみじ饅頭の違いについてみていきます。もみじ饅頭は、厳島神社の大鳥居や紅葉の景勝地として有名な安芸の宮島および周辺で作られている銘菓です。近年ではもみじ饅頭だけでなく、生もみじというお菓子も話題になっている。食べた人の感想によると生地や食感について違いがあるようです。今回は両者について、お菓子が大好きな文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

父が広島の本社に出張するたびに、もみじ饅頭のお土産をねだった食いしん坊の文学部卒ライター。

もみじ饅頭:広島(宮島近辺)の銘菓

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もみじ饅頭は、明治時代に宮島のもみじの名所「紅葉谷(もみじだに)」の旅館でお客さんに出されたのが最初。旅館にお菓子を納入していた宮島の菓子職人が作り、当初は「7つの切れ込みのある葉の形・2頭の鹿の絵柄」という非常に凝ったスタイルでした。現在、もみじ饅頭を作った菓子職人のお孫さんが『元祖もみぢ饅頭』として宮島口(本州側)で手焼きのもみじ饅頭を販売をしています。

ただ、開発者はもみじ饅頭を広く作る目的で意匠登録を更新はしないままにして、今に至るまで様々な製菓メーカーから販売中です。

もみじ饅頭は「もみじまんじゅう」とひらがなで表記されている場合も。「もみまん」と略称で呼ばれることもあるようですよ。多くの人気メーカーでは、国内産のあずきや砂糖、地元の食材を選び、素材にこだわっているのが特徴です。

由来:伊藤博文の冗談

もみじ饅頭の名前は、宮島の紅葉谷の名物から取ってもみじの形をしているからという理由だけではありません。明治期の政治家、伊藤博文の軽い冗談が由来しているという説もあります。

宮島で保養するのが好きだった伊藤博文は、旅館で休憩をしていた時にお給仕に上がった女性の手を見ました。「可愛らしいもみじのような手だな。焼いて食べたら美味しかろう。」と。そのことを聞きつけた旅館の女将が、饅頭をもみじの形にしたらどうかと考えたということです。

生地:カステラとこしあん

もみじ饅頭の基本形は当初の通り、外側がカステラ生地で中に柔らかいこしあんが包まれているものです。形は指のように切り込みが入ったもみじの葉が特徴。赤く色づいた葉に合わせて、赤みがかった茶色のようにこんがりと焼かれています。

つぶあんは昭和初期に昭和天皇の弟に当たる高松宮宣仁親王がリクエストされたもの。その他、抹茶あん、白あん、チーズ、クリームなどのあんも人気です。

食感:ふわふわで柔らかい

もみじ饅頭の食感は、カステラ生地とこしあんがふわふわで柔らかいのが特徴。大きさは大人の手のひらサイズ程度であっさりとした甘さでしつこくなく、子供からシニア層まで食べやすいです。ついつい、1回に2~3個平らげてしまう人もいます。

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