今回は北の空に欠かせない星、北極星がテーマです。

北極星は北の極星という意味で、極星とは回転軸の延長上にある恒星のことです。北の空は北極星を中心に回っている。と言っても空や星が回っているわけではなく、地球からそう見えているだけですがな。北極星はほとんど動かないことから、航海の際には目標として使われてきた。

それでは北極星について科学館職員のたかはしふみかが解説していきます。

ライター/たかはし ふみか

高校は化学部、大学は工学部化学系の科学館職員。理科教育にかかわる仕事がしたかったから、科学館の仕事が大好き。

北極星とはどんな星?

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今回のテーマは北極星。まずは北極星がどんな星か確認していきましょう。

天の北極付近に位置する明るい星。現在は天の北極と約一度離れた所にある光度二・〇等の小熊座のα(アルファ)星がこれに当たり、方位を定めるときの指針とする。
(コトバンク[北極星])

現在の、という言葉があるように北極星はその時々で変化します。現在の北極星はこぐま座のα(アルファ)星、ポラリスです。なぜ北極星が変わるのかは後で解説します。

北極星と南極星

北極星とは「北側の極星」のことを言います。そして極星とは、その天体の回転軸の延長線付近で輝いている星のことです。つまり北極星とは、北側の回転軸の延長線上で輝く星のことなのですね。北極星は地球だけでなく、自転する他の星にも存在しています。

じゃあ南の極星、南極星は?と思う人もいるでしょう。地球の天の南極側には南極星と言えるような星が存在しておらず、そのため地球には南極星がありません。その代わり、航海時代にはみなみじゅうじ座が南の空の目標として使われてきました。みなみじゅうじ座は南十字星、サザンクロスとも呼ばれる星座で、全天88星座の中で最も小さな星座です。

天の北極と南極

ここで先ほどから出ている天の北極南極について確認しましょう。自転の軸となる地軸と天球(天体が張り付いて運動しているとしている仮想の球体)が交わる点を天の極といいます。そして地軸の北極側を天の北極、南極側を天の南極と言うのです。

\次のページで「北極星の明るさはどれくらい?」を解説!/

北極星の明るさはどれくらい?

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北極星の定義を見ると現在の北極星、ポラリスは「光度二・〇」と書かれています。これはどれくらいの明るさなのでしょうか。まずは、星の明るさと北極星の明るさについて解説していきます。

星の明るさ、等級

星の明るさを表す単位として光度(光級・等級)があります。とてつもなく広い宇宙。そのため地球との距離は星によって大きく異なります。遠くなればなるほど、星は暗く見えるのです。そのため、星の明るさには地球から見える明るさの見かけの等級と、星そのものの明るさである絶対等級があります。等級は小さいほど明るくなり、星によっては-(マイナス)のものもあるのです。

星の明るさについてはこちらの記事をどうぞ。

ポラリスと太陽、どちらが明るい

太陽が昇ると地球は朝を迎えます。太陽が昇ると空が明るくなりますね。一方、ポラリスは他の星と一緒に空で輝いていますが、空を明るくするほどの明るさはありません。ではポラリスは太陽よりもずっと暗い星なのでしょうか。

まずはポラリスと他の星の明るさを比べてみましょう。なお、月や金星は衛星、惑星であり、自分で輝く恒星ではないので絶対等級はありません

太陽
 見かけの等級 -26.7
 絶対等級   4.82
満月の月
 見かけの等級 -12.7
金星
 見かけの等級 -4.7
シリウス(太陽の次に明るく見える恒星)
 見かけの恒星 -1.46
 絶対等級   1.4
カノープス(シリウスの次に明るく見える恒星)
 見かけの恒星 -0.74
 絶対等級   -5.6
ポラリス(現在の北極星)
 見かけの等級 2.02
 絶対等級   -3.6

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太陽の見かけの等級は-26.7、絶対等級は4.82。一方、ポラリスは見かけの等級2.02、絶対等級は-3.6です。先ほども解説したように等級は小さいほど明るく、等級が5小さいと明るさは100倍となります。見かけの等級で比較すると、-26.7と2.02と圧倒的に太陽の方が明るいのですね。

一方、絶対等級は太陽が4.82であるのに対してポラリスは-3.6。太陽とポラリスが並んだら、ポラリスの方がずっと明るいのです。このポイントは地球からの距離にあります。地球から太陽までの距離は1億4960万㎞、約8光分19光秒の距離である一方、ポラリスまでの距離は約448光年です。圧倒的にポラリスの方が遠いですね。さらに明るさは距離の2乗に反比例します。遠くなれば遠くなるほど届く光は暗くなるのですね。

北極星は動かない?

北極星は動かない?

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北半球で空を見上げると東の空から登った星は南の空を通って西の空に沈んでいきます。これは星が動いているわけではなく、地球が自転していることで星が動いて見えているのです。これを日周運動と呼びます。

さて、北の空で天体はどのように日周運動をしているのでしょうか。ここでコマを思い浮かべてみて下さい。コマは回転軸を中心に回っていますね。コマが地球だすると、北極星はこの回転軸を伸ばしたところにあります。そのため、北の空では北極星を中心に反時計回りに星が回って見えるのです。

北の夜空を写真に撮ると?

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星が動くのは1時間で15°。動く様子を目で見て観察するのは大変そうですね。しかしカメラで撮影すれば星の動きをきれいに簡単に観察することができます、

星空の写真で、星が線のように映った写真を見たことがありませんか?あれはカメラのシャッターを開け放して撮ったものです。東西南では星が左から右という向きに移動する様子を撮影することができます。一方、北の空では北極星は動かないため点として写り、北極星から離れるほど移動距離が長くなっていくのです。

北極星は変わる?

北極星の定義を見ると「現在は天の北極と約一度離れた所にある光度二・〇等の小熊座のα(アルファ)星」と書かれています。「現在は」とあるように、実は北極星はその時々で移り変わっているのです。北極星は完全に地軸の延長線上にあるわけでなく、長い目で見ると北極星も移動しています。そのため、北極星も時代によって変わっていくのです。

現在の北極星、こぐま座α星

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現在の北極星はこぐま座で最も明るいこぐま座α、ポラリスです。ポラリスは2102年に最も天の北極に近づくと言われています。北半球では1年中見る事の出来る北極星。そのため北極星を含むこぐま座も1年中見ることができるのです。ちなみにポラリスは、こぐまのしっぽに当たります。

\次のページで「北極星の過去と未来」を解説!/

北極星の過去と未来

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先ほどちらっと言ったように、北極星は時代によって変化します。回転軸の延長線上にある、と言いましたが厳密には少しずれているからです。約2万6000万年の周期で、北極星は移り代ります。

紀元前12000年頃
 こと座α星、ベガ(夏の大三角形のひとつ、織姫のこと)
紀元前10000年頃
 ヘルクレス座ι星
紀元前7700年頃
 ヘルクレス座τ星
紀元前5300年頃
 りゅう座ι星
紀元前3000年頃
 りゅう座α星
紀元前1100年頃
 こぐま座β星
西暦500年頃(現在)
 こぐま座α星、ポラリス
西暦4000年頃
 ケフェウス座γ星西
暦6000年頃
 ケフェウス座β星とケフェウス座ι星
西暦7800年頃
 ケフェウス座α星
西暦10200年頃
 はくちょう座α星
西暦11600年頃
 はくちょう座δ星
西暦13500年頃
 こと座α星(ベガ)

北極星、ポラリス

北極星は北の空の中心となる星です。現在はこぐま座のポラリスですが、完全な延長線上にあるわけではないので、時代によって変化します。といっても、次の星に移り変わるまでに2000年ほど時間がかかるので、北極星=ポラリスと思って間違いありません。

北極星があるように、南極星も自転する星には存在します。ただし、地球には南極星に当たる星はありません。そのため北半球では航海の際の目印として北極星が使われてきましたが、南半球ではみなみじゅうじ座が使われていました。

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地学理科

北極星が動かないのはなぜ?星の秘密を科学館職員がわかりやすく解説

北極星の明るさはどれくらい?

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北極星の定義を見ると現在の北極星、ポラリスは「光度二・〇」と書かれています。これはどれくらいの明るさなのでしょうか。まずは、星の明るさと北極星の明るさについて解説していきます。

星の明るさ、等級

星の明るさを表す単位として光度(光級・等級)があります。とてつもなく広い宇宙。そのため地球との距離は星によって大きく異なります。遠くなればなるほど、星は暗く見えるのです。そのため、星の明るさには地球から見える明るさの見かけの等級と、星そのものの明るさである絶対等級があります。等級は小さいほど明るくなり、星によっては-(マイナス)のものもあるのです。

星の明るさについてはこちらの記事をどうぞ。

ポラリスと太陽、どちらが明るい

太陽が昇ると地球は朝を迎えます。太陽が昇ると空が明るくなりますね。一方、ポラリスは他の星と一緒に空で輝いていますが、空を明るくするほどの明るさはありません。ではポラリスは太陽よりもずっと暗い星なのでしょうか。

まずはポラリスと他の星の明るさを比べてみましょう。なお、月や金星は衛星、惑星であり、自分で輝く恒星ではないので絶対等級はありません

太陽
 見かけの等級 -26.7
 絶対等級   4.82
満月の月
 見かけの等級 -12.7
金星
 見かけの等級 -4.7
シリウス(太陽の次に明るく見える恒星)
 見かけの恒星 -1.46
 絶対等級   1.4
カノープス(シリウスの次に明るく見える恒星)
 見かけの恒星 -0.74
 絶対等級   -5.6
ポラリス(現在の北極星)
 見かけの等級 2.02
 絶対等級   -3.6

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太陽の見かけの等級は-26.7、絶対等級は4.82。一方、ポラリスは見かけの等級2.02、絶対等級は-3.6です。先ほども解説したように等級は小さいほど明るく、等級が5小さいと明るさは100倍となります。見かけの等級で比較すると、-26.7と2.02と圧倒的に太陽の方が明るいのですね。

一方、絶対等級は太陽が4.82であるのに対してポラリスは-3.6。太陽とポラリスが並んだら、ポラリスの方がずっと明るいのです。このポイントは地球からの距離にあります。地球から太陽までの距離は1億4960万㎞、約8光分19光秒の距離である一方、ポラリスまでの距離は約448光年です。圧倒的にポラリスの方が遠いですね。さらに明るさは距離の2乗に反比例します。遠くなれば遠くなるほど届く光は暗くなるのですね。

北極星は動かない?

北極星は動かない?

image by Study-Z編集部

北半球で空を見上げると東の空から登った星は南の空を通って西の空に沈んでいきます。これは星が動いているわけではなく、地球が自転していることで星が動いて見えているのです。これを日周運動と呼びます。

さて、北の空で天体はどのように日周運動をしているのでしょうか。ここでコマを思い浮かべてみて下さい。コマは回転軸を中心に回っていますね。コマが地球だすると、北極星はこの回転軸を伸ばしたところにあります。そのため、北の空では北極星を中心に反時計回りに星が回って見えるのです。

北の夜空を写真に撮ると?

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星が動くのは1時間で15°。動く様子を目で見て観察するのは大変そうですね。しかしカメラで撮影すれば星の動きをきれいに簡単に観察することができます、

星空の写真で、星が線のように映った写真を見たことがありませんか?あれはカメラのシャッターを開け放して撮ったものです。東西南では星が左から右という向きに移動する様子を撮影することができます。一方、北の空では北極星は動かないため点として写り、北極星から離れるほど移動距離が長くなっていくのです。

北極星は変わる?

北極星の定義を見ると「現在は天の北極と約一度離れた所にある光度二・〇等の小熊座のα(アルファ)星」と書かれています。「現在は」とあるように、実は北極星はその時々で移り変わっているのです。北極星は完全に地軸の延長線上にあるわけでなく、長い目で見ると北極星も移動しています。そのため、北極星も時代によって変わっていくのです。

現在の北極星、こぐま座α星

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現在の北極星はこぐま座で最も明るいこぐま座α、ポラリスです。ポラリスは2102年に最も天の北極に近づくと言われています。北半球では1年中見る事の出来る北極星。そのため北極星を含むこぐま座も1年中見ることができるのです。ちなみにポラリスは、こぐまのしっぽに当たります。

\次のページで「北極星の過去と未来」を解説!/

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