今回はカマスについて学んでいきます。塩焼きや干物でよく食べられるが、非常に栄養価の高い魚です。血液をサラサラにしたり、エネルギーの生産をサポートしたりする。タンパク質が豊富なので、ダイエットにも効果的です。この記事はカマスの栄養や効能、特徴について現役料理人のテルトラと一緒に解説していきます。

ライター/テルトラ

経験15年の現役料理人。和食を中心にさまざまな業態で多くの食材にふれてきた。得意分野は魚料理。

カマスの特徴とは?

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カマスとはカマス科カマス属の魚の総称で、分類上20種類ほど存在します。細長い体と尖った下あごが特徴の肉食魚です。体長は最大で50㎝ほどになり、獰猛で攻撃的な性格をしています。一般に流通しているのは「アカカマス」と「ヤマトカマス」の2種類。南日本には、体長180㎝にもなるオニカマスという種類が生息しています。

カマスとはどんな魚?

かます袋のように口が大きいことが名前の由来。大きな口と鋭い歯をもっているので、触れる際には注意が必要です。温暖な海域を好み、北海道より南の日本太平洋沿岸から東・南シナ海まで、広い海域に分布します。

カマスは浅場に多く生息し、イワシなどの小魚が主食です。飛び出てた下あごには内向きに生えた鋭い歯が並び、一度獲物に喰らい付いたら離しません。釣り人の間でもルアーに激しく喰い付く魚として、よく知られています。

カマスはどんな味?

淡泊な味でクセがなく、やや水っぽい白身は加熱すると適度に締まります。魚の旨みが強く皮に厚みがあるので、焼き魚がおすすめです。皮目をしっかり焼くと、皮と身の間から良質の脂が溶け出してきます。

味が良いアカカマスは刺身・塩焼き・揚げ物など、さまざまな調理が可能です。旬を迎える秋にもっとも脂が乗り「秋カマスは嫁に食わすな」ということわざがあるほど美味しくなります。水分が多いヤマトカマスは血合いが大きく変色しやすいため、干物にされることが多い魚です。加熱してもあまり硬くならず、厚めの皮に独特の香りがあります。

獰猛なバラクーダに要注意

バラクーダは正式にはオニカマスという種類で、体長は2m近くに及びます。人を襲うこともあり、その獰猛さは「海のギャング」と呼ばれるほど。シガテラ毒をもつ危険な魚で、遭遇する場所によっては注意が必要です。

主に東部以外の太平洋・インド洋・大西洋の熱帯地域などに分布しています。日本近海では関東より南の暖かい海域に生息し、とくに沖縄地方が多いです。釣り界隈では「バラクーダ」の名前で通っています。

\次のページで「カマスの豊富な栄養と効能」を解説!/

カマスの豊富な栄養と効能

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カマスに含まれる栄養素と効能は主に4つです。

・タンパク質‥ダイエット効果
・DHA・EPA‥血液をサラサラにする
・ビタミンD‥骨や歯の健康を維持する
・ビタミンB群‥さまざまな代謝を補助する

1.ダイエットに最適なタンパク質

ダイエットを成功させるには、筋肉が必要不可欠です。筋肉量が増えると体の基礎代謝が上がるため、脂肪を燃焼しやすい体になります。カマスは筋肉を作るのに必要なタンパク質が豊富です。焼くことでさらにタンパク質が増え、カロリーと脂質が減少します。

【カマス100gあたり】
エネルギー:148kcal
タンパク質:18.9g
脂質:7.2g
糖質:0.1g

【サラダチキン100gあたり】
エネルギー:113kcal
タンパク質:21.48g
脂質:1.47g
糖質:2.11g

タンパク質には免疫に関わる酵素やホルモンの材料となって、免疫力をアップさせる効能があります。

2.血液をサラサラにするEPA・DHA

不飽和脂肪酸のひとつ。体内では作れないため、食事からの摂取が必要不可欠です。血中のコレステロールを下げ、高脂血症・高血圧・動脈硬化を予防する効能があります。また、中性脂肪を減らす働きをするので、ダイエットにも効果的です。

EPAは血管の柔軟性を高めて血栓を除去し、血液をサラサラにします。アレルギー性の炎症を抑える効能もあるため、花粉症にも有効な栄養素です。

\次のページで「3.骨や歯の健康を維持するビタミンD」を解説!/

3.骨や歯の健康を維持するビタミンD

日光浴によって、体内でも生成される栄養素です。逆に室内で過ごす時間が多い場合は、食べ物から摂取する必要があります。ビタミンDの効能は、カルシウムやリンの吸収を促進して骨や歯を健康に保つこと。血中のカルシウム濃度を安定させることで、神経伝達や筋肉の動きをスムーズにします。

免疫力をアップさせる効能もあるので、インフルエンザなどの感染症予防に効果的です。殺菌作用をもつ抗菌ペプチドを作り、侵入してくるウイルスや細菌を撃退します。

4.さまざまな代謝に役立つビタミンB群

ビタミンB12の効能は、葉酸とともに赤血球を生成し血液を作ること。貧血の予防や改善に効果的で、末端神経の修復を促す働きもあります。野菜だけの食生活では不足しがちな栄養素です。

ビタミンB6には、タンパク質の分解や代謝をサポートする効能があります。ダイエットや筋トレでタンパク質を多く必要とする人は、一緒に摂取すると非常に効果的です。

ナイアシン(ビタミンB3)は二日酔い対策に有効で、飲む前に摂取するとより効果を発揮します。主な効能は、三大栄養素(タンパク質・脂質・糖質)がエネルギーに変換されるのを補助すること。皮膚や粘膜の細胞再生を促す働きもあります。

カマスを食べるときの注意点

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水分が多いカマスは、傷みやすい魚です。鮮度の良いものを購入し、必ず低温保存しましょう。調理の際は、内臓を取り除くことも忘れずに。カマスのような肉食魚は、捕食した小魚の菌や毒素が処理しきれず内臓に残っています。

カマスには寄生虫のアニサキスがいる可能性があるため、加熱調理が望ましいです。「新鮮なカマスを刺身で食べたい」という場合は、-20℃以下で24時間以上冷凍することをおすすめします。

カマスのアレルギーとは?

カマスを含む魚のアレルギー原因は「パルブアルブミン」という成分です。魚ごとに含有量が異なり、カマスのような小魚には多く含まれます。熱に強いため、加熱してもアレルゲン性はなくなりません。パルブアルブミンは魚の部位によって含有量が変わるので、調理する際の参考にしてください。

・多い部位‥腹部や頭部
・少ない部位‥背中や尾の部分

高圧下の高温調理で、アレルゲン性は低下します。ご家庭で調理する場合は、圧力鍋が有効です。水溶性のため煮汁に溶け出しやすく、長時間煮込んだり2・3回と煮直したりすることでアレルゲン性を抑えられます。

\次のページで「妊娠中の食べ方」を解説!/

妊娠中の食べ方

妊娠中にカマスを食べても問題ありませんが、次の2つに注意しましょう。

・加熱調理する
・食べる量に注意

食中毒の危険を避けるために、加熱調理してください。血液が固まりやすい妊娠中に、下痢や嘔吐で多くの水分を失うのは危険です。血栓ができて血管が詰まる恐れがあります。

カマスには水銀が含まれているので、食べ過ぎは禁物。過剰に摂取すると、胎児に悪影響を及ぼす恐れがあるからです。水銀は自然界に元々ある物質で、餌などからカマスの体内に蓄積されていきます。少量であれば母子ともに影響はないので、食べる量に注意しましょう。

離乳食にはいつから使える?

カマスは離乳食に適した食材といえます。低脂質・高タンパク質なうえに、栄養価も高いからです。白身魚のカマスは、生後5~6ヶ月の初期段階から離乳食として使えます。白身魚は赤身や青魚に比べて、アレルギーが出にくい食材です。

おすすめの調理法は素焼き。味付けはカマスが本来もっている塩気のみで十分です。弱火~中火で、じっくり中まで熱を通してください。くれぐれも生焼けには注意しましょう。また、カマスは骨が硬く小骨も多いので、離乳食にする場合は丁寧に取り除いてください。

美味しくて栄養豊富なカマスを取り入れよう

カマスがもつ栄養素や効能がわかりましたね。飛び出た下あごが特徴で、鋭い歯をもっています。獰猛な性格で、一度喰らい付いた獲物は離しません。

カマスにはタンパク質・DHA・EPA・ビタミンD・ビタミンB群が豊富に含まれていて、骨や歯を健康にし血液をサラサラにするだけでなく、タンパク質などの代謝を促すのでダイエットにも効果的。淡泊な白身なので離乳食にも適していますよ。

獰猛な肉食魚ですが、そのぶん他の魚介類の旨みを吸収しているのかも知れませんね。栄養価が高く味もよいカマスを、普段の食事に取り入れてみましょう。

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家庭科

カマスとは栄養豊富な白身魚!健康に役立つ効能や特徴を現役料理人が詳しくわかりやすく解説

今回はカマスについて学んでいきます。塩焼きや干物でよく食べられるが、非常に栄養価の高い魚です。血液をサラサラにしたり、エネルギーの生産をサポートしたりする。タンパク質が豊富なので、ダイエットにも効果的です。この記事はカマスの栄養や効能、特徴について現役料理人のテルトラと一緒に解説していきます。

ライター/テルトラ

経験15年の現役料理人。和食を中心にさまざまな業態で多くの食材にふれてきた。得意分野は魚料理。

カマスの特徴とは?

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カマスとはカマス科カマス属の魚の総称で、分類上20種類ほど存在します。細長い体と尖った下あごが特徴の肉食魚です。体長は最大で50㎝ほどになり、獰猛で攻撃的な性格をしています。一般に流通しているのは「アカカマス」と「ヤマトカマス」の2種類。南日本には、体長180㎝にもなるオニカマスという種類が生息しています。

カマスとはどんな魚?

かます袋のように口が大きいことが名前の由来。大きな口と鋭い歯をもっているので、触れる際には注意が必要です。温暖な海域を好み、北海道より南の日本太平洋沿岸から東・南シナ海まで、広い海域に分布します。

カマスは浅場に多く生息し、イワシなどの小魚が主食です。飛び出てた下あごには内向きに生えた鋭い歯が並び、一度獲物に喰らい付いたら離しません。釣り人の間でもルアーに激しく喰い付く魚として、よく知られています。

カマスはどんな味?

淡泊な味でクセがなく、やや水っぽい白身は加熱すると適度に締まります。魚の旨みが強く皮に厚みがあるので、焼き魚がおすすめです。皮目をしっかり焼くと、皮と身の間から良質の脂が溶け出してきます。

味が良いアカカマスは刺身・塩焼き・揚げ物など、さまざまな調理が可能です。旬を迎える秋にもっとも脂が乗り「秋カマスは嫁に食わすな」ということわざがあるほど美味しくなります。水分が多いヤマトカマスは血合いが大きく変色しやすいため、干物にされることが多い魚です。加熱してもあまり硬くならず、厚めの皮に独特の香りがあります。

獰猛なバラクーダに要注意

バラクーダは正式にはオニカマスという種類で、体長は2m近くに及びます。人を襲うこともあり、その獰猛さは「海のギャング」と呼ばれるほど。シガテラ毒をもつ危険な魚で、遭遇する場所によっては注意が必要です。

主に東部以外の太平洋・インド洋・大西洋の熱帯地域などに分布しています。日本近海では関東より南の暖かい海域に生息し、とくに沖縄地方が多いです。釣り界隈では「バラクーダ」の名前で通っています。

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