今回のテーマは牛すじについてです。寒くなると牛すじ煮込みが食べたくなってくるよな。コンビニのおでんでは必ず牛すじ串を頼むという人もいるでしょう。牛すじはなんとなく太りそうなイメージがありますが、実際のところはどうなんでしょうか。この記事では牛すじの特徴や栄養、美味しい牛すじの見極めかたまで現役管理栄養士のみまつと一緒に解説していきます。

ライター/みまつ

給食調理会社で責任者経験を積み、現在は福祉施設で栄養管理に関わっている現役管理栄養士。その経歴と食べ盛りの子ども5人を育てる母としての経験から、食べ物についての知識をわかりやすく解説する。牛すじはアキレス腱の部分がプルプルで好き。

牛すじってどんな肉?

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牛すじカレーや牛すじ煮込みは、トロトロプルプルでとても美味しいですよね。そもそも牛すじとはどんな肉なのか知っていますか?焼き肉屋さんでも「牛すじ」という部位はなく、煮込みで出てくることが多いのはなぜでしょうか。そんな疑問点にお答えしていきます。

牛すじは肉を削いだ後の部分

牛すじは、肩ロースや腿肉、内臓などの精肉を取ったあとに残る腱やスジの部分です。焼き肉にできない部分と言えばわかりやすいでしょうか。一見すると食べられないように見えますが、きちんと手間をかければとても美味しい食材ですよ。そのままではとても固いので、下処理が必要になります。

実は低カロリーで低脂質

食品成分表によると、牛すじ100gは155kcal、脂質4.9g、糖質0gとなっており、牛肉の中でもかなり低カロリーで脂質も低い部位です。ヒレ肉に次ぐヘルシーな食材ですね。牛すじ煮込みなどはギトギトして脂っぽく見えますが、実はあのプルプルはコラーゲン。丁寧に下処理をして油抜きしてあるため、ダイエット中でも美味しい牛すじを楽しめますよ。

いくら低カロリーだとは言っても、味付けに砂糖やみりんを使うことも多いためくれぐれも食べすぎには注意が必要です。

主な牛すじの部位

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牛すじ煮込みなどでは繊維質で肉っぽい部分と、透明でプルプルしている部分がありますよね。スーパーなどでパック詰めしてある牛すじは、いろいろな部位が混ざって売られているのです。次の3つの部位をまとめて「牛すじ」と呼んでいます。

・アキレス腱
・赤身すじ
・メンブレン

それぞれを解説していきましょう。

\次のページで「1.コラーゲンたっぷりのアキレス腱」を解説!/

1.コラーゲンたっぷりのアキレス腱

白い円柱状の固い部分がアキレス腱です。牛の前脚や後ろ脚の腱の部分ですね。脂身が少なくコラーゲンが豊富に含まれているため、煮込むとゼラチン状になります。食べると唇が貼り付くくらいのプルプル感がやみつきになる部位です。煮込むのには多少時間がかかりますが、癖が少なく旨味を吸いやすいため、煮込みやおでんにも最適ですね。

2.旨みがよく出る赤身すじ

赤身すじは、牛を精肉にする際に各部位から切り出したスジをまとめたものです。そぎ切れない赤身がついたままなので、一見すると普通の肉のようにも見えます。脂身も付いているため下処理が必要な部位ですが、出汁がよく出るのでカレーやシチューに最適。煮すぎるとホロホロになりすぎるのでほど良い調理が必要ですね。

牛肉の繊維質や旨味を楽しみたい方は、赤身がたっぷりついた部分を選ぶのがおすすめです。

3.コリコリ食感のメンブレン

メンブレンとは横隔膜(はらみ、さがり)に付いている皮の部分です。別名ハラミすじ。「膜」を意味する英語「membrane」のとおり、白い膜状になっている部位です。コリコリした食感で、やや内臓ぽい癖があり通好みの味。味噌煮込みなどに向いています

コンビニのおでんには、主にメンブレンが使われているんですよ。また、火が通りやすいため下処理も簡単でそのまま炒め物などでも食べられます

\次のページで「牛すじに含まれる主な栄養素は?」を解説!/

牛すじに含まれる主な栄養素は?

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牛すじはコッテリした味が美味しく、いかにも栄養満点に思えます。具体的にはどのような栄養素が含まれているのかを見ていきましょう。

1.身体を作るたんぱく質

牛すじ100gには23.8gのたんぱく質が含まれています。たんぱく質は体内でアミノ酸に分解され、再合成されて筋肉や髪、内臓など体を構成する重要な要素です。ホルモンや免疫物質など体の機能を調整する機能も持ち、私たちの体には欠かせません。

三大栄養素の一つですが、摂りすぎは肥満や尿路結石のリスクも高まるため、バランスよく摂るのが大切。牛すじは低脂質なので、たんぱく源としても優秀ですよ。

2.骨を丈夫にするカルシウム

牛すじには15mgのカルシウムが含まれています。カルシウムは体内のミネラルの中では最も多く、骨の形成には欠かせません。骨に貯蔵されて骨格を形成するほか、血中のカルシウムは神経伝導や筋肉の収縮にも関わったり、血液を固める機能を助けたりと大切な役割をもっています。

牛すじだけで必要なカルシウムを取ろうとするとカロリーオーバーになってしまうので、乳製品や野菜などから効率よく摂りましょう

3.肌や髪を健康に保つコラーゲン

コラーゲンはたんぱく質の1種です。牛すじ、特にアキレス腱には多くのコラーゲンが含まれています。人体を構成するたんぱく質のうち30%を占めるコラーゲンには、肌にハリを与えたり、頭皮を健康に保ち髪を太くしたりと美容に嬉しい効果がたくさん。

たんぱく質は体内でアミノ酸に分解されて再合成されるため、摂取したコラーゲンがすべて肌や髪になるとは限りません。分解や再合成に必要なビタミンCやビタミンB6、鉄分などを一緒に摂ることをおすすめします。

4.血液を凝固させるビタミンK

ビタミンKは血液の凝固を促進させたり、骨の形成を調節する栄養素です。ビタミンKはいろいろな食品に含まれますし、腸内細菌によって合成されているので、健常な日本人の食生活では不足する恐れはほぼありません。ビタミンKが不足すると血が止まりにくくなったり、骨粗しょう症のリスクが高くなったりします。新生児にビタミンK2シロップを与えるのは、まだ腸内細菌からの供給が少ないためです。

牛すじ100gには8μgのビタミンKが含まれています。不足の恐れは少ないとはいえ、加齢によってビタミンKが欠乏しやすくなる可能性もあるため、注意が必要です。

美味しい牛すじの選び方

美味しい牛すじ料理が自宅でも作れたら、料理の腕が上がりますね。牛すじを購入する時のポイントは以下のとおり。

\次のページで「牛すじはどこで買うのがおすすめ?」を解説!/

赤身部分がみずみずしい赤色で、脂肪は白に近いクリーム色のもの
ドリップが出ているものは避ける

また、信頼できるお店で買うのもコツですよ。

牛すじはどこで買うのがおすすめ?

牛すじは一般的なスーパーや精肉店、ネットショッピングなどで購入できます。スーパーの精肉コーナーでは、赤身すじやアキレス腱などいろいろな部位をまとめて「牛すじ」として売っています。牛肉の特売日などには牛すじが安く買える場合もあるので、チェックしてみると良いでしょう。

精肉店でも新鮮な牛すじを取り扱っています。ブランド牛は高価で手が出なくても、すじ部分は100gあたり500円前後で購入できることもありますよ。和牛ならすじ部分にもサシが入り、煮込むとトロトロに。下処理の手間はかかりますが高級牛の味わいを楽しめます。

アキレス腱やメンブレンなど、好みの部位だけ欲しい場合にはネットショッピングがおすすめ

料理によって部位を選ぼう

牛すじは部位によって下処理の時間や手間が変わってきます。赤身部分の旨味を楽しみたいときには赤身が多めについた部分を、すじならではのプルプル感を味わいたい時にはアキレス腱が多めの部分を選ぶなど、料理方法や好みによって選ぶと良いでしょう。

カレーやシチューには赤身すじおでんや煮込みならメンブレンやアキレス腱が向いています。牛すじは冷凍もできるので、まとめて下処理したら部位別に保存しておくと良いですね。

低カロリーで美容健康にも嬉しい効果がある牛すじを食べよう

牛すじは、食肉文化の浅い日本では捨ててしまったり犬のエサにしたりしていたそうですが、調理の工夫によってとても美味しくなるので最近人気の部位です。低カロリーでヘルシー、コラーゲンもたっぷりとメリットがたくさん。肉の旨味が濃い赤身すじや、プルプルのアキレス腱など味の違いも楽しんでみてくださいね。

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牛すじは低カロリーでコラーゲンたっぷり!牛すじの特徴、栄養、選び方まで現役管理栄養士が詳しくわかりやすく解説

今回のテーマは牛すじについてです。寒くなると牛すじ煮込みが食べたくなってくるよな。コンビニのおでんでは必ず牛すじ串を頼むという人もいるでしょう。牛すじはなんとなく太りそうなイメージがありますが、実際のところはどうなんでしょうか。この記事では牛すじの特徴や栄養、美味しい牛すじの見極めかたまで現役管理栄養士のみまつと一緒に解説していきます。

ライター/みまつ

給食調理会社で責任者経験を積み、現在は福祉施設で栄養管理に関わっている現役管理栄養士。その経歴と食べ盛りの子ども5人を育てる母としての経験から、食べ物についての知識をわかりやすく解説する。牛すじはアキレス腱の部分がプルプルで好き。

牛すじってどんな肉?

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牛すじカレーや牛すじ煮込みは、トロトロプルプルでとても美味しいですよね。そもそも牛すじとはどんな肉なのか知っていますか?焼き肉屋さんでも「牛すじ」という部位はなく、煮込みで出てくることが多いのはなぜでしょうか。そんな疑問点にお答えしていきます。

牛すじは肉を削いだ後の部分

牛すじは、肩ロースや腿肉、内臓などの精肉を取ったあとに残る腱やスジの部分です。焼き肉にできない部分と言えばわかりやすいでしょうか。一見すると食べられないように見えますが、きちんと手間をかければとても美味しい食材ですよ。そのままではとても固いので、下処理が必要になります。

実は低カロリーで低脂質

食品成分表によると、牛すじ100gは155kcal、脂質4.9g、糖質0gとなっており、牛肉の中でもかなり低カロリーで脂質も低い部位です。ヒレ肉に次ぐヘルシーな食材ですね。牛すじ煮込みなどはギトギトして脂っぽく見えますが、実はあのプルプルはコラーゲン。丁寧に下処理をして油抜きしてあるため、ダイエット中でも美味しい牛すじを楽しめますよ。

いくら低カロリーだとは言っても、味付けに砂糖やみりんを使うことも多いためくれぐれも食べすぎには注意が必要です。

主な牛すじの部位

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牛すじ煮込みなどでは繊維質で肉っぽい部分と、透明でプルプルしている部分がありますよね。スーパーなどでパック詰めしてある牛すじは、いろいろな部位が混ざって売られているのです。次の3つの部位をまとめて「牛すじ」と呼んでいます。

・アキレス腱
・赤身すじ
・メンブレン

それぞれを解説していきましょう。

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