この記事では万年筆とボールペンの違いについてみていきます。どちらともインクを使う筆記用具でおなじみです。何となく万年筆のほうがボールペンよりも高価なイメージがあるよな。他にペン先などの構造の違いがあったり、インクの取り替えの仕方が異なっていたりといったこともあるようです。今回はこれらの筆記具について気になっている文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

病気で利き手に力が入りにくくなり、ボールペンよりも万年筆の使用を勧められたライター。

万年筆とボールペンの構造の違い

image by iStockphoto

万年筆とボールペンは両方ともインクが用いられた筆記用具です。それぞれの字を書く先端部分を確かめてみると、万年筆のペン先には金属などの丈夫な素材が用いられています。一方、ボールペンはインクの出る所に小さい球状のものが付いているのではないでしょうか。

万年筆:ペン軸から液体のインクが流れる

万年筆は構造が複雑で、数千円~数十万円するものもあります。万年筆は金属製のペン先に水性のインクが流れているのが特徴。内部を開けてみるとペン軸の部分にインクが貯まっています。字を書く際には毛細管現象を利用することにより、ペン軸からペン先への通り道に少量ずつインクを流していく仕組みです。

長期間使用しなかったらペン先でインクが固まってしまって、字が書けなくなることも。その場合は、ペン先を軽く水に浸してティッシュなどでよく水気を拭き取るとインクが出てくるようになります。

毛管現象(もうかんげんしょう)・毛細管現象(もうさいかんげんしょう)ともいう。
液体中に細い管(毛管または毛細管という)を入れると、液の種類によって、管内の液面が外部の自由表面により上または下に移動する現象。

出典:コトバンク『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』

ボールペン:ペン先のボールが回転してインクが転写される

ボールペンの場合は万年筆よりも簡単な構造をしています。数十円~数百円くらいで購入可能。比較的粘度のあるインクが芯に充填されて先端に小さい金属やセラミック製のボールが入っています。書いた時にボールが回転してインクが付き、転写される仕組みです。

\次のページで「万年筆とボールペンのインクの違い」を解説!/

万年筆とボールペンのインクの違い

image by iStockphoto

万年筆のインクは水性が主で、ボールペンのインクは万年筆のものよりも粘り気があります。それぞれのインクの特徴を詳しく見ていきましょう。

万年筆:水性インクを補充

万年筆は水性の発色が鮮やかな染料インクが揃っているのが特徴。文字を書くだけでなくイラストを描くのに利用する方もいるとのこと。インクを補充するにはカートリッジタイプ、吸い上げ式のコンバーターを使うタイプがあり、両方が使えるタイプもあります。色がにじみにくく、水に強い顔料インクは数が少なく、粘度が高くてペン先が詰まりやすいのであまり使われません。

カートリッジタイプ…手軽に使用可能で万年筆初心者におすすめ。安価なものは5本で数百円程度で販売。差し込み口が破れやすく、インクを差す方向を間違えないようにしてまっすぐ押し込むのがコツ。インクが出てこない場合は、インクをペン先に送り出すように軽くカートリッジの上部を押すこと。
コンバータータイプ…万年筆を使い慣れた方におすすめ。インクボトルとコンバーターが必要。補充の仕方はペン軸にコンバーターをセットし、ペン先をインク瓶の中に入れて吸い上げる方法。ペン先を瓶の底に付けると破損する恐れもあり注意が必要。カートリッジに比べるとカラーが豊富。日本独特の自然の名前がついたインクもある。

ボールペン:替え芯の交換

ボールペンは昔ながらのタイプは、安価で使い捨てのものもあります。しかし、近年では種類が増え、書きやすくて気に入ったものを使いたいと考える方も多くなり、替え芯を交換して本体部分にセットして使う方も。替え芯はメーカーにもよりますが、1本数十円程度で買えます。

油性インク…にじみにくく、長期の保存に向く。インク溜まりが出来て乾きにくい。
水性インク…なめらかな書き味で色彩が豊富。水ににじみやすい。
ゲルインク…油性と水性のハイブリットタイプで近年人気が高い。書く際は水性インクのようになめらかで粘度が低いが、紙についた時は粘度が高くなり、書いた文字がにじみにくいのがメリット。ゲルインクには2種類あり、発色が優れた染料インク、耐水性や色あせに強い長期保存に向く顔料インクがある。

\次のページで「万年筆のメリット」を解説!/

万年筆のメリット

image by iStockphoto

高額で購入するのをためらってしまう万年筆ですが、近年では子供でも使えるように安価に使えるタイプの商品も販売されているようです。細字、中字、太字などの3種類のペン軸があり、色だけでなく筆圧や好みの太さによって揃えることもできますね。気になったら、まず安価なエントリーモデルを検討してみるのもよいかもしれません。

1.長期間愛用できる

万年筆はインクの補充やペン先の手入れなどメンテナンスも必要です。部品が破損した時に交換や修理にも対応可能な場合もあり、気に入ったものを長期間愛用できるでしょう。長年使うことで書き味もその人独特のものとなり、使用する人になじんでいきます。

2.力を入れなくても書きやすい

万年筆は水性インクで筆圧をかけることなく、スラスラと書き進められます。何らかの事情で手に力が入りにくくなった場合でも使いやすいでしょう。文字を書きすぎて手が痛くなったという方にもおすすめです。

ボールペンのメリット

ボールペンはノベルティグッズにも選ばれることもあり、もらって困るようなことがありません。複写が必要な場面でも使えますし、ビジネスの場でもプライベートでも色々なシーンに普及している筆記用具ではないでしょうか。

1.用途に応じて種類が豊富

ボールペンはインクも様々な種類がありますが、形状も色々です。ノートやメモ帳にはさめるノック式、乾燥を防げるキャップ式、赤や青、グリーンやピンクなど色々な色をセットできる多色式などがあります。自分の目的に合わせて、使い分けもできますね。

近年では、公的な書類には使えませんが、消せるタイプのインクボールペンも人気です。書いたものを修正できるところから勉強用や下書き用、クロスワードパズルなどのワードパズルに活用する方も多く見られます。

\次のページで「2.入手しやすい」を解説!/

2.入手しやすい

ボールペンは文房具店のような専門店だけでなく、書店スーパーマーケット、コンビニエンスストアでも買えますよね。本体や替え芯も揃っています。100円均一ショップのような場所でも販売されていて、必要な時にはすぐに安価に入手できるのが特徴です。

文具やオフィス用具を専門的に取り扱うネットショップでは、まとまった数のボールペンや替え芯を購入できるところもあります。店舗によっては、送料を軽減してもらえるなどの特典を受けることもできますよ。

万年筆とボールペンの最も大きな違いはペン先の構造にある

万年筆とボールペンの最も大きな違いは、ペン先の構造です。万年筆は金属のペンがついて水性のインクを毛細管現象でペン先に行き渡らせて字を書きます。一方、ボールペンは先端についたボールが回転するごとに粘性のあるインクを付着させて、紙に転写して書く仕組みです。

" /> 3分で分かる万年筆とボールペンの違い!ペン先の構造やインクの違い・メリットも文学部卒のライターが分かりやすくわかりやすく解説 – Study-Z
雑学

3分で分かる万年筆とボールペンの違い!ペン先の構造やインクの違い・メリットも文学部卒のライターが分かりやすくわかりやすく解説

この記事では万年筆とボールペンの違いについてみていきます。どちらともインクを使う筆記用具でおなじみです。何となく万年筆のほうがボールペンよりも高価なイメージがあるよな。他にペン先などの構造の違いがあったり、インクの取り替えの仕方が異なっていたりといったこともあるようです。今回はこれらの筆記具について気になっている文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

病気で利き手に力が入りにくくなり、ボールペンよりも万年筆の使用を勧められたライター。

万年筆とボールペンの構造の違い

image by iStockphoto

万年筆とボールペンは両方ともインクが用いられた筆記用具です。それぞれの字を書く先端部分を確かめてみると、万年筆のペン先には金属などの丈夫な素材が用いられています。一方、ボールペンはインクの出る所に小さい球状のものが付いているのではないでしょうか。

万年筆:ペン軸から液体のインクが流れる

万年筆は構造が複雑で、数千円~数十万円するものもあります。万年筆は金属製のペン先に水性のインクが流れているのが特徴。内部を開けてみるとペン軸の部分にインクが貯まっています。字を書く際には毛細管現象を利用することにより、ペン軸からペン先への通り道に少量ずつインクを流していく仕組みです。

長期間使用しなかったらペン先でインクが固まってしまって、字が書けなくなることも。その場合は、ペン先を軽く水に浸してティッシュなどでよく水気を拭き取るとインクが出てくるようになります。

毛管現象(もうかんげんしょう)・毛細管現象(もうさいかんげんしょう)ともいう。
液体中に細い管(毛管または毛細管という)を入れると、液の種類によって、管内の液面が外部の自由表面により上または下に移動する現象。

出典:コトバンク『ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典』

ボールペン:ペン先のボールが回転してインクが転写される

ボールペンの場合は万年筆よりも簡単な構造をしています。数十円~数百円くらいで購入可能。比較的粘度のあるインクが芯に充填されて先端に小さい金属やセラミック製のボールが入っています。書いた時にボールが回転してインクが付き、転写される仕組みです。

\次のページで「万年筆とボールペンのインクの違い」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: