科学の世界でキュリーと聞いて思い浮かぶのはキュリー夫人として知られているマリ・キュリーでしょう。史上初の女性ノーベル賞受賞者で、さらにノーベル賞を2度受賞したのもマリ・キュリーが初めてです。また、夫婦でノーベル賞を受賞したのもキュリー夫妻が初めてである。
この夫妻の名前がついている元素がある。96番のキュリウム(Cm)です。というわけでこのキュリウムについて解説する。担当は元素マニアの化学系科学館職員のたかはしふみかです。
ライター/たかはし ふみか
なぜ分子を作る元素と作らない元素があるの?という疑問から理系に進んだ化学系科学館職員。理科教育の仕事に就きたかったから、科学館の仕事が大好き。
キュリウムとは?
今回のテーマはキュリウム(Cm)です。まずはキュリウムがどんな元素かその特徴を確認していきましょう。
元素記号 Cm
原子番号 96
状態(常温) 銀白色の固体
発見 1944年 シーボーグ(アメリカ)
名前の由来 キュリー夫妻(ピエール・キュリー、マリ・キュリー)
アクチノイド元素・超ウラン元素
キュリウムは1944年、シーボーグらによって合成されました。プルトニウム(Pu)239にα粒子をぶつけることでキュリウム242を合成したのです。α粒子とは陽子と中性子がそれぞれ2つずつで構成されたヘリウム(He)4の原子核のことで、高い運動エネルギーを持っています。またアメリシウム(Am)241に中性子を照射することでも、キュリウムを合成することができるのです。
キュリウムは放射性を持つ不安定で、同位体は14種類持っています。キュリウムの同位体の中で半減期が最も長いものはキュリウム247で、1560万年もあるのです。
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