製造業などによく設けられている部門が「品質管理」と「品質保証」です。
どちらも「品質」とあるので商品のクオリティを見る部門に思えるが、両者の違いはいったい何なんでしょうな。
今回はソフトウェア開発の場で品質管理経験のある現役エンジニアのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

品質管理と品質保証の違い

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「品質管理」と「品質保証」は、どちらも品質にまつわる仕事です。品質は商品の存在価値そのものであり、安心・安全・安定した品質がなければ、企業は信用を失い、営業活動を続けることができません。ここではそんな重要な品質をつかさどる、2部門の違いについて解説してきます。

品質管理は作り手視点

「品質管理」は品質について、作り手の視点でする活動全般を指します。言い換えれば「これから作る商品」が対象の部門。英語ではQuality Control、略称QCと呼ばれるので、会社によってはQC部門などと呼ばれることも。

不良品が発生していないかはもちろんですが、不良品が発生した場合の原因分析、及び原因解消による製造過程の改善を行っていきます。不良品が発生していなくても、「より衛生的にできないか」、「より作業者の安全が確保できないか」、「より低コストな作り方がないか」などを追及することも「品質管理」の仕事です。

品質保証は買い手視点

これに対し「品質保証」は品質について、買い手の視点でする活動先般を指します。言い換えれば「既にできあがった商品」が対象の部門。英語ではQuality Assurance、略称QAと呼ばれるので、会社によってはQA部門などと呼ばれることも。

納品後に顧客が満足しているか、安心しているかの視点で活動しています。最も一般的なものはクレーム対応ですが、対応後に事象のフィードバックを行うのも「品質保証」の仕事です。また顧客満足度の調査や、保証期間や保証範囲が適切かどうかなどを科学、法律などの視点から検証します。

それぞれの仕事内容は?

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「品質管理」が作り手、「品質保証」が買い手の視点であることをふまえた上で、具体的な仕事内容を見ていきましょう。仕事の違いがわかると、ぐっと理解が深まるはずですよ。

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品質管理:自社が掲げた目標を達成しているか確認

「品質管理」では自社商品は法律で定められた基準や、業界標準、また自社で独自に設定したハイレベルな目標基準を達成しているかを確認しています。達成していなければ改善を、達成していればより高い基準の設定を検討するのです。

出荷、提供するまでの責任を持っており、「作り」に関しては全責任を追う立場。もし製造工程で作業ミスなどがあっても、「品質管理」側でそれを検知できなければ、「品質管理」は責務をまっとうできなかったことになります。

品質保証:顧客が期待する水準を満たしているか確認

「品質保証」は顧客が期待する水準を満たしているかの確認をしています。これは顧客の感覚に依存する部分も多く、法律上OKだから、で終わる話ではないのです。

「品質管理」側で徹底的に管理された商品を出荷しても、顧客が期待していた結果が出ていなければ会社は信用を失います。クレームに対しても、誠心誠意な対応が見えなければ、これもまた信用失墜の一因に。また企画そのものが顧客ニーズを度外視していたり、原料をコストダウンのために粗悪品に変えたり、粗雑な配送作業をするのも問題。

つまり商品の企画段階から販売後まで、かなり幅広い範囲に責任が課せられているのが「品質保証」なのです。

品質管理や品質保証がある業界は?

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「品質管理」と「品質保証」が、どれだけ重要な仕事かおわかりいただけたと思います。ですがこの仕事は、どのような業界に存在するのでしょうか。ここでは「品質管理」や「品質保証」が部署として設けられている業界の一例を紹介します。

「モノを売る」仕事なら専門部署があるのが一般的

まず一般的なものは製造業です。機械、金属、鉄鋼、電子部品、IT機器、化学薬品、医薬品、食品、建築…。「モノを作って売る」仕事なら必ずと言っていいほど、「品質管理」と「品質保証」は設けられています。

農業や水産業といった一次産業でも品質は最重要課題のため必須。小規模の会社や個人事業主のため部署として設けられていない場合でも、誰かしらその視点で監督する立場の管理者はいるはずです。

サービス業でも会社によって専門部署がある

「モノを作って売る」わけではないサービス業でも、品質という概念はあります。たとえば携帯電話の繋がりやすさは「通話品質」ですし、カスタマーセンターに問い合わせした時の対応の早さや丁寧さ、わかりやすさは「応対品質」と呼ばれることも。つまり形のないものでも品質は管理・保証されるという考えがあるんですね。当然一部の会社にはこれらを監督する部署があります。

筆者の所属しているソフトウェア開発の現場では、部署ではないものの開発の1段階として「品質管理」や「品質保証」がスケジュールにあり、必ず確認する場が設けられているんです。

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品質管理は作り手視点、品質保証は買い手視点

ここまで「品質管理」と「品質保証」の違い、それぞれの仕事内容、そして「品質管理」と「品質保証」が設けられている業界の一例を解説してきました。

私たちが会社という組織で仕事をし続けられているのは、作る商品や提供するサービスを顧客から信頼されるに足るものにしてくれている「品質管理」のおかげです。私たちが顧客(消費者)の視点で安心・安全で商品やサービスを購入できるのは「品質保証」のおかげ。

どうしても「作る:製造(サービス業では提供)」と「売る:営業」ばかりが目立ちがちですが、その間で日夜奮闘し続ける「品質管理」と「品質保証」の方々に感謝しなければなりませんね。

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ビジネス雑学

3分でわかる品質管理と品質保証の違い!仕事内容や専門部署がある業種も雑学好きライターがわかりやすく解説

製造業などによく設けられている部門が「品質管理」と「品質保証」です。
どちらも「品質」とあるので商品のクオリティを見る部門に思えるが、両者の違いはいったい何なんでしょうな。
今回はソフトウェア開発の場で品質管理経験のある現役エンジニアのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

品質管理と品質保証の違い

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「品質管理」と「品質保証」は、どちらも品質にまつわる仕事です。品質は商品の存在価値そのものであり、安心・安全・安定した品質がなければ、企業は信用を失い、営業活動を続けることができません。ここではそんな重要な品質をつかさどる、2部門の違いについて解説してきます。

品質管理は作り手視点

「品質管理」は品質について、作り手の視点でする活動全般を指します。言い換えれば「これから作る商品」が対象の部門。英語ではQuality Control、略称QCと呼ばれるので、会社によってはQC部門などと呼ばれることも。

不良品が発生していないかはもちろんですが、不良品が発生した場合の原因分析、及び原因解消による製造過程の改善を行っていきます。不良品が発生していなくても、「より衛生的にできないか」、「より作業者の安全が確保できないか」、「より低コストな作り方がないか」などを追及することも「品質管理」の仕事です。

品質保証は買い手視点

これに対し「品質保証」は品質について、買い手の視点でする活動先般を指します。言い換えれば「既にできあがった商品」が対象の部門。英語ではQuality Assurance、略称QAと呼ばれるので、会社によってはQA部門などと呼ばれることも。

納品後に顧客が満足しているか、安心しているかの視点で活動しています。最も一般的なものはクレーム対応ですが、対応後に事象のフィードバックを行うのも「品質保証」の仕事です。また顧客満足度の調査や、保証期間や保証範囲が適切かどうかなどを科学、法律などの視点から検証します。

それぞれの仕事内容は?

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「品質管理」が作り手、「品質保証」が買い手の視点であることをふまえた上で、具体的な仕事内容を見ていきましょう。仕事の違いがわかると、ぐっと理解が深まるはずですよ。

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