マンゴーと言えば、トロピカルフルーツの代表格です。日本では、割と新しいフルーツに思えるが、実は世界ではとても古い歴史を持ち「果物の女王」と呼ばれる大変メジャーな果物なんです。また、豊富な栄養と美容効果など嬉しいメリットがありますが、かぶれやアレルギーの原因といったデメリットの側面もあるんです。今回の記事では由来や歴史・栄養素などマンゴーの基礎的な特徴を果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。マンゴーは、果物盛り合わせ・プリン・ムース・焼き菓子・デコレーションと洋菓子界のオールラウンダー!

マンゴーってどんな果物?

image by iStockphoto

マンゴーはウルシ科マンゴー属の常緑樹の果物で、その品種は何千種にも及ぶそうです。日本では、もともとはフィリピンやタイ・メキシコなどから輸入されていましたが、近年では国産も増えてきています。「南国のフルーツ」というイメージ通り、国内では沖縄県や宮崎県など暑い地域で多く栽培され、4月~8月に出回る夏の果物ですね。

完熟のマンゴーはジューシーで甘く、少し繊維を感じる柔らかな口あたりで、独特な香りを放ちます。大きさや重さは品種によってかなり差があり、タマゴ型または勾玉に似た形。果皮の色は赤色・黄色・緑色などで、黄色やオレンジ色の果肉の中に、平たく大きめの硬い種子が1つ入っているのが特徴です。

では、外側からは見えない、マンゴーの歴史や物語も見ていきましょう。

和名は?由来は?

マンゴーの和名は、そのまま「マンゴー」または漢字で「芒果」「檬果」と書きます。インドの仏教の言葉から、別名「菴羅(あんま)」「菴摩羅(あんまら)」とも呼ばれていますよ。英語では「マンゴー(mango)」、フランス語では「マング(mangue)」です。

そもそも「マンゴー」の由来は、原産地である南インドのタミル語での呼び名「マンギー」であり、それがなまってマンゴーになったと言われています。

マンゴーの歴史は古い

マンゴーの原産地はインドや東南アジアと言われています。その歴史は非常に古く、今から4000年前のインドではすでに栽培されていました。なんと、マンゴーは仏教の経典にも登場するのだそう。紀元前5~4世紀頃にインドからマレー半島へ、さらに東南アジアへと伝わったとされています。

マンゴーがアジアから世界中に広がっていったのは、大航海時代と呼ばれる15~16世紀。インド航路を発見したバスコ・ダ・ガマによりヨーロッパへ伝えられ、その後アフリカや南米へも広がっていきました。

日本にやってきたのは明治時代で、最初は鹿児島県から始まります。当初は日本の季節が合わず、なかなかうまくいかなかったそうですよ。1970年頃になるとハウス栽培が確立したことで、安定した生産が可能となり、盛んに栽培が行われるようになりました。暖かい地方に向く果物ではありますが、近年では、温泉を利用して北海道でも栽培されています。

\次のページで「世界とマンゴーの関わり」を解説!/

世界とマンゴーの関わり

日本では、マンゴーが一般的なフルーツとして定着し始めたのは最近こと。しかし、世界では、ブドウ・バナナ・オレンジ・リンゴに次ぐ生産量があり、チェリモア・マンゴスチンと並んで世界三大美果と言われている非常にポピュラーな果物なのです。

また、マンゴーは意外にも、世界の宗教と強い結びつきがあります。原産地インドで生まれた仏教では、お釈迦様が悟りを開いたのはマンゴーの木の下という伝説があり、マンゴーは「聖なる樹」と位置付けられているのです。ヒンドゥー教ではマンゴーは万物の神「プラジャーパティ」の化身と言われ、果実や枝葉が儀式に使われるのだそう。

日本の昔話や歴史に出てくる果物は「桃」や「柿」などが多く、マンゴーは馴染みが無いですが...世界と日本の違いに驚きますね!

マンゴーの栄養と効能

image by iStockphoto

マンゴーに含まれる栄養素で特徴的なものが、βカロテン(ビタミンA)が多いことです。その含有量は、同じオレンジ色の果物であるビワの2倍、柿の15倍、果物の中でもトップクラスなのだとか。特に、果実が未熟な状態だとビタミンCが多く、果実が熟すほどにβカロテンの含有量は増加すると言われています。その他には、ビタミンC・葉酸・食物繊維・カリウムなども豊富に含まれている体にいいフルーツです。

では、それぞれの栄養素の働きを詳しく解説していきましょう。

1.βカロテン(ビタミンA)・ビタミンC:美肌効果・老化防止・がん予防

マンゴーの黄色やオレンジ色の果肉には「βカロテン」が含まれています。βカロテンは強い抗酸化作用があり、老化防止やアンチエイジング・がん予防などに効果が期待できますよ。

さらに、βカロテンは体内で必要な分だけビタミンAに変換されて使われます。ビタミンAは摂りすぎると過剰症が心配ですが、βカロテンの場合、ビタミンAを摂りすぎることはありません。ビタミンAは視力や粘膜・皮膚の健康維持に役立ちます。

また、同じく抗酸化作用を持つビタミンCも含まれていますね。「ビタミンC」は美容ビタミンとも呼ばれ、肌にハリと潤いを与えるコラーゲンの生成に欠かせません。メラニンの生成も抑制するので、シミ予防にも効果が期待できますよ。

\次のページで「2.食物繊維:整腸作用・便秘解消」を解説!/

2.食物繊維:整腸作用・便秘解消

マンゴーには「水溶性」と「不溶性」2種類の食物繊維が含まれているのです。水溶性食物繊維は、食後の血糖値を抑えたり、コレステロールを吸着し便と共に体外に排出してくれる役割があります。不溶性食物繊維は、水分を吸って便のカサを増やし、排便をスムーズに促してくれますよ。マンゴーを食べると、これらの食物繊維の働きが相まって、腸の環境が整い、便秘改善に効果が期待できます。

3.カリウム:高血圧予防・むくみ改善

「カリウム」はナトリウムと共に細胞の浸透圧を調整し維持する栄養素です。余分なナトリウムの排出を促すため、高血圧予防に効果が期待できます。また利尿作用により、水分も体外に排出されるため、むくみ改善にも効果がありますよ。しかし、カリウムは摂りすぎると体を冷やし過ぎてしまう欠点もありますので、冷えが気になる方は注意しましょう。

4.葉酸:貧血予防

ビタミンB群の一種である「葉酸」。葉酸というと、胎児の発育に不可欠な妊婦さんの摂りたい栄養素ですね。「造血ビタミン」とも呼ばれ、新しい赤血球の生成を助ける働きがありますので、貧血予防に効果的です。

マンゴーは便秘解消で内側から、美肌効果で外側から、美容効果に優れたフルーツです。また、マンゴーには消化酵素が含まれており、食べ物の消化吸収を助けます。消化酵素・ビタミンC・葉酸など、熱に弱い栄養素がたくさん含まれますが、生のまま食べられるマンゴーは栄養を損なわずに無駄なく摂取できますね。

マンゴーを食べる時の注意点

image by iStockphoto

美味しくて、栄養満点なマンゴー。しかし、意外と知られていないデメリットも!?マンゴーはうっかり食べるとアレルギーや太る原因にもなるのです。マンゴーの注意点や適量を理解して、程よく生活に取り入れ、健康に役立てましょう。

マンゴーのカロリー・糖質は高い?

濃厚な甘みのマンゴーは、カロリーや糖質も高そうですよね。特にダイエット中や糖質制限中は気になるところ。では、マンゴーと他の主要な果物のカロリーと糖質を比較して考えてみましょう。

\次のページで「かぶれに注意!」を解説!/

果物名:可食部100gあたりのカロリー/可食部100gあたりの糖質
マンゴー:68kcal/13.8g
バナナ:93kcal/19.4g
キウイ:51kcal/9.6g
リンゴ:57kcal/14.1g
イチゴ:31kcal/6.1g

上記の通り、マンゴーは「バナナよりカロリー・糖質共に低めですが、果物の中では高い」ことが分かりますね。食べ過ぎには注意しましょう。

では、実際どのくらい食べるのが良いのでしょうか?厚生労働省の「食事バランスガイド」によると果物摂取量の目安は1日当たり200g程度を推奨しています。サイズの平均は、大きめのマンゴーだと可食部が約270g、小さめのマンゴーだと可食部は約150gです。そのため、大きめだったら3分の2個、小さめなら1個が適量でしょう。また、糖質制限中の場合、おやつでの糖質の目安は10g以下になりますので、小さめマンゴー半分程度にとどめておくと良いでしょう。

かぶれに注意!

「ウルシの木でかぶれる」という話は聞いたことがあるでしょうか?実は、マンゴーもウルシ科かぶれることがあるのです。

マンゴーの果皮には、接触性皮膚炎の元になる「ウルシオール」に似た「マンゴール」という物質が含まれています。そのため、果汁に触れると、かゆみやかぶれを引き起こす場合があるのです。人によっては、食後1~2日以上経ってから、顔や手などにかゆみや腫れが現れ、悪化することも。特にアレルギーのある方は発症する確率が高いので注意してください。

赤ちゃんは食べられるの?

赤ちゃんにマンゴーを与える場合は離乳食後期(11~12か月)からにしましょう。ただし、かぶれの原因「マンゴール」も含まれるため、アレルギー反応が現れる場合があります。他にも離乳食に適した果物はたくさんあるので、マンゴーを無理に与える必要はないでしょう。

初めて与える時は、万が一に病院が受診できる平日の午前中が良いですね。ピューレ状に裏ごししたマンゴーを小さじ1杯から。殺菌やアレルギーを出にくくするためにも、加熱したほうが安心です。異常がなければ、様子を見ながら1日分を少量ずつ増やせますが、食べ過ぎは下痢の原因になりますので、3歳くらいまでは数切れにとどめましょう。離乳食の変化付けに時折加えてみれば、赤ちゃんの食も豊かになりますね。

今も昔も変わらぬ人気「果物の女王」マンゴー!栄養満点でみんなを元気に!

太古から愛され続けてきたマンゴーは、時として信仰の対象になるほど、人々の生活に寄り添ってきました。それは長い年月が経った現在でも、変わりません。世界のマンゴーの生産量の多さが、その揺るがぬ人気を物語っていますね。濃厚な甘みの中には、ジューシーな果汁と豊富な栄養素が詰まっています。ダイエット時のおやつや食後のデザートにマンゴーを取り入れて、赤ちゃんから妊婦さんまで、みんなで元気になりましょう。

" /> マンゴーの栄養と効能って?カロリーは高いの?長い歴史や由来、かぶれの原因も果物大好きパティシエが詳しくわかりやすく解説 – Study-Z
家庭科

マンゴーの栄養と効能って?カロリーは高いの?長い歴史や由来、かぶれの原因も果物大好きパティシエが詳しくわかりやすく解説

マンゴーと言えば、トロピカルフルーツの代表格です。日本では、割と新しいフルーツに思えるが、実は世界ではとても古い歴史を持ち「果物の女王」と呼ばれる大変メジャーな果物なんです。また、豊富な栄養と美容効果など嬉しいメリットがありますが、かぶれやアレルギーの原因といったデメリットの側面もあるんです。今回の記事では由来や歴史・栄養素などマンゴーの基礎的な特徴を果物大好きパティシエのmei.mと一緒に詳しく解説していきます。

ライター/mei.m

15年近くウェディングケーキを作ってきたパティシエで、現在は2児のママ。フルーツが大好きで、味見と称して様々な果物を食べてきました。マンゴーは、果物盛り合わせ・プリン・ムース・焼き菓子・デコレーションと洋菓子界のオールラウンダー!

マンゴーってどんな果物?

image by iStockphoto

マンゴーはウルシ科マンゴー属の常緑樹の果物で、その品種は何千種にも及ぶそうです。日本では、もともとはフィリピンやタイ・メキシコなどから輸入されていましたが、近年では国産も増えてきています。「南国のフルーツ」というイメージ通り、国内では沖縄県や宮崎県など暑い地域で多く栽培され、4月~8月に出回る夏の果物ですね。

完熟のマンゴーはジューシーで甘く、少し繊維を感じる柔らかな口あたりで、独特な香りを放ちます。大きさや重さは品種によってかなり差があり、タマゴ型または勾玉に似た形。果皮の色は赤色・黄色・緑色などで、黄色やオレンジ色の果肉の中に、平たく大きめの硬い種子が1つ入っているのが特徴です。

では、外側からは見えない、マンゴーの歴史や物語も見ていきましょう。

和名は?由来は?

マンゴーの和名は、そのまま「マンゴー」または漢字で「芒果」「檬果」と書きます。インドの仏教の言葉から、別名「菴羅(あんま)」「菴摩羅(あんまら)」とも呼ばれていますよ。英語では「マンゴー(mango)」、フランス語では「マング(mangue)」です。

そもそも「マンゴー」の由来は、原産地である南インドのタミル語での呼び名「マンギー」であり、それがなまってマンゴーになったと言われています。

マンゴーの歴史は古い

マンゴーの原産地はインドや東南アジアと言われています。その歴史は非常に古く、今から4000年前のインドではすでに栽培されていました。なんと、マンゴーは仏教の経典にも登場するのだそう。紀元前5~4世紀頃にインドからマレー半島へ、さらに東南アジアへと伝わったとされています。

マンゴーがアジアから世界中に広がっていったのは、大航海時代と呼ばれる15~16世紀。インド航路を発見したバスコ・ダ・ガマによりヨーロッパへ伝えられ、その後アフリカや南米へも広がっていきました。

日本にやってきたのは明治時代で、最初は鹿児島県から始まります。当初は日本の季節が合わず、なかなかうまくいかなかったそうですよ。1970年頃になるとハウス栽培が確立したことで、安定した生産が可能となり、盛んに栽培が行われるようになりました。暖かい地方に向く果物ではありますが、近年では、温泉を利用して北海道でも栽培されています。

\次のページで「世界とマンゴーの関わり」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: