この記事では、日本の伝統的な和菓子に欠かせない「あんこ」の種類や選び方についてみていきます。あんこの種類は、素材や形状によって100種類以上もあると言われているらしいぞ。一般的な小豆のあんこから、季節のあんこやフレーバーあんこなどさまざまです。たくさんあるから迷ってしまうよな。
今回は、基本のあんこの種類やあんこの和菓子を選ぶ方法について管理栄養士のミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

給食施設で働く現役管理栄養士。おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。和菓子が大好物で、特にあんこには目がない。自分であんこを炊くこともある。おやつはケーキよりどら焼き派。

基本のあんこ5種

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あんこの種類は100種類以上あると言われていますが、ここでは基本的なあんこ5種類の違いについてみていきましょう

1.スタンダードあんこの小豆あん

あんことして出回っているものの多くが小豆のあんこです。大納言も小豆の一種で、高級品とされています。小豆のあんこは黒っぽい茶色でツヤツヤしていて、お饅頭やたい焼きやどら焼きなど、さまざまな和菓子で目にする機会が多いですね。小豆はお手玉の中に入っていることもありました。

小豆は乾燥した状態だとかなり固いですが、他の乾燥した豆類に比べ容易に煮ることができます。

2.アレンジしやすい白あん

白いんげん豆や白花豆から作られる、名前の通り白い色のあんこです。小豆のあんこと比べてさっぱりとした味わいで、他の食材の風味を引き立たせるのに使われることもあります。抹茶あんや桜あんなどの香りが強い物も白あんから作られることがほとんどで、季節商品にも多いです。白あんを購入して自分好みのオリジナルレシピなどでアレンジするのもおすすめですよ。

3.春になると食べたくなる!うぐいすあん

うぐいすあんは薄緑色をしたあんこで、青えんどう豆からできていています。青えんどう豆はグリンピースと同じ植物で、うぐいすあんはグリーンピースからできていると思って良いでしょう。春になるとお餅や団子と一緒に見かける機会が多くなりますよね。和菓子以外にもパンとの相性も良く、あんぱんとして販売されていることもあります。

4.ほっくり甘い芋あん

豆ではありませんが、さつまいもからできているのが、芋あんです。さつまいもの旬である秋によく見かけます。他のあんこの材料と比べてさつまいも自体に甘みがあるので、もとからある甘みを生かした自然な甘みが特徴です。また、芋の種類によって見た目も全然違うものになります。金時芋なら鮮やかな黄色、紫芋なら濃い紫色など、さまざまです。

5.東北名物ずんだあん

ずんだあんは、枝豆から作る鮮やかな緑色のあんこです。宮城県を中心に東北でずんだ餅などとして見られます。全国的にはあまり知られていないあんこですが、ここ数年よく聞くようになったので知っている方もいるのではないでしょうか。餅と一緒に食べるのが一般的ですが、パンに塗ったり洋菓子に使用される場合もあるようです。

あんこを形状で選ぶ

あんこは、素材の粒が残っているような粒あんと、裏ごしをしてなめらかな状態のこしあんの2種類です。形状が変わると含まれる栄養も変わります。それぞれの特徴から選ぶ方法も良いでしょう。

種類豊富のこしあん

世の中の数多くあるあんこの約8割がこしあんとされています。アレンジされることの多い白あんは基本的にこしあんですし、うなずける結果です。

小豆や白いんげん豆などのこしあんは、つぶあんをつぶしてこして皮を取っただけと思われがちですが思った以上に手間がかかっています。ざるやさらしを使ってつぶしたあんこを水にさらし、上澄みを捨てるなどの作業が必要です。作業の工程が多く、同量の小豆を使用してもつぶあんよりこしあんのほうが出来上がり量が少ないことから、こしあんのほうが価格も高く高級品とされています。

\次のページで「粒があってこそあんこ!」を解説!/

粒があってこそあんこ!

口当たりなめらかで好まれるこしあんとは対象に、つぶあんの味わいや粒感が好まれることもあります。小豆のあんこや芋あん、ずんだあんもつぶが残っているのが好きな方も多いでしょう。また、こしあんには大量の砂糖が添加されることが多いですが、つぶあんは豆の持つ風味を際立たせ甘さ控えめなこともあります

あんこにも旬がある!

小豆は10~2月が旬の時期で、新豆と呼ばれます。小豆は乾物で一年中出回っている食材ですが、旬の時期のものは香りが良く柔らかく煮えるのが特徴です。古くなると水分が抜けて皮が固く煮えにくくなります。「新豆」や「新物」という表示のされている小豆を購入してみてください。

白いんげん豆も一年中流通していますが、収穫は9月から12月頃です。白いんげん豆は乾燥させてから使用するので、白あんの旬は11月から2月頃になります。こちらも古くなると固くなるので、こしあんに向いている白いんげん豆は特に旬の時期においしくいただけそうですね。

おいしい小豆の選ぶ方法やコツは?

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小豆は一粒一粒を見て確認することは難しいですが、粒の色や状態をよく見ると美味しい小豆を選べます。小豆の色は収穫から時間が経つと濃い茶色の小豆色に変わるので、色が薄めのものが若い証拠です。

また、小豆の白い筋のようなところが古くなると茶色や黄色っぽくなるので、綺麗な白色のものを選びましょう。さらに、粒の大きさがそろっていて皮にツヤがあるものが新鮮です。あんこの粒の状態に注意してみて下さい。あんこの作り方も意外と簡単ですよ!おいしい小豆を購入して手作りあんこを作ってみてください。

シーン別あんこ選び

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シーンに合わせたあんこの和菓子の選び方をご紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

1.大人数に向けてのお土産

日本人でもあんこは好き嫌いがありますが、どちらかというとこしあんのほうが人気です。粒がなくなめらかで食べやすいからでしょう。対照的に、粒あん好きの人はこしあんも好きな場合が多いです。私の周りにも、こしあんなら食べられるという人や、つぶあんが好きだけどこしあんも好き、という人が良くいます。

さらに、小豆のあんこよりも白あんのほうがクセがなくすっきりした味わいなので黒あんと白あんで迷ったら白あんがおすすめです。

\次のページで「2.外国人はあんこが苦手?」を解説!/

2.外国人はあんこが苦手?

最近、和食や和菓子が世界で人気となっていますが、甘い豆を食べる習慣のある地域は少なくあんこは苦手な人も多いようです。ですので、粒感のないこしあんで、白あんのほうが好まれると考えられます。いちごなどフルーツを使った大福やお団子、お餅なども食べやすいようです。

しかし、日持ちしないものが多いので、外国に持っていくには向いていません。賞味期限の比較的長い、あんこを生地に練りこんだ和洋が合わさったタイプのお菓子などがおすすめです。

3.ご褒美あんこには季節もの!

私がおすすめするのは、季節もののあんこです。あんこは日本の伝統的な和菓子に多く使用され、日本の四季に合わせたものが多くあります。また、季節はすぐに変わっていきますので、季節ものの商品はすぐに入れ替わってしまうことが多いです。見つけたら早めにご購入してみて下さい。

桜あんや抹茶あん、うぐいすあん、栗あん、芋あん、フルーツや野菜を使用したあんこなど変わり種もあるようです。季節もののあんこを味わって、あんこで四季を感じてみてほしいです

お気に入りのあんこを見つけてゆったりタイムのお供にしよう!

さまざまな種類のあんこについてみてきました。多くの種類のあんこがあり、違いや選び方が分かりましたね。小豆にも旬があり、美味しい小豆を選んでみるのも良いですね。自分にぴったりのあんこを見つけてお茶のお供にしたり、季節を感じたりしてみてほしいです。

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家庭科

あんこの種類は100種類以上もある?違いや選び方を管理栄養士が分かりやすくわかりやすく解説

この記事では、日本の伝統的な和菓子に欠かせない「あんこ」の種類や選び方についてみていきます。あんこの種類は、素材や形状によって100種類以上もあると言われているらしいぞ。一般的な小豆のあんこから、季節のあんこやフレーバーあんこなどさまざまです。たくさんあるから迷ってしまうよな。
今回は、基本のあんこの種類やあんこの和菓子を選ぶ方法について管理栄養士のミサキと一緒に解説していきます。

ライター/ミサキ

給食施設で働く現役管理栄養士。おいしい食事とおやつを食べることが生きがい。和菓子が大好物で、特にあんこには目がない。自分であんこを炊くこともある。おやつはケーキよりどら焼き派。

基本のあんこ5種

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あんこの種類は100種類以上あると言われていますが、ここでは基本的なあんこ5種類の違いについてみていきましょう

1.スタンダードあんこの小豆あん

あんことして出回っているものの多くが小豆のあんこです。大納言も小豆の一種で、高級品とされています。小豆のあんこは黒っぽい茶色でツヤツヤしていて、お饅頭やたい焼きやどら焼きなど、さまざまな和菓子で目にする機会が多いですね。小豆はお手玉の中に入っていることもありました。

小豆は乾燥した状態だとかなり固いですが、他の乾燥した豆類に比べ容易に煮ることができます。

2.アレンジしやすい白あん

白いんげん豆や白花豆から作られる、名前の通り白い色のあんこです。小豆のあんこと比べてさっぱりとした味わいで、他の食材の風味を引き立たせるのに使われることもあります。抹茶あんや桜あんなどの香りが強い物も白あんから作られることがほとんどで、季節商品にも多いです。白あんを購入して自分好みのオリジナルレシピなどでアレンジするのもおすすめですよ。

3.春になると食べたくなる!うぐいすあん

うぐいすあんは薄緑色をしたあんこで、青えんどう豆からできていています。青えんどう豆はグリンピースと同じ植物で、うぐいすあんはグリーンピースからできていると思って良いでしょう。春になるとお餅や団子と一緒に見かける機会が多くなりますよね。和菓子以外にもパンとの相性も良く、あんぱんとして販売されていることもあります。

4.ほっくり甘い芋あん

豆ではありませんが、さつまいもからできているのが、芋あんです。さつまいもの旬である秋によく見かけます。他のあんこの材料と比べてさつまいも自体に甘みがあるので、もとからある甘みを生かした自然な甘みが特徴です。また、芋の種類によって見た目も全然違うものになります。金時芋なら鮮やかな黄色、紫芋なら濃い紫色など、さまざまです。

5.東北名物ずんだあん

ずんだあんは、枝豆から作る鮮やかな緑色のあんこです。宮城県を中心に東北でずんだ餅などとして見られます。全国的にはあまり知られていないあんこですが、ここ数年よく聞くようになったので知っている方もいるのではないでしょうか。餅と一緒に食べるのが一般的ですが、パンに塗ったり洋菓子に使用される場合もあるようです。

あんこを形状で選ぶ

あんこは、素材の粒が残っているような粒あんと、裏ごしをしてなめらかな状態のこしあんの2種類です。形状が変わると含まれる栄養も変わります。それぞれの特徴から選ぶ方法も良いでしょう。

種類豊富のこしあん

世の中の数多くあるあんこの約8割がこしあんとされています。アレンジされることの多い白あんは基本的にこしあんですし、うなずける結果です。

小豆や白いんげん豆などのこしあんは、つぶあんをつぶしてこして皮を取っただけと思われがちですが思った以上に手間がかかっています。ざるやさらしを使ってつぶしたあんこを水にさらし、上澄みを捨てるなどの作業が必要です。作業の工程が多く、同量の小豆を使用してもつぶあんよりこしあんのほうが出来上がり量が少ないことから、こしあんのほうが価格も高く高級品とされています。

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