この記事ではごま油の種類や旬、選び方について見ていきます。ごま油は香ばしい香りが特徴で、食欲をそそる油ですね。炒め油やドレッシングなどにも使えて、家庭に常備している人も多いかもしれない。そんなごま油にも、種類があるということを知っているでしょうか?ごま油の種類は意外と多くて驚くかもしれない。今回はごま油の種類の紹介に加えて、ごま油の選び方や旬についても、フリーランス管理栄養士の宮本ゆかと一緒に解説していきます。

ライター/宮本ゆか

町役場とドラッグストアでの管理栄養士を経て、フリーランスの管理栄養士兼Webライターへ。趣味はオーガニックの食材で料理をつくること。食に関する知識をいかし、わかりやすく解説していきます。

ごま油とは?

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豊かな香りでいろいろな料理に合うごま油。ごま油を料理で使うことはあっても、具体的にどんな油なのかよく知らない方も多いのではないでしょうか?ここからは、ごま油の歴史や産地、旬といったごま油の特徴について見ていきましょう。ごま油にまつわる意外な発見があるかもしれません。

ごま油の歴史

ごま油の歴史は古く、インダス文明のころからごまを栽培し、それを食用の油として使っていたそうです。日本にごま油がやって来たのは奈良時代。仏教の伝来と一緒に中国から伝わったことが始まりだそうです。そして、平安時代には食用、薬用、灯用の油として幅広く使われるようになっていきました。

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ごま油の産地

ごま油の原料はごまなので、ここではごまの産地について解説します。スーパーで売られている大手メーカーのごま油は海外から輸入したごまを使っていることが多いそうです。その場合は、タンザニアやナイジェリアといったアフリカの国々から調達しているそうですよ。日本国内では、長崎県や鹿児島県がごまの生産地として有名です。

ごま油の旬はいつ?

ごま油の原料であるごまの旬は9~10月です。ごまは春に種をまいて、秋に収穫むかえます。日本で出回っているごまは、海外から輸入されることが多く、国内で栽培されるごまはとても少ないそうです。

ごま油の製造過程

ここでは、一般的なごま油(焙煎ごま油)ができるまでの製造過程を見ていきましょう。ごま油は、選別、焙煎(ばいせん)、圧搾(あっさく)、ろ過(ろか)、充填(じゅうてん)の順に進んで行きます。それぞれの内容は下記のとおりです。

・選別:砂やごみを取り除き、ごまを選別する
・焙煎:ごまを火で煎り、色と香りを出す
・圧搾:ごまに圧力をかけてすり潰し、油をしぼる
・ろ過:ろ過と静置をくりかえし、ごまの皮などの不純物をしっかり取り除く
・充填:ごま油を容器に詰める

ごま油の種類

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ここからは、ごま油の種類について解説していきます。ごま油は焙煎の具合やごまの種類、製法などによって、さまざまな種類がありますよ。種類ごとの特徴をくわしく見ていきましょう。

1.ごま油の代表格「焙煎ごま油」

焙煎ごま油は最も一般的なごま油で、ごま油といえば焙煎ごま油のことを思い浮かべる方も多いと思います。褐色で香ばしい香りが魅力です。焙煎の時の温度によって、色や風味が変わります。高温で焙煎したものは色が濃く、風味も強い傾向があり、低温で焙煎したものは、琥珀色で甘く香ばしい風味になるそうです。

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2.無色でクセがない「太白ごま油」

太白ごま油は無色透明でごまの香りはほとんどありません。焙煎ごま油のような焙煎の工程を挟まず、ごまを生のまま圧搾しているのでごま油特有の色や香りが出ないそうです。味にクセがないので、炒め物や揚げ物、ドレッシング、パンやお菓子作りと、さまざまな料理に重宝されています。

3.濃厚で香り豊かな「黒ごま油」

通常のごま油の原料は白ごまですが、黒ゴマを原料にしてつくられた黒ごま油(黒絞り)もあります。黒ゴマは白ごまよりも外皮がかたく、油分も少ないため、黒ごま油が出回ることはめずらしいそうです。黒ごま油は白ごまでつくられたものより、色が濃く、香り高いところが魅力。濃厚なごまの風味が中華料理によく合うそうです。

4.ごま本来の風味を味わえる「玉締めしぼりごま油」

玉締め機という機械で油をしぼる製法で作られたごま油を「玉締めしぼりごま油」と言います。この製法は昔ながらの製法で、江戸時代中期にはすでに使用されていたそうです。玉締めしぼりごま油は琥珀色をしていて、ごま本来の風味を楽しむことができるのが最大の魅力。現在ではこの製法を採用しているメーカーは少なくなっており、とても貴重なごま油だそうですよ。

ごま油の選び方

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ここからは、ごま油の選び方について解説していきます。ごま油を選ぶ場合に注目してほしいのは、油の抽出方法です。ごま油の抽出方法には昔から使われている加圧による圧搾法と化学溶剤を使った抽出法の2種類があります。それぞれのメリットとデメリットを詳しく見ていきましょう。

昔ながらの圧搾法

圧搾法は機械でごまに圧力をかけて油をしぼり取る方法で、昔から使われてきた油の抽出方法です。化学溶剤などは使わずしぼるので手間がかかりますが、安全性が高い方法といえます。また、栄養価が高く、風味もよいことも特徴です。圧搾法でつくられたごま油は、ラベルに「純正」や「圧搾」という表記されていることが多いそうなので、選ぶ時の参考にしてみてください。

\次のページで「化学溶剤を使った抽出法」を解説!/

化学溶剤を使った抽出法

油の抽出方法には化学溶剤を使ったものがあります。この方法は近年発達したもので、低コストで大量に油を抽出できるため、ごま油を含むさまざまな油で用いられる抽出方法です。化学溶剤が油に残留することはないとされていますが、風味落ちたり、栄養価が低下したりすることが難点と言われています。また、落ちた風味をカバーするために、香料などの添加物が加えられていることも。

栄養・健康面から考えると、化学溶剤を使った抽出法よりも機械で抽出する圧搾法でつくられたごま油をおすすめします。安価すぎるごま油は化学溶剤を使って抽出されている場合があるので、気になる方はご注意ください。

目的や用途に合わせて、いろいろな種類のごま油を使い分けてみて

この記事ではごま油の特徴や種類、選び方について解説しました。ごま油は遠い昔から人々に食用だけでなく、いろいろな使い方をされてきた油だということがわかりました。また、ごま油にはさまざまな種類があることも知っていただけたと思います。圧搾法か化学溶剤を使った抽出法なのかを見極めて、ご自身の用途や目的に合ったごま油を選んでみてくださいね。

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家庭科

ごま油に種類があるの?旬や選び方もフリーランス管理栄養士がくわしくわかりやすく解説

この記事ではごま油の種類や旬、選び方について見ていきます。ごま油は香ばしい香りが特徴で、食欲をそそる油ですね。炒め油やドレッシングなどにも使えて、家庭に常備している人も多いかもしれない。そんなごま油にも、種類があるということを知っているでしょうか?ごま油の種類は意外と多くて驚くかもしれない。今回はごま油の種類の紹介に加えて、ごま油の選び方や旬についても、フリーランス管理栄養士の宮本ゆかと一緒に解説していきます。

ライター/宮本ゆか

町役場とドラッグストアでの管理栄養士を経て、フリーランスの管理栄養士兼Webライターへ。趣味はオーガニックの食材で料理をつくること。食に関する知識をいかし、わかりやすく解説していきます。

ごま油とは?

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豊かな香りでいろいろな料理に合うごま油。ごま油を料理で使うことはあっても、具体的にどんな油なのかよく知らない方も多いのではないでしょうか?ここからは、ごま油の歴史や産地、旬といったごま油の特徴について見ていきましょう。ごま油にまつわる意外な発見があるかもしれません。

ごま油の歴史

ごま油の歴史は古く、インダス文明のころからごまを栽培し、それを食用の油として使っていたそうです。日本にごま油がやって来たのは奈良時代。仏教の伝来と一緒に中国から伝わったことが始まりだそうです。そして、平安時代には食用、薬用、灯用の油として幅広く使われるようになっていきました。

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