今回のテーマは牛すじについてです。牛すじ料理は旨味もたっぷり、ゼラチン質のトロトロ感がたまらないよな。外食すればそれなりに値段の高い牛すじ料理も、家庭で作れば手ごろな価格で食べ放題です。牛すじの下処理には確かに時間がかかるが、難しいことは何もないぞ。まとめて処理して冷凍保存もできるので、ぜひ試して欲しい。この記事では、牛すじの下処理から美味しい食べ方、保存方法まで現役管理栄養士のみまつと一緒に解説していきます。参考にして絶品牛すじ料理を楽しんでくれ。

ライター/みまつ

給食調理会社で責任者経験を積み、現在は福祉施設で栄養管理に関わっている現役管理栄養士。その経歴と食べ盛りの子ども5人を育てる母としての経験から、食べ物についての知識をわかりやすく解説する。塩味の牛すじ煮込みが得意。

牛すじの下処理方法は?

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「家庭で牛すじ料理が食べたいけれど、下処理が大変そう…」実は牛すじの下処理はそんなに難しくありません。用意するものは牛すじの他に大きな鍋とショウガ、ねぎの青い部分だけ。作業自体は簡単ですが2時間ほどかかるので、時間のある時にゆっくり挑戦してみましょう。いつくか工程があるので、順番に説明していきますね。

1.よく汚れを洗い流す

ますは牛すじのドリップや汚れを落としましょう。流水でこすりあわせるように洗うのがコツですよ。洗いすぎると旨味が抜けてしまうので、サッとでOK。めんどうなら、この作業は飛ばしても大丈夫です。

2.一度茹でこぼす

次に、洗った牛すじを鍋に入れ、たっぷりの水を注いで火にかけます。沸騰したら中火にして、そのまま1分ほど茹でてください。アクがたくさん出てくるので、アクごとザルにあけます。この時の茹で汁は捨ててくださいね。牛すじの表面についたアクは流水でサッと洗い流しましょう。

アク抜きは肉の臭みやエグミを取るのに大事な工程なので、このひと手間は省かないでくださいね。鍋肌にもアクが付いているので、きれいに洗っておきます。

3.薬味を加えてじっくり茹でる

最後は、牛すじを柔らかく仕上げる工程です。鍋に牛すじを戻し、たっぷりの水を張って火にかけます。その際に、臭み抜きのためにショウガ1かけ分の薄切りとネギの青い部分を入れておくのがポイント。

沸騰したら弱火にして、1時間半~2時間ほどコトコト茹でます。アクが出たら取り除き、水が減ってきたら足しましょう。牛すじがお湯から出ないように注意してください。茹で上がった牛すじは、食べやすい大きさに切り分けます。

一見作業量が多く見えますが、ほとんど放置できるので他の作業をしながらでも大丈夫。圧力鍋をお持ちなら、3の工程は加圧3~20分で済むのでさらに時短に。ここまで終えれば、美味しい牛すじ料理まであと少し。一度にまとめて下処理しておくと便利ですよ。筆者は2kgくらいまとめて茹でて、1回分ずつ冷凍しています。

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牛すじの美味しい食べ方5選

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下処理をした牛すじは、いろいろな料理に使えます。ここでは、定番の煮込みをはじめとした5つの食べ方をご紹介。好みの牛すじ料理を作ってみてくださいね。

1.トロトロの牛すじ煮込み

まずは定番の牛すじ煮込み。下処理した牛すじを、こんにゃくや根菜と一緒にお好みの味付けで煮込むだけです。甘辛しょうゆ味のぼっかけや、味噌味のどて煮が有名ですね。甘みを加えずに酒と塩、薄口しょうゆで仕上げた塩味の牛すじ煮込みも絶品です。

コチュジャンを入れた韓国風、八角やシナモンで風味付けした台湾風、トマト風味のイタリア風など、アレンジは自在。

2.おつまみにピッタリ!牛すじ塩焼き

下処理した牛すじを野菜と一緒に塩味で炒めると、ボリュームのあるおかずになります。ニンニクを効かせると旨味倍増!また、牛すじの中でもメンブレンという白い膜状の部位は、下処理なしで炒め物に使えます。メンブレンだけが手に入ったら試してみてください。

肉が多めについた赤身すじなら、下処理後にスパイス塩を振って炭火で焼いても絶品ですよ。バーベキューの一品にしても盛り上がりますね。

\次のページで「3.出汁が美味しい牛すじおでん」を解説!/

3.出汁が美味しい牛すじおでん

牛すじをおでんに入れるのは、大阪が発祥だそうです。いまではコンビニおでんの具として全国で牛すじ串が売られていることもあり、すっかり人気の具になりましたね。おうちでおでんを作る時にも牛すじを入れると美味しいですよ。赤身すじは肉の風味が強いためおでんには不向きですが、出汁をよく吸うアキレス腱や、煮崩れしにくいメンブレンで作ってみてください。

茹で汁をおでんの出汁に使っても、コクのある味になります。黒い出汁で有名な静岡のおでんは、牛すじや鶏肉から出汁をとっているそうですよ。

4.特別なおもてなしに牛すじカレーや牛すじシチュー

トロトロに煮込まれた牛すじカレーや牛すじシチュー。いつもの料理も牛すじを使うとぐっと本格的に。カレーやシチューには、肉の旨味たっぷりの赤身すじが向いています。茹で汁も使えますよ。

牛すじから旨味や脂が出るので、ルーは脂質の少ないカロリーハーフがおすすめ。ルーを使わずにトマト缶やスパイスで煮込むとさらに本格的な料理になります。子どもから大人まで評判の良い褒められメニュー。ぜひ一度試してみてください。

5.あっさりコク旨!牛すじスープ

牛すじを下茹でしたお湯を使って栄養満点のスープを作りましょう。茹で汁を一晩冷蔵庫で冷やすと、脂肪分が上に固まり、スープ部分はゼラチン質で煮こごりのように固まっています。固まった脂肪(ヘットという脂で、炒め物などに使うとコクが出ます)を取り除き、野菜をたっぷり入れて煮込んでください。仕上げに黒こしょうを振れば主役級のごちそうスープに。筆者は塩味がおすすめですが、コチュジャンやキムチを使った韓国風のスープも美味しいですよ。

ニンニクを効かせた牛すじスープにフォーを入れれば、ベトナム風の「ブンボーフエ」という料理になります。パクチーやライムを添えてさっぱりいただきましょう。

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牛すじの保存方法は?

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牛すじの下処理や食べ方を紹介しました。しかし、一度にたくさんの牛すじ料理を食べきれない方もいるでしょう。ここでは牛すじの保存方法について説明します。この方法なら、まとまった時間が取りづらい方や少人数の家庭でも安心ですよ。

消費期限は冷蔵2~3日

生の牛すじは、購入後2~3日以内に食べましょう。冷凍状態で売られているものならもう少し長く持ちますが、いずれにしても早めに食べきることをおすすめします。特に、横隔膜についている膜の部分(メンブレン)は内臓に近い部位のため傷みやすいです。

下茹でしてから冷凍保存

柔らかくなるまで下処理した牛すじは、食べやすい大きさに切って小分けにし、茹で汁ごと冷凍保存できます。手軽に牛すじ料理を楽しめるため、牛すじはまとめて茹でて冷凍しておくと便利。家庭用の冷凍庫での保存は2週間を目安に使い切りましょう。

パックのまま冷凍も可能

牛すじは、購入したパックのまま冷凍保存もできます。牛すじは下処理に時間がかかるので、安売りしている時にまとめ買いしたら冷凍保存しておき、時間のある時にゆっくり料理するのがおすすめです。

牛すじ料理は意外に簡単!いろいろな食べかたを楽しもう

牛すじはそのままではとても固くて食べられませんが、少し手間をかけるだけでトロトロ、プルプルの味に。下処理さえマスターすれば、ご家庭でも本格的な牛すじ料理を楽しむことができますよ。冷凍保存もできるので、ゆっくり料理できる日に一度チャレンジしてみてくださいね。

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家庭科

牛すじを柔らかく煮るには?下処理や美味しい食べ方・保存方法も現役管理栄養士がわかりやすく解説

今回のテーマは牛すじについてです。牛すじ料理は旨味もたっぷり、ゼラチン質のトロトロ感がたまらないよな。外食すればそれなりに値段の高い牛すじ料理も、家庭で作れば手ごろな価格で食べ放題です。牛すじの下処理には確かに時間がかかるが、難しいことは何もないぞ。まとめて処理して冷凍保存もできるので、ぜひ試して欲しい。この記事では、牛すじの下処理から美味しい食べ方、保存方法まで現役管理栄養士のみまつと一緒に解説していきます。参考にして絶品牛すじ料理を楽しんでくれ。

ライター/みまつ

給食調理会社で責任者経験を積み、現在は福祉施設で栄養管理に関わっている現役管理栄養士。その経歴と食べ盛りの子ども5人を育てる母としての経験から、食べ物についての知識をわかりやすく解説する。塩味の牛すじ煮込みが得意。

牛すじの下処理方法は?

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「家庭で牛すじ料理が食べたいけれど、下処理が大変そう…」実は牛すじの下処理はそんなに難しくありません。用意するものは牛すじの他に大きな鍋とショウガ、ねぎの青い部分だけ。作業自体は簡単ですが2時間ほどかかるので、時間のある時にゆっくり挑戦してみましょう。いつくか工程があるので、順番に説明していきますね。

1.よく汚れを洗い流す

ますは牛すじのドリップや汚れを落としましょう。流水でこすりあわせるように洗うのがコツですよ。洗いすぎると旨味が抜けてしまうので、サッとでOK。めんどうなら、この作業は飛ばしても大丈夫です。

2.一度茹でこぼす

次に、洗った牛すじを鍋に入れ、たっぷりの水を注いで火にかけます。沸騰したら中火にして、そのまま1分ほど茹でてください。アクがたくさん出てくるので、アクごとザルにあけます。この時の茹で汁は捨ててくださいね。牛すじの表面についたアクは流水でサッと洗い流しましょう。

アク抜きは肉の臭みやエグミを取るのに大事な工程なので、このひと手間は省かないでくださいね。鍋肌にもアクが付いているので、きれいに洗っておきます。

3.薬味を加えてじっくり茹でる

最後は、牛すじを柔らかく仕上げる工程です。鍋に牛すじを戻し、たっぷりの水を張って火にかけます。その際に、臭み抜きのためにショウガ1かけ分の薄切りとネギの青い部分を入れておくのがポイント。

沸騰したら弱火にして、1時間半~2時間ほどコトコト茹でます。アクが出たら取り除き、水が減ってきたら足しましょう。牛すじがお湯から出ないように注意してください。茹で上がった牛すじは、食べやすい大きさに切り分けます。

一見作業量が多く見えますが、ほとんど放置できるので他の作業をしながらでも大丈夫。圧力鍋をお持ちなら、3の工程は加圧3~20分で済むのでさらに時短に。ここまで終えれば、美味しい牛すじ料理まであと少し。一度にまとめて下処理しておくと便利ですよ。筆者は2kgくらいまとめて茹でて、1回分ずつ冷凍しています。

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