この記事ではローレルとローリエの違いについてみていこう。2つとも煮込み料理に欠かせないハーブやスパイスではありますが、レシピにどちらかの名前が載っていることもあり同じような葉の形をしていて見分けがつかないように感じる人もいるでしょう。今回は2つの言葉の呼び方を確認して、元となる植物や代表的なレシピ、代用できるハーブなどを文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説をしていきます。

ライター/海辺のつばくろ

ピザソースやミートソースを作る時、ローレルかローリエのどちらを加えるか考え込んだ文学部卒ライター。

ローレルとローリエの違いは?

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料理に入れるハーブといえば、ローレルやローリエといった名前の葉や刻んだ粉状のスパイスを思い浮かべる方もいるかもしれません。ホールタイプの葉を見ても、ローレルもローリエも同じよう細長い葉という見た目で、さわやかな香りがするのでは。どのように見分けたら良いのか見当がつかないかもしれません。

実は2つとも同じ種類の葉で、言語の違いによって呼び名が違うだけなのです。ローレル”laurel”は英語ローリエ”laurier”はフランス語という違いしかありません。

ローレルは料理のレシピ本でよく使われている名前です。ハーブやスパイスの名前よりも、以前製造されていた国産メーカーの高級車の車名にもなっていたため、車をイメージする方も多いかもしれません。一方、ローリエの名はスパイスやドライハーブを扱うメーカーで使われていることが多いです。

ローレル・ローリエ:月桂樹の葉

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ローレル・ローリエはクセのない穏やかな清涼感のある香りの葉で、日本語でいうとクスノキ科の月桂樹。ローレルやローリエは生食せずに、月桂樹の葉を乾燥させたハーブのこと。西洋では塩やコショウ、オリーブオイルなどとともに料理に用いられている定番の調味料。原産地は地中海沿岸で、古代ギリシャ時代にはスパイスとして使われていたそうです。

月桂樹の葉がよく分からないという方は、マラソンなどのスポーツを思い浮かべてみてはいかがでしょう。ベストタイムを出した優勝者が、笑顔で月桂冠をかぶってインタビューを受けているシーンが印象的です。月桂冠の青々とした葉がローレルやローリエのもともとの姿。

古代ギリシャ時代から特定の競技会やオリンピックなどで、神聖な霊木の月桂樹をあしらった冠を優勝者に授与していたのだそうですよ。

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ホールタイプとパウダータイプ

ローリエには、ホールタイプとパウダータイプがあります。ホールタイプは葉がそのままの形で1枚ずつ入ったもの。日本ではこちらのほうが一般的かもしれません。

主に煮込み料理の香味づけに使います。水を加えた時に一緒に加えることがほとんどで、少し切り込みを入れたり、折り曲げたりして香りが出やすくするのがポイント。料理につき1~2枚ほどで十分香りがつきます。エグみが出ないよう、料理ができた時にすぐに取り出すのがおすすめ。

パウダータイプは葉を刻んで粉状にしたもの。食材の臭みを消して風味をアップさせるといった使い方が目立ちます。西洋や中東の場合、焼肉や魚を焼く際に上にまぶす、ひき肉に混ぜ込んでミートローフを作る、レバーペーストのようなクセのある素材に合わせるなどの調理例があるということ。

代用できるハーブや香味野菜

ローレル・ローリエの代用となるハーブや香味野菜には以下の通り。

・ローズマリー、タイム
2つともシソ科のハーブ。スッとした清涼感のある強い香りが特徴。ローズマリーは肉の焼き料理や煮込み料理の臭み消し向き。タイムは魚や野菜の煮込みにも向く。

・バジル
さわやかな香りが特徴のハーブ。煮込み料理や焼き料理に添えたり、サラダなどの生食にも向く。風味が消えやすいので、最後に加えること。

・セロリの葉
煮込み料理に葉の部分を入れると、肉や魚などの臭みを消す効果がある。独特の香りで嫌いな人もいるが、捨てずにハーブの代用可能。

ローレル・ローリエを加える効果とおすすめレシピ

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ローレル・ローリエを使う効果が期待できるのは大きく分けて3つ。日頃の食事で取り入れやすいレシピをご紹介します。

1.肉や魚料理の臭み消し

ひき肉を使ったミートソースやクセの強い青魚のイワシの煮物は臭みが目立ちますね。ミートソースは香味野菜の玉ねぎやにんにくのみじん切りを合わせて、ローリエと一緒に煮ると臭みが消えて味に奥行きがでます。パスタやラザニア、ミートパイにも。

イワシの煮物はイワシでも缶詰のアンチョビでも美味しいです。オリーブオイルや長ねぎを合わせてローレルを加えて、オイル煮にすると臭みが目立ちません。ワインのおつまみにもおすすめです。

いつも食べているカレーを時短でも美味しくするには、野菜と肉や魚を炒めて煮込む時にローリエを入れるのもいいでしょう。風味がアップします。

2.防腐効果

ローリエには香り付けの他、防腐効果もあるということです。西洋料理ではピクルスや魚介のマリネなどの酢漬けをする場合、調味液に乾燥したローリエの葉を入れることも。作り置きをすると時短や節約に繋がりますが、日持ちさせるために調味液を煮立たせてローリエを入れておくと安心ですね。キャベツが余った時にざく切りにして、ザワークラウトにするのもおすすめです。

3.煮込み料理のだし

野菜を主体にしたスープやシチュー、リゾットやラタトゥイユはあっさりとした味で、少し物足りなさを感じることもあるかもしれません。ローリエを加えると、清涼感があって奥行きがある風味になります。野菜の持つ素朴な味を引き立てることもできそうです。にんじんや大根、じゃがいもなど根菜類を使ったトマト風味のラタトゥイユ風の煮物も香りがよく、簡単に作れます。

使う際の注意

お家ご飯を外食のような料理に格上げできるローリエですが、使う場合に注意したい点を2つあげます。

苦みが出るので煮込み過ぎに注意!

ローレル、ローリエを長時間煮込みすぎると苦味が出ることがあります。人によってはあまり気にならない場合もありますが、料理の味を損ねるように感じられることも。ホールタイプであれば使うのを1枚程度にして、1時間~2時間程度まで香りがある程度ついたら取り出すようにするのがおすすめです。

ベイリーフ(ニッキ)に注意

スパイスのコーナーでは、ホールタイプのベイリーフ(英語:bay leaf)の葉をローレルやローリエとして販売している場合があります。しかし、ベイリーフは本来は肉桂(「ニッキ」もしくは「ニッケイ」)で「シナモン」のこと。シナモンロールパンやアップルパイの強めな香りでおなじみ。好き嫌いが分かれる香りですね。

穏やかでさわやかな香りのする月桂樹の葉とは違い、ニッキの葉はかえって独特な香りを付けてしまいがち。カレーなどの香り付けの用途には向きますが、肉料理や魚料理の臭み消しには合わないでしょう。

ホールタイプのローレルやローリエと見分けるのなら、シナモン特有の強い香りがするかどうか、葉脈(葉の模様)が縦に入っていればニッキの葉、横に入っていれば月桂樹の葉という点を確認することをおすすめします。

同じ月桂樹の葉でも言語により呼び名に違いがある

ローレルは英語、ローリエはフランス語という言語により呼び名の違いはあるが、両方とも月桂樹の葉をいいます。生食はせずに、乾燥させてドライハーブとして食用にするのが一般的です。

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3分で分かるローレルとローリエの違い!どんなハーブ?おすすめの料理や代用品も文学部卒のライターがわかりやすく解説

この記事ではローレルとローリエの違いについてみていこう。2つとも煮込み料理に欠かせないハーブやスパイスではありますが、レシピにどちらかの名前が載っていることもあり同じような葉の形をしていて見分けがつかないように感じる人もいるでしょう。今回は2つの言葉の呼び方を確認して、元となる植物や代表的なレシピ、代用できるハーブなどを文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説をしていきます。

ライター/海辺のつばくろ

ピザソースやミートソースを作る時、ローレルかローリエのどちらを加えるか考え込んだ文学部卒ライター。

ローレルとローリエの違いは?

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料理に入れるハーブといえば、ローレルやローリエといった名前の葉や刻んだ粉状のスパイスを思い浮かべる方もいるかもしれません。ホールタイプの葉を見ても、ローレルもローリエも同じよう細長い葉という見た目で、さわやかな香りがするのでは。どのように見分けたら良いのか見当がつかないかもしれません。

実は2つとも同じ種類の葉で、言語の違いによって呼び名が違うだけなのです。ローレル”laurel”は英語ローリエ”laurier”はフランス語という違いしかありません。

ローレルは料理のレシピ本でよく使われている名前です。ハーブやスパイスの名前よりも、以前製造されていた国産メーカーの高級車の車名にもなっていたため、車をイメージする方も多いかもしれません。一方、ローリエの名はスパイスやドライハーブを扱うメーカーで使われていることが多いです。

ローレル・ローリエ:月桂樹の葉

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ローレル・ローリエはクセのない穏やかな清涼感のある香りの葉で、日本語でいうとクスノキ科の月桂樹。ローレルやローリエは生食せずに、月桂樹の葉を乾燥させたハーブのこと。西洋では塩やコショウ、オリーブオイルなどとともに料理に用いられている定番の調味料。原産地は地中海沿岸で、古代ギリシャ時代にはスパイスとして使われていたそうです。

月桂樹の葉がよく分からないという方は、マラソンなどのスポーツを思い浮かべてみてはいかがでしょう。ベストタイムを出した優勝者が、笑顔で月桂冠をかぶってインタビューを受けているシーンが印象的です。月桂冠の青々とした葉がローレルやローリエのもともとの姿。

古代ギリシャ時代から特定の競技会やオリンピックなどで、神聖な霊木の月桂樹をあしらった冠を優勝者に授与していたのだそうですよ。

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