2040年問題を抱える「団塊ジュニア」とは?年齢や人口・世代の特徴などを行政書士試験合格ライターがわかりやすく解説
社会保障費の増大
日本の年金制度は、賦課方式を採用しています。働いている世代が保険料を納めて、その分を高齢者に支払うというものです。保険料率は現役世代の加入者と年金受給者の割合で決まります。しかし、高齢化が進むとそのバランスが崩れて、現役世代の負担が増える事態を免れられません。
さらに、高齢者が増えることで、介護の費用がかかることは容易に想像できるでしょう。厚生労働省が試算した社会保障給付費の将来見通しでは、2018 (平成30)年は約121兆円だった社会保障費が、2040年には190兆円ほどになると予測しています。今のままでは、社会保障制度の維持は難しいのです。
就労環境の整備
団塊ジュニアを含む、就職氷河期世代の就職支援が官民両方で進められています。一部の地方自治体では氷河期世代を対象とした職員中途採用試験が行われ、試験によっては倍率が600倍になったこともありました。生活保護者やワーキングプアの団塊ジュニアも多く、1人でも減らさないと2040年問題の解決には至らないでしょう。
さらに、団塊ジュニアの上の世代には、定年引き上げが解決策になりえます。定年を延長することで、雇用側は安定した人材を確保でき、就業する側も収入や生きがいを得られるのです。安定した収入がある高齢者が増えれば、社会保障費の削減にもつながります。
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社会保障制度や介護サービスの見直し
日本の人口推計を見れば、現行の年金制度では将来破綻すると誰もが思うでしょう。そのため、さまざまな形での年金制度改革が提言されています。所得に比例する保険料や給付額とする、年金額を最低保障として一定の収入以上でゼロにする、などの案が提示されました。
また、介護サービスの生産性向上も、2040年問題解決策になると考えられます。介護ロボットの実用化やシニア人材の活用は、介護業務の効率化や高齢者の雇用創生につながるでしょう。介護業務を効率化できれば、介護業界に有望な人材が集まるという効果も期待できます。
団塊ジュニアが直面する2040年問題への対策が求められる
昭和40年代前半に生まれた、第2次ベビーブームにあたる世代が「団塊ジュニア」です。2020年代に入ると、団塊ジュニアは50代を迎えます。しかし、団塊ジュニアがこの先直面すると考えられる「2040年問題」は、労働人口減少や社会保障費増大が予想されるほど深刻です。そのため、今からでも2040年問題への対策を、国や地方自治体が中心となって真剣に講じるべきでしょう。