
カマスの正しい下処理と保存方法は?定番以外の美味しい食べ方も現役料理人が詳しくわかりやすく解説
・塩締めで水分をしっかり抜くこと
・骨を丁寧に取り除くこと
カマスは水分が多いため、本来は揚げ物に向いていません。時間をかけて水分を抜き、長所である強い旨みを引き出しましょう。パン粉が湿らないので、油跳ねを防いでサクッと揚がります。フライ用に下処理する場合、塩締めの時間は20分以上が目安です。
カマスの骨は細くて硬いので、喉につかえる恐れがあります。血合い部分にある骨は、骨抜きを使って1本残らず取り除きましょう。食べやすくなり、お子さまやご年配の方でも安心です。
#3 鍋や汁物にピッタリのつみれ
下処理でしっかり水分を抜くと、まとまりやすくなります。カマスは皮を引き、塩を振って20分以上脱水しましょう。
もっちりとしたつみれにするコツは、粘り気を出すこと。皮を引いたカマスの身を細かく刻み、包丁で叩くだけです。叩けば叩くほど粘り気が出て、加熱したときモチモチの食感になります。口当たりを滑らかにする「つなぎ」は、卵・油脂類・ねぎ・粉物がおすすめです。
フワフワの食感にしたい場合は、空気を含ませながらよくすります。フードプロセッサーを使うと簡単です。山芋やはんぺんを加えると、よりふんわりと仕上がります。
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・水分(ドリップ)をよく拭き取る。
・空気に触れないよう密封すること。
カマスの保存にも塩締めが役立ちます。塩を振ることで、腐敗の原因となる水分が抜けるからです。脱水処理したカマスを保存袋に入れて密封すれば、上記2つのポイントをクリアできます。
保存の際は、尖ったカマスの頭は落としてください。保存袋が損傷したり、保存スペースがなくなったりするからです。落とした頭は骨せんべいや唐揚げで食べられるので、別袋で冷凍保存しましょう。
冷蔵保存
チルド室(0℃)で低温保存するのが鮮度を保つコツ(鮮魚の保存に適した温度は0~3℃)。
【冷蔵保存方法】
1.下処理をしたカマスの水気をよく拭き取る
2.キッチンペーパーとラップでピッタリ包む
3.保存袋に入れてしっかり空気を抜く
4.毎日キッチンペーパーを交換する
保存期限:2~3日
アルミ製のバットに乗せたまま、冷蔵庫に入れるのがおすすめです。熱伝導率が高いため、短時間で冷やせて劣化も遅らせられます。丸ごと1尾の場合は、お腹の中にもキッチンペーパーを入れておきましょう。もっとも腐敗しやすい腹部を清潔に保てます。
冷凍保存
切り身の場合は冷蔵保存とほぼ同じ。水気を取ったカマスをラップでピッタリ包み、保存袋に入れて密封するだけです。アルミ製バットに乗せると、急速冷凍できます。
丸ごと1尾の場合は「氷漬け冷凍」がおすすめです。カマスを水に浸けたまま冷凍することで、氷の膜が全身を覆い乾燥から守ります。カマスのように小型~中型の魚に向いている保存方法です。
【氷漬け冷凍方法】
1.すぐに冷えるようカマスの腹に氷を詰める
2.深めの容器に並べてかぶるくらい水を張る
3.水がもれないよう蓋をして冷凍庫へ入れる
保存期限:1~2ヶ月ほど。
仕込み冷凍
下ごしらえをしてから冷凍保存する方法で、すぐに調理できて時短につながります。カマスのフライやすり身、干物などにおすすめの保存方法です。
【フライ・すり身】
1.ラップを敷いたアルミバットに1個ずつ並べて冷凍する
2.完全に凍ったらバットから取り外し保存袋で密封する
【干物】
1枚ずつラップに包み保存袋で密封する
フライやすり身は一度完全に冷凍させると、1個ずつ取り出せて便利です。干物は冷凍庫内の他の食材に臭いが移らないよう、しっかり密封しましょう。
正しい解凍方法
丸ごと1尾や切り身の冷凍カマスは、流水で短時間に解凍するのが基本。解凍に時間がかかると、解ける過程で劣化するからです。カマスに直接水がかからないよう、密封したまま流水にあてます。
仕込み冷凍したカマスは、冷蔵庫内でじっくり自然解凍してください。水にあてると形が崩れたり、パン粉が湿ったりします。電子レンジや常温での解凍はNGです。電子レンジで解凍すると火が入り、常温解凍では細菌が繁殖して食中毒の危険が高まります。
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正しい下処理と保存方法でカマスを安全に美味しく食べよう
カマスのいろいろな食べ方がわかりましたね。カマスは魚体が細いので、身に負担がかからない大名おろしが主流です。同様の理由で干物にする場合も、頭を付けたまま背開きにします。下処理の段階で、余分な水分を抜いておくことが重要です。カマス本来の旨みを凝縮し、腐敗の原因を取り除けます。
保存方法のポイントは、水気をよく拭き取りしっかり密封すること。正しい下処理と保存方法を覚えることで、いつでも美味しいカマスを安全に食べられます。