今回は男爵いもとメークインの違いについてみていきたい。両方ともじゃがいもの品種の名前で、多くの人に親しまれている。しかし、2つは異なる食感と特徴があり、それぞれ向く料理も違うようです。名前も男爵やクイン(女王)と性別も身分も異なっているな。今回は日本の食卓やおやつに欠かせない2つのじゃがいもについて、食いしん坊の文学部卒ライター海辺のつばくろと一緒に解説していきます。

ライター/海辺のつばくろ

ポテチもコロッケもポテトサラダも肉じゃがも大好きで、じゃがいもが欠かせない食いしん坊のライター。

男爵いもとメークインの見た目の違い

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男爵いもとメークインは同じじゃがいもであっても、見た目が違います。男爵いもは全体的に丸みを帯びた形をして、皮にくぼみが多くごつごつしている感じ。一方、メークインは楕円形のように細長く、表面はなめらか。スーパーや食料品店の野菜売り場で確認してみてくださいね。

男爵いもの特徴

男爵いもはじゃがいもの品種名。日本で最も多く栽培されているなじみのあるじゃがいもです。男爵いもという名前の由来は、明治40年(1907年)にアメリカから川田龍吉男爵が輸入して、知人とともに北海道で試作と作付けをしたことからきています。もともとの品種の名前は”アイリッシュ・コブラー”。男爵いもの改良品種として、「キタアカリ」が有名です。

でんぷんが多くホクホクとした食感

男爵いもは、でんぷんの含有量が多く16%以上です。そのため、加熱するとホクホクとした柔らかい食感で、くずれやすく粉を吹くような感じになります。

男爵いものおすすめ料理

男爵いもを使う場合、下記のような柔らかい触感と口当たりをいかした料理が向いています。

\次のページで「メークインの特徴」を解説!/

1.ポテトコロッケ:茹でてマッシュポテトにし、旨味のあるひき肉を混ぜると味がよく馴染む
2.ポテトサラダ:粉を吹いた男爵いもにコクのあるマヨネーズなどの調味料がからまり、相性が抜群。酢などで下味を付けると爽やかな風味
3.肉じゃが:ほろほろと煮崩れた男爵いもと切り落としの牛肉や豚肉の旨味が合う。しょうゆなどの調味料が表面にしみやすい
4.お好み焼き:マッシュポテトが余った時に少し混ぜるだけで、たねがまとまりやすくなる

メークインの特徴

メークインはイギリス原産の品種。日本には大正時代に入り、北海道で栽培されたということです。”may queen”を直訳すると「5月の女王」。なぜこのような名前がついたかというと、昔のイギリスの春の祭り(メーデー)の一環で、娘の中から女王に選ばれる行事があるとのこと。春頃に美味しくなるじゃがいもと選ばれた女王のイメージから、メークインと付けられたようです。

きめ細かく硬めの食感

男爵いもと比べてメークインは、でんぷんの含有量が全体の16%と少なめ。そのため、粘り気の強いきめ細かく硬めの食感になります。加熱するとサクサクした感じ。皮はなめらかで薄く、皮むきがしやすいです。

メークインのおすすめ料理

加熱をしても比較的硬めので形崩れしにくい料理が向きます。長時間煮込んでも崩れにくい煮物の食材や炒めものの具材にもおすすめ。下記のような例があります。

1.おでん・シチュー・カレー:大きめに切って長時間煮込んでも煮崩れにくい
2.フライドポテト:太めの棒状にカットしてサクサクとした歯ごたえが楽しめる
3.炒めもの:ネギやきのこ(舞茸やえのきだけ)など、そのままカットして手軽にフライパンで作れる。
ジャガイモは細めの棒状に切った後、電子レンジで加熱しておくと火が通りやすい。

じゃがいも料理で困ること

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じゃがいもはコンビニ食材と呼ばれ、家に常備しておくと何かしらのおかずができるといわれています。ただ、レシピ通りに作ってもうまくいかなかったり、カロリーに悩んでしまったりなど困ることもありますよね。どのように解決するとよいのでしょうか。

1.ポテトコロッケが破裂してしまう

ポテトコロッケは揚げ油で加熱した時に、中のたねに圧力がかかり衣の薄い部分から吹き出してしまうのが破裂の原因。見栄えが悪くなってしまったり、揚げ油が飛んで危ないめにあったりして作りたくないという方もいるようです。トラブルを防ぐには、たねの具材をしっかりと加熱し具材の水分を飛ばしておくと水蒸気の発生が抑えられ圧力がかかりにくくなりますよ。

たねは作った後に金属製のバットに移し替えて冷蔵庫などで熱をとること。包む具材の温度を低くすると、揚げ油に入れた時に温度が急上昇しにくく破裂を防げます。

衣を付けるときにはパン粉の付き方にムラが出ないよう、小麦粉と卵を混ぜたバッター液を作りくぐらせてからパン粉をつけるのもおすすめ。揚げ油の温度は、180℃パン粉を揚げ油に落として少し経ってから浮き上がってくるくらいが目安)に保てるよう、3つくらいずつ揚げるようにしましょう。

2.フライドポテトを揚げずにつくるには

フライドポテトを食べたくても、そのためだけに揚げ油を用意するのは大変。後片付けも面倒ですよね。手軽に作るなら、細切りにして電子レンジで加熱し、フライパンに多めに油を敷いて油炒めにすると便利です。

ほくほくした食感が好みなら男爵いもを選び、サクサクしたフライドポテトが好みならメークインを選ぶとよいでしょう。切った後にじゃがいもを水に漬けておくと変色防止にもなりますし、でんぷんが取れてベタッとしません。油で炒める前にザルにあけてキッチンペーパーで水気を拭き取ると油はねがしにくいです。

\次のページで「3.ポテチをカロリーダウンさせたい」を解説!/

3.ポテチをカロリーダウンさせたい

じゃがいもが好きの中には、ポテチが好きだという方もいるのでは。美味しいけれどカロリーが気になりますよね。その場合は、電子レンジで揚げないポテチを作るのもおすすめ。

スライサーなどで薄めに切ったジャガイモを水に漬けておき、キッチンペーパーでじゃがいもの両面を挟んで水気を軽く取りましょう。電子レンジの庫内や耐熱皿の上にクッキングシートを敷き、重ならないように並べて塩を軽く振りかけて下味をつけます。500~600wにセットし7分ずつ加熱。表面が乾くまで様子を見ながら加熱をします。両手で折ってパリッとしたら出来上がり。塩の他に、青のりやカレー粉、こしょうなどを試してみると飽きません。

じゃがいもの保存の仕方

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じゃがいもは比較的持ちがよいといわれています。ただ、ずっと置いておくと芽が出てきて毒性が心配されたり、味が落ちたりすることも。保存の仕方を2つ紹介します。

1.常温保存

じゃがいもを常温で保存するには、日光が当たりにくい冷暗所が向いています。なぜかというと、芽が出てきやすくなるから。じゃがいもを1つずつ新聞紙に包み、100均や雑貨店などの店頭で見かける野菜用の保存袋に入れて風通しのよい日陰に置きましょう。できればつるしておける場所がよいですね。

2.冷凍保存

購入して1週間ほどでじゃがいもを食べきれない場合は、冷凍保存する方法も。男爵いもであれば、加熱してマッシュポテトにしてから保存袋に詰めて保存すると便利です。レンジなどで解凍し、ポテトサラダやコロッケの具材などに活用できます。

じゃがいもをきれいに水洗いして芽などを取っておき、ラップで1つずつ包んで保存袋に入れて冷凍すると4ケ月くらい保存可能です。皮に切れ目を入れて解凍し、切込みを入れたところにバターを落として食べるとベイクドポテトにも。手軽なおやつやブランチにもなります。

男爵いもとメークインは形と食感に違いがある

男爵いもとメークインの大きな違いは、形と食感です。男爵いもは球形に近い丸々とした形でゴツゴツした見た目で、柔らかくホクホクした食感。メークインは細長くスッキリとした形で、固めでさくさくした食感です。それぞれの食感の特徴をいかして、料理を作る際に選ぶとよいでしょう。

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雑学

3分で分かる男爵いもとメークインの違い!じゃがいも料理の使い分けや調理のお悩み解決法も文学部卒ライターがわかりやすく解説

1.ポテトコロッケ:茹でてマッシュポテトにし、旨味のあるひき肉を混ぜると味がよく馴染む
2.ポテトサラダ:粉を吹いた男爵いもにコクのあるマヨネーズなどの調味料がからまり、相性が抜群。酢などで下味を付けると爽やかな風味
3.肉じゃが:ほろほろと煮崩れた男爵いもと切り落としの牛肉や豚肉の旨味が合う。しょうゆなどの調味料が表面にしみやすい
4.お好み焼き:マッシュポテトが余った時に少し混ぜるだけで、たねがまとまりやすくなる

メークインの特徴

メークインはイギリス原産の品種。日本には大正時代に入り、北海道で栽培されたということです。”may queen”を直訳すると「5月の女王」。なぜこのような名前がついたかというと、昔のイギリスの春の祭り(メーデー)の一環で、娘の中から女王に選ばれる行事があるとのこと。春頃に美味しくなるじゃがいもと選ばれた女王のイメージから、メークインと付けられたようです。

きめ細かく硬めの食感

男爵いもと比べてメークインは、でんぷんの含有量が全体の16%と少なめ。そのため、粘り気の強いきめ細かく硬めの食感になります。加熱するとサクサクした感じ。皮はなめらかで薄く、皮むきがしやすいです。

メークインのおすすめ料理

加熱をしても比較的硬めので形崩れしにくい料理が向きます。長時間煮込んでも崩れにくい煮物の食材や炒めものの具材にもおすすめ。下記のような例があります。

1.おでん・シチュー・カレー:大きめに切って長時間煮込んでも煮崩れにくい
2.フライドポテト:太めの棒状にカットしてサクサクとした歯ごたえが楽しめる
3.炒めもの:ネギやきのこ(舞茸やえのきだけ)など、そのままカットして手軽にフライパンで作れる。
ジャガイモは細めの棒状に切った後、電子レンジで加熱しておくと火が通りやすい。

じゃがいも料理で困ること

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じゃがいもはコンビニ食材と呼ばれ、家に常備しておくと何かしらのおかずができるといわれています。ただ、レシピ通りに作ってもうまくいかなかったり、カロリーに悩んでしまったりなど困ることもありますよね。どのように解決するとよいのでしょうか。

1.ポテトコロッケが破裂してしまう

ポテトコロッケは揚げ油で加熱した時に、中のたねに圧力がかかり衣の薄い部分から吹き出してしまうのが破裂の原因。見栄えが悪くなってしまったり、揚げ油が飛んで危ないめにあったりして作りたくないという方もいるようです。トラブルを防ぐには、たねの具材をしっかりと加熱し具材の水分を飛ばしておくと水蒸気の発生が抑えられ圧力がかかりにくくなりますよ。

たねは作った後に金属製のバットに移し替えて冷蔵庫などで熱をとること。包む具材の温度を低くすると、揚げ油に入れた時に温度が急上昇しにくく破裂を防げます。

衣を付けるときにはパン粉の付き方にムラが出ないよう、小麦粉と卵を混ぜたバッター液を作りくぐらせてからパン粉をつけるのもおすすめ。揚げ油の温度は、180℃パン粉を揚げ油に落として少し経ってから浮き上がってくるくらいが目安)に保てるよう、3つくらいずつ揚げるようにしましょう。

2.フライドポテトを揚げずにつくるには

フライドポテトを食べたくても、そのためだけに揚げ油を用意するのは大変。後片付けも面倒ですよね。手軽に作るなら、細切りにして電子レンジで加熱し、フライパンに多めに油を敷いて油炒めにすると便利です。

ほくほくした食感が好みなら男爵いもを選び、サクサクしたフライドポテトが好みならメークインを選ぶとよいでしょう。切った後にじゃがいもを水に漬けておくと変色防止にもなりますし、でんぷんが取れてベタッとしません。油で炒める前にザルにあけてキッチンペーパーで水気を拭き取ると油はねがしにくいです。

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