パパイヤというと、南国から輸入されるトロピカルフルーツのイメージです。黄色い果皮と、甘くてフルーティーな香りが印象的です。しかし、エスニック料理などでは、豚肉やナンプラーなどと合わせた料理の「青パパイヤ」と呼ばれる食材も人気のようです。果物と野菜、どちらがパパイヤの本当の姿なのでしょうか?今回の記事では、パパイヤと青パパイヤの違い、由来や歴史、豊富な栄養や効能と注意点を果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。乾燥パパイヤはうさぎも大好物!

パパイヤってどんな果物?

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パパイヤは、熱帯地域で育つパパイア科パパイア属の常緑小高木の果実です。若いパパイヤの果皮は緑色で、熟すにつれ全体が黄色く変化していきます。果実の中央は空洞になっていて、100~1000個の黒くて小さい種がびっしり入っているのが特徴。国内でも沖縄県九州地方で栽培されていますが、日本で流通しているものはアメリカやタイ・フィリピンから輸入されるものが多いです。

どんな味がするの?

熟して濃い黄色の果肉は、独特の香りがあり、なめらかでとろけるような食感強い甘味には熟した柿に似た風味があります。酸味がほとんどなく、少し癖のある味わいなので、レモン汁をかけて食べる場合もありますよ。品種によって様々なサイズがありますが、一般的に大きいほど甘さが少なくなると言われています。

青パパイヤとの違い

「青パパイヤ」という種類がありますが、「パパイヤ」とどう違うのでしょうか?

答えは簡単、「熟しているかどうか」です。一般的に言われる「パパイヤ」は熟してから食べる「フルーツパパイヤ」を指し、まだ緑色の未熟な内に収穫されたパパイヤを「青パパイヤ(またはグリーンパパイヤ)」と呼びます。沖縄フィリピンタイなどでは、フルーツというより野菜として利用され、サラダや和え物、炒め物などのおかずとして食べられますよ。熟す前なので、果肉や種は真っ白で、シャキシャキとした食感淡泊な味わいです。

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和名と別名は?

「パパイヤ(papaya)」は英語の名前です。和名「木瓜(もっか)」または、そのまま「パパイヤ(パパイア)」と呼ばれます。

パパイヤには多くの別名があり、「乳瓜(チチウリ)」「蕃瓜樹(バンカジュ)」「万寿瓜(マンジュマイ)」「ツリーメロン」などと呼ばれることも。ちなみに「パパイヤ」と「パパイア」、語尾はどちらが正しいのか、知っていますか?正解は、どちらも正しいのです。園芸の世界では「パパイア」農業の世界では「パパイヤ」が正式呼称となっています。

パパイヤの歴史

パパイヤの原産地は中南米と言われています。古くはメキシコのマヤ文明で、食用や薬用にパパイヤを使っていたようです。世界中に広まったのは、16世紀大航海時代から。探検家コロンブスが発見し、ヨーロッパへ持ち帰ったそうです。その後、キリスト教の宣教師等の手で、アフリカやアジアの熱帯地域にも伝えられていきました。

日本には明治時代に伝わり、沖縄南九州、小笠原諸島などで栽培されるようになったそうです。1968年に外国からの輸入が解禁されてからは、市場にも多く出回るようになりました。

パパイヤの栄養・効能

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パパイヤには、ビタミンC・カロテン・葉酸・カリウム・リコピン・食物繊維など、健康に良い栄養素が豊富に含まれています。アメリカで作成された「ファンタスティック・フルーツ」という栄養価の高い果物ランキングでは、パパイヤはオレンジやリンゴ、バナナを抜いて、上位5種に選ばれたそうですよ!最近の研究では、イソチアシオネートという成分が肝臓の解毒作用を促進することが分かり、抗がん作用も注目されています。

では、パパイヤにはどのような栄養や効能があるのでしょうか。主な栄養素をピックアップし、詳しくご紹介します。

1.ビタミンC:美肌効果・アンチエイジング・がん予防・免疫力向上

パパイヤには、ビタミンC含有の代表「レモン」と同じくらい豊富なビタミンCを含んでいます。完熟のパパイヤ100gには、成人の一日に必要なビタミンCの半分以上が含まれているのだそう。

ビタミンCは、お肌にハリや潤いを与えるコラーゲンの生成に欠かせない栄養素です。さらに、メラニンの合成を抑制し、シミ予防にも効果を期待できます。ビタミンCは「美容ビタミン」と呼ばれ、美肌を保つ助けをしてくれますよ。また、ビタミンCには、抗酸化作用がありますので、アンチエイジング生活習慣病予防などにも効果があるとされています。他にも、発がん物質の生成を抑制したり、ストレスから体を守ってくれる働きもありますよ。

2.カロテン:アンチエイジング・生活習慣病予防・皮膚や視力の健康維持

熟したパパイヤの黄色い果肉には、カロテンが豊富に含まれています。緑黄色野菜などにも含まれる色素ですね。

カロテンは強い抗酸化作用を持っており、また、必要な分だけ体内でビタミンAに変換され働きます。ビタミンAは皮膚や粘膜を健康に保ち、薄暗いところでの視力の維持や、免疫力の向上などの作用がありますね。パパイヤが熟すほど含有量が増加し、完熟のパパイヤのカロテン含有量は、青パパイヤの4倍と言われています。

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3.カリウム:高血圧予防・むくみ改善

カリウムは体内でナトリウムとバランスをとりながら、細胞の浸透圧を調整する栄養素です。体内のナトリウムが濃くなると、体外に排出する働きがありますので、高血圧の予防に効果があると言われています。また、利尿作用により塩分と共に水分も排出されますので、むくみ予防に効果が期待できますよ。

4.ポリフェノール:血行促進・アンチエイジング・生活習慣予防

ポリフェノールには、強力な抗酸化作用があります。特に、青パパイヤには赤ワインの7.5倍のポリフェノールが含まれているそうです。ポリフェノールは血液をサラサラにしたり、血管を守る働きがありますので、血行が良くなりますよ。

ポリフェノールは摂取してから30分ほどで効果を発揮し、2~3時間で消えてしまうそうです。体内に蓄えることも出来ないので、他の食物と組み合わせて、こまめな摂取がポイントですね。

5.パパイン酵素:消化促進・胃もたれ改善

パパインはパパイヤから発見されたたんぱく質分解酵素です。パパイヤをカットすると出てくる白色の乳汁に含まれる成分で、熟すと減少するため、特に青パパイヤに多く含まれます。パパインはたんぱく質だけでなく、脂肪など三大栄養素すべて分解する力があるとか。食後の消化を助け胃もたれを改善してくれますよ。

たんぱく質分解酵素の特徴として、ピューレなどに肉を漬け込むと柔らかくしてくれますが、たんぱく質であるゼラチンは固まりにくくなります。また、生のパパイヤを素手で触ると、皮膚もたんぱく質で出来ているので、かゆみなどの症状が出ることがあるそう。調理の際はご注意ください。

食用以外の効果として、パパインには強力な洗浄力消毒力もあり、粉末状に精製して、洗顔料や洗剤・軟膏としても使われています。

パパイヤを食べる時の注意点

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パパイヤには豊富な栄養が含まれ、100gあたり38kcal低カロリーな嬉しい果物です。しかし、栄養を摂りたいからといって、食べ過ぎには注意が必要ですよ。パパイヤの過剰摂取にはどのようなリスクがあるのか詳しく解説していきましょう。

体を冷やす原因に

一般的にトロピカルフルーツは「体を冷やす食べ物」に分類されます。それは「水分とカリウムが多く含まれる」ことが原因のようです。パパイヤを過剰摂取すると、カリウムの利尿作用により、多量の水分と共に、熱も体外に放出してしまうので、体温が下がりやすくなってしまいます。身体を冷やし過ぎると、代謝の低下や、腹痛・下痢の原因に繋がりますよ。冷え性の方は特に注意してください。

下痢になる!?

パパイヤの食べ過ぎは「体を冷やし過ぎる」以外にも、下痢や腹痛の原因があります。

まず、パパイヤの水分。パパイヤの約90%は水分のため、水分の摂り過ぎで下痢になりやすくなります。次に、パパイヤに含まれているペクチンという食物繊維。ペクチンにはコレステロールを下げたり、便秘や下痢を改善して腸内環境を整える効果がありますが、摂りすぎると消化不良を引き起こしてしまいます。最後に、イソチオシアネートパパイン。これらも多量に摂取すると消化不良になり、下痢の原因になってしまいます。

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パパイヤによるアレルギー

パパインやキチナーゼなどパパイヤに含まれる成分には、人によってアレルギー症状を引き起こすものがあります。主なアレルギーは口腔アレルギーラテックスアレルギーです。

アレルギーが発症すると、食後15分ほどで、口内のかゆみ・腫れ、喉のイガイガ、身体に蕁麻疹やかゆみ、吐き気・腹痛などが現れます。重篤な場合、アナフィラキシーショックを引き起こす可能性もありますので十分注意してください。

口腔アレルギーはもともと花粉症の人に出やすいと言われ、パパイヤの場合は、特にアレルゲンの構造が似ているとされる「ブタクサ」の花粉症を持っている人は要注意です。また、パパイヤとゴム手袋などに使われているラテックスもアレルゲンの構造が似ており、パパイヤの口腔アレルギーとラテックスアレルギーは併発しやすいと言われています。もともとゴム手袋や輪ゴムなどにかぶれる人は、パパイヤは避けたほうが良いでしょう。

パパイヤは栄養豊富なので、半分程度(約200g)で十分1日に必要な果物摂取量といえます。食べ過ぎにもリスクがありますので、適量を心がけましょう。

パパイヤは栄養満点なトロピカルフルーツ!

パパイヤは大事な栄養素をまんべんなく摂取できる、美容にも健康にも嬉しいフルーツです。食べる時のリスクもしっかり確認して、普段の食生活の様々なシーンに取り入れ、積極的にパパイヤのメリットを活躍させましょう!

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家庭科

パパイヤの栄養や効能って?食べる時の注意点や特徴・由来など果物大好きパティシエが簡単にわかりやすく解説

パパイヤというと、南国から輸入されるトロピカルフルーツのイメージです。黄色い果皮と、甘くてフルーティーな香りが印象的です。しかし、エスニック料理などでは、豚肉やナンプラーなどと合わせた料理の「青パパイヤ」と呼ばれる食材も人気のようです。果物と野菜、どちらがパパイヤの本当の姿なのでしょうか?今回の記事では、パパイヤと青パパイヤの違い、由来や歴史、豊富な栄養や効能と注意点を果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。乾燥パパイヤはうさぎも大好物!

パパイヤってどんな果物?

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パパイヤは、熱帯地域で育つパパイア科パパイア属の常緑小高木の果実です。若いパパイヤの果皮は緑色で、熟すにつれ全体が黄色く変化していきます。果実の中央は空洞になっていて、100~1000個の黒くて小さい種がびっしり入っているのが特徴。国内でも沖縄県九州地方で栽培されていますが、日本で流通しているものはアメリカやタイ・フィリピンから輸入されるものが多いです。

どんな味がするの?

熟して濃い黄色の果肉は、独特の香りがあり、なめらかでとろけるような食感強い甘味には熟した柿に似た風味があります。酸味がほとんどなく、少し癖のある味わいなので、レモン汁をかけて食べる場合もありますよ。品種によって様々なサイズがありますが、一般的に大きいほど甘さが少なくなると言われています。

青パパイヤとの違い

「青パパイヤ」という種類がありますが、「パパイヤ」とどう違うのでしょうか?

答えは簡単、「熟しているかどうか」です。一般的に言われる「パパイヤ」は熟してから食べる「フルーツパパイヤ」を指し、まだ緑色の未熟な内に収穫されたパパイヤを「青パパイヤ(またはグリーンパパイヤ)」と呼びます。沖縄フィリピンタイなどでは、フルーツというより野菜として利用され、サラダや和え物、炒め物などのおかずとして食べられますよ。熟す前なので、果肉や種は真っ白で、シャキシャキとした食感淡泊な味わいです。

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