干し芋に旬はあるの?選び方や種類もフードアナリストが詳しくわかりやすく解説
美味しい好みの干し芋を探してみよう
国産の干し芋は近年、グルメ情報番組でも特集されるほど話題になっています。テレビで放送された後には、ネットの検索ランキングで必ず上位になる人気ぶりです。生産者によって甘さや形状が違うので、自分にあったお好みの干し芋を探してみてはいかがですか。
干し芋はさつまいもを使った加工品であることは知っていますね。さつまいもを蒸してから、皮を剥いて干したもので、家庭でも作ることの出来る昔ながらのおやつなんです。しかし近年、国内で商品として作られている干し芋は、さつまいもの品種や形状もさまざまで、農家さんそれぞれのこだわりがたくさん詰まっているんです。そんな干し芋にも旬があることを知っているか?今回は干し芋の旬がいつなのか、選び方や種類についてフードアナリストのコナパパと一緒にみていきます。
ライター/コナパパ
フードアナリスト。元コックで、さまざまな食材に対する知識がある。今回はダイエットにも効果がある人気の食品、干し芋について解説していく。
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干し芋はさつまいもが加工された食品なので「旬なんてあるわけない」と思った人はいませんか?実は、干し芋にも一番美味しいと言われる旬があり、旬の初めには新物として出回るんですよ。ここでは干し芋の旬や有名な産地について解説していきます。
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干し芋の旬はいつかというと年明けの1月頃からです。干し芋はさつまいもが原料の保存性が高い加工品ですが、作り方はさつまいもを加熱して干しただけのシンプルな食品なので旬があるんですよ。
干し芋の作り方を収穫までさかのぼって説明すると、9月中旬から10月に収穫が始まります。さつまいもは収穫後、すぐに干し芋に加工されるのではなく、1〜2ヶ月間かけてゆっくりと追熟させるのです。追熟されている間に糖度が増して粘質な食感に変わっていくんですよ。しっかりと寝かせ、甘みが増してから干し芋へ加工する過程に入るのです。そう考えると干し芋が完成するのは早くても12月頃で、新物が多く出回る干し芋の旬は1月頃になるんですよ。
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干し芋の生産高をランキングにすると1位が茨城県、2位が静岡県、3位三重県の順になっています。その中でも1位の茨城県の生産量は全体の9割を締めていて、国産の干し芋は、ほぼ茨城県で作られていることになるんですよ。
さつまいもの生産量でいうと鹿児島県が1位で、食用のさまざまな品種も作られています。しかし、鹿児島県は芋焼酎が有名で、芋焼酎の原料となるコガネセンガンという品種がもっとも多く作られているんです。
近年は茨城県の干し芋加工業者の技術指導をうけ、中国でも多く作られているんですよ。スーパーやコンビニで売られている安価な干し芋は、ほぼ中国産になります。中国から輸入されている干し芋ですが、品質もしっかりしていると評判です。
しかし、国産の干し芋と比べてしまうと甘味や食感で劣ってしまうようですね。また、味や質はもちろん、農薬などの観点から安全性を求めて国産の干し芋を選ぶ消費者は根強くいるんですよ。
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近年は、干し芋がダイエットに良い食品として注目を集めたことから、需要が増え輸入品も増えてきました。ここでは、どのような干し芋を選んだら良いのか、表面についている白い粉は大丈夫なのかなど注意点について解説します。
近年、干し芋は輸入品が多くありますが、やはり国産の干し芋は味や質が良いとされています。輸入品は工場化が進み大量に生産されていることで安価で売られていますが、国産のものは輸入品と比べると生産量が少ないうえに、手作業で作られていることが多く、価格も倍以上することも珍しくありません。
しかしどんなに高価でも、国産の干し芋はその美味しさから人気があるんですよ。
甘いさつまいもを見つけるには品種、温度、加熱時間が重要です。まず、品種についてですが一番甘いとされているのは紅はるかで、その次に甘いのが安納芋になります。この2つの品種は甘みが強いのと、ねっとりとした食感が特徴でさつまいもを使ったスイーツにもよく使われる品種なんですよ。
次に温度と加熱時間です。買った焼き芋は甘いのに、家庭のレンジで加熱したさつまいもは甘くないと感じたことはありませんか?この違いは、焼き芋はじっくりと時間をかけて加熱していくのに対し、レンジは短時間で加熱するという大きな違いがあります。さつまいものでんぷん質が糖分に変わるのが60~75℃付近で、この温度帯を保ちながらじっくりと加熱することで甘みが増すのです。焼き芋が甘くなる理由もじっくり加熱しているからなんですよ。
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国産の干し芋は、原料のさつまいも以外に何か加えられていることはほぼありません。中国産はよく農薬が懸念されていますが、輸入される際にしっかり検査されているので日本での基準を越える農薬も使われていることは、ほぼないと言えるでしょう。
\次のページで「干し芋についている白い粉は何?」を解説!/
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表面の白い粉は、さつまいもに含まれる糖類が結晶化したもので、カビや食品添加物ではありません。この結晶化は生の状態では出てきませんが、さつまいもを加熱する過程において糖化酵素の働きにより作られます。これが乾燥され糖分が濃縮されたことによって、時間が経つとともに表面に現れるんですよ。
カビも干し芋の表面に発生しますが、カビの場合は青や緑の色がついていたりカビ臭がするので、食べる際は十分に注意してくださいね。
国内で栽培されているさつまいもの主要品種は約60品種あります。さつまいものほとんどが食用として栽培されていますが、一番多く栽培されているコガネセンガンという品種は芋焼酎の原料に使われているんですよ。そのほか料理に使う品種だとベニアズマや高系14号などが有名ですが、ここでは干し芋作りによく使われる4品種をご紹介します。
紅はるかは、人気の安納芋も越えるほどの甘さとねっとり感が特徴で、口当たりがクリーミーでなめらかな品種です。焼き芋などのように熱を加えると、糖度はなんと50度にもなり強い甘さが人気の理由なんですよ。果物以上の甘さがあるので、スイーツを作るのによく使われています。
40年以上も前から干し芋用として生産され続けており、干し芋といえばタマユタカと言われるほどポピュラーな品種です。タマユタカを使った干し芋は、懐かしく感じる優しい味わいが特徴です。現在、主流のねっとり系ではなく、ホクホク食感で子供からご年配まで、年齢に関わらず美味しさを感じるさつまいもなんですよ。
近年、登場したばかりのおすすめ品種です。収穫したてのシルクスイートは粉質で少しホクホクした感じに焼きあがりますが、収穫後に追熟することで、実が粘質に変化し甘さも増します。また、追熟により熟成されたシルクスイートは、水分が多く食感が絹のようにしっとり滑らかに焼き上がることもこの名の由来なんですよ。
近年、さつまいもの中でも圧倒的な人気を誇る、さつまいもの王様と言われているのが安納芋です。水分が多く粘質で、焼くとねっとりとした食感になるのが安納芋の特徴で、生の状態でも糖度が16度程度あるのですが、時間をかけてじっくりと加熱すると糖度は40度にもなり、密が全体にまわり黄金色に見えるんですよ。
\次のページで「美味しい好みの干し芋を探してみよう」を解説!/
国産の干し芋は近年、グルメ情報番組でも特集されるほど話題になっています。テレビで放送された後には、ネットの検索ランキングで必ず上位になる人気ぶりです。生産者によって甘さや形状が違うので、自分にあったお好みの干し芋を探してみてはいかがですか。
国産の干し芋は近年、グルメ情報番組でも特集されるほど話題になっています。テレビで放送された後には、ネットの検索ランキングで必ず上位になる人気ぶりです。生産者によって甘さや形状が違うので、自分にあったお好みの干し芋を探してみてはいかがですか。