ゲームやファンタジー作品で有名なモンスターといえばドラゴンですね。似たようなモンスターでワイバーンというのもある。日本語では飛竜というくらいでドラゴンとも関係が深い。このワイバーンとドラゴンはどう違うのでしょう。飛竜と言ってもドラゴンも飛ぶよな。そもそも区別するようになったのはそんなに古くないらしいのです。両者の違いから発祥、歴史までゲーム好きのプログラマでもあるライターのwoinaryと一緒に解説していきます。

ライター/woinary

某社で社内向け業務システムの開発、運用を30年近くやっていたシステム屋さん。現在はフリーランス。ガジェットやゲーム、ラノベが大好きなおっさんです。

ドラゴンの亜種?ワイバーンとドラゴンの違いとは

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ファンタジー系のマンガやアニメ、ゲームには必ずと言ってよいほど登場するのがドラゴンモンスターの中でもトップクラスの強さというイメージがあります。ではワイバーンはどうでしょう。日本語では「飛竜」とも呼ばれていますが知名度はイマイチ強さもドラゴンにはおよばないという設定が多いかと思います。

そんなワイバーンとはどういう存在なのでしょう。ドラゴンとは何が違うのでしょう。マンガやゲームの中の設定はまちまちなので、ここでは一般的なドラゴンとワイバーンの違いを説明していきます。

ワイバーン:足が2本でコウモリの羽

「飛竜」というくらいですので、多くの作品でワイバーンは飛ぶことができます。そのための翼を持っていることも多いです。その他の特徴として、ワイバーンは足が2本という特徴があります。

東洋の竜に対して西洋ではドラゴンと呼びますよね。そのドラゴンとワイバーンも近い関係があります。特にワイバーンをドラゴンと区別しているのがイギリスイギリスではワイバーンは2本足とされているのです。頭はドラゴン、翼はコウモリ、脚はワシ、尾の先は矢尻のようになっている、というのがイギリスの典型的なワイバーンになります。

ドラゴン:足が4本、飛ばないものも

一方、ドラゴンはイギリスでは4本足とされることが多いです。またドラゴンのことをドレイクとも。同じものであるとも、若いドラゴンのこととも、ドラゴンに近いが少し弱いとも、国や伝承によって違いがあります。

東洋の竜のイメージか日本人の多くは竜やドラゴンは空を飛ぶというイメージ。しかし、国によっては地底にいるというものもあり、必ずしも飛ぶとは限らないようです。それでも、竜やドラゴンのようなものは各地にあり、世界中で人気があることがわかります。数々の作品に登場し、その中でも「ホビットの冒険」の竜、「スマウグ」など有名なドラゴンも多いですよね。また、ドラゴンを倒す勇者のことをドラゴンスレイヤーとして称えるという作品も多いなど、モンスターの象徴になっています。

様々な観点で比較!ワイバーンとドラゴンの相違点と共通点

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同類扱いされたり、違うものされたりするドラゴンとワイバーン。どちらも架空の生物です。小説やマンガといった作品でも登場しますが、神話や伝承が元になっています。多くの作品ではドラゴンの方が強く、ワイバーンは飛ぶことに特化していて総合的な強さでは劣るという設定が多いですね。

そんなドラゴンとワイバーンの違いをもう少し見ていきましょう。

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由来が違う?語源から見るワイバーンとドラゴン

似ているドラゴンとワイバーンですが、言葉の由来はまったく違います。ドラゴンとドレイクはどちらも古代ギリシャ語で「大蛇」、「錦蛇」、「巨大な海の怪物」といった意味の言葉が由来です。そこからラテン語、古フランス語を経て英語になったのがドラゴン。ラテン語、古英語から英語になったのがドレイクです。つまり、ドラゴンもドレイクも言葉の先祖は同じということになります。

一方、ワイバーンは「毒蛇」を意味するラテン語から古フランス語を経て英語になったようです。毒蛇にバイパー(クサリヘビ)という種類がありますが、このバイパーと同じ語源になります。蛇という共通点はありますが、語源は違うのです。

どちらが強い?ワイバーン対ドラゴン

一般的にはドラゴンはモンスターの頂点とも言える強さなので、ドラゴンの方が強いイメージですよね。よくあるのは恐竜のような姿で、口から毒や炎の息(ブレス)を吐きます。ただ、中には東洋の竜のように細長いヘビのような姿のものもあり、翼や手足の有無や数も様々。また神話の中ではドラゴンは悪魔と同一視されたり、邪悪な存在とされることも多いです。知性も高く、魔法を使うものや中には人間の姿になることが可能なものも。

それに比べるとワイバーンは飛ぶことに特化したイメージですよね。ドラゴンが「飛べないか飛ぶこともできる」であるのに対してワイバーンは「飛ぶ」のが当たり前。その代償としてドラゴンに強さも知性も劣るという設定が多いです。強さという点ではドラゴンに軍配が上がりそうですね。だからこそ、ドラゴンが有名なのに対してワイバーンの知名度が今ひとつなのかもしれません。

RPGでドラゴンも進化?ゲームとドラゴン、ワイバーン

ドラゴンもワイバーンも神話の時代から存在しています。ただ、その頃のドラゴンやワイバーンは邪悪な存在で破壊の権化といったイメージ。知性もあるが獰猛で、人間に対して悪意を持つというのがパターンでした。

そこに登場したのが「ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)」というRPGです。D&Dにもドラゴンやワイバーンが登場します。それをきっかけにRPGと言えばドラゴンが出てくるように。当初は洞窟などに住んでいて金銀財宝をため込んでいるというのが定番でした。その時々のクリエイターたちの手によって様々な要素が追加、洗練されドラゴンも多様化していきます。今では人間に味方したり、尊敬を集めるようなドラゴンも。神話や伝説の存在からより身近なものに変わってきたわけです。

ドラゴンから分かれて紋章で発展したワイバーン

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ドラゴンとワイバーンの違いを見てきましたが、ワイバーンはどうしてもドラゴンに一歩およばないイメージですよね。ドラゴンが出てこないゲームは少ないですが、ワイバーンが出てこないものも多いです。そんなワイバーンですが実はイギリスでは人気が高く、しっかりと区別されています。

その理由が紋章。主にヨーロッパで個人や家系、組織・団体を象徴するのが紋章です。今風に言えばSNSのアイコンですね。古代ギリシャや古代ローマの時代から使われていたとされています。特に貴族や騎士につきものです。そこから現在でも軍隊で紋章のようなものが登場します。その図案の中でもイギリスで人気が高いのがワイバーンなのです。

実はイギリス特有なワイバーンの区別

ドラゴンとワイバーンは足の数が違うとざっくり説明しました。実はイギリス以外では特に区別されていないことも多いです。また、そのイギリスでも両者を明確に区別するようになったのは400年くらい前で、それ以前は4本足のワイバーンや2本足のドラゴンも存在していました。

そのように区別するようなきっかけになったのが紋章です。もともとは「ワイバー」という二足の竜が13世紀にイングランドで紋章に使われていたのが確認されています。このワイバーはワイバーンとは違い、トカゲの姿で翼もないことも。しかし、エリザベスI世の時代に紋章を管理する紋章官がワイバーのことを「ワイバーン」としてしまったことが発祥という説もあります。

\次のページで「バリエーション豊富?紋章で多様化したワイバーン」を解説!/

バリエーション豊富?紋章で多様化したワイバーン

様々なバリエーションがあるドラゴンと比べて、イメージが固定化しているワイバーン。しかし、紋章では差別化するためか様々な変形パターンがあります。例えば翼のないワイバーンの紋章はイギリスだけでなく、現在もアメリカ陸軍の一部の部隊で使用中です。

他にも頭が複数あるものや、下半身が魚になっているものなどがあります。特に魚になっているものはシーワイバーンやシードラゴンと呼ぶ場合も。紋章の世界ではワイバーンも多様化しているわけです。

特徴不明?ファンタジー界のワイバーン

地球上のあらゆるところで神話や伝説がある竜やドラゴンと違い、ワイバーンはそういうものは残っていません。そのためドラゴンほど明確な生態や特徴は残っていないのです。そういう個性のなさも人気が伸びない理由かも。

その中でもモンスターとしてのワイバーンの原型とされているのが「ソックバーンのワーム」という伝承です。現在のイングランドとスコットランドの間あたりの話で、翼を持って空を飛ぶとされています。毒を持ち、サソリの様な尾をしており、沼地に生息していると書かれていたそうです。姿形は違いますが、ワイバーンと共通するところも多いですね。

ドラゴンとワイバーンを区別するようになったきっかけは紋章

ワイバーンもドラゴンも古代から存在が知られています。しかし、各地に伝説や伝承、神話があるドラゴンに対し、ワイバーンはそういう資料がありません。そのため、ドラゴンほど知名度もない状況です。その一方、イギリスの紋章という文化の中ではワイバーンの人気は高く前足の代わりのコウモリの翼と二本のワシの脚など定番のパターンが存在します。そこから様々なパターンに分かれた紋章が生まれたのです。

ドラゴンもワイバーンも語源はヘビ。英単語としてのドラゴンとワイバーンになるまでの経路の違いだけで、実はもともとは同じものなのかもしれません。

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文化・歴史雑学

ワイバーンとドラゴンの違いとは?足の数?飛ぶかどうか?ゲーム好きプログラマーがわかりやすく解説

バリエーション豊富?紋章で多様化したワイバーン

様々なバリエーションがあるドラゴンと比べて、イメージが固定化しているワイバーン。しかし、紋章では差別化するためか様々な変形パターンがあります。例えば翼のないワイバーンの紋章はイギリスだけでなく、現在もアメリカ陸軍の一部の部隊で使用中です。

他にも頭が複数あるものや、下半身が魚になっているものなどがあります。特に魚になっているものはシーワイバーンやシードラゴンと呼ぶ場合も。紋章の世界ではワイバーンも多様化しているわけです。

特徴不明?ファンタジー界のワイバーン

地球上のあらゆるところで神話や伝説がある竜やドラゴンと違い、ワイバーンはそういうものは残っていません。そのためドラゴンほど明確な生態や特徴は残っていないのです。そういう個性のなさも人気が伸びない理由かも。

その中でもモンスターとしてのワイバーンの原型とされているのが「ソックバーンのワーム」という伝承です。現在のイングランドとスコットランドの間あたりの話で、翼を持って空を飛ぶとされています。毒を持ち、サソリの様な尾をしており、沼地に生息していると書かれていたそうです。姿形は違いますが、ワイバーンと共通するところも多いですね。

ドラゴンとワイバーンを区別するようになったきっかけは紋章

ワイバーンもドラゴンも古代から存在が知られています。しかし、各地に伝説や伝承、神話があるドラゴンに対し、ワイバーンはそういう資料がありません。そのため、ドラゴンほど知名度もない状況です。その一方、イギリスの紋章という文化の中ではワイバーンの人気は高く前足の代わりのコウモリの翼と二本のワシの脚など定番のパターンが存在します。そこから様々なパターンに分かれた紋章が生まれたのです。

ドラゴンもワイバーンも語源はヘビ。英単語としてのドラゴンとワイバーンになるまでの経路の違いだけで、実はもともとは同じものなのかもしれません。

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