マンゴーは輸入フルーツのイメージですが、近年ではブランドマンゴーの知名度も上がり、国産マンゴーの生産量も増加している。もともとマンゴーには数百種の品種があるそうですが、意外にも国産も輸入もマンゴーの品種自体は同じなんだ...ではなぜ、国産マンゴーは高価なんでしょうか?その理由も考えてみよう。この記事では、国産・輸入マンゴーの旬や産地・特徴を、美味しい理由や食べ頃の見分け方と併せて果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。マンゴーは,、果物盛り合わせ・プリン・ムース・焼き菓子・デコレーションと洋菓子界のオールラウンダー!

日本のマンゴーを知ろう!

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まずは日本国内で栽培されるマンゴーについて見ていきましょう。

マンゴーは輸入のイメージが強いですが、国内のマンゴー生産量は年々増加しており、近年では国内のマンゴー流通全体の3分の1ほどを国産マンゴーが占めるまでになりました。国産マンゴーは決して珍しいものではないのですね。

日本で栽培されるマンゴーは96%以上がアップルマンゴーと呼ばれる「アーウィン種」です。アーウィン種はマンゴーの中でも比較的涼しさにも強く、日本の気候で育てやすかったようですよ。また、アーウィン種以外にも、生産量は少ないですが、様々な品種が栽培されています。今後さらに出回る品種が増えれば、バリエーション豊かなマンゴーは、一層楽しめるフルーツになると期待されているのです。

国産マンゴーの旬と産地

「南国のフルーツ」のイメージ通り、マンゴーの旬は夏です。市場に出回る時期は、主に4月~8月頃。国内の生産地域も、沖縄や九州など暖かい南側の地方が良く知られていますね。では、実際どのようになっているか、マンゴー栽培で有名な県の生産量ランキングと共に詳しく解説しましょう。

順位:都道府県/生産量/最も出回る時期
1位:沖縄県/2,206トン/7月
2位:宮崎県/1,203トン/5月~6月
3位:鹿児島県/488トン/5月~6月
4位:熊本県/77.1トン/5月~6月
5位:高知県/22トン/6月~7月

1位の沖縄県は半分以上のシェアを誇っています。上位3県を合わせると、生産量全体のは95%以上。国産マンゴーはほぼこの3県で栽培されています。また、本来は暖かい地域で栽培されるマンゴーですが、近年、温泉を利用して北海道でもマンゴー栽培が行われていますよ。

旬を見てみると、宮崎県産をはじめとした九州のマンゴーが5月~6月頃にピークを迎え、その後、生産量トップの沖縄県産のマンゴーが7月を中心に出回るようですね。やはり沖縄の生産量は多く、全体を通して最も多く市場に並ぶ時期は、7月になります。

国産マンゴーはなぜ高い?

ブランドマンゴーの登場により一気に認知度を上げた国産マンゴー。いまや高級な贈答用として人気の高いフルーツですね。スーパーに並ぶ輸入マンゴーの平均価格は1個約300~500円に対し、国産マンゴーでは1個約1000円~3000円ほどにもなります。では、なぜブランドマンゴーをはじめとする国産マンゴーは高価になるのでしょうか?

その理由は、日本でのマンゴー栽培は雨除けや保温・防病のために、ハウス栽培が必須になるからです。ハウス栽培は非常にコストと手間がかかり、結果として値段が上がってしまいます。海外でも同じ品種のマンゴーはたくさん栽培されていますが、多くが露地栽培です。それは、日本とは違い、マンゴー栽培に適した風土や季節があるからこそ。ハウスが不要なため、低コストで生産できるのです。

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宮崎県産「太陽のタマゴ」

品種は一般的なアーウィン種ですが、宮崎県が出荷の際に厳しい規定を設け独自に作っているブランドです。「糖度が15度以上、重さが350g以上、色・形が美しい」マンゴーだけに付けられます。樹上で完熟させ、実が自然に落下するのを待って収穫されるそうですよ。

大きさや糖度が決まっているため、一定の品質が信頼できますね。大変手間をかけて栽培された高級マンゴーであり、6~7月頃に旬を迎えるので、夏の贈り物に人気があります

北海道産「白銀の太陽」

「白銀の太陽」は驚くことに、冬に出荷されるマンゴーなのです。生産されるようになったきっかけは「クリスマスに収穫するマンゴーを作りたい」という生産者の夢から。世界でも珍しいマンゴーで、初めて出荷された「白銀の太陽」は1個5万円以上もの値が付いたそうですよ!

夏の間は、保存してある雪氷でハウスの温度を下げ、収穫される冬には温泉熱などで温め、ハウスの内部の季節を逆転させて育てるそうです。アーウィン種で果皮は赤く、繊維を感じさせないとろけるような食感が特徴。糖度は15度以上で非常に甘く、上品で芳醇な香りがあります。旬は11月末~1月ですので、冬の贈り物に選んでみてはいかがでしょうか?

世界のマンゴーの旬や産地は?

マンゴーの世界の生産量の多さは、ブドウ、バナナ、オレンジ、りんごに次いで第5位。日本ではまだまだ浸透して間もないフルーツですが、世界ではかなりポピュラーな果物なのです。世界の生産国では、原産地のインドが圧倒的で、全体の約40%のシェアを誇っています。次いで、インドネシア・中国・メキシコ・パキスタンなど。歴史的にマンゴーが初期に渡った地方であるアジアや南米が多いようです。 

日本では「南国からの輸入品」といった印象がありますね。現在でも、もちろん外国のマンゴーが輸入されています。しかし、世界の生産量と日本の輸入先は比例していません。では、どの国からやってきているのでしょうか?日本のマンゴー輸入先を見てみましょう。

順位:国名/輸入量
1位:メキシコ/3,503トン
2位:タイ/1,269トン
3位:ペルー/697トン
4位:台湾/687トン
5位:パキスタン/211トン

「メキシコマンゴー」や「タイマンゴー」は市場でもよく目にしますが、やはり、メキシコ・タイの輸入量が多いようです。「フィリピンマンゴー」で知られるフィリピンは11位。意外ですね。

また、輸入マンゴーは品種を変えて、比較的一年中市場に出回ります。マンゴーは世界中で栽培されているので、フィリピンのように通年収穫できる場合もあれば、日本と季節が逆転している国から輸入されている場合もありますね。尚、少量ですがマンゴーは日本から輸出も行っています。輸出先は、主に香港や中国などです。

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マンゴーの代表品種4選

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長い歴史を持ち、世界中で人々に愛されてきたマンゴーは、現在500種ほどあると言われています。日本に流通しているマンゴーの中には「アップルマンゴー」や「ペリカンマンゴー」と呼ばれているマンゴーがありますが、その呼び名は品種の正式名称ではなく、特徴をとらえた通称です。今回はその正式名称とともに、代表的な4品種を紹介します。

1.アップルマンゴー:アーウィン種・他

国産マンゴーの96%以上を占める品種「アーウィン種」です。アップルマンゴーと呼ばれる品種は他にもあり、主にメキシコやブラジルから輸入される「ヘイデン種」「ケント種」「トミーアトキンス種」などがあります。

名前の通り、リンゴのように果皮は赤色と緑色に色づき、果肉はオレンジ色です。重さは通常300g~500gほど。ジューシーで豊かな香りと口内に広がる甘さで、繊維を感じずとろけるような食感です。果実が若いうちに収穫し、輸送中に追熟させ、食べごろがスーパーに並びます。旬の時期はメキシコ産が3~9月ブラジル産が10月~4月など。産地を変えながら一年中出回ります。

2.ペリカンマンゴー:カラバオ種

日本ではフィリピン産マンゴーのイメージの強い種類です。「フィリピンマンゴー」とも呼ばれます。その名の通り、ペリカンの長いくちばしに似た形をしてますね。果皮・果肉共に黄色で少し繊維を感じる口あたりですが、ほどよい甘みと酸味があります。フィリピンで一年中出荷されますので、日本でも比較的手ごろな値段で通年手に入れることが出来ますよ。

3.キーツマンゴー:キーツ種

輸入だと「グリーンマンゴー」の名でカリフォルニア産のものが出回ります。国内では主に沖縄県で栽培される、大玉のマンゴーです。そのサイズは500g以上で、大きいものになると2kgを超えます。完熟した状態でも果皮が緑色なのが特徴(※最近では赤くなるものもあります)。果肉はオレンジ色をしていて、深い甘みのある濃厚な味わいです。

収穫後に追熟が必要で、食べごろは1~2週間後。香りが強くなり、実が柔らかくなれば完熟のサインです。1本の木になる実の数が少ないため生産量は少なく8月~9月に収穫されます。

4.タイマンゴー:ナンドクマイ種・他

タイで栽培され、主に出回っているのは「ナンドクマイ種」という品種です。果皮が黄色く、名前の意味である「花のしずく」の通り、しずく型をしています。強い甘みとほのかな酸味があり、濃厚な味わい。旬は2月下旬~5月頃です。タイマンゴーには他にも「マハチャノ種」「チョークアナン種」などもあります。

美味しいマンゴーの見分け方

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世界に数百種あるマンゴーは、大きさや色も様々。日本ではそれほど日常的に食卓に並ぶ果物ではないので、どのようなものを選ぶと美味しいのか迷ってしまいますね。そこで知りたいポイントは、「果皮の状態、硬さ、香り」です。では、まず「良いマンゴー」の選び方、そして「完熟の見分け方」を詳しく解説していきましょう。

良いマンゴーってどんなもの?

マンゴーを選ぶ時は、まずは見た目に注意しましょう。果皮にツヤがあり色が鮮やか、なめらかできれいなものを選びます。白い粉が付いている場合、「ブルーム」といってマンゴーが非常に新鮮な証拠ですよ。形は、ふっくらとしてヘタの周りが盛り上がっているもの、品種の適度な大きさであることが重要です。もし触ることが出来たら、ずっしりと重みを感じ、柔らかすぎないものが良いですね。お店で販売しているマンゴーを触る際は、必ずお店の人に確認してから触りましょう。

反対に、黒い斑点の目立つものやしわが寄っているもの・ぶよぶよしているもの鮮度が低下しているのでやめたほうが良いですね。また、傷があるものも避けましょう。果皮の傷は果肉まで傷んでいる場合があります。

\次のページで「食べ頃のサイン」を解説!/

食べ頃のサイン

未熟なマンゴーは酸っぱいので、ぜひ完熟してから食べたいですね。特に、輸入のマンゴーは輸送に時間がかかるため、未熟な状態で収穫し、追熟状態にばらつきがある場合が多いです。そのため、自分の目で完熟を見極める必要があります。以下に、熟した食べごろのマンゴーの特徴を挙げました。

・完熟の色(品種によって黄色や赤色)に色づいている
・甘い香りが強くなる
・少し弾力が出て、柔らかくなる
・果皮に蜜が染みている、べたついている

果皮の緑色のキーツマンゴーは、色の変化で完熟が分かりづらいため、香りと弾力で判断しましょう。上記のように、完熟状態は柔らかさを触ってみると分かりやすいですが、熟したマンゴーは強く押すと傷みの原因になるので、取り扱いは丁寧に。まだ完熟前の硬いマンゴーは、常温で追熟させましょう。

世界中に多くの品種があるマンゴー!美味しいマンゴーを食べ比べてみよう!

長い歴史で愛されてきたマンゴーは、世界中に500種類ほどあると言われています。国産に代表されるアーウィン種のアップルマンゴーやペリカンマンゴー、キーツマンゴーなど、産地も色も大きさも、同じマンゴーながらにその見た目は様々。食感や風味ももちろん異なりますよ。私たちが住む日本には、国産もあれば様々な地域からの輸入も集まってきます。ぜひ美味しい果実を自分の目で見極めて、風味豊かなマンゴーを食べ比べてみましょう。

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家庭科

マンゴーの食べ頃はいつ?国産ブランド・輸入の旬や産地、品種の特徴も果物大好きパティシエが詳しくわかりやすく解説

マンゴーは輸入フルーツのイメージですが、近年ではブランドマンゴーの知名度も上がり、国産マンゴーの生産量も増加している。もともとマンゴーには数百種の品種があるそうですが、意外にも国産も輸入もマンゴーの品種自体は同じなんだ…ではなぜ、国産マンゴーは高価なんでしょうか?その理由も考えてみよう。この記事では、国産・輸入マンゴーの旬や産地・特徴を、美味しい理由や食べ頃の見分け方と併せて果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。マンゴーは,、果物盛り合わせ・プリン・ムース・焼き菓子・デコレーションと洋菓子界のオールラウンダー!

日本のマンゴーを知ろう!

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まずは日本国内で栽培されるマンゴーについて見ていきましょう。

マンゴーは輸入のイメージが強いですが、国内のマンゴー生産量は年々増加しており、近年では国内のマンゴー流通全体の3分の1ほどを国産マンゴーが占めるまでになりました。国産マンゴーは決して珍しいものではないのですね。

日本で栽培されるマンゴーは96%以上がアップルマンゴーと呼ばれる「アーウィン種」です。アーウィン種はマンゴーの中でも比較的涼しさにも強く、日本の気候で育てやすかったようですよ。また、アーウィン種以外にも、生産量は少ないですが、様々な品種が栽培されています。今後さらに出回る品種が増えれば、バリエーション豊かなマンゴーは、一層楽しめるフルーツになると期待されているのです。

国産マンゴーの旬と産地

「南国のフルーツ」のイメージ通り、マンゴーの旬は夏です。市場に出回る時期は、主に4月~8月頃。国内の生産地域も、沖縄や九州など暖かい南側の地方が良く知られていますね。では、実際どのようになっているか、マンゴー栽培で有名な県の生産量ランキングと共に詳しく解説しましょう。

順位:都道府県/生産量/最も出回る時期
1位:沖縄県/2,206トン/7月
2位:宮崎県/1,203トン/5月~6月
3位:鹿児島県/488トン/5月~6月
4位:熊本県/77.1トン/5月~6月
5位:高知県/22トン/6月~7月

1位の沖縄県は半分以上のシェアを誇っています。上位3県を合わせると、生産量全体のは95%以上。国産マンゴーはほぼこの3県で栽培されています。また、本来は暖かい地域で栽培されるマンゴーですが、近年、温泉を利用して北海道でもマンゴー栽培が行われていますよ。

旬を見てみると、宮崎県産をはじめとした九州のマンゴーが5月~6月頃にピークを迎え、その後、生産量トップの沖縄県産のマンゴーが7月を中心に出回るようですね。やはり沖縄の生産量は多く、全体を通して最も多く市場に並ぶ時期は、7月になります。

国産マンゴーはなぜ高い?

ブランドマンゴーの登場により一気に認知度を上げた国産マンゴー。いまや高級な贈答用として人気の高いフルーツですね。スーパーに並ぶ輸入マンゴーの平均価格は1個約300~500円に対し、国産マンゴーでは1個約1000円~3000円ほどにもなります。では、なぜブランドマンゴーをはじめとする国産マンゴーは高価になるのでしょうか?

その理由は、日本でのマンゴー栽培は雨除けや保温・防病のために、ハウス栽培が必須になるからです。ハウス栽培は非常にコストと手間がかかり、結果として値段が上がってしまいます。海外でも同じ品種のマンゴーはたくさん栽培されていますが、多くが露地栽培です。それは、日本とは違い、マンゴー栽培に適した風土や季節があるからこそ。ハウスが不要なため、低コストで生産できるのです。

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