「調整」と「調節」、これらは日常生活で非常によく使う言葉です。
しかしはっきりとした定義や使い分けの基準まで理解している人はそう多くないはずです。
この記事では「調整」と「調節」について、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

調整と調節の違い

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「調整」と「調節」はどちらも「調」という漢字を使っており、どことなく似た響きを持っていますよね。そのため意味を混同しがちな言葉でもありますよね。ここではまず、「調整」と「調節」の意味的な違いを解説していきます。

調整:悪い状態のものを正しい(良い)状態にする

「調整」は「都合の悪いものを正しい(良い)状態にする」ことを指します。具体的な例としては、「議論が白熱してなかなか結論がまとまらない会議」では「調整」することが求められますよね。「整(ととのえる)」という漢字の持つ意味から、ごちゃごちゃとしたもの、混乱したものを秩序だった形へ整理するといったニュアンスがあります。

調節:現在より良い状態にする

これに対して「調節」は「現在より良い状態にするため具合を変更する」ことを意味します。例えば飲食店の卓上調味料で料理の味を自分好みにしたいときには「調節」を使いますよね。「節(ふし)」という漢字の持つ意味から、ちょうど良い「節目」を狙って度合いを変更するニュアンスです。

\次のページで「シーンごとの使い分け」を解説!/

シーンごとの使い分け

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「調整」と「調節」の違いについてわかったところで、気になるのは日常生活での使い分けですよね。ここでは例文を含めて、生活のシーンごとにおける使い分け方を解説していきます。

スケジュールは調整

仕事で「スケジュールを調整しておきます」という表現を耳にしたことはありませんか。これは「時間がとれない」という都合の悪い状態を、「時間がとれる」という正しい状態にしようとしていることを意味します。また「年末調整」という言葉がありますが、ここで言う「調整」は「所得税の過不足(悪い状態)を精算する(正しい状態にする)手続き」のことをです。

お風呂の温度は調節

たとえば「お風呂の温度が熱すぎるので調節した」と言えば、42℃あったお湯を39℃にするという場面が想像できますね。これは個人がちょうど良いという「節目」を狙って温度を変更した好例です。また「椅子の高さを調節した」と言うのも、個人が快適に思える高さに変更したことを意味していますね。

調整と調節の定義

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シーンごとの使い分け方を、例文を踏まえて説明してきました。しかし「感覚的にはわかったけれど、いま一つ納得できていない」人もいるかもしれません。最後に「調整」と「調節」それぞれの定義を見てみることにしましょう。使い分けに迷ったときは、定義を振り返ると解決するかもしれませんよ。

調整は「絶対的な基準に合わせる」こと

「調整」の本質的な定義は「絶対的な基準に合わせる」ことです。この「絶対的な基準」は「悪いか/正しいか(良いか)」の境目となる基準を指します。

たとえばケガをしたアスリートが試合に復帰する前には必ずと言っていいほど「調整期間」がありますよね。これは「試合に出られる状態になるための期間」です。「なんとなく運動するための期間」は「調整期間」とは言いません。「試合に出ても問題ないか判定する」という絶対的な基準があるのが「調整期間」なのです。

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調節は「望ましい状態に近づける」こと

「調節」の本質的な定義は「望ましい状態に近づける」こと。つまり「調整」と違い「絶対的な基準」は存在しないのです。なぜなら個人が望ましいと思う状態は、個人によって異なるから。

たとえばテレビを見ているとき、十分聞こえる音量にも関わらず、私たちは音量を上げたり下げたりしますよね。音が聞こえている時点でテレビの音声出力という目的は達成しています。ここからさらに、私たちにとってちょうど良い音量に変更することは「調節」以外のなにものでもありません。

調整は悪いものを正しく(良く)、調節はより良くすること

ここまで「調整」と「調節」の違い、シーンごとの使い分け方、そしてそれぞれの言葉の本質的な定義まで解説してきました。似た言葉ではありますが、比べてみるとだいぶ違った言葉であることがご理解いただけたのではないでしょうか。

「調整」も「調節」も現在の状態をプラスの方向へ導こうとする言葉であり、そういった意味ではポジティブな言葉です。みなさんの生活の中にも「調整」したり「調節」したりするとうまくいく物事があるかもしれませんよ。

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3分でわかる調整と調節の違い!どう使い分ければいい?シーンごとの使用例も雑学好きライターがわかりやすく解説

「調整」と「調節」、これらは日常生活で非常によく使う言葉です。
しかしはっきりとした定義や使い分けの基準まで理解している人はそう多くないはずです。
この記事では「調整」と「調節」について、雑学好きライターのおおつけと一緒に解説していきます。

ライター/おおつけ

現役システムエンジニア兼ライター。前職は貿易商社の営業マン。知らない言葉は徹底的に調べるクセがあり、独自の単語帳を作っている。日々たくわえた広い知識を、わかりやすく紹介していく。

調整と調節の違い

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「調整」と「調節」はどちらも「調」という漢字を使っており、どことなく似た響きを持っていますよね。そのため意味を混同しがちな言葉でもありますよね。ここではまず、「調整」と「調節」の意味的な違いを解説していきます。

調整:悪い状態のものを正しい(良い)状態にする

「調整」は「都合の悪いものを正しい(良い)状態にする」ことを指します。具体的な例としては、「議論が白熱してなかなか結論がまとまらない会議」では「調整」することが求められますよね。「整(ととのえる)」という漢字の持つ意味から、ごちゃごちゃとしたもの、混乱したものを秩序だった形へ整理するといったニュアンスがあります。

調節:現在より良い状態にする

これに対して「調節」は「現在より良い状態にするため具合を変更する」ことを意味します。例えば飲食店の卓上調味料で料理の味を自分好みにしたいときには「調節」を使いますよね。「節(ふし)」という漢字の持つ意味から、ちょうど良い「節目」を狙って度合いを変更するニュアンスです。

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