北極星の明るさはどれくらい?
北極星の定義を見ると現在の北極星、ポラリスは「光度二・〇」と書かれています。これはどれくらいの明るさなのでしょうか。まずは、星の明るさと北極星の明るさについて解説していきます。
星の明るさ、等級
星の明るさを表す単位として光度(光級・等級)があります。とてつもなく広い宇宙。そのため地球との距離は星によって大きく異なります。遠くなればなるほど、星は暗く見えるのです。そのため、星の明るさには地球から見える明るさの見かけの等級と、星そのものの明るさである絶対等級があります。等級は小さいほど明るくなり、星によっては-(マイナス)のものもあるのです。
星の明るさについてはこちらの記事をどうぞ。
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ポラリスと太陽、どちらが明るい
太陽が昇ると地球は朝を迎えます。太陽が昇ると空が明るくなりますね。一方、ポラリスは他の星と一緒に空で輝いていますが、空を明るくするほどの明るさはありません。ではポラリスは太陽よりもずっと暗い星なのでしょうか。
まずはポラリスと他の星の明るさを比べてみましょう。なお、月や金星は衛星、惑星であり、自分で輝く恒星ではないので絶対等級はありません。
太陽
見かけの等級 -26.7
絶対等級 4.82
満月の月
見かけの等級 -12.7
金星
見かけの等級 -4.7
シリウス(太陽の次に明るく見える恒星)
見かけの恒星 -1.46
絶対等級 1.4
カノープス(シリウスの次に明るく見える恒星)
見かけの恒星 -0.74
絶対等級 -5.6
ポラリス(現在の北極星)
見かけの等級 2.02
絶対等級 -3.6
太陽の見かけの等級は-26.7、絶対等級は4.82。一方、ポラリスは見かけの等級2.02、絶対等級は-3.6です。先ほども解説したように等級は小さいほど明るく、等級が5小さいと明るさは100倍となります。見かけの等級で比較すると、-26.7と2.02と圧倒的に太陽の方が明るいのですね。
一方、絶対等級は太陽が4.82であるのに対してポラリスは-3.6。太陽とポラリスが並んだら、ポラリスの方がずっと明るいのです。このポイントは地球からの距離にあります。地球から太陽までの距離は1億4960万㎞、約8光分19光秒の距離である一方、ポラリスまでの距離は約448光年です。圧倒的にポラリスの方が遠いですね。さらに明るさは距離の2乗に反比例します。遠くなれば遠くなるほど届く光は暗くなるのですね。
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北極星は動かない?
image by Study-Z編集部
北半球で空を見上げると東の空から登った星は南の空を通って西の空に沈んでいきます。これは星が動いているわけではなく、地球が自転していることで星が動いて見えているのです。これを日周運動と呼びます。
さて、北の空で天体はどのように日周運動をしているのでしょうか。ここでコマを思い浮かべてみて下さい。コマは回転軸を中心に回っていますね。コマが地球だすると、北極星はこの回転軸を伸ばしたところにあります。そのため、北の空では北極星を中心に反時計回りに星が回って見えるのです。
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北の夜空を写真に撮ると?
星が動くのは1時間で15°。動く様子を目で見て観察するのは大変そうですね。しかしカメラで撮影すれば星の動きをきれいに簡単に観察することができます、
星空の写真で、星が線のように映った写真を見たことがありませんか?あれはカメラのシャッターを開け放して撮ったものです。東西南では星が左から右という向きに移動する様子を撮影することができます。一方、北の空では北極星は動かないため点として写り、北極星から離れるほど移動距離が長くなっていくのです。
北極星は変わる?
北極星の定義を見ると「現在は天の北極と約一度離れた所にある光度二・〇等の小熊座のα(アルファ)星」と書かれています。「現在は」とあるように、実は北極星はその時々で移り変わっているのです。北極星は完全に地軸の延長線上にあるわけでなく、長い目で見ると北極星も移動しています。そのため、北極星も時代によって変わっていくのです。
現在の北極星、こぐま座α星
現在の北極星はこぐま座で最も明るいこぐま座α、ポラリスです。ポラリスは2102年に最も天の北極に近づくと言われています。北半球では1年中見る事の出来る北極星。そのため北極星を含むこぐま座も1年中見ることができるのです。ちなみにポラリスは、こぐまのしっぽに当たります。
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