今回は「力点・支点・作用点の違い」について解説していきます。

力点・支点・作用点という言葉は、小学校の理科でも登場する有名な力学用語です。この概念は力学における基礎中の基礎と言える内容で、身近な物理現象である「てこの原理」とも関係性が深いぞ。それゆえ、雑学としてぜひ知っておきたい内容です。この記事を読んで、力点・支点・作用点の違いについて学んでみてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

力点・支点・作用点の違いについて知ろう!

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皆さんは、力点支点作用点という言葉をご存知でしょうか?これらの言葉は小学校の理科の授業でも登場するので、多くの人にとって聞き覚えのあるワードかもしれません。ですが、それらが何を意味する言葉かは知らないという方が多いように思われます。

そこで、本記事では力点・支点・作用点の違いを基本から立ち返って解説していきますよ。そして、これらの言葉と縁の深い「てこの原理」についても触れます。いずれの概念も力学の基礎・基本になるものですよ。

最初は、公園の遊具でおなじみの「シーソー」を例にとって力点・支点・作用点の違いについて説明しますね。それでは早速、解説をはじめていきます。

力点とは?

力点」はシーソーに対して力が加わる点のことを指します。つまり、シーソーの板を押し下げたり、押し上げたりする側の人が加える力のことです。力点から加わる力によって、シーソーの板が動きます

続いて、力点の考え方を一般化するとどのような表現になるかを考えましょう。一般化すると、力点は「剛体に外部から力が作用する点または面」となります。剛体という言葉は専門用語で、シーソーの板のように硬くて変形しない物体のことを意味しますよ。

支点とは?

支点」はシーソーに対して加わる荷重を支えている点になります。つまり、シーソーの中央部分にある回転軸が支点なのです。支点が存在しないと、シーソーは地面にめり込んでしまいます。

先ほどと同じように、支点の概念も一般化してみましょう。支点は、「剛体が移動しないように固定している軸となる点または線分」と表現することができます。ここにおける移動には回転は含まれていません。

作用点とは?

作用点」はシーソーから外部の物体に力が伝わる点のことを指します。つまり、力点部分とは反対側に座っている人の側に作用点が存在するのです。力点から伝わってきた力により、作用点に座る人は押し上げられたり、押し下げられたりします。

作用点の概念を一般化すると、「剛体に接している物体に対して、剛体から力が伝わる点または面」になりますよ。力点が動かす側であれば、作用点は動かされる側になっていると理解すると分かりやすいかもしれません。

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てこの原理を説明できるようになろう!

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続いては、てこの原理について学んでいきましょう。この概念は、力点・支点・作用点の理論と切っても切り離せない密接な関係があります。以下では、「てこの原理とはそもそも何なのか」、「てこの原理の計算式はどのようなものか」といった点を深堀していきますよ。

てこの原理について知ると、力点・支点・作用点についての理解もきっと深まります。ぜひ、最後まで記事を読んでみてくださいね。

てこの原理とは?

てこの原理とは?

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剛体の回転運動によって小さな力でより大きな力を発生させることができる現象を「てこの原理」と言います。

ここでも、シーソーを例に挙げて考えましょう。体重の軽いAさんと体重の重いBさんをシーソーに座らせます。AさんがBさんを持ち上げるには、どのような工夫をすれば良いでしょうか?

Aさんを回転軸から遠い位置に座らせ、BさんはAさんの反対側で回転軸に近い位置に座らせることで、AさんはBさんを押し上げることができるのです。これがまさに「てこの原理」になります。

てこの原理の計算式

続いて、てこの原理によって生じる力の大きさを定式化する方法について述べますね。作用点に加わる力の大きさFwは、Fw=(Le/Lw)Feで表されます。ここで、Feは力点に加わる力の大きさLeは支点から力点の距離Lwは支点から作用点の距離です。

この式から、Le>Lwが成立するとき、Fw>Feとなることがわかります。この規則性は、シーソーの例における値の大小関係と一致しますよね。

てこの原理を利用した道具

ここまで、「力点・支点・作用点」および「てこの原理」の理論について説明してきました。しかしながら、言葉や数式が中心の説明になっており、具体的なイメージを持ちにくかったという方もおられるかもしれません

そこで、以下では、てこの原理を利用した道具についてご紹介しようと思います。てこの原理が身近なところで活用されていることを知ることで、メカニズムや理論についての理解も深めることができるでしょう。

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栓抜き:力点→作用点→支点の順に並ぶ道具

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瓶のふたを外すときに使用する「栓抜き」は、てこの原理を活用した道具の1つです。栓抜きでは、持ち手部分が力点ふたを引っ掛ける部分が作用点栓抜きの先端部が支点になりますよ。

支点から力点まで距離は、支点から作用点までの距離よりも大きくなっていることに注目すると、手の力の何倍もの力がふたに加わることがわかります。これが栓抜きの仕組みなのです。

はさみ:力点→支点→作用点の順に並ぶ道具

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はさみ」はてこの原理を利用した道具の1つです。はさみでは、持ち手が力点刃の部分が作用点中心のかしめ部分が支点になっています。それゆえ、はさみを使うときに持ち手のどの部分を持つかで、刃に作用する力の大きさをコントロールできますよ。

硬いものを切るときは、持ち手の先端部を持つと少ない力で作業ができます。一方、薄いものを慎重に切りたいときは、持ち手の根本をもつことで刃にかかる力を小さくできますよ

力点・支点・作用点の概念は力学の基本!

力学は奥が深く、学習を進めると難しい内容が多く登場します。ですが、どれだけ難しい問題においても、高い確率で力点・支点・作用点の概念を意識しなければならない場面に遭遇するのです。つまり、力点・支点・作用点に対する理解は力学の登竜門とも言うべきステージになっています。

ですから、理系の道を志す方にこそ、もう一度基礎に立ち返って「力点・支点・作用点」について学びなおしていただきたいのです。ぜひ、この機会に力点・支点・作用点についての理解を深めてみてくださいね。

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3分で簡単力点・支点・作用点の違い!てこの原理への応用法とは?現役理系学生ライターが詳しくわかりやすく解説

今回は「力点・支点・作用点の違い」について解説していきます。

力点・支点・作用点という言葉は、小学校の理科でも登場する有名な力学用語です。この概念は力学における基礎中の基礎と言える内容で、身近な物理現象である「てこの原理」とも関係性が深いぞ。それゆえ、雑学としてぜひ知っておきたい内容です。この記事を読んで、力点・支点・作用点の違いについて学んでみてくれ。

塾講師として物理を高校生に教えていた経験もある通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻しており、物理学も幅広く勉強している。塾講師として物理を高校生に教えていた経験から、物理の学習において、つまずきやすい点や勘違いしやすい点も熟知している。

力点・支点・作用点の違いについて知ろう!

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皆さんは、力点支点作用点という言葉をご存知でしょうか?これらの言葉は小学校の理科の授業でも登場するので、多くの人にとって聞き覚えのあるワードかもしれません。ですが、それらが何を意味する言葉かは知らないという方が多いように思われます。

そこで、本記事では力点・支点・作用点の違いを基本から立ち返って解説していきますよ。そして、これらの言葉と縁の深い「てこの原理」についても触れます。いずれの概念も力学の基礎・基本になるものですよ。

最初は、公園の遊具でおなじみの「シーソー」を例にとって力点・支点・作用点の違いについて説明しますね。それでは早速、解説をはじめていきます。

力点とは?

力点」はシーソーに対して力が加わる点のことを指します。つまり、シーソーの板を押し下げたり、押し上げたりする側の人が加える力のことです。力点から加わる力によって、シーソーの板が動きます

続いて、力点の考え方を一般化するとどのような表現になるかを考えましょう。一般化すると、力点は「剛体に外部から力が作用する点または面」となります。剛体という言葉は専門用語で、シーソーの板のように硬くて変形しない物体のことを意味しますよ。

支点とは?

支点」はシーソーに対して加わる荷重を支えている点になります。つまり、シーソーの中央部分にある回転軸が支点なのです。支点が存在しないと、シーソーは地面にめり込んでしまいます。

先ほどと同じように、支点の概念も一般化してみましょう。支点は、「剛体が移動しないように固定している軸となる点または線分」と表現することができます。ここにおける移動には回転は含まれていません。

作用点とは?

作用点」はシーソーから外部の物体に力が伝わる点のことを指します。つまり、力点部分とは反対側に座っている人の側に作用点が存在するのです。力点から伝わってきた力により、作用点に座る人は押し上げられたり、押し下げられたりします。

作用点の概念を一般化すると、「剛体に接している物体に対して、剛体から力が伝わる点または面」になりますよ。力点が動かす側であれば、作用点は動かされる側になっていると理解すると分かりやすいかもしれません。

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