今回の記事では「ください」と「下さい」の違いについてみていこう。書き言葉では小説などの文中に用いられたり、看板などの案内表示などの説明文に使われたりすることがある。丁寧や尊敬を表す敬語の一種ですが、漢字混じりと仮名書きによる表記の違いで微妙に意味が違ってくるようです。それぞれの表現と意味の違いについて、ふと気になった文学部卒のライター、海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

大学生時代の国語学の授業を思い出して、何となく表記の違いが気になった文学部卒のライター。

「ください」と「下さい」を使う場面

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話し言葉でも書き言葉でもよく使う「下さい」と「ください」。物をもらいたい場合こちらの要望を聞いてほしい場合などに、相手に丁寧に伝えたり、敬意を表したりする時に使うイメージがあります。

普段話している時には、漢字混じりの表記であるか仮名書きであるかといったことはあまり意識することはないでしょう。お店で注文をする時に「オレンジジュースを下さい」「飲み物は食後に持ってきてください」と話しかけたりしているかもしれませんね。

ビジネス関連の書類やメールなどのメッセージで、「ご覧ください」「ご確認ください」といったように表記する場合は表記に注意。「空席にお掛けください」「廊下は走らないでください」のように、相手に注意を促したり、強い要望の気持ちを表したりする際にも失礼のないように表記したいものです。

「下さい」「ください」表記の使い分け

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「下さい」と「ください」はもともと同じ語。しかし、「クダ」を漢字で書く場合は動詞、仮名書きする場合には補助動詞といった品詞の違いがあるのです。

ください【下さい】 の解説

《動詞「くださる」の命令形》

1.「くれ」の尊敬語。相手に物や何かを請求する意を表す。ちょうだいしたい。
「手紙を―」「しばらく時間を―」

2.(補助動詞)「お」を伴った動詞の連用形、「ご(御)」を伴った漢語、また、動詞の連用形に接続助詞「て」を添えたものなどに付いて、相手に何かを要望・懇願する意を表す。
「お座り―」「ご覧―」「止めて―」[

補説]「くださる」の本来の命令形「くだされ」の音変化とも、「くださいませ」の略ともいう。

出典:goo辞書 デジタル大辞典(小学館)

「下さい」「ください」:一般的な表記の違いの取り決め

広報などの業務では、「下さい」「ください」それぞれの表記の違いについて、以下の通りにまとめられています。

\次のページで「1.動詞「下さい」:相手から物をもらいたい場合の丁寧語」を解説!/

Q「下さい」と「ください」の使い分けはあるのでしょうか。

A「クダ」の部分を漢字にするか仮名書きにするかは、意味や用法によって使い分ける必要があります。

1.漢字を使う場合
「飲み物をクダさい」といった実質動詞(「くれ」の尊敬・丁寧表現)の場合は、「下さい」と漢字書きにします。


2.仮名書きにする場合
「お飲みクダさい」といった補助動詞(何かをお願いするときや、敬意を表す尊敬・丁寧表現)の場合は、「ください」と仮名書きにします。

出典:公益社団法人『日本広報協会』お役立ちナビ「広報Q&A 表記について知りたい」より引用

1.動詞「下さい」:相手から物をもらいたい場合の丁寧語

「下さい」は動詞の「下さる」の命令形。物品などを「くれ」もしくは「与えろ」を丁寧にした表現です。ニュアンスとしては、物品や何かを欲しいことを「ちょうだいしたい」と強くねだっているようにも感じられるでしょう。尊敬の意味で使われる丁寧な表現ですが、強く請求するような意味を帯びるので少し尊大な感じもしますね。

「下さい」:名詞の後に「~を下さい」と付くことが多い

「下さい」の表記をする目安としては、直前に名詞があり「(名詞)を下さい」という形で使われていることが多いです。前に来る名詞は、直接目に見えるものでもいいですし、実体のないものにも用いることもあります。

例文
・3時になったら、おやつを下さい。
・コーヒーを下さい。
・書類をこちらに下さい。
・今日中にはできそうにありません。時間を下さい。
・不明な点があったら、返事を下さい。

2.補助動詞「ください」:強く願ったり依頼したりする際に使う尊敬語

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補助動詞とは、動詞の本来の意味を失い、言葉に付属して意味を補足するように使われる言葉のこと。「ください」は「下さい」のように動詞で使われるよりも、前に付いた動詞について、相手に強く願ったり依頼したりして表現が柔らかくなるように感じられます。

\次のページで「「ください」:お(ご)~ください・動詞の後に付くことが多い」を解説!/

「ください」:お(ご)~ください・動詞の後に付くことが多い

「ください」を使う場合、丁寧な表現を表す接頭語「お」「ご」と一緒に使われたり、動詞の連用形に付いたりすることが多いです。

1.「お」+動詞の連用形+ください
・こちらでお待ちください。
・発信音の後にお話しください。
・アルコールで除菌後にお入りください。

2.「ご(御)」+漢語+ください
・お手元の資料をご覧ください。
・お先に失礼いたします。御免くださいませ。
・お手数ではございますが、○月○日までにご返送ください。

3.動詞の連用形+接続助詞「て」+ください
・換気をしたいので、窓を開けてください。
・危険ですから、規制線の中に入らないでください。
・授業中です。静かにしてください。

「下さい」は動詞「ください」は補助動詞という点で違いがある

「下さい」と「ください」はもともとは「くださる」から派生した語です。しかし、「下さい」は動詞「くださる」の命令形で物などを相手に自分に与えるように要求する丁寧な表現。「ください」は補助動詞。動詞の後に付いて、前の動作をするように相手に願ったり、依頼したりする意味で使う尊敬表現という点で違います。

" /> 3分で分かる「ください」と「下さい 」の違い!仮名書きとひらがな表記の使い分けや表現の仕方も文学部卒ライターが詳しくわかりやすく解説 – Study-Z
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3分で分かる「ください」と「下さい 」の違い!仮名書きとひらがな表記の使い分けや表現の仕方も文学部卒ライターが詳しくわかりやすく解説

今回の記事では「ください」と「下さい」の違いについてみていこう。書き言葉では小説などの文中に用いられたり、看板などの案内表示などの説明文に使われたりすることがある。丁寧や尊敬を表す敬語の一種ですが、漢字混じりと仮名書きによる表記の違いで微妙に意味が違ってくるようです。それぞれの表現と意味の違いについて、ふと気になった文学部卒のライター、海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

大学生時代の国語学の授業を思い出して、何となく表記の違いが気になった文学部卒のライター。

「ください」と「下さい」を使う場面

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話し言葉でも書き言葉でもよく使う「下さい」と「ください」。物をもらいたい場合こちらの要望を聞いてほしい場合などに、相手に丁寧に伝えたり、敬意を表したりする時に使うイメージがあります。

普段話している時には、漢字混じりの表記であるか仮名書きであるかといったことはあまり意識することはないでしょう。お店で注文をする時に「オレンジジュースを下さい」「飲み物は食後に持ってきてください」と話しかけたりしているかもしれませんね。

ビジネス関連の書類やメールなどのメッセージで、「ご覧ください」「ご確認ください」といったように表記する場合は表記に注意。「空席にお掛けください」「廊下は走らないでください」のように、相手に注意を促したり、強い要望の気持ちを表したりする際にも失礼のないように表記したいものです。

「下さい」「ください」表記の使い分け

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「下さい」と「ください」はもともと同じ語。しかし、「クダ」を漢字で書く場合は動詞、仮名書きする場合には補助動詞といった品詞の違いがあるのです。

ください【下さい】 の解説

《動詞「くださる」の命令形》

1.「くれ」の尊敬語。相手に物や何かを請求する意を表す。ちょうだいしたい。
「手紙を―」「しばらく時間を―」

2.(補助動詞)「お」を伴った動詞の連用形、「ご(御)」を伴った漢語、また、動詞の連用形に接続助詞「て」を添えたものなどに付いて、相手に何かを要望・懇願する意を表す。
「お座り―」「ご覧―」「止めて―」[

補説]「くださる」の本来の命令形「くだされ」の音変化とも、「くださいませ」の略ともいう。

出典:goo辞書 デジタル大辞典(小学館)

「下さい」「ください」:一般的な表記の違いの取り決め

広報などの業務では、「下さい」「ください」それぞれの表記の違いについて、以下の通りにまとめられています。

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