この記事ではドラフトと育成の違いについてみていこう。2つとも主に高校生や学生、社会人の野球選手の入団の際に球団が指名できる制度を表す時に使う用語です。ただ、どちらの立場になるかで、選手として活躍の場が異なる。試合に出られない選手に変則的に制度を適用することもあるようです。これらの2つの語について、プロ野球ファンの文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

シーズンが終わると、ドラフトでどのような選手が入団するのか気になるプロ野球ファンのライター。

ドラフトと育成ドラフトのざっくりした違い

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プロ野球の公式戦終了後から日本シリーズが始まる前の、10月中旬から下旬頃にプロ野球のドラフト会議が行われます。ドラフト1位まではテレビ中継されますよね。意中の球団に選ばれた選手は笑顔が印象的。アテが外れた選手はポーカーフェイスを装ってはいますが、内心落ち着かない様子。

その後ドラフトで新人選手の指名が終わってから、育成ドラフトが始まります。両方とも新人選手を選択して、球団の責任者が入団交渉をしますが、明確な違いはあるのでしょうか。

プロ野球ドラフト会議:支配下登録可能なプロ志望の新人選手を指名

プロ野球ドラフト会議は正式な名前ではありません。本来は「新人選手選択会議」。ドラフトは英語"draft”で、人を選ぶ(選抜する)こと。「日本野球機構」(略称:NPB)主催で行われ、セントラル・リーグとパシフィック・リーグに属するプロ野球12球団にルールに基づいて新人選手と契約と交渉する権利を各球団に配分する会議をいいます。

ドラフト会議に上がる選手は、支配下登録が可能な新人卒業を控えた高校生や大学生社会人野球の選手などが対象です。入団交渉の期限は、高校生や大学生は翌年の3月末まで、社会人は1月末まで。指名されても必ずしも入団する必要はなく、拒否する選手もいます。ただ、入団拒否した選手は、2年間はドラフト会議にかけられないなどのペナルティが有りますよ。

指名の仕方

ドラフト1位で指名する順番は、一年おきにセ・リーグかパ・リーグからとなり、交互に低い順位の6位チームから指名していきます。ドラフト1位のみ指名する選手が重なった場合はくじ引きとなり、再度重複した場合も抽選となるのです。2位指名は1位とは逆に最後に残ったリーグの1位のチームから。各リーグの1位から交互に指名し、3位は再び最下位からというように順番で指名します。2位以降は先に指名したチームから優先的に交渉権を獲得できるのです。

ドラフトは全チームで指名した選手が120人に達したらその時点で終了。「選択を終了した」と宣言をしていないチームがあっても強制的に取りやめになります。

育成ドラフト:支配下登録を目指す育成選手を指名

育成選手のドラフトは2次ドラフトとも呼ばれ、ドラフト会議の後に行われます。支配下登録のある選手が65人以上在籍するチームのみが参加可能。対象となるのは原則として翌年の3月に卒業見込みとなる高校生と大学生、独立リーグなどに所属する野球選手、あまり実績のない若手の外国人選手です。

育成選手を選ぶ理由としては、「選手の野球の技術向上と社会教育(マナー)の養成を目的とする」ことがあげられます。はっきりとした決まりはありませんが、社会人野球出身の選手には十分に能力が備わっているという考え方がされていて、育成選手には選ぶのは不適当とされているようです。

\次のページで「指名の仕方と契約期間」を解説!/

指名の仕方と契約期間

ドラフトの指名の順番は、ドラフト会議で行われるのと同様です。育成選手での契約は3年間が限度

支配下登録選手と育成登録選手との違い

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支配下登録選手は、原則として70名まで。1軍と2軍の試合に出場できる選手です。対して、育成登録選手は野球の技術やプロ野球選手としてのマナーを身につける目的で集められ、教育や指導の意味での側面があるため、2軍の試合にしか出場できません。支配下登録選手の方が優遇されています。それ以外の細かい違いについて見ていきましょう。

【支配下登録選手の特徴】
・背番号:0~99番までの1桁~2桁
スター選手は1桁台。ドラフト上位の選手ほど、かつてのスター選手が付けていた出世番号や記録にちなんだ番号を付けている。
・契約金:有り(ドラフトの順位に応じた金額)
・最低限の年俸:440万円
・支配下登録ができる上限人数:70人
・出場できる試合:1軍および2軍戦

【育成選手の特徴】
・背番号:001番以降の3桁
・契約金:無し(代わりに支度金として300万円が支給)
・最低限の年俸:240万円
・育成登録が可能な資格:支配下登録選手が65人以上いるチーム
・出場できる試合:2軍戦のみ(ただし、出場できる育成選手は上限5人まで)

\次のページで「選手登録を変更する例」を解説!/

選手登録を変更する例

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シーズンの途中や終了後に選手登録を変更される例はあります。それぞれに分けて見ていきましょう。

1.支配下登録から育成登録へ

支配下登録を解除して育成選手登録がされる例としては、怪我や病気の治療が次のシーズンにもかかることが予想される場合があげられます。登録変更としては変則的ですが、手術が必要で長期のリハビリが余儀なくされたり、療養が必要だったりすると、その期間1軍の試合に出られる選手を確保しておく必要があるからです。

2.育成登録から支配下登録へ

契約は3年間ですが、2軍戦で目覚ましい活躍を見せるとシーズン中でも支配下登録が可能になる例もあります。7月までであれば、シーズンの中途でも支配下登録が可能です。福岡ソフトバンクホークスの千賀滉大投手と甲斐拓也捕手のバッテリーがよく知られています

3年目を迎えた以降は支配下登録がされない限り野球選手を辞めるか、再度所属する球団と育成選手として4年目以降も再契約をするなどの方法も。もしくは、シーズン語に契約を解除し自由契約選手となって、他球団のテストに合格後に他球団に移籍して支配下登録を勝ち取るかという方法もあります。

ドラフト会議と育成ドラフトでは支配下登録への可否の違いがある

ドラフト会議で指名された選手は支配下登録され、1軍の試合に出場できることや金銭面でも優遇されています。対して、育成ドラフトは教育的な側面があり、2軍の試合での出場のみしかできず、金銭面でもドラフト会議で選抜された選手よりも劣ることがほとんど。しかし、2軍で結果を残すと支配下登録への道も開かれ、レギュラー選手として目覚ましい活躍をしている選手も見られます。

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雑学

3分で分かるプロ野球ドラフトと育成ドラフトの違い!待遇や支配下登録との違いも野球ファンの文学部卒ライターがわかりやすく解説

この記事ではドラフトと育成の違いについてみていこう。2つとも主に高校生や学生、社会人の野球選手の入団の際に球団が指名できる制度を表す時に使う用語です。ただ、どちらの立場になるかで、選手として活躍の場が異なる。試合に出られない選手に変則的に制度を適用することもあるようです。これらの2つの語について、プロ野球ファンの文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

シーズンが終わると、ドラフトでどのような選手が入団するのか気になるプロ野球ファンのライター。

ドラフトと育成ドラフトのざっくりした違い

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プロ野球の公式戦終了後から日本シリーズが始まる前の、10月中旬から下旬頃にプロ野球のドラフト会議が行われます。ドラフト1位まではテレビ中継されますよね。意中の球団に選ばれた選手は笑顔が印象的。アテが外れた選手はポーカーフェイスを装ってはいますが、内心落ち着かない様子。

その後ドラフトで新人選手の指名が終わってから、育成ドラフトが始まります。両方とも新人選手を選択して、球団の責任者が入団交渉をしますが、明確な違いはあるのでしょうか。

プロ野球ドラフト会議:支配下登録可能なプロ志望の新人選手を指名

プロ野球ドラフト会議は正式な名前ではありません。本来は「新人選手選択会議」。ドラフトは英語”draft”で、人を選ぶ(選抜する)こと。「日本野球機構」(略称:NPB)主催で行われ、セントラル・リーグとパシフィック・リーグに属するプロ野球12球団にルールに基づいて新人選手と契約と交渉する権利を各球団に配分する会議をいいます。

ドラフト会議に上がる選手は、支配下登録が可能な新人卒業を控えた高校生や大学生社会人野球の選手などが対象です。入団交渉の期限は、高校生や大学生は翌年の3月末まで、社会人は1月末まで。指名されても必ずしも入団する必要はなく、拒否する選手もいます。ただ、入団拒否した選手は、2年間はドラフト会議にかけられないなどのペナルティが有りますよ。

指名の仕方

ドラフト1位で指名する順番は、一年おきにセ・リーグかパ・リーグからとなり、交互に低い順位の6位チームから指名していきます。ドラフト1位のみ指名する選手が重なった場合はくじ引きとなり、再度重複した場合も抽選となるのです。2位指名は1位とは逆に最後に残ったリーグの1位のチームから。各リーグの1位から交互に指名し、3位は再び最下位からというように順番で指名します。2位以降は先に指名したチームから優先的に交渉権を獲得できるのです。

ドラフトは全チームで指名した選手が120人に達したらその時点で終了。「選択を終了した」と宣言をしていないチームがあっても強制的に取りやめになります。

育成ドラフト:支配下登録を目指す育成選手を指名

育成選手のドラフトは2次ドラフトとも呼ばれ、ドラフト会議の後に行われます。支配下登録のある選手が65人以上在籍するチームのみが参加可能。対象となるのは原則として翌年の3月に卒業見込みとなる高校生と大学生、独立リーグなどに所属する野球選手、あまり実績のない若手の外国人選手です。

育成選手を選ぶ理由としては、「選手の野球の技術向上と社会教育(マナー)の養成を目的とする」ことがあげられます。はっきりとした決まりはありませんが、社会人野球出身の選手には十分に能力が備わっているという考え方がされていて、育成選手には選ぶのは不適当とされているようです。

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