違い1:地域による呼び方の違い
天かすと揚げ玉の1つ目の違いは地域による呼び方です。2003年度にNHK放送文化研究所が行った調査によると、地域によって天かすと呼ぶのか揚げ玉と呼ぶのか異なってくるという結果が明らかになりました。地域によって呼び方が変わるのは面白いですよね。この呼び方の違いが生まれたのは江戸時代にまで遡ります。
歴史的な違いは「違い2」で解説するので、まずは、地域ごとの呼び方の違いについてみていきましょう。
天かす:東海地方を含む西日本の地域
天かすと呼ぶ地域は東海地方を含む西日本の地域に集中しています。しかも、天かすと呼ぶ人は全体の68%を占めているのです。全体の半分以上を占めていることが分かりますね。関西あたりで天かすという言葉が使われるようになったのは、その成り立ちが関係していると考えられます。
揚げ玉:東日本の地域
天かすと呼ぶ人は、西日本に集中しているのでした。一方で、揚げ玉と呼ぶのは、東北地方を除く東日本に集中しており、全体の29%にあたります。天かすと比べると少なめだとわかりますね。これもやはり、歴史的な関係があるからだと考えられます。
違い2:作り方の違い
揚げ玉と天かすの2つ目の違いは作り方です。揚げ玉や天かすが消費者に行き渡るようになったのは江戸時代から。誕生した時の両者の作り方は、時代と広まった地域によって変わっていきました。ここから揚げ玉と天かすの作り方の違いと成り立ちについて、詳しくみていきましょう。
天かす:天ぷらを揚げた時に偶然できたもの
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江戸のお蕎麦屋さんでは、天ぷらを揚げるようになりました。いつしか、天ぷらを揚げる時に生じる廃棄物のはずの天かすを無料でお客さんに提供するようになったのです。この時から天かすは、消費者の手元に行き渡るようになり、日本全国で人気が高まりました。つまり、この時の天かすとは、天ぷらを揚げたときに偶然できたものだったのです。
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揚げ玉:商品として意図的に作られたもの
天かすが全国的に人気になり広まっていく中、東京のお蕎麦屋さんでは天かすを商品化しようという動きが現れました。いつしか、小エビや割いたイカなどを入れて食材として意図的に作って、それを販売し始めたのです。それが揚げ玉と呼ばれるようになり、東京を中心に広まりました。
このため、東日本の人たちにとって意図的に作られる揚げ玉の方がなじみ深くなったのです。
揚げ玉や天かすを使ったおすすめレシピとは?
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日本の料理には、揚げ玉もしくは天かすを使ったレシピがたくさんあります。揚げ物の風味や食感を楽しめるので、さらに料理を楽しめますよ。ここでは、揚げ玉や天かすを使った定番レシピから少し珍しいレシピまでご紹介します。皆さんもご家庭で天ぷらを揚げた際に、ぜひ揚げ玉もしくは天かすを回収して料理に活用してみてくださいね。
・たぬきうどん、そば:揚げ玉(天かす)が汁でひたひたになるのも美味しい。
・お好み焼き:薄切り豚バラにキャベツなど具沢山に。揚げ玉のサクサク感がたまらない。
・たこ焼き:揚げ玉(天かす)の油で表面がカリカリに。
・おにぎり:麺つゆと組み合わせると最高の一品に。
・丼:ご飯の上に生卵と一緒にかければ絶品。
・つくね:おすすめは、鶏ひき肉にたたきれんこんとチーズを加えたもの。大葉や卵黄を加えるのも良し。
・たぬき冷奴:豆腐のしっとりさと揚げ玉のサクサクが絶妙。旨味もアップ。
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