この記事では「表題」と「標題」の違いについて深く掘り下げていきます。2つとも読み方は「ひょうだい」で、意味もほぼ同じですが、ニュアンスが若干違うようです。ビジネスメールでよく見る「ひょうだいの件」はどちらが正解なのか、またこれらと似た意味の言葉はほかにあるのか、雑学好きライターthrough-timeと一緒に解説していきます。

ライター/through-time

工学部出身の理系だが、言葉や文学も大好きな雑食系雑学好きWebライター。今回は言葉のニュアンスについて、例を交えながら詳しく解説していく

「表題」と「標題」の違いとは?

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ビジネスシーンにおいて、メールや文書のやり取りをしていると目にすることも書くことも多い「ひょうだいの件」。この「ひょうだい」を漢字変換すると「表題」「標題」の2つが出てきますが、どちらが正解なのか悩んだことはありませんか?それぞれの意味に違いはあるのか、辞書で調べてみましょう。

【表題/標題】

1.書物の表紙などに記してある題名。
2.講演・演劇・芸術作品などの題。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ひょうだい」

辞書上では「表題」と「標題」は同じ意味で、どちらの表記でも間違いではありません。しかし、厳密にはニュアンスに違いがあり、明確な使い分けがされているのです。

「表題」の意味と使い方

「表題」は書籍や記事、演目など全体の題名を指します。たとえばこの記事の表題は『3分で分かる「表題」と「標題」の違い!メールで使うのはどっち?意味や使い方も雑学好きライターが詳しく解説』です。

「表題」を使用した言葉として「表題作」「表題曲」があります。前者は作品集に収録されている作品のうち、そのタイトルが作品集全体のタイトルになっているもの。後者はアルバムタイトルと同じ題名の収録曲や、映画やドラマなどの主題歌で作品と同じタイトルが付く曲です。

「標題」の意味と使い方

「標題」は文書や記事を構成する章ごとの見出しのような、後に述べる内容を要約した言葉や文章を指します。また、本来の漢語は「標題」であるため、公用文では「標題」しか使用しません。一方、新聞用語集では「表題」に統一されており、「標題」は「標題音楽」「標題紙」など専門用語にのみ使われます。

\次のページで「メールの「ひょうだいの件」はどっち?」を解説!/

メールの「ひょうだいの件」はどっち?

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正解は「表題」です。しかし、これが分かったからと言ってむやみに「表題の件」を使うのはやめましょう。

メールの書き手にとっては、説明を省略できる効率的なフレーズですが、読み手側は内容を確認しながら件名も参照しなくてはなりません。そのため、相手によっては失礼だと感じる可能性もあるのです。同僚に送る社内メールならまだしも、目上の人や仕事の取引先、お客さまに送るメールの場合は、件名の内容を再度記載し説明するのがマナーですね。

また、件名と内容が一致しないと、先方にあらぬ誤解を招きます。「表題の件」のほかに話がある場合は、「別件でございますが」などの言葉を付け加え、話の趣旨が変わることを伝えましょう。

「表題」「表題」に似た表現

「表題」「標題」に似た表現は、ほかにもあります。ここでは2つの熟語を紹介しましょう。

「掲題」の意味と使い方 

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「けいだい」と読み、「表題」同様に「掲題の件」「掲題に関して」のような使い方をします。メールで使われることがほとんどです。最近使われるようになった新しい言葉で、現在のところ辞書には載っていません。そのため違和感を覚えたり、失礼だと感じたりする人も少なくないので、重要度の高いメールには使わないようにしましょう。

「首題」の意味と使い方

読み方は「しゅだい」です。辞書で調べると次のように書いてあります。

1.文書などの初めに書いてある題目。
2.経典の初めに書かれた語句。経の題名。首題名字(しゅだいみょうじ)。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「首題」

「表題」と似ていますが、「表題」が全体の題名を指すのに対し、「首題」はあくまでも文書の初めに書かれた題目を意味します。「首題の件」のように使うこともありますが、「表題の件」ほど多用されません。また、同音異義語「主題」と混同されやすいので、使用する際は注意が必要です。

「表題」はタイトル、「標題」は見出し

「表題」と「標題」のニュアンスの違いや、メールに使われる「表題の件」について解説しました。「表題の件」は大変便利な表現ですが、場合によっては失礼になることもあります。メールの相手や状況に応じた配慮が必要不可欠ですね。

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3分で分かる「表題」と「標題」の違い!メールで使うのはどっち?意味や使い方も雑学好きライターが詳しくわかりやすく解説

メールの「ひょうだいの件」はどっち?

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正解は「表題」です。しかし、これが分かったからと言ってむやみに「表題の件」を使うのはやめましょう。

メールの書き手にとっては、説明を省略できる効率的なフレーズですが、読み手側は内容を確認しながら件名も参照しなくてはなりません。そのため、相手によっては失礼だと感じる可能性もあるのです。同僚に送る社内メールならまだしも、目上の人や仕事の取引先、お客さまに送るメールの場合は、件名の内容を再度記載し説明するのがマナーですね。

また、件名と内容が一致しないと、先方にあらぬ誤解を招きます。「表題の件」のほかに話がある場合は、「別件でございますが」などの言葉を付け加え、話の趣旨が変わることを伝えましょう。

「表題」「表題」に似た表現

「表題」「標題」に似た表現は、ほかにもあります。ここでは2つの熟語を紹介しましょう。

「掲題」の意味と使い方 

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「けいだい」と読み、「表題」同様に「掲題の件」「掲題に関して」のような使い方をします。メールで使われることがほとんどです。最近使われるようになった新しい言葉で、現在のところ辞書には載っていません。そのため違和感を覚えたり、失礼だと感じたりする人も少なくないので、重要度の高いメールには使わないようにしましょう。

「首題」の意味と使い方

読み方は「しゅだい」です。辞書で調べると次のように書いてあります。

1.文書などの初めに書いてある題目。
2.経典の初めに書かれた語句。経の題名。首題名字(しゅだいみょうじ)。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「首題」

「表題」と似ていますが、「表題」が全体の題名を指すのに対し、「首題」はあくまでも文書の初めに書かれた題目を意味します。「首題の件」のように使うこともありますが、「表題の件」ほど多用されません。また、同音異義語「主題」と混同されやすいので、使用する際は注意が必要です。

「表題」はタイトル、「標題」は見出し

「表題」と「標題」のニュアンスの違いや、メールに使われる「表題の件」について解説しました。「表題の件」は大変便利な表現ですが、場合によっては失礼になることもあります。メールの相手や状況に応じた配慮が必要不可欠ですね。

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