「ルバーブ」という食材を知っているか?日本ではなかなか見かけないかもしれませんね。ルバーブとは、細長い赤色や緑色をした葉柄を食用とする野菜の一種です。イギリスやアメリカでは、ジャムやお菓子にしたり、肉料理の付け合わせにしたり、わりとポピュラーな野菜なんです。今回の記事では、そんなルバーブの成り立ちや基本知識を果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。ルバーブは、クリームチーズと合わせてタルトが美味しい!

ルバーブの特徴

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「ルバーブ」という名前を初めて耳にする方も多いのではないでしょうか?まずは、「ルバーブとは何なのか」を細かく解説していきましょう。

「ルバーブ」とはタデ科カラダイオウ属の大型の植物です。地面から葉柄と呼ばれる部分を長く伸ばして、50cmほどの大きな葉っぱをたくさん広げます。一般的にルバーブと呼ばれる食材は、この多肉質の葉柄の部分のことです。縦に浅い溝があり、色は品種や気温、収穫時期によって緑色や赤色などに変わります。細長い見た目や半円形の断面は、日本の食材であるフキに似ていますが、ルバーブはタデ科フキはキク科なので、全く違う植物ですよ。

ルバーブは野菜の仲間

ルバーブは果物だと思われがちですが、れっきとした野菜の仲間です。野菜と言っても、ダイコンやホウレンソウのようにおかずとして使われるよりも、ジャムやお菓子など甘く調理されることが多いかもしれません。一般的には5月~9月に収穫される、夏の野菜ですね。日本ではあまり馴染みがありませんが、海外では古くからよく食べられるポピュラーな野菜のひとつです。

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どんな味なの?

ルバーブはフキのように葉柄の部分を食べます。生のままだと、レモンや梅干しのような酸っぱさとえぐみがありますよ。そのため、ルバーブの酸味と相性の良い甘味を付けて調理されることが一般的です。また、アンズのような独特の香りがあり、食感はセロリに似ています。

ルバーブの歴史

原産地は、シベリア南部と言われています。その歴史は古く、紀元前のギリシャ時代からすでに使われていたようです。しかし、現在のような食用ではなく、長い間、根っこを薬用として利用されてきました。

ルバーブが食用になった時期は定かではありませんが、少なくとも16世紀後半のイギリスでは野菜として食べられていたようです。18世紀に入り砂糖が一般的になると、甘いルバーブのお菓子がイギリスを中心とするヨーロッパやアメリカで親しい食材として定着していきました。その後、いったん減少傾向となりますが、近年になり、ルバーブの持つ健康効果や地産地消の意識の高まりから、再び注目を集めています。

日本には明治の初めに入ってきました。当時の日本人にはあまり好まれなかったそうですが、1920年頃から長野県で栽培が始まり、徐々に国内の栽培地域も増えていきました。現在では、北海道長野県など涼しい地域で栽培されています。

和名では何て呼ぶの?

「ルバーブ」は英語の呼び名です。

和名「ショクヨウダイオウ(食用大黄)」「マルバダイオウ(丸葉大黄)」などと呼ばれます。どちらの呼び名も、もともと古くから日本で漢方として知られる「ダイオウ(大黄)」の仲間であることからつけられました。現在では日本でもそのまま「ルバーブ」と呼ばれることも多いです。また、日本の「フキ」に似ていることから、「西洋フキ」と呼ばれることもあるそうですよ。

なお、英語の「rhubarb(ルバーブ)」には、食べられている品種だけでなく、ダイオウ属の総称としても使われます。あえて食用の品種のみを指す場合、「garden rhubarb(ガーデンルバーブ)」「pie plant(パイプラント)」と呼びましょう。

ルバーブの栄養と効能

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続いて、ルバーブにはどのような栄養素が含まれているのか見ていきましょう。以下に、可食部100gあたりのルバーブの主な栄養成分をまとめました。

エネルギー:24kcal
水分:92.1g
たんぱく質:0.7g
炭水化物:6.0g
カリウム:400mg
カルシウム:74mg
マグネシウム:19mg
葉酸:31μg
ビタミンC:5mg
ビタミンK:7μg
食物繊維:2.5mg
アントシアニン(赤色の場合):41mg

上記を見ると、ルバーブにはビタミンC・カリウム・カルシウム・食物繊維などが特に多く含まれていますね。では、ルバーブの栄養成分にはどのような働きがあるのか、主な効能を見ていきましょう。

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1.カリウム:高血圧予防・むくみ解消

カリウムは、体内でナトリウムとバランスを取りながら、細胞の浸透圧を調整する働きを持っている栄養素です。ヒトの体は、体内の塩分濃度が高くなると、濃度を下げるために水分をため込みます。すると、血液の量が増え、血管にかかる圧力を上昇させてしまうのです。しかし、カリウムは、体内の塩分濃度が高くなると塩分の排出を促すため、高血圧の予防に作用しますよ。

また、利尿作用により、体内の水分も排出されるため、むくみの解消も期待できますね。

2.ビタミンC:美肌効果・アンチエイジング・免疫力向上

ビタミンCは、お肌にハリを与えるコラーゲンの生成に不可欠な栄養素で、「美容ビタミン」とも呼ばれます。また、メラニンの生成を抑制するため、シミ予防の効果も。さらに、ビタミンCは老化の原因である活性酸素を抑える、高い抗酸化作用があるため、アンチエイジング効果も期待できますよ。

また、風邪やストレスなどから体を守る免疫機能を高める効果もあります。お肌の乾燥が気になり、感染症の流行する冬こそ摂りたい栄養素ですね。

3.食物繊維:整腸作用・デトックス効果

食物繊維には水溶性と不溶性、2種類の食物繊維がありますが、ルバーブにはどちらも含まれているのです。水溶性食物繊維は、コレステロールなどを吸着して便と共に体外に排出したり、食後の血糖値の上昇を緩やかに抑える効果があります。不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の体積を増やし、腸に刺激を与え、スムーズな排便を促しますよ。それぞれの食物繊維の効果が合わさり、腸内環境を整えてくれますので、バランスよく摂取することが重要です。

また、ルバーブの根っこには下剤になる薬用成分も含まれています。葉柄にもその成分がわずかに含まれるとされているので、便秘の改善にも役立ちますよ。

4.アントシアニン:眼精疲労軽減・老化防止

赤いルバーブの色味には、アントシアニンというポリフェノールの一種が含まれています。ブルーベリーやナスの天然色素として知られていますね。「ブルーベリーは目に良い」という話を聞いたことがあるでしょうか?その目に良い成分がアントシアニンです。アントシアニンは視覚機能を助ける作用があり、疲れ目を軽減してくれますよ。

また、アントシアニンには強い抗酸化作用があり、老化防止動脈硬化予防・眼病予防に効果が期待できます。植物が自分の身を守るために生み出す天然色素は、私たちの身体にもたくさんの効能を発揮してくれますね。

食べる時の注意点

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栄養豊富で、100gあたり23kcalカロリーも低く、ヘルシーなルバーブ。しかし、知らないで食べると思わぬリスクも。ここでは、ルバーブを食べる時の注意点について解説していきましょう。なお、生の状態は低カロリーですが、お菓子やジャムなど大量のお砂糖が入っている場合は、もちろん高カロリーとなりますので、食べ過ぎに要注意ですよ。

妊娠中から産後は摂取を控えよう

ルバーブは妊婦さんは避けたほうが良い食材です。先程の栄養成分表を見ると、ルバーブには胎児の発育に重要な「葉酸」も多く含まれており、妊婦さんにおすすめの食材かと思いきや...子宮収縮を促す作用骨盤の充血作用があるため、妊婦さんには向きません。根っこの部分を取り扱う漢方でも、ダイオウ(ルバーブ)の妊婦さんへの処方はNG。食用されるのは葉柄ですが、根っこと同じ成分がわずかに含まれていると言われています。

また、授乳期のママが食べると、母乳にルバーブの成分が混じり、赤ちゃんの下痢の原因になる可能性が。妊娠中から産後にかけて、ルバーブを食べるのは控えましょう。

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葉には毒がある?

葉柄は健康的な食材ですが、ルバーブの大きな葉には、シュウ酸やシュウ酸塩・アントラキノンなど多くの有害物質が含まれています。そのため、葉の部分は食べられません

シュウ酸はホウレンソウなど他の野菜にも含まれる、灰汁のもとになる成分です。カルシウムや鉄の吸収を阻害し、多量に摂取すると尿路結石などの原因となります。以前は葉の毒性の主な原因としてシュウ酸が疑われていましたが、現在の研究では、アントラキノンが原因物質である可能性が高いようです。毒性の詳細はまだはっきりされていませんが、ルバーブの葉の摂取による健康被害の事例は昔から多く見られます。主な中毒症状は腹痛や下痢・嘔吐などで、ひどくすると、腎損傷や死亡に至るケースも。

購入時にはすでに葉が切り落とされた状態で販売されていることが多いですが、もし付いていても食べない方が賢明ですよ!

リスクをしっかり確認し、栄養豊富なルバーブでデトックス!

古くから薬用として利用されてきたルバーブ。イギリスやアメリカでは親しまれている野菜ですが、日本ではまだまだ馴染みのない食材かもしれません。今回の記事を機にルバーブを知り、その豊富な栄養素で体内の毒素を排出し、体の内側からキレイになりましょう!

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家庭科

ルバーブってどんな味?特徴は?栄養・効能や歴史、危険性など果物大好きパティシエが詳しくわかりやすく解説

「ルバーブ」という食材を知っているか?日本ではなかなか見かけないかもしれませんね。ルバーブとは、細長い赤色や緑色をした葉柄を食用とする野菜の一種です。イギリスやアメリカでは、ジャムやお菓子にしたり、肉料理の付け合わせにしたり、わりとポピュラーな野菜なんです。今回の記事では、そんなルバーブの成り立ちや基本知識を果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。ルバーブは、クリームチーズと合わせてタルトが美味しい!

ルバーブの特徴

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「ルバーブ」という名前を初めて耳にする方も多いのではないでしょうか?まずは、「ルバーブとは何なのか」を細かく解説していきましょう。

「ルバーブ」とはタデ科カラダイオウ属の大型の植物です。地面から葉柄と呼ばれる部分を長く伸ばして、50cmほどの大きな葉っぱをたくさん広げます。一般的にルバーブと呼ばれる食材は、この多肉質の葉柄の部分のことです。縦に浅い溝があり、色は品種や気温、収穫時期によって緑色や赤色などに変わります。細長い見た目や半円形の断面は、日本の食材であるフキに似ていますが、ルバーブはタデ科フキはキク科なので、全く違う植物ですよ。

ルバーブは野菜の仲間

ルバーブは果物だと思われがちですが、れっきとした野菜の仲間です。野菜と言っても、ダイコンやホウレンソウのようにおかずとして使われるよりも、ジャムやお菓子など甘く調理されることが多いかもしれません。一般的には5月~9月に収穫される、夏の野菜ですね。日本ではあまり馴染みがありませんが、海外では古くからよく食べられるポピュラーな野菜のひとつです。

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